JPS6319975Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、テープ保護用の開閉蓋を有するテー
プカセツトに係り、特に、その開閉蓋に支軸を中
心として回動力を与えるスライド杆が摺動可能に
嵌合されるコ字状のガイド溝の改良に関する。

本出願人は先に標準タイプのビデオテープレコ
ーダ等の記録再生装置に装着して用いる標準タイ
プのカセツトより小型のテープカセツトを提案し
た。すなわち標準タイプの記録再生装置より小型
の記録再生装置に装着して用いるとともに、アダ
プタを用いて標準タイプの記録再生装置にも装着
し得るようにした小型カセツトである。

第１図ａ，ｂ，ｃ，ｄはそれぞれ本出願人が先
に提案した小型カセツトの平面図、側面図、背面
図および底面図である。

第１図ａにおいて、Ａは小型カセツト全体であ
り、この小型カセツトＡの枠体は、上ハーフ１、
下ハーフ２およびテープ保護用の開閉蓋３とから
なり、上ハーフ１および下ハーフ２を合体してテ
ープ保持用のケースが形成される。この開閉蓋３
は第１図ｂに示されるように、上ハーフ１の前方
側面上部に支軸４により回動可能に取付けられて
いる。

この開閉蓋３が上ハーフ１の前方側面上部に回
動可能なように取付けられている状態を第２図
ａ，ｂ，ｃ、第３図および第４図を参照して詳細
に説明する。

第２図ａ，ｂ，ｃ、第３図および第４図は、そ
れぞれ上記の小型カセツトの上ハーフに開閉蓋を
回動自在に取付ける構造について示したものであ
り、第２図ａ，ｂ，ｃはそれぞれの開閉蓋の閉蓋
状態図、開蓋状態図、開閉蓋を開（閉）蓋状態に
する過程を示す図、第３図は上ハーフにあるガイ
ド溝の拡大断面図、第４図は第２図ａの要部拡大
図である。

上ハーフ１の前方側面上部には開閉蓋３の側面
鍔部３ａに挿嵌された支軸４と係合する穴４ａが
設けられてある。開閉蓋３が回動自在に保持する
ためのこの穴４ａは、上ハーフ１を固定してドリ
ル等で穴を穿設する作業によつて設けられるもの
である。開閉蓋３の側面鍔部３ａは矩形状をな
し、二つの側縁３ｂ，３ｃと両者間の角部３ｄと
を有している。スライド杆５は、上ハーフ１の側
面のガイド溝６内に摺動可能に設けてある。

第３図に示すように、スライド杆５は断面台形
状としてあり、ガイド溝６はアリ溝としてある。
これによりスライド杆５はガイド溝６より抜け出
ることなく、このガイド溝６内に保持される。

第２図ａ，ｂ，ｃに示すように、ガイド溝６は
支軸４より斜め下方に向つて延在している。

スライド杆５の開閉蓋３側の先端面７は、開閉
蓋３の側面鍔部３ａの形状との関係で、垂直面と
してある。Ｕ字状板バネ８は上ハーフ１の側方溝
９内に、突出リブ１０により係止されて容易に離
脱しない状態で嵌合している。スライド杆５は側
方溝９内に進入している後部５ａをＵ字状板バネ
８により押されて矢印A1方向に付勢されている。

ここで支軸４と側方鍔部３ａの角部３ｄと側縁
３ｂ，３ｃとの位置関係についてみると、第４図
に示すように、支軸４と側縁３ｂとの間の距離
L1、支軸４と側縁３ｃとの間の距離L2および支
軸４と角部３ｄとの間の距離L3は、L3＞L1、L3
＞L2となつている。

開閉蓋３の閉蓋状態では、第１図ｂ、第２図ａ
および第４図に示すように、スライド杆５の先端
面７が開閉蓋３の側面鍔部３ａの側縁３ｂを支軸
４の上下側にわたる範囲で当接押圧している。こ
のために開閉蓋３を開蓋方向、すなわち矢印B1
方向に回動させるためには、側方鍔部３ａの角部
３ｄでスライド杆５を矢印A2方向に押し戻す必
要がある。したがつて開閉蓋３は同図に示すよう
にテープ（図示しない）を保護する位置である垂
直回動の位置、すなわち閉蓋位置に維持されるこ
とになる。

また開閉蓋３の開蓋状態では第２図ｂに示すよ
うに、スライド杆５の先端面７が側面鍔部３ａの
側縁３ｃを支軸４の上下側にわたる範囲で当接押
圧している。開閉蓋３を閉蓋方向、すなわち矢印
B2方向に回動させるためには、側方鍔部３ａの
角部３ｄでスライド杆５を矢印A2方向に押し戻
す必要がある。したがつて開閉蓋３は同図に示す
水平回動の位置、すなわち開蓋位置に維持され
る。

また第２図ｂに示すように開閉蓋３は上ハーフ
１の上面より寸法Ｈだけ突出している。第２図ｃ
に示すように開閉蓋３を閉蓋または開蓋操作する
ことにより開閉蓋３が矢印B2方向に回動すると
きには、側面鍔部３ａ、角部３ｄはスライド杆５
を矢印A2方向にＵ字状板バネ８に抗して押し退
けつつ回動する。角部３ｄが高さ方向上、支軸４
の位置を越えることにより上方または下方に到る
と、開閉蓋３はスライド杆５により押されて今ま
で回動してきた方向、すなわち矢印B2方向また
はB1方向の回動力を付与されて、第２図ａに示
す閉蓋位置あるいは第２図ｂに示す開蓋位置まで
回動され、その位置に維持される。

しかしながら上記のような取付構造をする上ハ
ーフは、スライド杆が摺動自在に嵌合されるガイ
ド溝がアリ溝であるため、成型する際に、金型構
成上、上ハーフを成型してから、このガイド溝に
嵌合されるスライド杆の摺動方向に金型を引抜い
て成型された上ハーフを取出さなければならない
ので、金型の引抜き方向と垂直をなす開閉蓋の支
軸を保持するための穴をガイド溝と一緒に成型す
ることが不可能であるものである。

そのためガイド溝を含む上ハーフを成型した
後、金型を引抜いて成型された上ハーフに、二次
加工として開閉蓋の支軸を保持するための穴をド
リル等で穿設する作業をしなければならない。こ
のため、その穿設する作業の際に、穴の位置ずれ
あるいは芯ずれなどの不良が生ずる欠点があり、
テープカセツトの製作上、作業能率・生産性が悪
くコストが高くなるという欠点があつた。

本考案は上記の欠点を解消したものであり、ス
ライド杆を摺動自在に嵌合するガイド溝をコ字状
とすることにより、上ハーフを成型して金型を引
抜く際に、このガイド溝と開閉蓋の支軸を保持す
るための穴とを形成するための金型を同時に引抜
くことができるようにしたものである。

以下、本考案に係るテープカセツトの一実施例
について説明する。なお、各図中第１〜４図に示
された構成部分と同一部分には同一符号を付し説
明を省略する。

第５図ａ，ｂ，ｃはそれぞれ本考案のテープカ
セツトの一実施例の開閉蓋の閉蓋状態図、開蓋状
態図および開閉蓋を開（閉）蓋状態にする過程を
示す図である。第６図は上ハーフにあるガイド溝
の拡大断面図である。第７図はガイド溝に摺動自
在に嵌合されるスライド杆の斜視図である。第８
図は本考案のテープカセツトの一実施例の要部の
斜視図である。

スライド杆１１は断面が略凸状をしている。ス
ライド杆１１の先端１１ｄは段部を有していない
が、後端１１ｃには後端段部１１ａがあり、一方
の側面には段部を有していないが他方の側面には
側面段部１１ｂがある。ガイド溝１２は断面がコ
字状をしている。このガイド溝１２の前端部付近
には側面壁１３ｂが設けられてあり、また、この
ガイド溝１２の側方溝９との接合部には、この側
方溝９内に張出して後端壁１３ｃが設けられてい
る。この側面壁１３ｂの幅はスライド杆１１の側
面段部１１ｂの幅とほぼ同一であり、また、この
側面壁１３ｂが設けられている部分は上ハーフ上
面の切欠部１４と対応する位置となつている。後
端壁１３ｃの幅はスライド杆１１の後端段部１１
ａによりスライド杆１１の摺動が制限されない程
度の幅となつている。また、この後端壁１３ｃは
側方溝９内に張出しているため、バネ８の脱落防
止の役目もはたしている。

このような１３ｂおよび１３ｃを有するガイド
溝１２にスライド杆１１を摺動自在に嵌合させる
のには、次のようにして行なう。

まず、スライド杆１１の側面段部１１ｂと側面
壁１３ｂとを嵌合させ、スライド杆１１を側面壁
１１ｂに摺動させつつガイド溝１２に挿入する。
ガイド溝１２にスライド杆１１が挿入し終ると、
支え壁１３の側面壁１３ｂ、後端壁１３ｃがそれ
ぞれスライド杆１１の側面段部１１ｂ、後端段部
１１ａとを係止するようになる。

これによりスライド杆１１はガイド溝１２より
抜け出ることなく、このガイド１２内に保持され
ることになる。

このようにスライド杆１１がガイド溝１２に嵌
合され、この溝部でスライド杆１１が摺動自在と
なる構成以外の他の構成は、前記した既提案の小
型カセツトの構造とほぼ同様の構成となつてい
る。

上記のような形状の上ハーフを成型する際に
は、ガイド溝１２の側面壁１３ｂが設けられてい
ない部分および上ハーフ前方部分の開閉蓋の支軸
を保持するための穴４ａ部分付近を成型するため
のスライダー（図示しない）は第８図矢印C1方
向に引抜き、側方溝９およびガイド溝１２の側面
壁１３ｃが形成されている部分を形成するための
スライダーは第８図矢印C2方向に引き抜くよう
にできるため、開閉蓋の支軸を保持するための穴
を上ハーフ成型時に同時に成型することができ
る。

上述の如く、本考案になるテープカセツトは、
上ハーフおよび下ハーフを合体してできたテープ
保護用ケースと、断面が凸状であつて後端段部お
よびその一側に側面段部を有し前記上ハーフに係
合された支軸を中心としてテープ保護用の開閉蓋
に回動力を与えるスライド杆と、ガイド溝に嵌合
された前記スライド杆の後部を付勢するためのバ
ネの離脱を防止する突出リブを有する側方溝と、
この側方溝の前記突出リブに延在して前記側方溝
内に張り出して前記側方溝との接合部に設けられ
た後端壁と、前記スライド杆の前記側面段部の幅
と略同一であり前記上ハーフ上面の切欠部と対応
する先端部に設けられた側面壁とを有する断面が
コ字状のガイド溝とを有し、前記スライド杆が前
記ガイド溝に摺動自在に嵌合された際、前記スラ
イド杆の前記後端段部を前記ガイド溝の前記後端
壁で支持すると共に、前記スライド杆の前記側面
段部を前記ガイド溝の前記側面壁で支持すること
により、前記ガイド溝から前記スライド杆が脱落
しないように構成したため、コ字状のガイド溝と
開閉蓋の支軸を保持するための穴とを一緒に成型
することができるものであるから、従来のカセツ
トテープ製造の際にアリ溝であるガイド溝を含む
上ハーフを成型した後、金型を引抜いて成型され
た上ハーフに、さらに二次加工として開閉蓋の支
軸を保持するための穴をドリル等で穿設する作業
をしなくても良いので、テープカセツトの製作
上、作業能率・生産性が向上し、品質の均一なテ
ープカセツトを大量にしかも安価に製作すること
ができ、また、側方溝内のバネで付勢され摺動す
るスライド杆を、常時、ガイド溝の後方壁及び先
端部の側面壁との２箇所で支持できるから、ガイ
ド溝中央のスライド杆止め部でスライド杆を１箇
所で支持する従来のものと比較して、ガイド溝に
嵌合されたスライド杆の外部への脱落を完全に防
止できる利点がある。

【図面の簡単な説明】

第１図ａ，ｂ，ｃ，ｄはそれぞれ従来の小型カ
セツトの平面図、側面図、背面図および底面図、
第２図ａ，ｂ，ｃはそれぞれ閉蓋状態図、開蓋状
態図および開（閉）蓋状態にする過程を示す図、
第３図はガイド溝の拡大断面図、第４図は第２図
ａの要部拡大図、第５図ａ，ｂ，ｃはそれぞれ本
考案の一実施例図のそれぞれ閉蓋状態図、開蓋状
態図および開（閉）蓋状態にする過程を示す図、
第６図はガイド溝の拡大断面図、第７図はガイド
溝に摺動自在に嵌合されたスライド杆であり、第
８図は本考案のテープカセツトの一実施例の要部
の斜視図である。 １……上ハーフ、２……下ハーフ、３……開閉
蓋、３ａ……鍔部、３ｂ，３ｃ……側縁、３ｄ…
…角部、４……支軸、４ａ……穴、５，１１……
スライド杆、５ａ…後部、６，１２……ガイド
溝、７……先端面、８……板バネ、９……側方
溝、１０……突出リブ、１１ａ……後端段部、１
１ｂ……側面段部、１１ｄ……先端、１１ｅ……
上面、１３ｂ……後端壁、１４……切欠部。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 上ハーフおよび下ハーフを合体してできたテー
   プ保護用のケースと、 断面が凸状であつて後端段部およびその一側に側
   面段部を有し前記上ハーフに係合された支軸を中
   心としてテープ保護用の開閉蓋に回動力を与える
   スライド杆と、 ガイド溝に嵌合された前記スライド杆の後部を付
   勢するためのバネの離脱を防止する突出リブを有
   する側方溝と、 この側方溝の前記突出リブに延在して前記側方溝
   内に張り出して前記側方溝との接合部に設けられ
   た後端壁と、前記スライド杆の前記側面段部の幅
   と略同一であり前記上ハーフ上面の切欠部と対応
   する先端部に設けられた側面壁とを有する断面が
   コ字状のガイド溝とを有し、 前記スライド杆が前記ガイド溝に摺動自在に嵌合
   された際、前記スライド杆の前記後端段部を前記
   ガイド溝の前記後端壁で支持すると共に、前記ス
   ライド杆の前記側面段部を前記ガイド溝の前記側
   面壁で支持することにより、前記ガイド溝から前
   記スライド杆が脱落しないように構成したことを
   特徴とするテープカセツト。