JPS6327327Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は不使用時にテープリールの回転止め
を図るリールブレーキ手段に特徴を有するテープ
カートリツジに関する。

この種のリールブレーキ手段は、従来一般に本
体ケース内に装着されたテープリールの下フラン
ジの外周に係合歯を連続形成し、本体ケース内に
リールストツパーを装置し、このリールストツパ
ーをこれの先端に設けた係合爪がフランジ外周の
係合歯に係合する姿勢にばね部材で移動付勢して
不使用時におけるテープリールのテープ繰出し方
向への回転を阻止し、磁気記録装置への装填時に
は磁気記録装置側のブレーキ解除部材でリールス
トツパーをばね部材に抗してブレーキ解除位置に
退避させる形態を採つている。

しかし、この種のリールブレーキ手段はリール
ストツパーを縦軸まわりに回動させる形態を採る
にせよ、直線的にスライド移動させる形態を採る
にせよ、リールストツパーをブレーキ位置に移動
付勢するばね部材が、一般に捩りばねか圧縮コイ
ルばねであり、ばね部材を掴んで狭いところに装
着する作業が面倒にして困難であり、ばね部材を
自動機械化して組付けることが不可能に近い。テ
ープカートリツジが小型化されるとなお更のこと
である。

そこで本考案は、かかる従来の不具合を解消す
るために提案されたものであり、その目的とする
ところはリールストツパをブレーキ位置に移動付
勢するばね部材の組付作業性を飛躍的に向上さ
せ、該ばね部材の組付の自動機械化が容易に図れ
るものとするにある。

すなわち本考案では、前述のばね部材を自由状
態において細長い平板状の板ばねとし、リールス
トツパーとこれに対向する本体ケース側の壁面と
の間に該板ばねをＵ字状に屈曲変形させて押込み
装着できるようにしたものである。

以下、その詳細を図面に基づき説明する。

第１図ないし第３図はビデオ用のテープカート
リツジを例示しており、これの本体ケース１はプ
ラスチツク製の上下ケース１ａ，１ｂを蓋合わせ
状にねじ等で結合してなり、この本体ケース１の
内部左右にテープ２が巻かれるテープリール３，
３がケース底壁４に透設の各駆動軸挿入孔５，５
上に可回転に装着され、本体ケース１の前方左右
にテープガイド部材６，６を有し、これらガイド
部材６，６を介してテープ２が一方のテープリー
ル３からケース前面に繰出されて他方のテープリ
ール３に巻取られる。本体ケース１の前面に磁気
記録装置側のテープローデイングピンの入るポケ
ツト７が凹設形成され、本体ケース１にはこれの
前面を開閉自在に閉合する前蓋９が枢着され、不
使用時には該前蓋９でガイド部材６，６間にある
テープ２の前面外側をカバーして保護し、テープ
カートリツジを磁気記録装置に装填すると前蓋９
が上向きに開いて前記ポケツト７に下方から挿入
されるテープローデイングピンでテープ２がケー
ス前方に引出される。

各テープリール３は上下にフランジ１０，１１
を有し、下フランジ１１の外周に鋸歯状の係合歯
１２が連続形成されたものとなつており、本体ケ
ース１の内天面に基端部を固定した板ばね製の押
えばね１３の両自由端部で各テープリール３の回
転中心を下方に押圧付勢している。

第４図ないし第６図において、本体ケース１内
の後方の左右中央部位にはリールブレーキ手段１
５が組込まれている。すなわち該当部位において
ケース底壁４の内面上にプラスチツク製のリール
ストツパー１６がケース底壁４から立設の左右ガ
イド１７で案内されて前後方向に進退摺動自在に
装着され、上ケース１ａの内面から垂設した押え
リブ１８で浮き上がりが規制されている。このリ
ールストツパー１６はブロツク状の摺動部１９と
該摺動部１９の前端左右から片持ち連出された係
合爪２０，２０とを有し、摺動部１９の後端面２
１と下ケース１ｂの後側壁２２の内壁面２３との
間に装着される板ばね２５で前方に進出付勢さ
れ、ケース底壁４の内面に立設せるテープリール
３，３の遊動規制壁２６，２６で前方への移動限
界が接当規制されている。

板ばね２５は燐青銅板やステンレスなどの薄金
属板からの打抜き成形品で、細長い平板状をなし
ており、長手方向のほぼ中央部位にＶ字形の折り
ぐせ部２５ａを有する。具体的には第７図に示す
ように、短冊状の単位のばね部材２５が耳２５ｂ
を介して連続状に繋がる素材（フープ）Ｍから切
断線Ｌに沿つて個々に切断分離されるものであ
り、ロール巻きされた該素材Ｍを自動組付ライン
に装置しておき、前記耳２５ｂに明けた丸孔２５
ｃを利用して間欠的に繰出し、その場で一個づつ
切断線Ｌに沿つて切断したのち組付けられる。す
なわち、下ケース１ｂの底壁内面上にリールスト
ツパー１６を上方から装着したのち、素材Ｍから
切断分離した板ばね２５をリールストツパー１６
の摺動部１９の後端側上面とケース後側壁２２の
上面との間にほぼ水平姿勢で跨ぐ状態で載せ置
き、次に上方から図外の工具で板ばね２５の中央
折りぐせ部２５ａを下方に押し、板ばね２５これ
全体を縦断面Ｕ字状に屈曲変形させた状態で押込
み装着する。完全に押込み装着した状態下におい
て、板ばね２５の一端がリールストツパー１６の
摺動部１９の後端面２１に弾性接当し、板ばね２
５の他端側がケース後側壁２２の内壁面２３に弾
性接当する。

リールストツパー１６は摺動部１９の中央に上
下方向に貫通する円形貫通孔２９を有し、これに
対応してケース底壁４に前後に長い操作孔３０が
透設されており、貫通孔２９はリールストツパー
１６の前後摺動範囲内において操作孔３０に常に
臨んでいる。摺動部１９の先端から貫通孔２９に
わたつて切り溝３１が形成されており、係合爪２
０，２０は該切り溝３１で二分された摺動部１９
の前端左右から連出されている。この各係合爪２
０は連出基端部が薄肉状に形成されていて、これ
自体の弾性力で先端２０ａが左右の各テープリー
ル３側に回動するようくせ付けされているが、前
記切り溝３１は各係合爪２０の弾性を更に向上さ
せるために機能する。そしてケース底壁４の内面
からは切り溝３１に割り込む防塵リブ３２を立設
し、該リブ３２で操作孔３０、切り溝３１を介し
て外部からの塵埃が本体ケース内に侵入するのを
防止している。

次に、本案リールブレーキ手段１５の作動を説
明すると、テープカートリツジの不使用時にはリ
ールストツパー１６が板ばね２５で前方に進出付
勢されており、左右の各係合爪２０，２０の先端
２０ａ，２０ａがこれ自体の弾性で左右の各テー
プリール３，３側にそれぞれ回動付勢され、各係
合爪２０の先端が下フランジ外周の係合歯１２に
常に係合し、各テープリール３がテープ繰出し方
向Ｘに回転するのを阻止している。また板ばね２
５によるリールストツパー１６の前方への進出付
勢力で各係合爪２０が各テープリール３を常にテ
ープ巻取り方向Ｙに回転させるよう作用し、これ
でテープ弛みを防止している。

テープカートリツジを磁気記録装置に装填する
と、磁気記録装置側のブレーキ解除部材でリール
ストツパー１６これ全体が板ばね２５に抗してブ
レーキ解除位置に後退摺動し、各係合爪２０が各
テープリール３のフランジ外周から外れて各テー
プリール３が自由回転状態になる。すなわち、第
６図に示す如く磁気記録装置側に、先端に傾斜面
３４を有するブレーキ解除部材３５を固定してお
き、テープカートリツジを磁気記録装置の装着台
に挿入して装着台を押し下げると、前記解除部材
３５が操作孔３０を介して相対的にリールストツ
パー１６の貫通孔２９に係入し、先端傾斜面３４
が貫通孔２９の下端孔周縁に接当作用してリール
ストツパー１６を後退摺動させる。もつとも、同
じ第６図に示す如く磁気記録装置側に丸ピン状の
ブレーキ解除部材３５を前後移動自在に設け、磁
気記録装置にテープカートリツジを完全に装填し
た状態において該解除部材３５が操作孔３０を介
してリールストツパー１６の貫通孔２９に係入
し、テープローデイングピンでテープ引出し作業
をするに連動して、該解除部材３５を後方に動か
してリールストツパー１６を後退摺動させるよう
にしてもよい。これによるときはテープ引出し作
業の直前までリールブレーキが利いているのでテ
ープ弛みを防止するに有効である。

図示例の全容は以上のようになつているが、本
考案はこれに限られるものではなく、摺動部１９
と係合爪２０を有するリールストツパー１６を一
組用意して、これらストツパー１６，１６を左右
に配置し、それぞれ各ストツパー１６，１６を
別々の板ばね２５で前方に進出付勢する形態と
し、不使用時に各ストツパー１６が左右の各テー
プリール３に独立してブレーキをかけるようにし
てもよい。

その他、本案リールブレーキ手段１５は例えば
本体ケース１内の後方の左右隅部に左右の各テー
プリール３，３に作用するよう離して配置した形
態にしてもよいし、リールストツパー１６の係合
爪２０がテープリール２のフランジ外周に単に摩
擦係合する形態であつてもよい。

以上説明したように本考案によれば、リールス
トツパ１６をブレーキ位置に弾圧付勢するばね部
材が自由状態において細長い平板状の板ばね２５
からなるものとし、リールストツパ１６と本体ケ
ース１側の壁面２３との間に該板ばね２５を跨ぐ
状態で載せ置き、次に該板ばね２５の長手方向の
中央部分をそのまま下方に押込むと、両者１６，
２３間に該板ばね２５がＵ字状に屈曲変形した状
態で装着されるものとした。従つて、板ばね２５
これ自体が従来の圧縮コイルばね等と異なり治具
や指先でつかみやすいうえに、板ばね２５を差し
込み装着するに先立つて予め弾性変形させておく
手間を要しない。その結果、板ばね２５は組付け
時に飛び外れたりすることもなく、単に上方から
押込むだけで所定の姿勢に装着できるから、該板
ばね２５の組付作業性が飛躍的に向上し、これの
組付の自動機械化も容易に達成できる。

しかも、板ばね２５は自由状態において細長い
平板状を呈するものであるから、同じ板ばねでも
ばね片が切り起こし形成されたものなどと異な
り、歩留りがよくて量産性に適つており、製作コ
ストの低減化にも有利である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案が対象とするテープカートリツ
ジの斜視図、第２図は縦断側面図、第３図は一部
切欠き平面図である。第４図ないし第６図は本考
案に係るリールブレーキ手段を例示しており、第
４図は斜視図、第５図は平面図、第６図は第５図
における−線断面図である。第７図は本考案
の構成部材のひとつである板ばねを示す斜視図で
ある。 １……本体ケース、２……テープ、３……テー
プリール、４……本体ケースの底壁、１０，１１
……テープリールのフランジ、１２……係合歯、
１５……リールブレーキ手段、１６……リールス
トツパー、１７……ガイド、１９……摺動部、２
０……係合爪、２１……摺動部の後端面、２２…
…本体ケースの後側壁、２３……本体ケースの後
側壁の内壁面、２５……板ばね、２５ａ……板ば
ねの折りぐせ部、２９……貫通孔、３０……操作
孔、３５……ブレーキ解除部材。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) テープ２が巻かれるフランジ１１付きテープ
   リール３を内蔵する本体ケース１の内部に、係
   合爪２０を有するリールストツパー１６を進退
   摺動自在に装置するとともに、 リールストツパー１６と本体ケース１側の壁
   面２３との間に、自由状態において細長い平板
   状の板ばね２５をＵ字状に屈曲変形させて組込
   み、 該板ばね２５による弾性復元力でリールスト
   ツパー１６をこれの係合爪２０がテープリール
   ３のフランジ外周に接当係合するブレーキ位置
   に進出付勢し、 本体ケース１の底壁４に磁気記録装置側のブ
   レーキ解除部材３５の挿入を許す操作孔３０を
   透設してあり、 該操作孔３０を介してブレーキ解除部材３５
   でリールストツパー１６をこれの係合爪２０が
   テープリール３のフランジ外周から外れるブレ
   ーキ解除位置に前記板ばね２５に抗して後退摺
   動させるようにしたテープカートリツジ。 (2) 板ばね２５が、その長手方向の中央部位に折
   りぐせ部２５ａを有するものである実用新案登
   録請求の範囲第(1)項記載のテープカートリツ
   ジ。 (3) 板ばね２５が、薄金属板からの打抜き成形品
   である実用新案登録請求の範囲第(2)項記載のテ
   ープカートリツジ。