JPS6321509Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、左右一対のトーシヨンバーによつて
キヤブに前傾力を付勢するようにしたキヤブチル
ト機構に関する。

キヤブオーバ形の貨物自動車のように、キヤブ
がエンジンの直上に搭載された型式の車輌におい
ては、エンジンの点検や整備等のためにキヤブを
車体フレームに対して前傾できるようにしたキヤ
ブチルト機構を組み込んだものが多い。

従来のキヤブチルト機構の一例を表す第１図及
びその車体フレーム側の概略構造を表す第２図に
示すように、キヤブ１１のフロア１に接合された
キヤブヒンジブラケツト２は、車体フレーム３に
固設されたフレームヒンジブラケツト４にチルト
ピン４ａを介して回動自在に枢着され、前記キヤ
ブ１１のフロア１と車体フレーム３とは、チルト
ピン４ａを中心とするキヤブ１１の前傾側回動端
を規制するリンク機構のキヤブステー９の両端部
がピン止めされている。キヤブ１１に前傾力を付
勢する左右一対のトーシヨンバー７，７ａの捩れ
部１２，１２ａのうち、一方の捩れ部１２は車体
フレーム３に固設された左右一対のトーシヨンバ
ーブラケツト８，８ａのうち、一方のトーシヨン
バーブラケツト８に対して回動自在に軸支され、
その端部が他方のトーシヨンバーブラケツト８ａ
に固着されている。同様に、他方の捩れ部１２ａ
は他方のトーシヨンバーブラケツト８ａに対して
回動自在に軸支され、その端部が一方のトーシヨ
ンバーブラケツト８に固着されている。そして、
これら捩れ部１２，１２ａから車輌の後方部側へ
一体的に延設されたトーシヨンバー７，７ａのレ
バー部１３，１３ａの後端部は、キヤブ１１のフ
ロア１に押し付けられている。

従つて、これら一対のトーシヨンバー７，７ａ
のばね力によつてキヤブ１１は第１図中、矢印Ａ
方向への前傾力が付勢され、キヤブ１１を図示し
ない油圧シリンダ等のアクチユエータによつて前
傾させる際に、このアクチユエータの出力を小さ
くできるように配慮している。

このようなトーシヨンバー７，７ａを用いた従
来のキヤブチルト機構では、各トーシヨンバー
７，７ａの捩れ部１２，１２ａの端部が車体フレ
ーム３側と一体的に固定されているため、左右の
トーシヨンバー７，７ａでの製品誤差や取付誤差
等が原因で、キヤブ１１のフロア１に対する各レ
バー部１３，１３ａの押付力が一致せず、キヤブ
１１を前傾させる際にチルトピン４ａにこじれが
発生し、キヤブ１１の円滑な前傾が阻害される虞
があつた。

本考案は、かかる従来のトーシヨンバーを用い
たキヤブチルト機構における上述した不具合に鑑
み、左右のトーシヨンバーのばね力が自動的に平
衡となるようにしたキヤブチルト機構を提供する
ことを目的とする。

この目的を達成する本考案のトーシヨンバーを
用いたキヤブチルト機構は、車輌の左右両側にそ
れぞれこの車輌の前後方向に沿つて配設され且つ
車体フレームに対して前傾可能に枢支されたキヤ
ブの底部に後端部がそれぞれ押し当たる一対のレ
バー部と、これらレバー部の前端から当該レバー
部と一体に前記車輌の幅方向中央側にそれぞれ延
設された一対の捩れ部とから構成されて前記キヤ
ブに前傾力をを付勢する左右一対のトーシヨンバ
ーを具え、これらトーシヨンバーの前記捩れ部が
それぞれ捩れ回転可能に軸支されるトーシヨンバ
ーブラケツトを前記車体フレームにそれぞれ少な
くとも一つずつ固定し、相互に係止し合つて何れ
か一方の前記捩れ部に負荷する捩れ回転力を逆向
きの反力として他方の前記捩れ部に伝える一対の
係止爪をこれら捩れ部に一体的に装着したことを
特徴とするものである。

以下、本考案によるトーシヨンバーを用いたキ
ヤブチルト機構の一実施例について、その主要部
の概略構造を表す第３図及び係合爪の部分の断面
構造を表す第４図を参照しながら詳細に説明す
る。

車体フレーム３の車幅方向中央部には、トーシ
ヨンバーブラケツト８，８ａと共に各トーシヨン
バー７，７ａの捩れ部１２，１２ａの端部を回動
自在に軸支する二叉状のセンターブラケツト８ｂ
が固設されている。そして、このセンターブラケ
ツト８ｂを貫通するトーシヨンバー７，７ａの捩
れ部１２，１２ａの端部には、相互に係止し合つ
て何れか一方の捩れ部に負荷する捩れ回転力を逆
向きの反力として他方の捩れ部に伝える環状をな
す係止爪１０，１０ａがそれぞれ一体的にセレー
シヨン嵌合されている。なお、これら係止爪１
０，１０ａの捩れ部１２，１２ａに対する回転方
向の位置を変えることにより、レバー部１３，１
３ａの後端部を下向きに押圧する図示しないキヤ
ブの重量に対応させてトーシヨンバー７，７ａの
ばね力を調整することができる。

従つて、例えば一方のトーシヨンバー７のレバ
ー部１３のみを下向きに押圧すると、他方のトー
シヨンバー７ａのレバー部１３ａには、これが上
向きに回動するような反力が係止爪１０，１０ａ
を介して伝わるため、各トーシヨンバー７，７ａ
の捩れ部１２，１２ａに発生する捩りモーメント
は互いに等しくなり、左右のレバー部１３，１３
ａの後端部は図示しないキヤブに対して等しい押
圧力で当接する。

このように、本考案のトーシヨンバーを用いた
キヤブチルト機構によると、左右一対のトーシヨ
ンバーを係止爪を介して相互に反力受けとして機
能させるようにしたので、キヤブに対する左右の
トーシヨンバーの押圧力が等しくなり、トーシヨ
ンバーの製品誤差や取付誤差があつてもキヤブの
前傾動作を円滑に行うことが可能である。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のキヤブチルト機構を示す側面
図、第２図はそのトーシヨンバーの部分を抽出し
て示す斜視図、第３図は本考案の一実施例による
主要部の斜視図、第４図はそのトーシヨンバーと
係止爪との嵌合部分を破断して示す断面図であ
る。 又、図中の符号で３は車体フレーム、７，７ａ
はトーシヨンバー、８，８ａはトーシヨンバーブ
ラケツト、８ｂはセンターブラケツト、１０，１
０ａは係止爪、１２，１２ａは捩れ部、１３，１
３ａはレバー部である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 車輌の左右両側にそれぞれこの車輌の前後方向
   に沿つて配設され且つ車体フレームに対して前傾
   可能に枢支されたキヤブの底部に後端部がそれぞ
   れ押し当たる一対のレバー部と、これらレバー部
   の前端から当該レバー部と一体に前記車輌の幅方
   向中央側にそれぞれ延設された一対の捩れ部とか
   ら構成されて前記キヤブに前傾力を付勢する左右
   一対のトーシヨンバーを具え、これらトーシヨン
   バーの前記捩れ部がそれぞれ捩れ回転可能に軸支
   されるトーシヨンバーブラケツトを前記車体フレ
   ームにそれぞれ少なくとも一つずつ固定し、相互
   に係止し合つて何れか一方の前記捩れ部に負荷す
   る捩れ回転力を逆向きの反力として他方の前記捩
   れ部に伝える一対の係止爪をこれら捩れ部に一体
   的に装着したことを特徴とするトーシヨンバーを
   用いたキヤブチルト機構。