JPS6327633B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、炉体、炉蓋及び、炉蓋を支える炉蓋
支持装置を備えたアーク炉であつて、炉体と炉蓋
とがほぼ炉体幅だけ互いに相対的に運動可能であ
る形式のものに関する。

アーク炉に固体装入材料を申し分なく供給する
ためには、アーク炉の炉体が開放されねばならな
い。このために公知の構造では、炉蓋が炉蓋昇降
兼旋回装置、いわゆる炉蓋支持装置によつてまず
鉛直方向で上へ炉体から持ち上げられ、次いで水
平方向で側方へ旋回させられる。さらに、鋼工業
分野において公知の別の構造では、炉蓋昇降装置
により炉蓋を持ち上げた後に炉体が傾倒方向若し
くは傾倒方向に対して横方向に移動させられる。

ソビエト連邦社会主義共和国の出版物、S.カセ
ヴイツシユ著、“電気炉の設計と構造”技術科学
出版モスクワ、レニングラード1959、422ページ
には、傾倒方向へ移動可能な炉体を有する炉が記
載されている。このような構造においては炉蓋を
持ち上げる別のすべての形式の構造と同じよう
に、炉蓋昇降装置及びこれに所属の構成部分、例
えば弁制御装置、機械的な力伝達装置、錠止機構
等が必要である。特に中型から大型の炉において
は、比較的に重い炉蓋を持ち上げるために、炉蓋
昇降装置が著しく丈夫に設計されていなければな
らない。これに相応して炉の構造費における炉蓋
昇降装置の占める割合が高くなる。

従つて、本発明の目的は簡単な構造で安価なア
ーク炉を提供することにある。

この目的を達成するために本発明の構成では、
炉体、炉蓋及び、炉蓋を支える炉蓋支持装置を備
えたアーク炉であつて、炉体と炉蓋とがほぼ炉体
幅だけ互いに相対的に運動可能である形式のもの
において、炉体及び炉蓋の分離面が水平線に対し
て傾斜しており、炉体若しくは炉蓋が閉鎖位置か
ら分離面のほぼ傾斜方向に相対的に運動可能に案
内されており、炉蓋が閉鎖位置から所定の距離に
わたつて炉蓋を支える支持機構を介して炉体上に
載設されており、支持機構が分離面に対して平行
にかつ分離面の傾斜方向に延びる少なくとも２つ
のローラ軌道及びこのローラ軌道に沿つて転動す
る支持ローラから成つており、炉体及び炉蓋に整
合兼錠止装置が配置されている。

本発明に基づく前記構成によつて得られる利点
はおもに、高価な炉蓋昇降装置が不必要になり、
もつぱら構造の簡単なかつ昇降作業を行う必要の
ないことに基づき寸法の小さな炉蓋支持装置しか
用いられないところにある。

さらに、炉蓋が炉蓋を閉鎖位置から所定の区間
にわたつて炉蓋を支える支持機構を介して炉体上
に載設されており、支持機構が分離面に対してほ
ぼ平行にかつ分離面の傾斜方向に延びる少なくと
も２つのローラ軌道及びこのローラ軌道に沿つて
転動する支持ローラから成つていることに基づ
き、利点として、炉蓋の重量が炉体と炉蓋との開
放に際して炉体から次第に炉蓋支持装置に伝達さ
れる。同様に、炉体と炉蓋との閉鎖に際しては炉
蓋の重量が次第に炉蓋支持装置から炉体に伝達さ
れる。これによつて炉体、炉蓋及び炉蓋支持装置
の破損が避けられる。

ローラ軌道を炉蓋の炉蓋リングにかつ支持ロー
ラを炉体に取付けると、異物、例えば飛散つた鉄
及び（又は）スラグがローラ軌道上に付着するよ
うなことはなくなる。

支持ローラを炉蓋の炉蓋リングにかつローラ軌
道を炉体に取付けると、支持ローラへの熱の影響
が避けられる。それというのは炉蓋の炉蓋リング
は冷却されているからである。

整合兼錠止装置が、有利には炉体及び炉蓋に取
付けられた互いに協働する案内ストリツプ、案内
ストリツプに形成された錠止孔並びに錠止孔内に
差込まれる錠止ピンから成つており、炉体と炉蓋
とが閉鎖位置で互いに正確にセンタリングされか
つ確実にロツクされる。

次に図面を用いて本発明の実施例を具体的に説
明する。

第１図において、炉体１を実線で示す左側の位
置は融解過程のための作業位置（閉鎖位置）であ
り、炉体１を破線で示す右側の位置は装入過程の
ための装入位置である。炉体１及び炉蓋２の分離
面４，５は水平線に対して傾斜している。図面の
実施例では、炉体１が矢印４０で示すように分離
面４，５の傾斜方向に移動させられるのに対し
て、炉蓋２は定置に維持されている。

炉蓋２の炉蓋リング３には４つのローラ軌道６
が配置されており、第１図では２つのローラ軌道
だけが見えている。ローラ軌道６は、炉体１に取
つけられた支持ローラ７に支持されている。炉体
１と炉蓋２とを正確に位置決めしかつ錠止するた
めに、炉体１及び炉蓋２に案内ストリツプ１６，
１７が設けられている。炉蓋２は支持ロープ１５
を介して炉蓋支持装置１０によつて支持されてい
る。支持ロープは炉蓋リング３のアイ１３を通し
て炉蓋２に結合され、かつ炉蓋支持アーム１２の
アイ１４を通して炉蓋支持装置１０に結合されて
いる。支持ロープ１５は調節装置（図示せず）に
よつて、炉体１を移動させる前に緊張せしめら
れ、炉蓋２の振動及び（又は）炉蓋支持装置１０
に対する炉蓋重量の衝撃的な伝達が避けられる。

炉体１及び炉蓋２の開閉時における構成部分の
機能は第５図を用いて述べる。

第１図に示してあるように炉体１は支持構造体
２１上に載設されており、この支持構造体は車輪
２３を介して、プラツトホーム２０に配置され分
離面４，５の傾斜方向に延びるレール２４上を走
行可能である。機械的な補強のために、支持構造
体２１にはブラケツト２２が取付けられている。
プラツトホーム２０は図示の実施例では３つの転
動リング２５によつて支持されており、これらの
転動リングは３つの揺動ビーム２６上を転動可能
である。揺動ビーム２６は基礎２７に取付けられ
ている。プラツトホーム２０には、炉蓋支柱１１
及び炉蓋支持アーム１２から成る炉蓋支持装置１
０が固定されている。

電極調節支柱２８は公知の形式で、鉛直方向に
液力によつて運動可能に調節シリンダ２９に結合
されている。電極調節支柱２８は電極支持アーム
３０を保持しており、電極支持アームの外側の端
部に設けられた電極ソケツト３１内には電極３２
が保持されている。

プラツトホームの左端部及び右端部でプラツト
ホームに結合された液力シリンダ３３によつて、
アーク炉は湯出口３４から融解湯を湯出し並びに
融解湯のスラグを流出させるために傾倒運動させ
られる。

第２図は第１図の概略的な平面図であり、炉蓋
支持アーク炉１２の結合横桁３６，３７及びスラ
グドア３５が示してある。

第３図は本発明の第２の実施例のアーク炉の概
略的な正面図であり、この場合炉蓋２が閉鎖位置
から分離面４，５の傾斜方向に水平に旋回可能で
あり、炉体１が不動に配置されている。炉蓋支持
装置１０は回動ブラケツト４２を有しており、こ
の回動ブラケツトはプラツトホーム２０に回動可
能に支承されており、これによつて炉蓋２は支持
されると同時に旋回させられ得る。

炉蓋２の炉蓋リング３には同じくローラ軌道６
が取付けられており、ローラ軌道に沿つて支持ロ
ーラ７が転動可能である。支持ローラ７は炉体１
に取付けられている。ローラ軌道６の機械的な補
強のために補強リブ１９が設けられている。炉体
１及び炉蓋２の分離面４，５の傾斜は、第３図の
アーク炉の概略的な側面図である第４図に示して
ある。

第４図から明らかなように、炉体１及び炉蓋２
の分離面４，５は水平線に対して傾斜されてい
る。炉蓋２は分離面の傾斜の下り方向（矢印４
１）に運動させられるのに対して、炉体１はプラ
ツトホーム２０上に不動に配置されている。炉蓋
支持装置１０は炉体１及び炉蓋２の開放に際して
炉蓋２の重量を完全に受止めており、炉蓋２は支
持ロープ１５に吊した状態で、炉体範囲から外側
へ旋回させられる。炉蓋２の重量は、炉蓋２で以
つて炉体１を閉じる直前に少なくとも部分的に炉
体１に伝達され、完全に閉じると全面的に炉体に
伝達される。

第５図は第１図若しくは第３図の炉体１及び炉
蓋２の部分的な拡大正面図である。

炉蓋２は全重量で以つてもつぱら４つの接触箇
所で炉体１に載つており、接触箇所にはローラ軌
道６及びこのローラ軌道上を所定の区間にわたつ
て転動する支持ローラ７が配置されている。第５
図にはもつぱら２つのローラ軌道６及びそれに所
属の支持ローラ７が示してある。炉体１及び炉蓋
２のわずかに離された分離面４，５がはつきり示
してある。ローラ軌道６は補強リブ１９を用いて
炉蓋２の炉蓋リング３に固定されている。支持ロ
ーラ７は、この支持ローラを回動可能に支承する
ローラシヤフト８を介して炉体１に結合されてい
る。第５図はアーク炉を融解作業位置で示してい
る。

炉体１と炉蓋２とは閉鎖位置で整合兼錠止装置
を用いて互いに整合（センタリング）されかつ錠
止（ロツク）される。整合兼錠止装置は、炉体１
及び炉蓋２に取付けられた互いに協働する案内ス
トリツプ１６，１６′，１７，１７′、案内ストリ
ツプに形成された錠止孔４４，４５並びに錠止孔
内に差込まれる錠止ピン１８から成つている。

炉蓋２の炉蓋リングにはアイ１３を介して支持
ロープ１５が取付けられている。炉体１及び炉蓋
２の分離面４，５の水平線に対する傾斜角は、炉
蓋２の鉛直方向の重量力成分が水平方向の重量力
成分よりも大きく、従つて、炉蓋２が水平方向の
付加的な力の作用なしには運動しないように規定
されている。

第６図は第５図の―線に沿つた断面図であ
る。炉体１を越えて外側へ突出している炉蓋リン
グ３の下側にはローラ軌道６が配置されている。
炉体１の突出した付加部９内にはローラシヤフト
８が取付けられており、このローラシヤフトには
支持ローラ７が回動可能に支承されている。

炉体１及び炉蓋２の開放過程：案内ストリツプ
１６，１７の孔４４，４５から錠止ピン１８を抜
き取つた後に、例えばロープウインチ（図示せ
ず）によつて水平方向の力が矢印４０の方向で炉
体１に生ぜしめられる。従つて、炉体１が炉体１
若しくは炉蓋２の分離面４，５の水平線に対する
傾斜の上り方向（第１図で右方向）に運動する。
分離面４，５の水平線に対する傾斜角は５度〜15
度である。ローラ軌道６が分離面４，５に対して
平行に、すなわち同じ角度で傾斜して延びてお
り、支持ローラ７が水平線に対して平行に延びて
いるので、支持ローラ７はわずかな所定の区分に
わたつてのみローラ軌道６に沿つて転動し、次い
で矢印４０の方向への炉体１の引き続く運動に際
してはローラ軌道から離れる。支持ローラ７とロ
ーラ軌道６とが離れると、炉蓋２の全重量が支持
ロープ１５によつて炉蓋支持装置１０に伝達され
る。炉蓋支持装置１０は第５図には示してない。
もちろん支持ロープ１５は炉体１と炉蓋２とを開
放する前に緊張されている。支持ロープの緊張は
調節装置若しくはロープ緊張装置（図示せず）に
よつて行なわれる。支持ロープ１５の緊張は、炉
体１と炉蓋２との開放過程に際して炉蓋２の揺動
若しくは炉蓋支持装置１０に対する炉蓋重量の衝
撃的な伝達を避けるために必要である。炉体１と
炉蓋２との開放過程の前に炉蓋支持装置１０によ
つて炉蓋を鉛直方向に上げることは調節装置によ
つて避けられる。炉体１と炉蓋２とが分離された
後に、炉体１が炉蓋範囲から完全に外へ運動させ
られ、今や開放された炉体１に新たに材料が装入
されるのに対して、炉蓋２は炉蓋支持装置１０に
自由に吊した状態に固定されている。

炉体１と炉蓋２との閉鎖過程：炉体１への単位
分材料装入の後に、炉体１は矢印４０の方向とは
逆向きに同じくロープウインチ（図示せず）によ
つて戻される。支持ローラ７がローラ軌道６に接
触し始めると、炉蓋重量は次第に支持ローラ７に
伝達され、最終的には、完全に支持ローラ７によ
つて支えられ、支持ロープ１５若しくは炉蓋支持
装置１０は相応に次第に負荷軽減され、炉蓋２は
炉体１を閉じると同時に、完全に炉体１に載せら
れる。炉体１と炉蓋２との閉鎖に際して炉蓋２の
案内ストリツプ１７′は炉体１の案内ストリツプ
１６′間に進入せしめられ、炉体１は炉体１の案
内ストリツプ１６の錠止孔４４が炉蓋２の案内ス
トリツプ１７の錠止孔４５と合致させられるまで
戻され、錠止ピン１８が錠止孔内に差込まれる。
これによつて閉鎖過程が終了する。炉体１が閉鎖
位置で炉蓋２に対して正確にセンタリングされ、
融解過程が新たに開始され得る。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の実施例を示すものであつて、第
１図は第１実施例の概略的な正面図、第２図は第
１図の実施例の概略的な平面図、第３図は第２実
施例の概略的な正面図、第４図は第３図の実施例
の概略的な側面図、第５図は第１図若しくは第３
図の実施例の部分的な拡大正面図、第６図は第５
図の―線に沿つた断面図である。 １……炉体、２……炉蓋、３……炉蓋リング、
４及び５……分離面、６……ローラ軌道、７……
支持ローラ、８……ローラシヤフト、９……付加
部、１０……炉蓋支持装置、１１……炉蓋支柱、
１２……炉蓋支持アーム、１３及び１４……ア
イ、１５……支持ロープ、１６，１６′，１７及
び１７′……案内ストリツプ、１８……錠止ピン、
１９……補強リブ、２０……プラツトホーム、２
１……支持構造体、２２……ブラケツト、２３…
…車輪、２４……レール、２５……転動リング、
２６……揺動ビーム、２７……基礎、２８……電
極調節支柱、２９……調節シリンダ、３０……電
極支持アーム、３１……電極ソケツト、３２……
電極、３３……液力シリンダ、３４……湯出口、
３５……スラグドア、３６及び３７……結合横
桁、４０及び４１……矢印、４２……回転ブラケ
ツト、４３……電極進入孔、４４及び４５……錠
止孔。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 炉体１、炉蓋２及び、炉蓋２を支える炉蓋支
   持装置を備えたアーク炉であつて、炉体１と炉蓋
   ２とがほぼ炉体幅だけ互いに相対的に運動可能で
   ある形式のものにおいて、炉体１及び炉蓋２の分
   離面４，５が水平線に対して傾斜しており、炉体
   １若しくは炉蓋２が閉鎖位置から分離面４，５の
   ほぼ傾斜方向に相対的に運動可能に案内されてお
   り、炉蓋２が閉鎖位置から所定の距離にわたつて
   炉蓋２を支える支持機構を介して炉体１上に載設
   されており、支持機構が分離面４，５に対して平
   行にかつ分離面の傾斜方向に延びる少なくとも２
   つのローラ軌道６及びこのローラ軌道に沿つて転
   動する支持ローラ７から成つており、炉体１及び
   炉蓋２に整合兼錠止装置１６，１６′，１７，１
   ７′，１８，４４，４５が配置されていることを
   特徴とするアーク炉。 ２ ローラ軌道６が炉蓋２の炉蓋リング３に取付
   けられており、支持ローラ７が炉体１に取付けら
   れている特許請求の範囲第１項記載のアーク炉。 ３ 支持ローラ７が炉蓋２の炉蓋リング３に取付
   けられており、ローラ軌道６が炉体１に取付けら
   れている特許請求の範囲第１項記載のアーク炉。 ４ 整合兼錠止装置が、炉体１及び炉蓋２に取付
   けられた互いに協働する案内ストリツプ１６，１
   ６′，１７，１７′、案内ストリツプに形成された
   錠止孔４４，４５並びに錠止孔内に差込まれる錠
   止ピン１８から成つている特許請求の範囲第１項
   記載のアーク炉。