JPS6320287B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、冷延コイル焼鈍方法、特に熱交換器
で所定温度に加熱した雰囲気ガスにより、冷延コ
イルを焼鈍する方法に関する。

冷延コイル、すなわち冷間圧延により得られた
コイルは加工硬化のため加工性が劣化している。
一般には、これを焼鈍して鋼質を軟質化させ、加
工性を高めている。かかる冷延コイルの軟質化焼
なまし方式は冷間圧延工程から連続して焼鈍工程
に送られ、連続して焼鈍する方式と一度巻取つた
冷延コイルをバツチ式で焼鈍する方式とがある。
バツチ式で行なう場合、冷延コイルを炉床に数段
（３〜４段）積み、これにインナカバー次いでア
ウタカバーを被せ、アウタカバーに取付けたバー
ナで直火または間接加熱（ラジアントチユーブ）
によりインナカバーに熱を伝える。

第１図に従来のバツチ式焼鈍炉を略式断面図で
示す。図中、バツチ式焼鈍炉１は炉床２に数段
（３〜４段）積んだ冷延コイル３（図示例では３
段）を覆うインナカバー４並びにアウタカバー５
から構成される。上記コイル間には対流板６が設
けられており、炉床２に設けた循環フアン７によ
つて循環させられる雰囲気ガスがコイル間を流れ
るようになつている。符号“Ｍ”は循環フアン用
のモータを示す。このような従来装置にあつては
加熱源はアウタカバーに設けたバーナ８であるた
めコイルへの熱伝達はアウタカバー、インナカバ
ー、雰囲気ガスそしてコイルへの順に行なわれ
る。アウタカバーに設けたバーナからは直火また
は間接加熱（ラヂアントチユーブ）によりインナ
カバーに熱を伝える。一方、インナカバー内では
雰囲気ガスが第１図に矢印で示示すように循環し
ておりインナカバーで加熱されてから対流により
対流板を加熱し、そしてこの対流板を通じコイル
に伝わる。（一般にコイル巾方向から伝わる熱量
は全体の5/6であり、コイル外周より伝わる熱量
は残りの1/6と言われている。） しかしながら、このような従来装置では、雰囲
気ガスはインナカバーとの対流で主に加熱する
が、対流板の構造、コイル径等によりインナカバ
ー内でのガス流れが変るので雰囲気ガス温度にバ
ラツキが生じる。一般にコイル上段は高くなる傾
向がある。その外、雰囲気ガスの温度制御ができ
ないため、冷延コイルの材質に応じた厳密な温度
管理ができない。また、コイル外周方向からはイ
ンナカバーよりの輻射により伝熱するのでオーバ
ーヒートし焼付けを起こすことがあり、特に焼鈍
コイル頂部又は上段コイルは偏熱により焼き付け
等不良品が出る。

本発明の目的は、焼鈍炉内の温度を可及的に一
定にし、その温度も任意に変えられ、しかも短時
間でエネルギー消費を少なくして冷延コイルを焼
鈍できる方法および装置を提供することである。

ここに、本発明は； (1) 炉床に積重ねた冷延コイルをインナカバーで
覆つて該冷延コイルを収容する空間部分を区画
し、さらに該インナカバーをアウタカバーで覆
つて該アウタカバーとインナカバーとの間に環
状導路を構成し、インナカバー内の前記空間部
分を循環する雰囲気ガスによつて前記冷延コイ
ルを加熱するバツチ式の冷延コイル焼鈍方法で
あつて、燃焼装置を備えた間接熱交換器を外部
に設け、該間接熱交換器で加熱された雰囲気ガ
スをインナカバー内の前記空間部分に導入循環
させるとともに前記間接熱交換器の燃焼排ガス
をアウタカバー内の前記環状導路に供給して、
前記雰囲気ガスをインナカバーを通して間接加
熱することを特徴とする、冷延コイル焼鈍方
法、および (2) 冷延コイルを積重ねる炉床と、積重ねた冷延
コイルを取り囲むように炉床上に配置させたイ
ンナカバーと、さらに該インナカバーを取り囲
むように炉床上に配置させ、該インナカバーと
の間に環状導路を構成させたアウタカバーと、
前記インナカバー内の冷延コイルを加熱する雰
囲気ガスを加熱する、燃焼装置を備えた雰囲気
ガス用間接熱交換器と、加熱された雰囲気ガス
をインナカバー内の冷延コイルを収容する空間
部分に案内するとともに再加熱のために雰囲気
ガスを前記間接熱交換器に再循環させる雰囲気
ガス循環路と、該間接熱交換器からの燃焼排ガ
スを前記アウタカバー内の環状導路に案内する
排ガス導路とから構成される、冷延コイル焼鈍
装置である。

このように本発明によれば、冷延コイル加熱用
の雰囲気ガスを外部に設けた熱交換器内で加熱す
るので任意の温度が確保出来、またその温度も制
御可能となる。

したがつて、雰囲気ガスとコイル加熱温度との
差を大きくすることも可能となり、そうすれば焼
鈍時間の短縮が可能となる。一方、雰囲気ガス加
熱用の熱交換器から排出される燃焼排ガスをアウ
タカバー内の環状導路に流すことによつて、イン
ナカバー次いで雰囲気ガスを経てコイルに追加の
熱を伝えることができるため、熱効率はさらに高
められた省エネルギーを図ることができる。さら
に、炉内においては直火で加熱される箇所はなく
なるため局部的過熱は防止され、炉内全体にわた
つて一定の加熱温度が実現される。

本発明をさらに図面によつて説明する。第２図
は本発明に係る装置の略式断面図である。図中、
第１図と同一の部材には同じ符号を付けて示して
ある。炉外に設けた間接熱交換器２０にはバーナ
２１が設けられており、このバーナによる燃焼熱
によつて雰囲気ガス（一般にはN₂やH₂のような
ガス）が加熱される。

この雰囲気ガス加熱用の熱交換器に雰囲気ガス
を循環フアン２２により送つて所定加熱に加熱
後、雰囲気ガス循環路２３を経て炉内に送られ、
冷延コイル３を収容する空間部分２４を循環しな
がらコイルに伝熱後、再び循環フアン２２で熱交
換器２０に再循環して再加熱される。雰囲気ガス
の流れ方向は図中矢印で示す。

燃焼排ガス２５は、熱交換器２０からアウタカ
バー内の環状導路２６に送られ、更に、燃料燃焼
用空気２７並びに新しく供給される雰囲気ガス２
８とそれぞれ熱交換器２９，３０によつて熱交換
後排出される。燃料供給路３１からの燃料は必要
により、前記燃焼排ガスにより予熱したものを利
用してもよい。

このようにして、所定温度に所定時間だけ加熱
した後に、この加熱コイルを冷却しなければなら
ないが、これは熱交換器の運転を停止することに
よつて容易に行なえる。

本発明によれば雰囲気ガスを任意の高温ガスに
調節できるので、コイルへの熱伝達を高くするこ
とができる。例えば雰囲気ガス温度を750〜780℃
で供給したときの昇熱時間と最冷点温度との関係
を第３図にグラフで示す。本発明による加熱曲線
は白丸、実線で表わす。図示データは第２図に示
す装置を使つて冷延コイルを４段に積重ねて加熱
したときに得たもので、最冷点の測定点は、第４
図に略式側面図で示したコイル側面のマークで
示した地点である。図中、符号４１は冷延コイ
ル、４２は対流板である。

図示結果からもわかるように、コイルの目的加
熱温度を630℃とすると、本発明によれば焼鈍時
の加熱時間は従来例に比らべて、図示例では3.5
時間短縮できた。従来例は第１図に示す装置によ
るものである。

更に、雰囲気ガス温度が一定に調節されるため
オーバーヒートによる焼き付けは皆無となり品質
向上を図ることができた。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の冷延コイル焼鈍装置の略式断面
図；第２図は本発明による冷延コイル焼鈍装置の
略式断面図；第３図は、最冷点温度の時間に対す
る関係を示すグラフ；および第４図は、最冷点温
度の測定地点を示すコイルの略式側面図である。 １：焼鈍炉、２：炉床、３：冷延コイル、４：
インナカバー、５：アウタカバー、２０：間接熱
交換器、２１：バーナ、２２：循環フアン、２
３：雰囲気ガス循環路、２９，３０：熱交換器。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 炉床に積重ねた冷延コイルをインナカバーで
   覆つて該冷延コイルを収容する空間部分を区画
   し、さらに該インナカバーをアウタカバーで覆つ
   て該アウタカバーとインナカバーとの間に環状導
   路を構成し、インナカバー内の前記空間部分を循
   環する雰囲気ガスによつて前記冷延コイルを加熱
   するバツチ式の冷延コイル焼鈍方法であつて、燃
   焼装置を備えた間接熱交換器を外部に設け、該間
   接熱交換器で加熱された雰囲気ガスをインナカバ
   ー内の前記空間部分に導入、循環させるとともに
   前記間接熱交換器の燃焼排ガスをアウタカバー内
   の前記循環導路に供給して、前記雰囲気ガスをイ
   ンナカバーを通して間接加熱することを特徴とす
   る、冷延コイル焼鈍方法。 ２ 冷延コイルを積重ねる炉床と、積重ねた冷延
   コイルを取り囲むように炉床上に配置させたイン
   ナカバーと、さらに該インナカバーを取り囲むよ
   うに炉床上に配置させ、該インナカバー間に環状
   導路を構成させたアウタカバーと、前記インナカ
   バー内の冷延コイルを加熱する雰囲気ガスを加熱
   する、燃焼装置を備えた雰囲気ガス用間接熱交換
   器と、加熱された雰囲気ガスをインナカバー内の
   冷延コイルを収容する空間部分に案内するととも
   に再加熱のために雰囲気ガスを前記間接熱交換器
   に再循環させる雰囲気ガス循環路と、該間接熱交
   換器からの燃焼排ガスを前記アウタカバー内の環
   状導路に案内する排ガス導路とから構成される、
   冷延コイル焼鈍装置。