JPS6321611B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は導電性を有する包装材料に関し、内容
物の確認が可能な透明部を有しかつ機械的強度に
優れた静電気シールド用の包装材料を提供するも
のである。

電気部品の精密化、高度化に伴い、作業中ある
いは輸送中に発生する静電気により、静電破壊あ
るいは帯電によるゴミ、ホコリ等の付着によるト
ラブルが発生し易く、今日、これが問題となつて
いる。特にMOS型ICなどにおいては、わずかの
静電気によりゲート破壊を起こし、不良品となつ
てしまうが、例えば作業者の身体からの静電気が
流れた場合、またIC自身および運搬する際に振
動による摩擦により静電気を起こし、このような
静電気によつてもゲート破壊につながる。従来こ
の様な静電気からICを守る包装材料として合成
樹脂に導電性カーボンブラツク、グラフアイト、
金属粉末など導電性フイラーを混入して導電性プ
ラスチツクとするもの、またイオン伝導型のいわ
ゆる帯電防止剤と呼ばれているものでアニオン活
性剤、カチオン活性剤、両性活性剤、非イオン性
活性剤等を混入あるいは表面に塗布したものまた
合成樹脂フイルムに金属を蒸着スパツタリングし
た導電性を付与した包装材料などがある。

しかし合成樹脂に導電性フイラーを混入したも
のは高い導電性が得られるが透明性を著しく阻害
するといつた欠点を有し、また包装材として強い
機械的強度が得にくいという欠点がある。また帯
電防止剤を混入したものは透明性を有するが高い
導電性を得ることは困難でありまた金属を蒸着ス
パツタリングして導電性を付与するものは高価で
あるといつた欠点を有していた。

本発明は上記従来の欠点を複合組合せにより除
去した優れた静電気防止機能を有し内容物確認が
出来る透明部を有しかつ強い機械的強度及びコレ
キシビリテイ、熱封緘性を有した包装材料であ
る。すなわち透明な合成樹脂フイルムの片面に不
透明な電気良導体であるカーボンブラツク、グラ
フアイト、金属粉末、ヨウ化第１銅粉末等の導電
性フイラーを分散してなる導電性塗料をパターン
状に塗布することにより表面抵抗10⁶Ω以下の高
い導電性と内容物が確認出来る透明部が得られ、
この上層に第４級アンモニウム塩ポリマー、アク
リル系カチオニツクポリマー等表面抵抗10⁸Ω以
下の導電性を有するイオン性高分子を被覆し、導
電性塗料の未塗布部分の帯電防止効果を完全とす
る。一方内層として帯電防止剤を混入したポリエ
チレン、エチレン−酢酸ビニルコ−ポリマー、ポ
リプロピレン等の熱可塑性樹脂フイルムを積層す
ることにより、熱封緘性を有し、しかも透明部を
有した導電性包装材を得たのである。

以下に図面により本発明を説明する。第１図は
本発明の一実施例を示したものであり、ポリエス
テル、ナイロン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネ
ート、延伸ポリプロピレン等の優れた透明性を有
し、高い電気的絶縁性と強い機械的強度を有した
合成樹脂フイルム１の片面にカーボンブラツク、
グラフアイト、金属粉末、ヨウ化第１銅粉末等の
導電性フイラーを、たとえばエポキシ樹脂、アク
リル樹脂、ビニル系樹脂、シリコーン系樹脂、エ
チレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アルキル系
樹脂、フエノール樹脂等の単一あるいは混合組成
物を適当なる有機溶剤に溶解せしめてなるビヒク
ルに分散した導電性塗料２を内部が確認出来る程
度の透明部分を残した任意のパターン状に塗布
し、この上層には未塗布部分の帯電を防止する目
的から、第４級アンモニウム塩のポリマー、アク
リルカチオニツクポリマー等の10⁸Ω以下の表面
抵抗を有するイオン性高分子３を被覆する。合成
樹脂フイルムの他の片面にはアニオン活性剤、カ
チオン活性剤、両性活性剤、非イオン活性剤など
の界面活性剤からなる帯電防止剤を内部に練り込
んだポリエチレン、エチレン−酢酸ビニルコ−ポ
リマー、ポリプロピレン等の熱可塑性フイルム４
を積層したものである。この積層フイルムの熱可
塑性フイルム４をシール部５で熱融着して袋体と
したのが第２図に示す容器である。この様な袋体
は、外層に表面抵抗10⁶Ω以下の高い導電性を有
した導電性塗料２と表面抵抗10⁸Ω以下の導電性
を有するイオン性高分子樹脂４により外層に与え
られた静電気を素早く分散させ、帯電を防止す
る。また有色である導電性塗料２がパターン状に
塗布されている為に、未塗布部が透明部として残
り、内容物を外部から視覚による確認が可能とな
り、かつ文字、模様など任意のパターンが可能で
あり、意匠性の付与も可能である。

中間層となる合成樹脂フイルムにより、十分な
機械的強度が得られ、また高い電気的絶縁性によ
り、内容物を外部から電気的に絶縁し、外部から
の直接的な電荷の流れを完全に防いでいる。また
内層となる帯電防止剤を混入した熱可塑性樹脂フ
イルムは熱封緘性の付与と同時に、内部で摩擦に
より発生する静電気を抑える働きをするものであ
り、各構成材の複合により優れた静電気シールド
性を有し、内容物の確認が出来る透明部を有し、
かつ強い機械的強度及びフレキシビリテイ、熱封
緘性を有した電子機器部品などの包装材料であ
り、この様に本発明による導電性を有する包装材
料は多くの長所を有しておりかつこの様な構成に
よるものは従来なかつたものである。

以下本発明の実施例を示す。

＜実施例＞ エステルレジンを酢酸エチルに溶解させたのち
にアセチレンブラツクを添加しボールミルで24時
間混練した後、硬化剤を添加して下記組成の導電
性塗料を得る。

（導電性塗料） アセチレンブラツク〔電気化学工業(株)〕
20重量部 エステルレジン（バイロン＃200〔東洋紡績
(株)〕） 60 〃 硬化剤コロネートＬ（オリバインBHS−Ｌ
〔東洋インキ製造(株)〕） 2.5 〃 酢酸エチル（溶剤） 200 〃 ポリエステルフイルム12μ厚の片面にこの導電
性塗料をグラビア版塗工法により、線の太さ２mm
で10mm角のゴバン目状パターンに約0.3g／m²（乾
燥後の塗布量）塗布した。なおこのポリエステル
フイルムの塗布前の表面抵抗は10¹⁴Ω以上であ
る。

この導電性塗料塗工面にアクリル系４級アンモ
ニウム塩からなるイオン性高分子樹脂塗料ハマコ
ートES−387〔ハマノ工業(株)〕を約4g／m²（乾燥
後の塗布量）グラビア版塗工法にて被覆した。一
方、ポリエステルフイルムの他の片面には非イオ
ン系界面活性剤を帯電防止剤として内部に練り込
んだ60μ厚の低密度ポリエチレンフイルムをウレ
タン系接着剤で貼り合せた。このポリエチレンを
内面として150℃の熱シールバーにより製袋加工
して導電性を有した袋体を得た。この得られた袋
体の表面抵抗を測定したところ、外層10⁴〜10⁶
Ω、内層10⁹〜10¹¹Ωであり、コロナ帯電法（−
10kV）による帯電防止性能を試験したところ、
比較の為に測定したポリエステルフイルム、ポリ
エチレンフイルムの半減期が500秒以上であるの
に対し、外層、内層いづれも２秒以下の優れた帯
電防止性を示した。

またこの袋でIC部品を包装したところ内容物
が容易に判別出来る透視性を有し、取り扱い中、
輸送中に於ても包装材への外部からの帯電また内
部の摩擦からの帯電によるトラブルもなく、また
ホコリ、ゴミ等の付着もみられなかつた。強度面
においても熱融着部は３Kg／15mm以上のヒートシ
ール強度を有し、重量物の包装支持にも可能な強
い強度が得られ電子部品などの包装材料として適
切なものであることを得た。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の実施例を示し、第１図は包装材
の断面図。第２図は包装材で作つた袋体の一部断
裁した斜視図である。 １…合成樹脂フイルム、２…導電性塗料、３…
イオン性高分子、４…熱可塑性樹脂フイルム、５
…シール部。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 透明な合成樹脂フイルムの片面に、カーボン
   ブラツク、グラフアイト、金属粉末、ヨウ化第一
   銅粉末のいずれかからなる導電性フイラーを分散
   してなる導電性塗料をパターン状に塗布し、その
   上に表面抵抗が10⁸Ω以下の導電性を有するイオ
   ン性高分子を被覆してなる透明部を有した導電性
   包装材。