JPS6318222Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、乗用者などの自動車の室内の後部座
席よりも走行方向後方で後窓ガラスの下方に設け
られる車載用後部スピーカ装置に関する。

複数な形状をしている自動車の車室内では、直
進性が強い高域成分をいかに高音質で再生するか
が課題になつている。先行技術では、特に、スピ
ーカの取付け位置よりも後部座席のヘツドレスト
が高い場合、高域成分の減衰が著しく、平坦な周
波数特性で再生を実現することが困難であつた。

本考案の目的は、車室内における高域成分の減
衰を防ぎ、優れた周波数特性で再生を実現するた
めの車載用後部スピーカ装置を提供することであ
る。

第１図は、本考案の一実施例の簡略化した平面
図である。自動車１の車室２には、運転席３、助
手席４および後部座席５が設けられている。車室
２よりも走行方向後方（第１図の下方）には、ト
ランク６が設けられる。

第２図は、車室２の後部付近の簡略化した断面
図である。後部座席５よりも走行方向後方（第２
図の右方）で後窓ガラス７の下方には、トランク
６を規定する取付け板８が設けられている。この
取付け板８には、本考案に従う一対のスピーカ装
置９が左右に装着される。これらの一対のスピー
カ装置９によつて、ステレオ音響を聞くことがで
きる。

第３図は、スピーカ装置９の平面図である。ス
ピーカ装置９の上部には、後述のツイータ１９
ａ，１９ｂからの音波を拡散するための音響レン
ズ装置１０が取付けられる。第３図では、自動車
１の走行方向２０が第３図の上方向に一致してい
る。

第４図は、スピーカ装置９の音響レンズ装置１
０を取り外した状態における正面図であり、第５
図は、スピーカ装置９の音響レンズ装置１０を取
り外した状態を示す側面図である。第６図はスピ
ーカ装置９をその側方から見た簡略化した縦断面
図である。ウーハ１１は、大略的に円錐体状の支
持体１２と、この支持体１２に弾性支持された円
錐状の振動板１３と、振動板１３に固定されたボ
イスコイル１４と、支持体１２に固定された永久
磁石１５と、永久磁石１５の端面を塞ぐ端板１６
とを含む。支持体１２には、取付け用フランジ１
７が形成される。ウーハ１１の振動板１３の軸線
２３は、第１図および第３図の紙面に垂直であ
り、第２図、第４図、第５図および第６図の上下
に延びる。

ウーハ１１を挿通して端板１６には支柱１８の
一端部が固着される。この支柱１８の他端部に
は、一対のツイータ１９ａ，１９ｂが固着され
る。このようにしてウーハ１１の振動板１３より
もそのウーハの音波の伝搬方向前方に、一対のツ
イータ１９ａ，１９ｂが配置される。これら一対
のツイータ１９ａ，１９ｂは、自動車１の走行方
向２０の前後にそれぞれ配置される。一方のツイ
ータ１９ａは、そのツイータ１９ａの振動板２１
ａの軸線２２ａがウーハ１１の振動板１３の軸線
２３に対してたとえば約45度の角度θ1を有してお
り、その軸線２２ａは走行方向２０の前方に延び
る。他方のツイータ１９ｂはそのツイータ１９ｂ
の振動板２１ｂの軸線２２ｂを有する。この軸線
２２ｂは、走行方向２０の後方に向かい、この軸
線２２ｂとウーハ１１の振動板１３の軸線２３と
はたとえば約45度の角度θ2を成す。この軸線２２
ｂは後窓ガラス７に向かつて延びる。このように
して第２図に明らかなように、ウーハ１１からの
音波は矢符２４のように伝搬し、後窓ガラス７に
反射して車室２内に拡がる。また一方のツイータ
１９ａからの音波は、矢符２５のように伝搬し、
後部座席５のヘツドレスト２６よりも上方から車
室２内に進む。他方のツイータからの音波は、矢
符３６のように後窓ガラス７に向かつて進み、こ
の後窓ガラス７に反射してヘツドレスト２６より
も上方から車室２内に伝搬する。このようにして
本件スピーカ装置９がヘツドレスト２６よりも下
方に設けられていても、高域成分を減衰すること
なく、高音質の再生音を車室２内で聞くことが可
能である。

第７図は音響レンズ装置１０の正面図であり、
第８図はその音響レンズ装置１０の側面図であ
る。音響レンズ装置１０は、スピーカ装置９のウ
ーハ１１に形成された取付け用フランジ１７に固
定されるための取付け座２７と、この取付け座２
７に固定された金網などから成る多孔板２８と、
多孔板２８に固定された拡散板２９ａ，２９ｂと
を含む。拡散板２９ａ，２９ｂは、ツイータ１９
ａ，１９ｂの直上にそれぞれ配置され、ウーハ１
１の振動板１３の軸線２３に対して垂直に延び
る。これらの拡散板２９ａ，２９ｂは、支持部材
３０によつて、上下に間隔をあけて支持される。
このような拡散板２９ａ，２９ｂによつて、ツイ
ータ１９ａ，１９ｂからの直進性の強い高域成分
の音波が均一に車室２内に拡散される。なお、本
考案では音響レンズ装置１０は設けられなくても
よい。

第９図は、車室２内の運転席３において得られ
た本件発明者による実験結果の周波数特性を示
す。この実験では、音響レンズ装置１０は使用さ
れていない。特性l1は第４図〜第６図に示された
スピーカ装置９によつて得られた特性であり、こ
の特性l1からわかるように高域成分の再現が向上
されたことがわかる。比較のために示される特性
l2は、単一個のツイータがウーハと同軸にウーハ
の音波の進む方向の前方に配置された従来からの
スピーカ装置による特性を示す。また比較のため
に示される特性l3は、一方のツイータ１９ａだけ
が用いられ、他方のツイータ１９ｂが除去された
場合における特性を示す。この実験ではヘツドレ
スト２６は取付け板８よりも約10cmだけ上方に突
出しており、後窓ガラス７は取付け板８に対して
約45度よりも小さい角度でいわゆるクーペ形に傾
斜している。ウーハ１１は可聴周波数の20〜4000
Hzの音域にわたつて再生を行ない、ツイータ１９
ａ，１９ｂは1500〜20000Hzにわたつて再生を行
なう。この実験結果によつて、本考案に従うスピ
ーカ装置９は高域成分の再生を高音質で行なうこ
とができることが確認された。

以上のように本考案によれば、ウーハの振動板
よりもそのウーハからの音波の伝搬方向前方に一
対のツイータを配置し、この一方のツイータの振
動板の軸線が走行方向前方に延びるようにして設
けられ、また他方のツイータはその他方のツイー
タの振動板の軸線が走行方向後方にかつ後窓ガラ
スに向かつて延びるようにして設けられているの
で、前進性を有する高域成分が前記一方のツイー
タから直接に車室内に伝搬され、また他方のツイ
ータからの音波は窓ガラスに反射して車室内に伝
搬することが可能になる。このようにして高域成
分を減衰することなく車室内で再生することが可
能になる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に従うスピーカ装置９が搭載さ
れた自動車１の簡略化した平面図、第２図は後部
座席５付近の縦断面図、第３図は本考案の一実施
例のスピーカ装置９の音響レンズ装置１０を装着
した状態を示す平面図、第４図はスピーカ装置９
の正面図、第５図はスピーカ装置９の側面図、第
６図はスピーカ装置９の側方から見た縦断面図、
第７図は音響レンズ装置１０の正面図、第８図は
音響レンズ装置１０の側面図、第９図は本件考案
者の実験結果の周波数特性を示すグラフである。 １……自動車、２……車室、９……スピーカ装
置、１０……音響レンズ装置、１１……ウーハ、
１３……振動板、１８……支柱、１９ａ，１９ｂ
……ツイータ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 自動車の車室の後部座席よりも走行方向後方で
   後窓ガラスの下方に設けられる車載用後部スピー
   カ装置において、ウーハの振動板よりも、ウーハ
   からの音波の伝搬方向前方に一対のツイータを配
   置し、ウーハはそのウーハの振動板の軸線が上方
   に延びるようにして設けられ、一方のツイータは
   その一方のツイータの振動板の軸線が走行方向前
   方に延びるようにして設けられ、他方のツイータ
   はその他方のツイータの振動板の軸線が走行方向
   後方にかつ後窓ガラスに向かつて延びるようにし
   て設けられ、この他方ツイータからの音波が後窓
   ガラスに反射して車室内の走行方向前方に伝搬す
   ることを特徴とする車載用後部スピーカ装置。