JPS631915Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、とくに洋式便器における便座カバ
ーの開閉装置に関する。

従来、洋式便器における便座カバーは、後端部
を単に軸着したのみであるから、開閉時にうつか
り手を放すと、大きな衝撃音と共に閉じ、手を挾
んだり壊れたりするおそれがあつた。

この考案はこの点を解決したもので、図面に依
れば１は便器本体であり、この便器本体１の後部
上縁２の左右に取りつけられたブラケツト３，３
には、便座４の後部突出部４ａ，４ａがヒンジ棒
５によつて開閉自在に取りつけられている。

このヒンジ棒５の中央部に取付部６ａを開閉自
在に取りつけているのが便座カバー６である。こ
の便座カバー６の取付部６ａにはヒンジ棒５の外
径よりも大径の挿通穴７が設けられると共に、こ
の挿通穴７の両端部には角穴８ａ，８ａと丸穴８
ｂ，８ｂとから成る段付穴８，８が設けられてお
り、各々の段付穴８，８内には、角状の固定部９
ａ，９ａと丸柱状のカム部９ｂ，９ｂから成るカ
ムロツク９，９が、各々の挿通穴９ｃ，９ｃへヒ
ンジ棒５を挿通させつつ軸方向へ移動可能に収納
されている。第１のカム部９ｂ，９ｂの端面には
180゜づつ位相を変えた一対のテーパー部９ｄ，９
ｄが設けられると共に、第１カムブロツク９，９
間には、ヒンジ棒５に環巻きされつつ挿通穴７内
に収納された圧縮コイルスプリング１０が弾設さ
れ、各々を互いに反対方向へ附勢させている。

便座４の後部突出部４ａ，４ａと便座カバー６
の取付部６ａとの間には、取付板１１ａ，１１ａ
と軸受部１１ｂ，１１ｂから成るホルダー部１
１，１１が取付板１１ａ，１１ａを便器本体１の
後部上縁に固着することによつて設けられてお
り、このホルダー部１１，１１の軸受部１１ｂ，
１１ｂには、ヒンジ棒５を挿通させた挿通穴１１
ｃ，１１ｃが設けられ、この挿通穴１１ｃ，１１
ｃの端部にはさらに角穴１２ａ，１２ａと丸穴１
２ｂ，１２ｂから成る段付穴１２，１２が設けら
れている。そして、この段付穴１２，１２には、
挿通穴１３ｃ，１３ｃと角状の固定部１３ａ，１
３ａ，及び第２のカム部１３ｂ，１３ｂから成る
第２カムブロツク１３，１３が収装されており、
カム部１３ｂ，１３ｂの端面には、前記第１カム
ブロツク９，９のカム部９ｂ，９ｂの端面に設け
たテーパー部９ｄ，９ｄと傾斜方向を逆にしたテ
ーパー部１３ｄ，１３ｄが180゜づつ位相を変えて
設けられている。挿通穴１３ｃにはヒンジ棒５を
挿通させると共に、自からのテーパー部１３ｄ，
１３ｄを第１カムブロツク９，９のテーパー部９
ｄ，９ｄと当接させている。

したがつて、便座カバー６を閉じた状態におい
て、第１カムブロツク９，９と第２カムブロツク
１３，１３のテーパー部９ｄ，９ｄ・１３ｄ，１
３ｄが、互いの傾斜部を摺動して軸方向に肉厚と
なる部分と接触しているので、第１カムブロツク
９，９は軸方向へ互いに押圧されて、圧縮コイル
スプリング１０を圧縮させている。

次に、便座カバー６を開くと、第１カムブロツ
ク９，９も共に回転し、その第１のカム部９ｂ，
９ｂに設けたテーパー部９ｄ，９ｄが第２カムブ
ロツク１３，１３の第２のカム部１３ｂ，１３ｂ
のテーパー部１３ｄ，１３ｄ上を摺動し、互いの
接触位置を次第に軸方向の肉厚部から肉薄部へ移
動させるので、互いに離れる方向へ摺動され、圧
縮コイルスプリング１０に対する押圧を除々に弛
めるように機能する。そして、第１カムブロツク
９，９のカム部に設けた段部９ｅ，９ｅが第２カ
ムブロツク１３，１３のカム部１３ｂ，１３ｂに
設けた段部１３ｅ，１３ｅに接することによつ
て、便座カバー６の開角度は規制される。勿論、
ここのところは何らかのストツパー或いは突起を
設けることによつて、便座カバー６の開角度を規
制しても良い。

次に、開いた便座カバー６を閉じると共に回転
する第１カムブロツク９，９のテーパー部９ｄ，
９ｄが、第２カムブロツク１３，１３のテーパー
部１３ｄ，１３ｄの面上を円周方向に摺動し、同
時に軸方向の互いに近づく方向に移動を強制され
る。しかるに、この移動は圧縮コイルスプリング
１０による弾力により抑制されるので、このこと
により、便座カバー６の閉蓋操作に伴う回転トル
クはセーブされ、手を離しても自然落下（閉蓋）
することはない。即ち、便座カバー６の閉蓋操作
は、手で便座カバーの先端を押圧させることによ
り、該便座カバーの重力に伴うトルクに、手の押
圧作用によつて加われるトルクの和が、圧縮コイ
ルスプリング１０の弾力に勝ることによつてなさ
れる。

第７図は他の実施態様を示す、図面に依れば、
便座カバー１４の取付部１４ａの方に取りつけた
第１カムブロツク１５，１５は、軸方向に移動可
能には構成されていず、ホルダー部１６，１６の
方に取りつけられた第２カムブロツク１７，１７
が軸方向へ移動可能に取りつけられている。

そして、取付部１４ａの方には圧縮コイルスプ
リングは設けられていず、ホルダー部１６，１６
の方に第２カムブロツク１７，１７を各々対向す
る方向に押圧させて、圧縮コイルスプリング１
８，１８が弾設されている。

したがつて、この実施態様のものにおいては、
便座カバー１４の開閉動作に伴いホルダー部１
６，１６側の第２カムブロツク１７，１７が圧縮
コイルスプリング１８，１８の弾力に抗して軸方
向に移動し、便座カバー１４のとくに閉蓋動作に
伴うトルクを制御して、急激に閉じないようにす
るものである。

尚、その他の実施態様として、ホルダー部は便
器本体と一体に作られても良い。また、カム部は
一側方のみでも良く、さらに独立に設けたホルダ
ー部、或いは便器本体より突設させたホルダー部
と一体に設けたものが考えられる。

また、テーパーの形状、位置は実施態様のもの
に限定されず、種々のものが考えられる。そし
て、このテーパーの形状、位置と圧縮コイルスプ
リングの弾力を適度に選択し、組み合わせること
によつて、一定開角度以上で、便座カバーが自動
的に開くよう構成することもできるものである。

以上詳細に説明したようにこの考案によれば、
便座カバーが急激に閉じることがないので、閉蓋
時に大きな衝撃音をたてることなく、また、小さ
な子供が手を挾んだり便座カバーが壊れたりする
心配がない等々の作用効果を奏し得る。

【図面の簡単な説明】

図面はこの考案の一実施態様を示し、第１図は
この考案を実施した便器本体の一部断面側面図、
第２図は同平面図、第３図は便座カバーを開いて
見た一部拡大断面図、第４図は便座カバーの取付
部の一部側面図、第５図はホルダー１１の側面
図、第６図イは第１カムブロツクの斜視図、ロは
第２カムブロツクの斜視図である。第７図は他の
実施態様を示す一部を省略した平面断面図であ
る。 １……便器本体、２……後部上縁、３，３……
ホルダー、４……便座、５……ヒンジ棒、６，１
４……便座カバー、９，９・１５，１５……第１
カムブロツク、９ｂ，９ｂ……第１のカム部、１
０……圧縮コイルスプリング、１１，１１・１
６，１６……ホルダー部、１３，１３・１７，１
７……第２カムブロツク、１３ｂ，１３ｂ……第
２のカム部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 便器本体の後部上縁に設けられた一対のホルダ
   ーと、このホルダーの少なくとも一方のものに設
   けられた第１のカム部と、前記ホルダーに取付部
   を軸着させた便座カバーと、前記取付部の少なく
   とも一側に設けられた第２のカム部とから成り、
   前記第１のカム部及び第２のカム部の少なくとも
   いずれか一方或いは相方を軸方向に移動可能に附
   勢させ、かつ、互いのカム部が当接して摺動する
   ように構成することにより、前記便座カバーの閉
   蓋時の回転トルクを制御するよう成したことを特
   徴とする、便座カバーの開閉装置。