JPS63213B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 この発明は、熱可塑性樹脂の圧縮成形、たとえ
ばそのシート材をスタンプ加圧するためのプレス
に関する。

この種材料のプレス加工を行なうには、材料を
一定時間加圧状態に保持することが必要である。
また、製品の形状に応じて、成形時のブランク加
圧速度と荷重とを適切に選択し調整することが必
要である。このような加工特性から、樹脂の圧縮
成形には油圧プレスが適しているとされている。
ところが、油圧プレスは、機械プレスよりもサイ
クルタイムが長く、生産性が低いので大量生産方
式に不向きである。さらに、油圧プレスには、大
径長ストロークの油圧シリンダを必要とし、その
ために高圧化が困難であつたり、また大容量の油
圧ユニツトが必要であるところから、設備が容易
でない一面も有している。これに対して機械プレ
スは、生産性が高く、設備面でも自由度があるな
ど油圧プレスよりも有利な点であるが、その特性
が樹脂成形に適していない。すなわち、機械プレ
スでは、加工速度の調整が困難かつブランクを加
圧保持するために、スライドストロークの下死点
近傍における停止位置を一定にすることが困難で
あるから、上述の成形時の加圧速度と荷重の調整
が困難である。

この発明は、上述の事情に鑑みてなされたもの
で、油圧および機械両プレスの欠点を解消し、か
つ両プレスの長所を採り入れて樹脂成形加工に適
したプレスを提供することを目的とする。

問題点を解消するための手段 この発明による樹脂成形用プレスは、クラウン
に垂直下向きに取付けられかつスライドに連結さ
れているピストンロツドを有するスライド高速無
負荷昇降用流体圧シリンダと、スライドに垂直上
向きに設けられかつピストンを内蔵しているスラ
イド低速負荷昇降用流体圧シリンダと、スライド
低速負荷昇降用流体圧シリンダ内に対し進退しう
るように同シリンダに水平移動自在に設けられか
つ同シリンダ内に進入したときにピストンに係止
する係止部材と、互いに一端において水平ピンに
より連結されている上下のリンクを有し、スライ
ドのストローク下死点の近傍においてスライドの
下降にともなつて両リンクがくの字状から一直線
状となりその上昇にともなつて両リンクが一直線
状から逆くの字状となるように上リンクの他端が
クラウンに設けられた水平支持軸に連結され下リ
ンクの他端がピストンに連結されているリンク装
置と、両リンクが逆くの字状となつたときに両リ
ンクの連結端部が当接するストツパと、両リンク
が可逆的にくの字状から逆くの字状となるように
両リンクの連結端部を、両リンクが一直線状とな
るときを超えてその移動方向に往復動させるキツ
カとを備えているものである。

実施例 この発明の実施例を図面を参照してつぎに説明
する。以下の説明において、左右とは、第１図を
基準としてその左方および右方を左右といい、前
後とは、第２図を基準として、その左方を前、こ
れと反対側を後というものとする。

樹脂成形用プレスは、第１図に示すように、左
右２つのスライド１１を備えている。各スライド
１１には、クラウン１２に左右方向に間隔をおい
て垂直下向きに取付けられた２つのスライド高速
無負荷昇降用流体圧シリンダ１３のピストンロツ
ド１４が連結されるとともに、その内部の左右方
向中央に１つのスライド低速負荷昇降用流体圧シ
リンダ１５が設けられている。この流体圧シリン
ダ１５にはピストン１６が内蔵されるとともに、
ピストン係止部材１７が設けられている。ピスト
ン１６には、リンク装置２０の互いに一端におい
て水平ピン２１に連結されている上下のリンク２
２，２３のうち、下リンク２３の他端がリストピ
ン２４により連結されている。一方、上リンク２
２の他端はクラウン１２の２つのスライド高速無
負荷昇降用流体圧シリンダ１３の間に設けられた
水平支持軸２５に連結されている。さらに、クラ
ウン１２にはストツパ３１およびキツカ３２が設
けられており、スライド１１の昇降にともなつて
その下死点の近傍において、両リンク２２，２３
がくの字状から一直線状となるところを超えて逆
くの字状になつたときに両リンク２２，２３の連
結端部がストツパ３１に当接し、キツカ３２によ
り、両リンク２２，２３が可逆的にくの字状から
逆くの字状となるように両リンク２２，２３の連
結端部が往復動させられるようになつている。

スライド高速無負荷昇降用流体圧シリンダ１３
は、スライド低速負荷昇降用流体圧シリンダ１５
と比較して、小径かつ長ストロークのものであ
る。

スライド低速負荷昇降用流体圧シリンダ１５
は、第３図に詳しく示すように、筒状上部シリン
ダ４１、筒状中間部シリンダ４２および有底筒状
下部シリンダ４３からなる。中間部シリンダ４２
の上部にはウオームケース４４が一体的に設けら
れ、これにウオーム４５が収められている。下部
シリンダ４３の内面上端には環状ストツパ４６が
はめ込まれ、下部シリンダ４３の胴部下端には作
動油供給孔４７があけられてる。ピストン１６
は、上部ピストン５１、中間部ピストン５２およ
び下部ピストン５３よりなる。上部ピストン５１
にはねじ棒５４が下方突出状に設けられ、その下
端は下部シリンダ４３内に入り込んでいる。中間
部ピストン５２の外面上端には、ウオーム４５と
かみ合つたウオームホイール５５がはめられかつ
キー５６により固定されている。中間部ピストン
５２の軸中心にはねじ孔５７があけられ、これに
ねじ棒５４がねじ込まれている。中間部ピストン
５２の外面下端寄りのところには上向きテーパ部
５８が形成されており、テーパ部５８より下方の
部分はその上方の部分より大径になつている。下
部ピストン５３の上面周縁部には切欠き５９が形
成され、この切欠き５９を臨む上向き面とストツ
パ４６の下面の間には間隙ｌ１が存在しており、
この間隙ｌ１がピストン・ストロークに相当す
る。また中間部ピストン５２と下部ピストン５３
の間にはスラストワツシヤ６０が介在されてい
る。ウオーム４５によりウオームホイール５５を
回転させると、そのねじ孔５７とねじ棒５４のね
じ作用により、ねじ棒５４とともに上部ピストン
５１および中間部ピストン５２が上下動し、これ
により、ダイハイトの応じたスライド調整が行な
われるようになつている。

ピストン係止部材１７は、中間部ピストン５２
のテーパ部５８を臨むように中間部シリンダ４２
にあけられた水平貫通孔６１に摺動自在にはめ入
れられた丸棒状のものであり、その先端には同テ
ーパ部５８に対応して下向きのテーパ部６２が形
成されている。このテーパ部６２の先端巾に相当
する距離ｌ２は上述したピストン・ストロークｌ
１より大きい。係止部材１７の突出端にはピスト
ン６３が偏心状に設けられ、これは中間部シリン
ダ４２の外面に設けられたピストン固定用流体圧
シリンダ６４にはめ入れれられている。下部ピス
トン５３が下部シリンダ４３の底面と当接してい
る状態で係止部材１７の先端テーパ部６２を中間
部シリンダ４２内に突出させると、係止部材１７
が中間部ピストン５２のテーパ部５８に上側から
係止し、これによりピストン１６がシリンダ１５
に対し固定され、係止部材１７の先端テーパ部６
２を中間部シリンダ４２内から退出されると、そ
の固定状態が解除されてピストン１６がシリンダ
１５に対してストロークｌ１だけ上下動しうるよ
うになつている。

上リンク２２は、第２図に示すように、二股状
のものであり、その一端において下リンク２３の
一端を挾み付けている。両リンク２２，２３を連
結しているピン２１には小径の係止部７１が前方
突出状に設けられている。

ストツパ３１は、第４図に詳しく示すように、
これに実線で示されている下向きの上リンク２２
の右方に同リンク２２の二股状部の間隔と等しい
間隔を前後方向において並べられた方形状の固定
板よりなる。キツカ３２は、同じく第４図に詳し
く示すように、同リンク２２の一端前方に配置さ
れた方形平板状のものであり、これにはピン２１
の係止部７１を入り込ませる上向きの切欠き７２
が形成されている。そして、キツカ３２は摺動案
内部材７３で受けられかつその右端部に流体圧シ
リンダ７４のピストンロツド７５が連結されてい
る。キツカ３２の切欠き７２に係止部７１を入り
込ませた状態で流体圧シリンダ７４を作動させて
キツカ３２を左右方向に往復動させると、両リン
ク２２，２３が逆くの字状となつた状態でその連
結端部がストツパ３１に当接し、またその状態か
ら解除されるようになつている。

つぎに、第５図を参照して作動について説明す
る。

スライド高速無負荷昇降用流体圧シリンダ１３
を作動させてそのピストンロツド１４を突出させ
ると、上死点Ａからスライド１１が下降する。こ
のときに、スライド低速負荷昇降用流体圧シリン
ダ１５に対しピストン１６を固定しておく。スラ
イド１１が不死点近く（Ｂ点）まで下降すると、
これ以降は金型保護のためにスライド１１を低速
で下降させる（Ｂ―Ｃ間）。これは同シリンダ１
５への作動油供給量を絞ることによる。スライド
１１の下降にしたがつて上下のリンク２２，２３
は移動し、両リンク２２，２３が一直線状となる
か、ややその前の時点で両リンク２２，２３の連
結端部の前方に保持させておいたキツカ３２の切
欠き７２にピン２１の係止部７１が入り込むと、
キツカ３２を右方に移動させる。そうすると、両
リンク２２，２３が一直線状となるときを超えて
逆くの字状となり、その連結端部がストツパ３１
に当接する。この状態でスライド低速負荷昇降用
流体圧シリンダ１５に対するピストン１６の固定
状態を解除し、つづいて同シリンダ１５に作動油
を供給すると、スライド１１は、下死点若干手前
の位置（Ｃ点）よりさらに下降して下死点（Ｄ
点）に至り、下死点（Ｄ点）において一定時間加
圧状態に保持される（Ｄ―Ｅ間）。この間が過ぎ
ると、スライド低速負荷昇降用流体圧シリンダ１
５への作動油を停止する。ついで、同シリンダ１
５に対し再びピストン１６を固定状態にし、キツ
カ３２を左方に移動させると、両リンク２２，２
３が逆くの字状からくの字状となる。この状態で
スライド高速無負荷昇降用流体圧シリンダ１３を
作動させてそのピストンロツド１４を退入させる
と、スライド１１は高速で上昇し、再び上死点Ａ
に至ると、１サイクルが完了する。

発明の効果 この発明による樹脂成形用プレスは、スライド
高速無負荷昇降用流体圧シリンダおよびスライド
低速負荷昇降用流体圧シリンダを備えているか
ら、周知の油圧プレスのように、サイクルタイム
が長くなることはないし、大径長ストロークの油
圧シリンダおよび大容量の油圧ユニツトを必要と
しない。また、周知の油圧プレスのように、スラ
イド速度の調節が容易であり、これは、周知の機
械プレスの欠点を解消するものである。

さらに、スライド低速負荷昇降用流体圧シリン
ダにピストン係止部材が設けられ、そのピストン
にリンク装置が連結されているから、係止部材お
よびリンク装置によりスライドの昇降が機械的に
規制されることと、リンク装置の両リンクが逆く
の字状となつたときに両リンクの連結端部がスト
ツパに当接するようになつているから、下死点近
傍におけるスライドの停止位置が一定になること
により、スライド低速負荷昇降用流体圧シリンダ
による加圧速度と荷重の調節が容易である。ま
た、リンク装置およびストツパによりスライド低
速負荷昇降用流体圧シリンダの加圧反力を受ける
ことができる。

また、キツカを備えているから、キツカにより
両リンクの端部をストツパに当接させ、またその
状態からの解放を確実に行なうことができる。

【図面の簡単な説明】

図面はこの発明の実施例を示し、第１図は破砕
断面を含む正面図、第２図は同側面図、第３図は
第１図の一部断面を拡大して示す断面図、第４図
は第１図の一部を拡大して示す正面図、第５図は
スライドストローク線図である。 １１……スライド、１２……クラウン、１３，
１５……流体圧シリンダ、１４……ピストンロツ
ド、６……ピストン、１７……係止部材、２０…
…リンク装置、２１……ピン、２２，２３……リ
ンク、２５……水平支持軸、３１……ストツパ、
３２……キツカ。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ クラウン１２に垂直下向きに取付けられかつ
   スライド１１に連結されているピストンロツド１
   ４を有するスライド高速無負荷昇降用流体圧シリ
   ンダ１３と、 スライド１１に垂直上向きに設けられかつピス
   トン１６を内蔵しているスライド低速負荷昇降用
   流体圧シリンダ１５と、 スライド低速負荷昇降用流体圧シリンダ１５内
   に対し進退しうるように同シリンダ１５に水平移
   動自在に設けられかつ同シリンダ１５内に進入し
   たときにピストン１６に係止する係止部材１７
   と、 互いに一端において水平ピン２１により連結さ
   れている上下のリンク２２，２３を有し、スライ
   ド１１のストローク下死点の近傍においてスライ
   ド１１の下降にともなつて両リンク２２，２３が
   くの字状から一直線状となりその上昇にともなつ
   て両リンク２２，２３が一直線状から逆くの字状
   となるように上リンク２２の他端がクラウン１２
   に設けられた水平支持軸２５に連結され下リンク
   ２３の他端がピストン１６に連結されているリン
   ク装置２０と、 両リンク２２，２３が逆くの字状となつたとき
   に両リンク２２，２３の連結端部が当接するスト
   ツパ３１と、 両リンク２２，２３が可逆的にくの字状から逆
   くの字状となるように両リンク２２，２３の連結
   端部を、両リンク２２，２３が一直線状となると
   きを超えてその移動方向に往復動させるキツカ３
   ２と、 を備えている樹脂成形用プレス。