JPS6320588Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、車輛用シートのスライド機構、特に
シートの左右両側に設けられた各スライド部のロ
ツク機構を連結する連結ワイヤに関するものであ
る。

従来、車輛用シートは第１図に示すスライド機
構１によつて車輛の前後方向にスライド自在に保
持されており、乗員の体型に応じてそのスライド
位置を所定の個所に設定することにより、安楽感
を得ることができる。このスライド機構１は、車
輛用シートの床側の左右に設けられたスライド部
４ａ，４ｂとから成り、このスライド部４ａ，４
ｂは車輛の床側に図示しない取付け手段によつて
固定されたロアーレール２とアツパーレール３と
から構成され上記ロアーレール２は断面が略Ｕ字
状となるように成形され、その立上り片２ａ，２
ｂの上端に外側方向に折曲された折曲片２ｃ，２
ｃを有し、アツパーレール３はこの折曲片２ｃ，
２ｃを上部側から被うように断面逆Ｕ字状に成形
されその下端側にストツパー片３ｃ，３ｃを有し
ており、このアツパーレール３、ロアーレール２
との間には、ローラー５が介在され、これにより
アツパーレール３は前後にスライド自在となつて
いる。この場合、一方のロアーレール２の立上り
片２ｂと、他方のロアーレール２の立上り片２ｂ
には長手方向に沿つて複数個のロツク孔６が設け
られ、このロツク孔６にそれぞれのアツパーレー
ル３，３側に設けられたロツクピン７，８の先端
側が係止してロアーレール３，３の前後方向のス
ライドを規制することができる。上記ロツクピン
７，８はそれぞれアツパーレール３，３の上面側
に固定されたブラケツト９，９によつて進退自在
に装着され、このロツクピン７，８には図示しな
いスプリングによりロツク孔６方向の移動習性が
与えられており、かつ一方側のロツクピン７に設
けられた孔１０にはブラケツト９に軸１１を支点
として回動自在に枢着された操作レバー１２の係
止片１３が係止しており、操作レバー１２を回動
し、ロツクピン７を図示しないスプリングの力に
抗して後退方向にガイドすることにより、ロツク
ピン７の先端がロツク孔６より引抜けてロツク状
態を解除することができる。上記操作レバー１２
に設けられた孔１２ａには連結ワイヤ１４の一端
が接続され、この連結ワイヤ１４の他端は他方の
ロツクピン８に設けられた孔８ａに接続され、操
作レバー１２を操作するとロツクピン７だけでな
く、ロツクピン８も同様に動作する。

従つて以上の構成によれば、操作レバー１２を
操作するとロツクピン７を後退方向にガイドする
ことができ、これによりスライド部４ａのロツク
状態を解除することができると共に、操作レバー
１２に連動して連結ワイヤ１４がロツクピン８を
引くので、これによりスライド部４ｂのロツク状
態を解除することができ、従つて乗員はシートを
所望の位置に移動して位置決めすることができ、
位置決めした後操作レバー１２を解放すると、ロ
ツクピン７，８が図示しないスプリングの力で復
旧し、その先端が他のロツク孔６に係止するの
で、シートを設定位置にロツクすることができ
る。

しかしながら、従来の上記車輛用シートのスラ
イド機構によれば、アツパーレール３の取付け位
置、ブラケツト９の取付け位置又は、操作レバー
１２の取付け位置の誤差によつて、操作レバー１
２に設けた孔１２ａとロツクピン８に設けた孔８
ａとの間の距離に誤差が生じてしまい、このため
所定の長さに設定した連結ワイヤ１４を取付ける
に当つて、ある連結ワイヤ１４は相体的に短かか
つたり、他の連結ワイヤは長かつたりしてしま
い、例えば連結ワイヤ１４が短かい場合には、そ
の両端を孔１２ａ，８ａに接続するのが容易でな
く、しかもロツクピン８を引張つた状態で連結ワ
イヤ１４を取付けてしまう場合があり、このとき
ロツクピン８が孔６から引抜けた状態となつてし
まい、スライド部４ｂのロツクができなくなつて
しまう欠点を有し、又連結ワイヤ１４が長い場合
には連結ワイヤ１４の接続部分にガタが生じ操作
レバー１２を操作しても連結ワイヤ１４によつて
ロツクピン８を充分引抜くことができず、スライ
ド部４ｂのロツク状態を解除することができなく
なるという欠点を有していた。

本考案の目的は、連結ワイヤの一部に弾性部分
を設けるようにして、上記欠点を除去するもので
あり、以下実施例を用いて詳細に説明する。

第３図は本考案による車輛用シートのスライド
機構、特に連結ワイヤの一実施例を示す簡略構成
図であり、同図において車輛用シートの下部にお
ける左右に設けられた各スライド部のロツク機構
を連結するための連結ワイヤ４０は、例えばピア
ノ線等から成り、その両端側が折曲されてフツク
４１となつており、更にその略中央側には連結ワ
イヤ４０をループ状に成形することにより得られ
る弾部分４２が形成されており、この弾性部分４
２によつて連結ワイヤ４０には長手方向の伸縮力
が働らくことになる。

従つてこのような構成によれば、第１図におけ
る操作レバー１２に設けられた孔１２ａとロツク
ピン８に設けられた孔８ａとの間に各製品毎に誤
差が生じても、この弾性部分４２によつてこの誤
差を吸収することができる。すなわち連結ワイヤ
４０が、相体的に短かい場合には、連結ワイヤ４
０に引張力を与え、連結ワイヤ４０を若干引延ば
した状態で、そのフツク４１，４１を孔１２ａ，
８ａ側に接続することができるので取付けが容易
となると共に、弾性部分４２の変形によつて連結
ワイヤ４０が若干延びるので連結ワイヤの取付け
時にロツクピン８がロツク孔６から引抜け状態に
設定されてしまうという問題を解消できる。又、
連結ワイヤ４０が相体的に長く設定された場合に
も、弾性部分４２の変形によつて、操作レバー１
２，ロツクピン８に対するガタを防止することが
できる。

尚、本考案においては、連結ワイヤ４０の一個
所にループ状となつた弾性部分４２を設けること
なく、第４図に示すようにループ状となつた複数
個の弾性部分４２を設けるようにしてもよく、又
第５図，第６図に示すように糸巻き状となつたス
ペーサ５０を囲繞するように、弾性部分４２を設
けることにより弾性部分４２が引張力によつて、
その径が小さくなつてもこれを一定の値で制限す
ることができる。

又、本考案においては、上記スペーサ５０を弾
性ゴム等から形成してもよい。又連結ワイヤ４０
を左右に分割し、この分割部分をスプリングによ
つて互いに接続するようにしてもよい。又弾性部
分として、コイル状に成形されて成る弾性部分か
ら形成してもよく、或いは第７図に示すように蛇
行状となつた弾性部分から形成してもよい。要は
連結ワイヤ４０に長手方向の伸縮が働くものであ
ればよい。

以上説明したように、本考案による車輛用シー
トのスライド機構によれば、車輛シートの下部の
両側に設けたアツパーレールとロアーレールとか
ら成るスライド部のロツク機構を互いに連結する
連結ワイヤにおいて、長手方向に伸縮を与える弾
性部分を設けるようにしたので、相体的に連結ワ
イヤが短かく設定されても、その延びによりロツ
ク機構に支障を与えることなく、この連結ワイヤ
を取付けることができ、かつ取付作業を容易に行
なうことができ、更にガタの発生を防止すること
ができる。

【図面の簡単な説明】

第１図，第２図は従来の車輛用シートのスライ
ド機構の一例を示す斜視図及び要部断面図、第３
図は本考案による車輛用シートのスライド機構の
一実施例を示す簡略構成図、第４図ないし第７図
は、本考案による車輛用シートのスライド機構の
他の実施例を示す簡略構成図である。 １…スライド機構、２…ロアーレール、３…ア
ツパーレール、４ａ，４ｂ…スライド部、５…ロ
ーラー、６…ロツク孔、７，８…ロツクピン、９
…ブラケツト、１２…操作レバー、１４…連結ワ
イヤ、４２…弾性部分、４１…フツク、５０…ス
ペーサ。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 車輛用シートの下部側の左右に設けられ、か
   つロアーレールとアツパーレールとから成るス
   ライド部を有するスライド機構において、各ス
   ライド部に設けられ、かつスライド位置をロツ
   クするロツク機構を互いに連結する連結ワイヤ
   に、その長手方向の伸縮を与える弾性部分を設
   けるようにしたことを特徴とする車輛用シート
   のスライド機構。 (2) 弾性部分は、連結ワイヤの一部をコイル状に
   成形して得られることを特徴とする実用新案登
   録請求の範囲第１項記載の車輛用シートのスラ
   イド機構。 (3) 弾性部分は、連結ワイヤの途中個所に介挿さ
   れたスプリングにより成ることを特徴とする実
   用新案登録請求の範囲第１項記載の車輛用シー
   トのスライド機構。 (4) 弾性部分は、連結ワイヤの一部を蛇行状に成
   形して得られることを特徴とする実用新案登録
   請求の範囲第１項記載の車輛用シートのスライ
   ド機構。