JPS63227748A - 高強度ばね用鋼線およびその製造方法 - Google Patents

高強度ばね用鋼線およびその製造方法

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JPS63227748A
JPS63227748A JP30174486A JP30174486A JPS63227748A JP S63227748 A JPS63227748 A JP S63227748A JP 30174486 A JP30174486 A JP 30174486A JP 30174486 A JP30174486 A JP 30174486A JP S63227748 A JPS63227748 A JP S63227748A
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はピアノ線B種S畦−B (JIS G3522
)以上のへクリ特性、水素脆性に優れ、ばね寿命が長い
高強度ばね用鋼線およびその製造方法に関するものであ
る。
〔従来の技術〕
冷間伸線によるばね材料としてはピアノ線や硬鋼線が使
用されているが、伸線後の歪取焼鈍後のばね用鋼線で引
張強さは411mφで160〜200kgf/ tm 
”程度であった。しかし、ばねの計量化、信頼性向上の
ため高張力化、非変形介在物低減、ヘタリ特性の改善が
望まれている。
これらを解決する手段に関し種々の成分系の高張力線材
が提案されている。例えば、特公昭43−86211号
公報に示される「高強度・高靭性を有する高炭素線用鋼
」のSi、 Mn、 Ni、 Cr、 W、  Vを添
加した低合金鋼および山腰登らが神戸製鋼技報Vo1.
23.隘3 (1973)に発表した「高炭素鋼線の機
械的性質に及ぼす合金元素添加の影響」など以前より数
多くの合金添加鋼が提案されてきた。
しかし、このように多(の成分系が提案されているにも
かかわらず工業的に大量生産されているものは少ない。
それは合金元素添加により非変形介在物が増加し疲労特
性が改善されないことまたパテンティング処理がうまく
いかず、伸線に適した微細パーライト組織が得にくいこ
となどである。
特に疲労やヘタリが重視されるばね用鋼線のうち、軽量
化が要求されるサイズは2〜8關φと比較的太い。現在
量も高強度で実用化されているピアノ線に勝る高強度で
工業的に安定生産可能な高強度鋼線、また、使用雰囲気
が200〜350℃になる用途も出てきており、低温長
時間加熱しても強度低下の少ない耐熱性のある冷間引抜
鋼線、更に焼入、焼戻しだ高強度鋼線と異なり、高強度
で電気めっき時の水素脆化の影響の少ないばね用鋼線が
望まれている。
〔発明が解決しようとする問題点〕
本発明はこのような従来からの要望を満足させるために
なされたものであり、ピアノ線と低合金鋼オイルテンパ
ー線の中間に位置する加熱へクリ特性を有し、更に電気
めっき時の水素脆性の少ない高強度ばね用鋼線およびそ
の製造方法を提供しようとするにある。
〔問題点を解決するための手段及び作用〕前記の問題点
を解決するための手段の骨子とするところは (11成分系を特定したことである。即ちSt、 Cr
を組合せて耐熱性及びベタリ特性向上を図り、かつO,
S規制を行い、Ca+ Mg+ Ba+ Srの1種類
以上を0.0005〜o、oos%添加することにより
非変形介在物を減少させたこと (2)非変形介在物の大きさを20μ以下とした伸線繊
維組織を有するヘタリ特性に優れた水素脆性の少ない鋼
線である (3)更にこれらの鋼線の成分系、パテンティング条件
、パテンティング後の放置条件、更に伸線加工法を組合
せた製造方法である。
以上の如き本発明による問題点の解決手段の骨子に基づ
き本発明の要旨とするところを下記の通りとするもので
ある。
(1)  C: 0.70〜1.00%  St : 
0.50〜3.0O%Mn : 0.20〜0.70%
  Cr : 0.20〜2.00%P : 0.02
5%以下  S : 0.015%以下o : o、o
oso%以下  N : 0.0050%以下Ca、 
Mg、 Ba、 Srのうちの1種類以上が0.000
5〜0.005%残部鉄および不可避的不純物よりなる
鋼で、かつ非変形介在物の大きさを20μ以下とした伸
線繊維組織を有するヘタリ特性に優れた水素脆性の少な
い高強度ばね用鋼線。
(21C70,70〜1.00%  Si : 0.5
0〜3.00%Mn : 0.20〜0.10%   
Cr : 0.20〜2.00%P : 0.025%
以下  S : 0.015%以下0 : 0.005
0%以下  N : 0.0050%以下Ca+ Mg
+ Ha、 Srのうちの1種類以上が0.0005〜
0.005%残部鉄および不可避的不純物よりなる鋼線
材を900℃以上に加熱後、570℃以上の鉛浴などで
パテンティング処理を行い、ついで鋼中の水素を放出す
るために温度T (t) 、時間tうな条件で放置もし
くは加熱後、55%以上の伸線加工を行い非変形介在物
の大きさを20μ以下とした伸線繊維組織を有すること
を特徴とする高強度ばね用m線の製造方法である。
従来の高炭素低合金鋼はCを高めた上に炭化物形成傾向
の強いCr、 V、 Wを添加したり、パーライト変態
を遅(し、かつミクロ偏析しゃすいMnを複合添加して
いた。そのため伸線加工性を著しく阻害していた。これ
を防止するためMnを低(抑え、合金元素としてはSi
とCrを組合わせた。炭化物を形成しないSiと炭化物
形成元素を組合わせることにより伸線加工性の悪化が防
止できた。SrとCrの組合わせにより耐熱性とへクリ
特性が一段と向上することがわかった。
ばね用途では疲労が重要視される。低合金鋼では非変形
介在物が疲労の起点となり疲労寿命を著しく悪化させる
。非変形介在物を極力少なくするために0規制を行い、
かつCat Mg+ Ba、 Srの微量添加が有効で
あることを見出した。これにより酸化物系介在物が変形
しやすくなり20μ以上のものは出現しなくなるととも
に変形介在物の硫化物サイズが小さくなる。S規制によ
りこの効果は顕著となる。疲労寿命はクラックの伝播に
より決定されるがこの伝播速度を小さくするためにP規
制を行なった。歪取焼鈍時の歪時効起因の靭性劣化防止
のためN規制を行なった。P、Sの規制により一段と効
果がある。
従来種々の低合金鋼が開発されたが工業的に利用されな
かった理由について研究を行なった結果、重要な事実が
判った。
パテンティング条件とパテンティング後から伸線までの
時間である。パテンティングの際の加熱温度については
従来あまり重要視されていなかった。低合金鋼ではでき
る限り低い温度でオーステナイト変態後直ちに鉛浴に焼
入れパーライト変態を行うのがよいとされていた。オー
ステナイト化後結晶粒の成長が起こり、パーライト変態
後の絞りが低下すると考えられていたためである。一般
炭素鋼の場合には問題なかったが、低合金鋼では非常に
問題があることがわかった。オーステナイト化温度が低
いと絞りは高いが、1μ以下はとんどの場合0.1〜0
.2μ程度の未溶解炭化物が残存する。この微小な未溶
解炭化物が残存すると伸線後の歪取焼鈍により靭性が極
端に悪化する。伸線後の繊維組織を詳細に研究すること
によりこの事実を発見した。そのためパテンティング時
の加熱温度を高くする必要性を見出した。更にパーライ
ト組織でも恒温変態温度が低いとパーライトラメラ−組
織が不整列で十分な伸線加工性が確保できない、それ故
、恒温変態温度規制を行なった。
このようにパテンティング時の加熱温度を高くするとパ
テンティング直後の絞りは低いが徐々に回復することを
見出した。これは加熱時の水素吸収によるものである。
炭素鋼ではほとんど無視できるが低合金鋼で顕著である
。低合金鋼ではパテンティング処理後、この放置もしく
は加熱処理を行なわないと絞りが30%以上にならない
。長年の研究により温度T (”C) 、時間t (h
r)としてくは加熱する必要があることがわかった。2
0℃で25hr以上の放置処理である。温度を上げるこ
とによって時間短縮が可能である。
鉛パテンテイング材を伸線加工して所定強度を出すが鉛
浴温度の下限規制を行なっているので引張強さが低く5
5%以上の伸線加工を行なわないとピアノ線8種5WP
−Bと同等以上の引張強さを確保できない。上記の鉛浴
は塩浴等いずれでも良い。
また、この伸線加工により繊維組織が形成され、成分系
の効果と組合わされヘタリ特性が優れかつ水素脆性の少
ない高強度ばね用鋼線となる。
以上が本発明の基本思想である。
次に本発明の化学成分、非変形介在物、パテンティング
条件、パテンティング後の処理条件、伸線条件の限定理
由について説明する。
Cは強度、ミクロ組織の基本的元素である。含有量が0
.70%未満では5WP−Bと同等以上の引張強さのば
ね用鋼線の製造は不可能であるので、C0070%以上
とした。Cが1.00%超となるとSt。
Cr添加鋼であっても網目状セメンタイト起因の伸線加
工時の断線を防止できないのでC1,00%以下とした
次に81であるがフェライトの硬化作用が顕著となるの
はSt O,50%以上である。しかし3.00%超と
なるとどのようなパテンティング条件を採用しても絞り
30%以上出すことは不可能であり、伸線加工がむずか
しい。
Mnは熱間脆性を防止する元素であり、0.20%以上
ないと表面疵の発生を防止できない。また、強度を確保
する元素であり0.20%未満であると高張力化を阻害
する。Mnはパーライト変態を遅くするとともにミクロ
偏析しやすい、それ故、5分以内の鉛浴保持時間でミク
ロ偏析部を含めてパーライト変態が終了可能なMn O
,70%以下とした。
Pは疲労におけるクランク伝播速度を小さくする効果が
顕著となるP 0.025%以下とした。
Sは熱間脆性の防止とCa+ Mg、 Ba、 Srの
添加により硫化物サイズの微細化が期待できるようにS
O,015%以下とした。
0はCa、 Mg+ Ba、 Srの添加により変形介
在物に改質可能なo、ooso%以下とした。これによ
り非変形介在物が20μ以下となる。
Ca、 Mg、 Ha、 Srであるがこれらはいずれ
もO5Sとともに反応する元素であり、効果も同じであ
る。それ故、1種添加も複合添加も同等に扱える。
また微量添加で著効を発揮する。多量添加すると有害な
Cao、 MgO,Bad、 SrOの巨大非変形介在
物を生成する。S、0の同時規制下で有効である。酸化
物系介在物の変形化を促進し、20μ以上の非変形介在
物の生成を抑制し、かつ硫化物サイズを小さくするため
には0.0005%以上必要である。
o、oos%超であると疲労の起点となる20μ以上の
巨大な非変形介在物が出現する。このように微ffi調
整が重要ポイントである。この成分系の鋼線材をパテン
ティングする際、加熱温度を900℃以上としないと未
溶解炭化物の発生は防止できない。
更に鉛浴温度570℃以上でないと伸線加工性の良好な
整った形状の微細パーライト組織とならない、このよう
なパテンティング条件を行なっても直後の絞りは20〜
30%である。パチンティグ後、加熱時に吸収した水素
を放置もしくは加熱処理により放出する必要がある。こ
の放置処理により絞りが30%以上となる。水素の放出
には温度と時間が重要なパラメーターであることがわか
った。研究の結果、温度T (’t’) 、時間t  
(hr)めるのに最も適しているパラメーターであるこ
とがわかった。温度、時間を変えた試験によりこのパラ
メーターが25以上であれば確実に絞りが30%以上に
なった。それ故、パラメーターKを25以上に限定した
。Kが大きくなればなるほど絞りは回復するが500程
度で飽和する傾向が見られる。この放置もしくは加熱処
理は伸線後のばね特性にも影響を及ぼすので極めて重要
である。パテンティング後放置もしくは加熱処理をする
ことが必要であり、伸線後の放置もしくは加熱では絞り
は回復しない。
伸線加工によりパテンティング材は冷間加工され引張強
さが上昇する。高炭素低合金鋼でも55%以上の伸線加
工を行わないとピアノ線B llswp−Bと同等以上
の高強度ばね用鋼線の製造は不可能である。
〔実施例〕
次に本発明にかかる実施例を示す、実施例1は成分の影
響を見たものである。第工表に本発明鋼および比較鋼の
化学成分を示す、第2表にはばね用鋼線の特性一覧表を
示す、いずれも9.0龍φ線材を950℃加熱後、59
0℃鉛浴に焼入れし、20″C″′?:!48hr放置
した。K−48である。その後伸線した。伸線各段の減
面率はいずれも約20%とし、4.Qmmφ(減面率8
0%)まで伸線した。
伸線後歪取のため350℃x30min加熱を行なった
。ねじり試験はスパン長400m(jl=100d)で
行なった。未溶解炭化物の有無はねじり試験後の破面よ
り縦断面サンプルを切出し走査電子顕微鏡で1万倍以上
の倍率でチェックした。疲労試験は中村式回転曲げ疲労
試験機を用いてS−N曲線を書いて疲労限を求めた。ま
た有限疲労寿命域での破面をチェックし非金属介在物の
有無をチェックした。耐熱性の評価のために350℃で
、1000hr加熱後の引張強さ残存率を調査した。引
張である。
第1表において記号A−Cが本発明鋼であり、D−Kが
比較鋼である0本発明鋼はいずれも引張強さが200 
kgf 7m”以上、ねじり回数20回以上、疲労限4
0kgf /鰭”以上である。比較鋼はいずれも引張強
さは200kgf/w”以上であるが、ねじり回数が2
0回以下、疲労限が40kgf/mm”以下である。ま
たv、Wの入ったJ。
Kについては未溶解炭化物が見られねじり回数が極めて
低くなっている。0の高いE、 Ca、 Mg+ Ba
Srがo、ooso%以上のH,0,0005%未満の
Iについては疲労破面に20μ以上の非変形介在物が検
出され、疲労限が低くなっている。J、には5i−Cr
系でないこともあり引張強さ残存率が90%以下である
。また、本発明鋼A、B、Cより製造したばねにクロム
電気めっきを行なったが水素脆性による折損は発生しな
かった。
実施例2は伸線条件の影響を見たものである。
使用した線材の化学成分はC1,85%、Si:0.9
9%、Mn:0.51%、P : 0.010%、S:
0.005%、O: 0.0020%、N : 0.0
030%、Ca:0.0008%、Mg : 0.00
05%である。9.Om*φ、5.8鶴φ線材を利用し
て伸線条件とばね用1線特性を調査した。4. Onφ
に伸線後の調査方法は実施例1と同じである。b、r、
gが本発明鋼である。
これは加熱温度900℃以上、鉛浴温度570℃以上の
パテンティングであり、かつパテンティング後伸線まで
に25以上の放置処理をしている。
4、 Ovxφまでの減面率も80%である。歪取焼鈍
後の引張強さも約200 kgf / ni”であり、
ねじり回数20回以上、疲労限40kgf/**z以上
である。a、c、d、e、hが比較鋼である。aは加熱
温度が850℃と低く未溶解炭化物が出現しねじり回数
が極めて低い。Cは鉛浴温度が565℃と低いため引張
強さは高いが、ねじり回数が低い。
また疲労限も30kgf/冨m”と低下している。d。
eはパテンティング後の放置処理が少ないためねじり回
数が20回以下である。hはパテンティング条件は満足
しているが、伸線加工度不足のため引張強さが180 
kgf /+n”であることと疲労限が35 kirf
 / 龍”と目標に達していない。
実施例3は減面率をかえて引張強さの異なるばね用鋼線
としての性能を試験したものである。使用した線材の化
学成分は、 C: 0.87%、 Si:1.01%、 Mn:0.46%、 P : 0.020%、 S : 0.007%、 0 : 0.0030%、 N : 0.0039%、 Ca : 0.0002%、 Mg : 0,0005% である。線材径は11.On、10.0鶴、9. Ot
m及び8.0鰭の4種類を用いて4. Omnに伸線加
工した。
このときのパテンティング条件、放置時間及びそれぞれ
4種の伸′fa減面率、引張強さ、ねじり回数等を第4
表に示した。これから判るように5WP−84,0鶴の
引張強さが185〜200 kgf / +u”に対し
、この中間レベルから更に高強度が得られていることが
判る。また、ねじり回数は伸線減面率84%まではJI
S規格で定められている20回を満足するも、これ以上
の減面率では急激に減少している。
次に、ばねとしての性能を確認するため昇温状態での耐
ヘタリ性及びばね耐久試験における時間強度と、このと
きの耐ヘタリ性の試験を行った。
ばね加工は汎用の自動成形機を用い第5表に示すばね仕
様で成形し、端面研削及び低温歪取焼鈍を施した。この
とき、高強度であるにも拘らず成形性の不具合、加工時
の折損等のトラブルは全くなく良好なばねの加工ができ
た。ばねの試験のうち、昇温時の耐ヘタリ性の確認のた
め、長時間加熱締付試験を行った。このときの条件とし
て、ばね成形後360℃、20分の低温歪取焼純の後、
端面研削を施した。試験は締付応カフ 0 ktf /
 am” 一定として、熱風循環炉中で150℃、20
0℃及び250℃で64hrの長時間加熱締付けを行い
、そのときの残留せん断歪を測定した。その結果、第1
図に示すように残留線断歪は引張強さレベルにより差は
あるが実用化されている5hp−aよりも著しく優れ高
温になるほど差があり、250℃の場合で約50%と少
く、本鋼種の特長が現われている。
次に、ばねとしての耐久性能の確認のため、ばね疲労試
験機を用いて1800r、 p、m、で試験を行った。
供試ばねは前記と同じばね仕様のばねを用いた。
低温歪取り焼鈍は360℃から420℃までの4条件を
選び、加熱時間はいずれも20m1n、とした。
試験条件は平均応力を60kgf/龍”として、応力振
幅をかえて試験した。それぞれの応力振幅での試験本数
は4本として折損するまでの回数を調べた。なお、10
’回まで折損しないばねはこの回数で中止し、残留せん
断歪を調べた。
また、各ばね共低温歪取焼鈍後ショットピーニングを施
し、更に250℃X l 5m1nの低温歪取焼鈍を行
ったが、いずれの装置も汎用の設備、通常の条件である
。但し、ショツト粒は0.60 鶴カフトワイヤを用い
、アークハイト0.351s八、カバレージ90%以上
でありだ。そこで、本発明鋼の特長をみるための比較鋼
線として、高強度弁ばね用ピアノ線(ばね技術研究金線
、ばね論文集25号、線径4.0璽嘗、引張強さ189
kgf/富12゜360℃X 20n+in、の低温歪
取焼鈍を施す)に対し、4種類の引張強さのものいずれ
も107回における耐久限(以下、単に耐久限とする)
が優れていることが判る(第2図)。また、耐久限で試
験を停止した未折損ばねの残留せん断歪と応力振幅の関
係を引張強さ別にみると第6表の如くなり、比較材の同
応力レベルと比較すると、およそ10分の1とばねのへ
クリ特性に著しく特長が現われている。
第 6 表  ばね疲労試験、10″回後の残留せん断
歪実施例4は細径で高強度を目的としたばね用鋼線で特
に、耐ヘタリ性を重視し、高応力下での時間強度を必要
とするような場合である。成分は実施例3と同じもので
、線径7.0 mmでパテンティングを施し、前記実施
例にあるような放置を行って2. Ommに伸線した。
このときのパテンティング条件、放置時間及び伸線減面
率を第7表に示した。
その結果を第8表に示すように引張強さ271 kgf
/鶴2、ねじり回数21回のものが得られた。このよう
に5WP−B  (205〜225 kgf/m” )
を大幅に上回り、靭性もある高強度鋼線が得られた。
これを第9表に示す圧縮ばねを製作し、ばねの疲労試験
を行った。実施例3と同様に汎用の自動成形機を用いて
ばね加工を行ったが高強度であるにも拘らず折損等のト
ラブルはみられなかった。疲労試験は、端面研削処理後
、400℃で15分の低温歪取焼鈍を行ったのち、ショ
ットピーニングを施し、更に、低温焼鈍を225℃X 
110m1n。
行った。ショットピーニング条件は、0.60鰭カツト
ワイヤーを用い、アークハイト0.35mA、カバレー
ジ95%以上とした。疲労試験は平均応力80kgf/
鶴2、応力振幅45kgf/龍2で実施し、平均寿命で
6X10’、5X10’時での平均残留せん断歪は0.
008%であった。
第   9   表 実施例5は本鋼種が耐熱、耐ヘタリ性を有して、かつめ
っきが可能な冷間引抜鋼線としての例である。一般にば
ね鋼線のうち、ステンレスaUSを除いて炭素sumや
低合金鋼線の場合、その欠点である耐食性の改善のため
にばね加工後めっきの必要性が生ずる。現在この目的の
ためピアノ線や硬鋼線にばばね加工後電気亜鉛めっきが
最も一般的に実施されている。しかし、耐熱性、耐ヘタ
リ性を有して、かつ高強度材としては5i−Cr鋼オイ
ルテンパー線(SWO5C−V )が最も一般的である
が、これを耐食性改善のために、やむを得ずめっきを施
して使用している例がある。周知の如くオイルテンバー
線は熱処理鋼線であるが故に、めっき前処理、電気めっ
き工程を通じて水素脆性が生じ易く一般には避けるべき
であるとJISでも解説されている。
このことは現在、耐熱性、耐ヘタリ性を有している材料
でばね加工後の電気めっきが実用的に可能な材料はない
ことを示している。即ち低合金鋼でかつ高強度であり、
ピアノ線8種と同等又はそれ以上の引張強さをもつ高強
度材が実用化されていないことによる。そこで、本鋼種
を用いて電気めっきを施したばねの疲労試験によりめっ
き脆性の確認を行った。
供試材は、実施例3で示した最も引張強さの高い220
kgf/w”材について試験した。これは高強度材程め
っきの影響が顕著に現われることを予想したものである
。実施例3で示したばね仕様でばね成形加工後、同条件
で低温歪取焼鈍を施したばねを供試材とした。この供試
ばねの亜鉛めっき工程は第3図に示すように、現在実用
化されている厚めつきである10μを目的に亜鉛めっき
を施して後、試験を行った。比較材として、めっき脆性
の確認のため、めっきを施さない低温歪取焼純のままの
ばねを用いた。結果は第4図に示す如く疲労限に差はな
く、現在実用化されているピアノ線や硬鋼線と同じ傾面
であって十分実用に耐え得ることが判る。
実施例5は実施例4で述べたオイルテンパー線との比較
で、如何にめっき脆性がな(高応力に耐えるばねの実用
化が可能であるかを試験したものである。比較m線は、
現在量も大径で高強度が得られ実用化されている5i−
Cr鋼オイルテンパー線とした。現在この5t−Cr鋼
オイルテンパー線でめっきの要望があるも、めっき脆性
から実用化できず塗装に依存しているのが現状である。
供試材は8.0寵と大径を選んだ。化学成分は実施例3
と同じ調香を使用し、第10表に示す製造条件で製品化
した。同じ8.0 mの比較鋼線としてSt−Cr鋼オ
イルテンパー’IA 182 kgf/m” 、 l:
”アノ!sB種相当175kgf/龍2を用いて第5図
に示すばね仕様でばね加工、及びめっきを施した。
なお、めっきの影響をみるため、めっき前後のばねで比
較試験も行った。
試験は、1100rpで平均応力60kgf/1m”、
応力振幅45kgf/wa”でばねの折損までのくりか
えし回数を求めた。その結果、第6図に示すように冷間
引抜鋼線である本鋼種とピアノ線8種(相当)はめっき
の有無にかかわらず差がないが、オイルテンパー線の場
合めっきによる脆性がみられる。
以上述べてきたように、本発明が如何にすぐれた高強度
ばね用鋼線およびその製造方法であるかがわかる。本発
明によれば、成分系ばかりでなくパテンティング条件、
パテンティング後の放置もしくは加熱処理、伸線加工の
組み合わせにより高炭素低合金鋼でも工業的に安定製造
可能である。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明鋼線と比較鋼線の加熱温度と残留せん断
歪の関係を示したものである。A、B。 C,Dが本発明鋼線、E、Fが比較鋼線である。 第2図は本発明鋼線と比較鋼線の応力振幅とくりかえし
数の関係を見たものである。A、B、C。 Dが本発明鋼線、Gが比較鋼線である。 第3図は電気亜鉛めっき工程とその条件を示したもので
ある。 第4図は本発明鋼のめっきの有無を比較したS−N線図
である。 第5図はばねの成形からめっき処理までの工程を示した
ものである。 第6図は本発明鋼と比較材として使用した比較鋼線2種
のめっきの有無による時間強度の比較を示したものであ
る。 醜 慎 応力4辰@ (リシ浜、2)           区
第3図

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. (1)C:0.70〜1.00% Si:0.50〜3
    .00%Mn:0.20〜0.70% Cr:0.20
    〜2.00%P:0.025%以下 S:0.015%
    以下 O:0.0050%以下 N:0.0050%以
    下 Ca、Mg、Ba、Srのうちの1種類以上が0.
    0005〜0.005%、残部鉄および不可避的不純物
    よりなる鋼で、かつ非変形介在物の大きさを20μ以下
    とした伸線繊維組織を有するヘタリ特性に優れた水素脆
    性の少ない高強度ばね用鋼線。
  2. (2)C:0.70〜1.00% Si:0.50〜3
    .00% Mn:0.20〜0.70% Cr:0.2
    0〜2.00% P:0.025%以下 S:0.01
    5%以下 O:0.0050%以下 N:0.0050
    %以下Ca、Mg、Ba、Srのうちの1種類以上が0
    .0005〜0.005%、残部鉄および不可避的不純
    物よりなる鋼線材を900℃以上に加熱後、570℃以
    上の鉛浴などでパテンティング処理を行い、続いて鋼中
    の水素を放出するために温度T(℃)、時間を(hr)
    としてK=t×T/20が25以上となるような条件で
    放置もしくは加熱後、55%以上の伸線加工を行い非変
    形介在物の大きさを20μ以下とした伸線繊維組織を有
    する事を特徴とする高強度ばね用鋼線の製造方法。
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