JPS6325849B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明はプレス型に関し、特にフランジング
等の曲げ加工を行なうプレス型に関するものであ
る。

周知のようにプレス加工は、作業の容易性や高
能率性等の理由で各種の形状の製品を製造する際
に多用されており、例えば製品面に対し上下両方
向にフランジを曲げ加工した製品を得る場合にも
採用される場合がある。ところで従来一般には、
フランジ曲げ加工は、下曲げ加工の場合、専用の
プレス型を用い、プレス機のラムに取付けた上型
を下降させることによつて被加工物の縁部を下方
に折り曲げて行なつており、また上曲げの場合
は、ダイクツシヨンを有するなど更に他の専用の
プレス型を用いて被加工物を挟んだ上下型を共に
下降させ、別に固定された曲げ刃で被加工物の縁
部を上方に折り曲げている。また従来、実開昭56
―122514号公報には、可動上型に下方に向けた先
行ピンを固定し、下型固定台に前記先行ピンの先
端が当るようシーソレバーを枢支し、このシーソ
レバーの他端側に曲げ刃を配置し、またはシーソ
レバーの他端部を曲げ刃と一体化したプレス型が
記載されている。このプレス型では、可動上型の
下降により先行ピンが下降してシーソレバーの一
端部を押し下げることにより他端で曲げ刃が突き
上げられて、上下型に挟まれた被加工物の端部が
上方に折り曲げられる。

上述した従来のプレス型はその構造上、上方も
しくは下方のいずれか一方への曲げ下降が可能で
あるという単一の機能を有すのみで、上曲げ用も
しくは下曲げ用の専用プレス型として使用され
る。したがつて従来は被加工物に施すべきフラン
ジ曲げ加工の形状に合わせた２台のプレス型を用
意しておき、一方のプレス型で先ず曲げ加工した
のち、プレス型を入れ替えて逆方向への曲げ加工
を行なつていた。そのため従来では、上下両方向
に向けてフランジ曲げ加工した製品を得る場合、
プレス型を少なくとも２台必要とするために、型
製作費が嵩み、またプレス型の入れ替えに時間を
要するから、時間のロスが多く、生産性が劣る問
題があつた。また同一ライン上で被加工物に上曲
げおよび下曲げを選択的に行なう場合にも、それ
ぞれ専用の型が必要となり、上述した場合と同様
な問題が生じる。

この発明は上記の事情に鑑みてなされたもの
で、上下両方向への曲げ加工を行なうことのでき
るプレス型を提供することを目的とするものであ
り、その特徴とするところは、下曲げ刃を上型に
対して上下位置変更可能に取付け、また上曲げ刃
を下型に上下動自在に取付け、かつ上型に取付け
た押圧部材により、下型に取付けた駆動力変換機
構を動作させて上曲げ刃を押し上げ可能に構成し
た点にある。

以下この発明の実施例を添付の図面を参照して
説明する。

第１図および第２図はこの発明の一実施例を示
す略解断面図であつて、下型１上にポンチ２が固
定されるとともに、上型３にポンチ２と対応する
パツト４が上下動するよう取付けられ、上型３を
下降させることによりそのポンチ２とパツト４と
によつて被加工物Ｗを挟持・固定するよう構成さ
れており、またこれらのポンチ２およびパツト４
に隣接して上曲げ刃５と下曲げ刃６とが上下に対
向して配置されている。これらの曲げ刃５，６は
前記ポンチ２およびパツト４によつて挟持・固定
されかつこれらから突出した被加工物Ｗの縁部を
折り曲げるものであつて、これらのうち上曲げ刃
５は、摺動板７を介して下型１に上下動自在に装
着されている。また下曲げ刃６は、摺動板８と上
型３に取付けたガイドピン９とによつて上型３に
上下動自在に装着されており、その下曲げ刃６の
上端面と上型３との間には、調整部材としての調
整板１０が前後動自在に配置されている。この調
整板１０は、下曲げ刃６の上端面と上型３との間
に挿入されることによつて、その厚さに応じて下
曲げ刃６を上型３に対して押し下げるものであつ
て、調整板１０を第１図に示すように前進させた
状態では、下曲げ刃６は上型３と前記ガイドピン
９との間に固定され、また下曲げ刃６の下端部が
パツト４の下端面より下方に位置するよう構成さ
れている。また逆に、前記調整板１０を後退させ
て下曲げ刃６と上型３との間から抜き取つた場合
には、下曲げ刃６は自重によつて上型３に対して
下降しているものの、上型３を下降させるに伴つ
て上曲げ刃５によつて第２図に示すように押し上
げられるようになつている。図中符号１１は下曲
げ刃６を押し上げるべく上曲げ刃５の上端部に突
出した押し上げピンである。

前記上型３の一側部に、押圧部材としてのプツ
シユロツド１２が下向きに取付けられ、また下型
１上には駆動力変換機構としてのテコ１３が設け
られている。そのプツシユロツド１２は、上型３
に下向きに突設したガイドスリーブ１４内に上下
動自在に収容されており、そのガイドスリーブ１
４には軸線方向に沿うスリツト１４ａが形成され
るとともに、プツシユロツド１２にはそのスリツ
ト１４ａに係合した突起１２ａが形成されてお
り、したがつてプツシユロツド１２はスリツト１
４ａの長さ分だけ上下動し得るようになつてい
る。またプツシユロツド１２の上端面と上型３と
の間に、前記調整板１０と一体に形成された調整
ブロツク１５が前後動自在に配置されており、そ
の調整ブロツク１５をプツシユロツド１２と上型
３との間に介在させることにより、プツシユロツ
ド１２を下限位置に保持し、また調整ブロツク１
５をプツシユロツド１２と上型３との間から抜き
取ることにより、プツシユロツド１２に対しこれ
を押し上げる力が加わつた際に、プツシユロツド
１２が上限位置まで自由に上昇するようになつて
いる。

他方、テコ１３は下型１上に設けたブラケツト
１６にピン１７を介して回動自在に取り付けられ
ており、その後端部は前記プツシユロツド１２の
下方に位置し、また先端部は前記上曲げ刃５の下
側に挿入されている。このテコ１３の回動中心近
傍の下面は、凸円弧面１３ａとされ、かつ下型１
上にその凸円弧面１３ａが摺接する支持板１８が
配置されており、テコ１３に加えた押し上げ力を
凸円弧面１３ａを介してその支持板１８で受ける
ようになつている。

つぎに上記のプレス型の作用について説明す
る。まずフランジ下曲げ加工を行なう場合につい
て説明すると、前記調整板１０を前進させて下曲
げ刃６と上型３との間に挿入することにより、下
曲げ刃６を上型３と前記ガイドピン９とで下限位
置に保持する。この状態では、前記パツト４が上
限まで押し上げられた場合、下曲げ刃６の下端部
がパツト４の下端面より下方に位置することは、
前述した通りである。他方、前記調整ブロツク１
５は、調整板１０と一体に形成されているから、
調整板１０と共に前進してプツシユロツド１２の
上端面と上型３との間から抜き取られ、その結果
プツシユロツド１２が上型３に当接するまで自由
に上昇し得るよう設定される。

以上のように設定した後、被加工物Ｗをポンチ
２上の規定位置に載置し、しかる後上型３を下降
させると、まずパツト４が被加工物Ｗに当接し、
被加工物Ｗをポンチ２とで挟持・固定する。この
状態では、被加工物Ｗの縁部が前記各曲げ刃５，
６側に若干突出している。上型３が更に下降する
と、下曲げ刃６が前記調整板１０によつて下限位
置に押し下げられて、その下端部が上限位置にあ
るパツト４の下面より下方に位置するようになつ
ているから、ついには第１図に示すように下曲げ
刃６が被加工物Ｗの縁部を下方に折り曲げてフラ
ンジ下曲げ加工が行なわれる。なお、上記の動作
の間にプツシユロツド１２の下端部がテコ１３の
後端部に当接するが、プツシユロツド１２は前述
したように自由に上昇するよう設定されているか
ら、プツシユロツド１２はテコ１３から受ける力
により上型３に対して相対的に上昇し、換言すれ
ば上型３を下降させる力が、テコ１３に対しこれ
を回動させるように作用することがなく、したが
つて上曲げ刃５は下限位置に止まつたままとな
り、下曲げ刃６と干渉することはない。

つぎにフランジ上曲げ加工を行なう場合につい
て説明すると、第２図はフランジ上曲げ加工を行
なつた状態を示している。すなわち、調整板１０
を後退させて下曲げ刃６と上型３との間から抜き
取るとともに、調整ブロツク１５をプツシユロツ
ド１２の上端面と上型３との間に介在させる。こ
の状態で上型３を下降させると、パツト４が被加
工物Ｗをポンチ２に対して押え付けて固定した
後、あるいはこれと並行してプツシユロツド１２
がテコ１３の後端部を押し下げてテコ１３を回動
させ、その結果上曲げ刃５がテコ１３によつて押
し上げられ、最終的には第２図に示すように被加
工物Ｗの縁部が上曲げ刃５によつて上方に折り曲
げられてフランジ上曲げ加工が行なわれる、この
場合、下曲げ刃６が自重によつて下降している
が、調整板１０が前述したように抜き取られてい
るので、下曲げ刃６は上曲げ刃５が上昇すること
により、前記押し曲げピン１１によつて押し上げ
られ、したがつて下曲げ刃６が被加工物Ｗもしく
は上曲げ刃５に干渉することはない。またテコ１
３はその凸円弧面１３ａが支持板１８に摺接した
状態で回動し、テコ１３に下向きに加わる力を支
持板１８によつて受けるよう構成されているか
ら、ピン１７には図における左右方向への小荷重
のみが掛り、したがつてピン１７は特に高強度と
しなくても、折損することはない。

なお、フランジ曲げ加工を行なつた際に、曲げ
刃５，６にスラスト荷重（図における左右方向へ
の荷重）が作用するが、各曲げ刃５，６を図に示
すように、ポンチ２もしくは上型３に突設した案
内部２ａ，３ａの間に挿入・配置した構成とする
ことにより、スラスト荷重を下型１、上型３で受
けることができるので、各曲げ刃５，６にズレが
生じることはない。

第３図および第４図はこの発明の実施例を示す
ものである。すなわち、前述した実施例では、被
加工物Ｗの位置を一定とし、上曲げ刃５と下曲げ
刃６とのいずれかを動作させることにより、フラ
ンジ上曲げ加工とフランジ下曲げ加工とを同一箇
所で択一的に行なうよう構成したが、第３図およ
び第４図に示す実施例はフランジ上曲げ加工とフ
ランジ下曲げ加工とを異なる箇所でかつ択一的に
行なうよう構成したものである。なお、以下に述
べる実施例において、前述した実施例における部
材と同一機能をなす部材には、第１図および第２
図に付した符号と同一の符号を第３図および第４
図に付してその説明を省略する。

第３図および第４図において、下型１上にはサ
ブポンチ１９が、下曲げ刃６に対向して上下動自
在に設けられており、またこれらのサブポンチ１
９および下曲げ刃６に隣接して上曲げ刃５が上下
動自在に配置されている。サブポンチ１９は摺動
板２０を介してポンチ２に上下動自在に支持さ
れ、その下端面と下型１との間に上下位置調整板
２１が前後動自在に配置されている。したがつて
サブポンチ１９は、上下位置調整板２１を後退さ
せてその厚さの厚い部分をサブポンチ１９の下側
に引き入れることにより、その調整板２１によつ
て押し上げられ、その結果サブポンチ１９の上端
面が前記ポンチ２の上端面と同一高さとなり、ま
た調整板２１を前進させることにより、自重でも
しくは下曲げ刃６に押されて下降するよう構成さ
れている。

なおここで、調整板２１を前後動させるための
機構について説明すると、下型１の上面一側部に
レバー２２が回動自在に取付けられ、このレバー
２２と前記調整板２１とがリンク２２ａ，２２ｂ
を介して連結されており、したがつてレバー２２
を第３図および第４図における反時計方向に回動
させることにより、調整板２１が後退し、またレ
バー２２を時計方向に回動させることにより、調
整板２１が前進するよう構成されている。

他方、下曲げ刃６は、その上端面と上型３との
間に調整板１０を介在させることにより、その下
端面がパツト４の下端面より下方に位置すると同
時に、調整板１０を抜き取つて上端面を上型３に
当接させた場合には、下曲げ刃６の下端面がパツ
ト４の下端面と同一位置になり、したがつて下曲
げ刃６は、前記サブポンチ１９を調整板２１によ
つて上昇させておくことにより、サブポンチ１９
との間に被加工物Ｗを挟持・固定し、パツトの作
用をもなすよう構成されている。

さらに押圧部材としてのプツシユロツド１２
は、上型３に直接固定されており、したがつて上
型３を下降させた場合には常に、プツシユロツド
１２の下端部がテコ１３の後端部に当接してこれ
を回動させ、もつて上曲げ刃５を押し上げるよう
になつている。

つぎに第３図および第４図に示すプレス型の作
用について説明すると、まずフランジ下曲げ加工
を行なう場合には、調整板１０を下曲げ刃６と上
型３との間に介在させて下曲げ刃６をガイドピン
９と上型３とによつて下限位置に保持・固定し、
また前記上下位置調整板２１をレバー２２によつ
て前進させることにより、サブポンチ１９を下限
位置に下降させておく。この状態で被加工物Ｗを
ポンチ２上の規定の位置に載置した後、上型３を
下降させれば、パツト４が先ず被加工物Ｗに当接
してこれをポンチ２との間に挟持・固定する。上
型３が更に下降すると、パツト４の上端部が上型
３に実質的に当接し、この状態では下曲げ刃６の
下端面がパツト４の下端面より下方に位置してい
るから、結局下曲げ刃６によつて被加工物Ｗの縁
部が第３図に示すように下方に折り曲げられ、フ
ランジ下曲げ加工が行なわれる。

また、フランジ上曲げ加工を行なう場合は、調
整板１０を下曲げ刃６と上型３との間から引き抜
いて下曲げ刃６を上昇し得る状態に設定する一
方、上下位置調整板２１をレバー２２によつて後
退させてその厚さの部分をサブポンチ１９の下側
に入り込ませ、もつてサブポンチ１９を上昇させ
ておく。この状態ではサブポンチ１９の高さが、
ポンチ２の高さと同一になつており、したがつて
ポンチ２とサブポンチ１９の両方に亘つて被加工
物Ｗを載置した後、上型３を下降させると、下曲
げ刃６はその上限位置において下端面がパツト４
の下端面と同一高さとなるよう構成されているか
ら、被加工物Ｗはパツト４および下曲げ刃６によ
つてポンチ２およびサブポンチ１９に対して押
圧・固定される。以上の動作と並行して、プツシ
ユロツド１２がテコ１３の後端部を押し下げるこ
とにより、テコ１３が第３図および第４図におけ
る反時計方向に回動し、その結果上曲げ刃５がテ
コ１３によつて押し上げられることにより、被加
工物Ｗの縁部が上方に折り曲げられ、かくしてフ
ランジ上曲げ加工が行なわれる。

なお、上記の各実施例では、駆動力変換機構と
してテコ１３を用いた構成としたが、上曲げ刃５
のストロークが比較的短かく、かつスペースに余
裕がある場合には、駆動力変換機構としてカム機
構を採用し、上型３が下降するに伴つてカムがプ
ツシユロツド１２に押されて前進し、その結果上
曲げ刃５が上昇するよう構成してもよい。また、
上記の各実施例では、フランジ上曲げ加工とフラ
ンジ下曲げ加工とを択一的に行なうよう構成した
が、この発明においては、第１図および第２図に
示す機構あるいは第３図および第４図に示す機構
のいずれかもしくは両方を、同一のプレス型内に
２セツト組み込み、一方をフランジ下曲げ加工用
に設定するとともに、他方をフランジ上曲げ加工
用に設定することにより、被加工物Ｗの異なる位
置に、下曲げ加工と上曲げ加工とを同時に施すよ
う構成してもよい。

以上の説明から明らかなようにこの発明のプレ
ス型によれば、下曲げ刃を上型に対して上下位置
変更可能に取付け、また上曲げ刃を下型に上下同
自在に取付け、かつ上型に取付けた押圧部材によ
り、下型に取付けた駆動力変換機構を動作させて
上曲げ刃を押し上げるよう構成したから、下曲げ
刃もしくは上曲げ刃の一方を機能させることによ
り、下曲げ加工と上曲げ加工とを択一的に行なう
ことができ、また両方の曲げ刃を機能させること
により、下曲げ加工と上曲げ加工との両方を同時
に行なうことができ、したがつてこの発明のプレ
ス型によれば、曲げ方向および形状を任意に選択
することができるから、被加工物に施すべき曲げ
加工の方向、形状に合わせて他のプレス型を用意
する必要がなくなり、その結果型製作費すなわち
設備費を削減することができる。加えてこの発明
によれば、曲げ方向、形状を変えるべく型の入れ
替えを行なう必要がなくなるから、時間のロスが
大幅に少なくなり、換言すればプレス製品の生産
能率を著しく向上させることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図はこの発明の一実施例を示
す略解断面図であつて、第１図はフランジ下曲げ
加工を行なうべく上型を下降させた状態を示し、
第２図はフランジ上曲げ加工を行なうべく上型を
下降させた状態を示す。また第３図および第４図
はこの発明の他の実施例を示す略解断面図であつ
て、第３図はフランジ下曲げ加工を行なうべく上
型を下降させた状態を示し、第４図はフランジ上
曲げ加工を行なうべく上型を下降させた状態を示
す。 １…下型、２…ポンチ、３…上型、４…パツ
ト、５…上曲げ刃、６…下曲げ刃、１０…調整
板、１２…プツシユロツド、１３…テコ、Ｗ…被
加工物。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 上型に取付けられたパツトと下型に取付けら
   れたポンチとにより被加工物を挾持・固定し、こ
   れらのパツトとポンチとから突出した被加工物の
   縁部を曲げ刃により曲げ加工するようにしたプレ
   ス型において、下端部が前記パツトの下面に対し
   て上下に移動可能なように前記上型に取付けられ
   た下曲げ刃と、この下曲げ刃の上端面と上型との
   間に挿入抜去自在に配置された調整部材と、上端
   部が前記ポンチの上面に対して上下に移動可能な
   ように前記下型に取付けられた上曲げ刃と、前記
   上型に下向きに取付けられた押圧部材と、前記下
   型に取付けられかつ前記押圧部材に押されて前記
   上曲げ刃を押し上げるよう動作可能な駆動力変換
   機構とを具備していることを特徴とする上曲げお
   よび下曲げ可能なプレス型。