JPS6323635B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は水、ミルク、酒等の液体を加熱するた
めの電気器具に用いる発熱体に関するものであ
る。

従来例の構成とその問題点 一般に従来における電熱器具用発熱体は、スペ
ース式ヒータ、シーズヒータ等種々に具体化され
て市場に提供されている。

従来におけるスペース式マイカヒータは、絶縁
板に電熱線を巻装して発熱板を形成し、この発熱
板の両側にマイカ板等の絶縁板を重ね、これにさ
らに両側より金属板を重ね、この金属板の周縁部
をかしめ結合して形状的には円盤状もしくは矩形
状の発熱体としていた。この種のスペース式マイ
カヒータの場合、発熱板と金属板との間に空間層
を発生するおそれがあり、空間層の発生による電
熱線自体の線温度の上昇およびそれによる発熱体
の耐久力の減少を防止するための設計的配慮が必
要であつた。

また発熱体全体の表面積は線温度との関連上コ
ストの許容値内で極力大きくする等の手段が採ら
れていた。

発明の目的 本発明の目的とするところは熱拡散部材を用い
ると共に各構成部品の形状を改良し、構造上、空
間層を形成する余地のない構成にすることによ
り、放熱効果が良く、発熱体自体の温度上昇を防
止できると共に発熱体の長寿命化を図ろうとする
ものである。

発明の構成 本発明による発熱体は、熱伝導性良好な材質か
ら成り、かつ周縁部を有する熱伝部材と熱伝導性
が良く平面部に複数個の切起し付勢部を有する背
面部材との間に、平面部に局部的分割をする複数
個の切欠き部を有し、かつ周壁を有する熱拡散部
材と発熱要素とを配し、前記切起し付勢部は熱拡
散部材の切欠き部形成部と対応し、前記発熱要素
を切起し付勢部の付勢力を介して伝熱部材に圧接
挟持する位置に設け、前記各部材の周縁部を相互
に密着して密着部としたもので、熱拡散部材の切
欠き部により熱拡散部材の寸法精度のバラツキや
変形反り等を吸収でき、かつ背面部材の切起し部
の付勢力によつて各部材間での空間層の発生の余
地の無いものとしている。

実施例の説明 以下、本発明の一実施例を添付図面に従つて説
明する。

図において、１は開口部周縁につば部２を有す
る円形皿状の伝熱部材で、ステンレス製薄板によ
つて形成されている。３は伝熱部材１と嵌合した
円形皿状の背面部材、４は背面部材３の開口部周
縁に一体形成したつば部で、伝熱部材１のつば部
２と密着している。５は透孔で、背面部材３の中
央部に一体成形した円形突出部６の中央に形成さ
れている。７は背面部材３の平面部に放射状に複
数個形成した切起し部、８はリング状の絶縁基
板、９は絶縁基板８に電熱線１０を巻装して形成
した発熱板、１１は発熱用９を２枚のリング状絶
縁板１２，１３により挟持して形成した発熱板体
である。この発熱板体１１は伝熱部材１の円形面
と背面部材３の突出部６とを接合した外周部に嵌
合して配設されている。１４はアルミニウムから
成るリング状熱拡散板で、外周に周壁が一体的に
形成されている。この熱拡散板１４は発熱板体１
１と背面部材３との間に位置し、背面部材３の切
起し部７の付勢力により、常時発熱板体１１に押
圧され、周壁部は伝熱部材１および背面部材３の
それぞれの側面と接触している。１５は熱拡散板
１４の平面部に中央透孔部より放射状に適当な長
さに設けられた切欠きスリツトで、熱拡散板１４
の平面部を局部的に分割している。この切欠きス
リツト１５は熱拡散板１４を押圧する前記切起し
部７と対応している。１６は発熱板１１より引き
だしたリード線で、絶縁碍管１７に挿入されてい
る。

いまリード線１６より電熱線１０に電流を通
じ、電熱線１０が一定の温度に達すると発熱板体
１１が熱せられる。この際に発生する熱は、伝熱
部材１または熱拡散板１４に速やかに伝導されて
伝熱部材１の周縁のつば部２より放熱される。

したがつて伝熱部材１を放熱面とした場合、発
熱板体１１の上面からの熱は、伝熱部材１より放
熱され、また発熱板体１１の下面からの熱は熱拡
散板１４を経て伝熱部材１の周縁部へ速やかに伝
導されるため、電熱線１０自体の線温度を著しく
低下させて電熱線１０の耐久寿命を伸張させるこ
とにつながる。

また発熱板体１１の温度上昇が原因となつて生
じる絶縁基板８、絶縁板１２，１３などの熱変
形、反りは、発熱板体１１が背面部材３の突出部
６に嵌挿入され、かつ両面が伝熱部材１、熱拡散
板１４および背面部材３により挟持されているの
で防止することができる。

さらに、熱拡散板１４の加工時における平面精
度のバラツキや、通電状態における熱膨張による
変形、反りも切欠きスリツト部１５によつて吸収
軽減されると同時に、背面部材３の切起し部７が
切欠きスリツト１５形成部と対応位置に配設され
ているので、その付勢力により熱拡散板１４全体
を常にほぼ均一に発熱板体１１側に押圧でき、空
間層発生を防止し、これらに起因する電熱線１０
の温度上昇を防止し、耐久性を保証することがで
きる。

なお上記実施例では円形発熱体を示したが矩形
等でもよく円形に限られるものではない。また伝
熱部材はステンレスに限らず、アルミニウム等、
熱伝導性の良好な金属で良く、また熱拡散板もア
ルミニウム、銅、しんちゆう等、熱伝導性の良い
金属であれば良い。特に、伝熱部材１および背面
部材３としては、18―８ステンレス板、13―18％
クローム、0.5〜２％モリブデン含有のフエライ
ト系ステンレス板を使用すると接合が極めて容易
となる。

発明の効果 本発明は上記のように発熱要素を熱伝導性の優
れた伝熱部材と、切欠き部を設けて局部的分割を
した熱伝導性の良好な熱拡散部材と、付勢力を有
する切起し部を設けた背面部材とを密着挟持し、
かつ前記切欠き部形成部と対応する位置に切起し
部を配設したので、ほぼ均一な付勢力で拡散板全
体が押圧され、通電時の熱膨張による変形、反り
を防止し、構造上伝熱部材、発熱要素、熱拡散部
材との間に空間層を形成する余地がなく、これら
部材の周縁部を相互に密着させることにより、発
熱部材より発生する熱を伝熱部材より被加熱体に
有効に放熱させることができ、かつ発熱部材の下
面等より発生する熱は、熱拡散板および背面部材
を通じて伝熱部材の周縁部より被加熱体に放熱さ
せることにより発熱体内に熱がこもることを阻止
することができ、部品の温度低下を実現できると
共に発熱線の長寿命化を図ることができる。また
さらに耐久力を従来と同レベルに設定した場合、
電力密度をかなり高くすることも可能であるの
で、発熱体の大きさを小型化することができ、湯
沸し器等の電熱器具類に採用すると総合的コスト
ダウンを図ることができる等の効果を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明による発熱体の一実施例を示し
た正面図、第２図は同断面図、第３図は熱拡散部
材の斜視図、第４図は背面部材の斜視図、第５図
は発熱板体の一部を剥離した平面図である。 １…伝熱部材、３…背面部材、７…切起し部、
１１…発熱板体、１４…熱拡散板。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 熱伝導性良好な材質から成り、かつ周縁部を
   有する伝熱部材と熱伝導性が良く平面部に複数個
   の切起し付勢部を有する背面部材との間に、平面
   部に局部的分割をする複数個の切欠き部を有し、
   かつ周壁を有する熱拡散部材と発熱要素とを配
   し、前記切起し付勢部は熱拡散部材の切欠き部形
   成部と対応し、前記発熱要素を切起し付勢部の付
   勢力を介して伝熱部材に圧接挟持する位置に設
   け、前記各部材の周縁部を相互に密着して密着部
   としたことを特徴とする発熱体。