JPS6317613B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は化粧材の製造方法に係り、更に詳しく
は印刷柄と同調したエンボスが附与された化粧材
を機械的エンボス方式あるいは化学的エンボス方
式によらずして、印刷法によつて形成する化粧材
の製造方法に関する。

従来、化粧材の化粧面に凹凸模様（エンボス）
を施す手段としては、種々の方法が提案されてい
るが、例えばエンボスロールまたはエンボス板等
を使用する機械的エンボス方式、発泡剤、発泡抑
制剤または硬化抑制剤等を使用する化学的エンボ
ス方式等が知られている。

しかしながら、上記のような方式においては、
例えば、機械的エンボス方式では、化粧模様と凹
凸模様とが一致しないという欠点があり、また、
化学的エンボス方式では、樹脂の発泡、発泡抑
制、硬化あるいは硬化抑制等の各工程の制御が非
常に困難であつて所望の凹凸模様を顕現すること
が困難であり、特別の装置等を必要とする等の欠
点があつて好ましくないものである。

本発明者は化粧材の化粧面に凹凸模様を附与す
る方法について種々検討の結果、機械的エンボス
方式あるいは化学的エンボス方式等によらず、深
い腐蝕深度のグラビア印刷版と固型分が多く、揮
発分の少いインキを使用して、グラビア印刷方式
によつて肉盛印刷することにより凹凸模様を顕現
し得ること、並びにこの方法によつて形成した凹
凸模様が外圧に対して強く、製品を長時間堆積し
ても凹凸が消えることがないことを見い出し、か
かる知見にもとづいて本発明を完成した。

即ち、本発明の要旨は基材の上に、グラビア、
オフセツト、オフセツトグラビア等の通常の印刷
法により階調印刷模様部を形成する工程と、グラ
ビア印刷法により前記階調印刷模様部と同調整合
する肉盛り印刷凹凸模様部を形成する工程とより
なることを特徴とする化粧材の製造方法である。

以下、本発明につき、図面を参照しながら詳細
に説明する。

第１図ないし第３図は本発明に係る化粧材の製
造方法の工程を示す模式的断面図である。

先ず、第１図に示すように、基材１の上に、グ
ラビア、オフセツト、オフセツトグラビア等の通
常の印刷法によつて階調印刷模様部２を印刷形成
する。

次に、第２図に示すように、その上に200μ以
上の深い腐蝕深度のグラビア印刷版と固型分が多
く、揮発分の少いインキを使用して、グラビア印
刷して上記の階調印刷模様部に同調整合する肉盛
り印刷凹凸模様部３を形成する。

尚、上記において、階調印刷模様部と肉盛り印
刷凹凸模様部とを形成する順序は、いずれであつ
てもよく、本発明においては、その順序によつて
制限されるものではない。而して、本発明におい
ては、第３図に示すように、階調印刷模様部２と
肉盛り印刷凹凸模様部３とを含む全面に、これら
の模様部を保護するために、表面保護膜層４を設
けることができる。

上記の本発明の製造方法において、基材として
は、種々のものを使用することができ、例えば、
各種の紙、セロフアン、アセテート、ポリエチレ
ン又はポリプロピレン等のポリオレフイン、ポリ
塩化ビニル、ポリエステル、ポリ塩化ビニリデ
ン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリビニ
ルアルコール又は、ポリアミド等の各種の樹脂の
フイルムないしシート、各種の金属の板ないし
箔、各種の木材ないし合板、ゴムシート、その他
上記の如き材料を常法によつて積層したラミネー
シヨン・フイルム等の複合体を使用することがで
きる。

尚、本発明の製造方法においては、上記の基材
の上に、必要ならば任意の前処理を施すことがで
き、例えば、下地塗料等によるベースコート層の
形成等を行い得る。

次に又本発明の製造方法において、階調印刷模
様部を形成する際に使用するインキ組成物として
は、公知のもの例えば、インキないし塗料用ビヒ
クルに染料又は顔料等の着色剤を添加し、更に、
例えば可塑剤、安定剤、ワツクス・グリース、乾
燥剤、補助乾燥剤、硬化剤、増粘剤、分散剤、充
填剤等の公知の添加剤を任意に添加して、溶剤・
希釈剤等で充分混練してなるインキないし塗料組
成物等を使用することができる。

上記のインキないし塗料組成物においてビヒク
ルとしては、公知のもの、例えば、アマニ油、大
豆油、合成乾性油等の各種の油脂類、ロジン、コ
パールダンマル、硬化ロジン、ロジンエステル又
は重合ロジン等の天然樹脂および加工樹脂類、ロ
ジン変性フエノール樹脂、100％フエノール樹脂、
マレイン酸樹脂、アルキツド樹脂、石油系樹脂、
ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹
脂、エポキシ系樹脂、アミノアルキツド樹脂等の
合成樹脂類、ニトロセルロース、エチルセルロー
ス等の繊維素誘導体、塩化ゴム、環化ゴム等のゴ
ム誘導体、その他、膠、カゼイン、デキストリ
ン、ゼイン等を使用することができる。

次に又、上記の本発明の製造方法において、肉
盛り印刷凹凸模様の印刷形成用のグラビア印刷版
として腐蝕深度200μ以上の版を使用することが
必要である。このように深い深度に版を腐蝕する
場合においては腐蝕セルの形状と、印刷適性、肉
盛り効果の間に夫々重要な関係が生じ、セル間口
の深度に対する比が５以上になるとインキの転移
性は良いが、転移したインキが流れる傾向を示
し、逆に、その比が２以下では十分なインキ転移
性を示さない傾向がある。それ故、本発明の製造
方法においてはセル間口の深度に対する比が２以
上５以下のグラビア印刷版が最も適している。
又、腐蝕深度は200ないし400μ程度が望ましく、
200μ以下では肉盛り効果が不足し、一方、400μ
以上の深度になると十分にシヤープな柄を印刷す
る事が困難となる。

次に、肉盛り印刷凹凸模様の印刷形成に使用す
るインキ組成物としては印刷乾燥後も十分な体積
が保持されるように、固型分が多く揮発分の少い
インキを用いる必要がある。このようなインキ組
成物としては、塩化ビニルゾルをバインダーとし
た次の組成のインキ組成物が最も適している。

塩化ビニルペーレスレジン 100部 ジオクチルフタレート 60部 ジアリルフタレート 10部 炭酸カルシウム 10部 酸化チタン 30部 安 定 剤 ３部 又、熱硬化型の樹脂もバインダーとして有効で
あり、例えば次の組成のインキ組成物を本発明の
製造方法に従つて製造する場合有効に適用しうる
ものとしてあげることができる。

アミノアルキツド樹脂 100部 トルエンスルフオン酸 10部 炭酸カルシウム 100部 着 色 剤 20部 トルエン 80部 イソプロピルアルコール 35部 酢酸エチル 15部 次に又、上記の本発明の製造方法において、表
面保護膜層を形成するには、例えば、樹脂を主成
分とし、これに所要の添加剤等を添加し、溶剤等
で充分混練してなる透明樹脂組成物を、例えば、
ロールコート、グラビアコート、バーコート、エ
アナイフ・コート、フロコート、デイツプコー
ト、スプレイコート等の通常のコーテイング方法
でコーテイングすること、或は、透明樹脂のフイ
ルムないしシート状物を例えば接着剤塗布ラミネ
ーシヨン法或は熱溶融ラミネーシヨン法等の通常
の積層法で積層すること等によつて形成する方法
等で行うことができる。

以上、詳記した通り、本発明に係る化粧材の製
造方法によれば、印刷工程で凹凸模様を形成する
ことにより通常の印刷法による階調印刷模様の形
成を含めた印刷工程だけで立体感に富む化粧材を
得ることができる。即ち、いずれの模様の印刷も
印刷機を用いて同種の加工として行なえるので、
エンボス機と印刷機を用いるように異種の加工を
行なうときのように印刷速度や印刷時のテンシヨ
ン（張力）が加工毎に異なることがなく、常に同
等であり、伸びや巾方向のズレの食い違いも生じ
にくい。それ故、印刷柄と同調したエンボスを同
時に附与することができる為、きわめて意匠性に
富んだエンボス化粧材を安価に製造することがで
きるという従来の機械的エンボス方式では奏せら
れない独特の効果が奏せられるものである。更に
又、機械的エンボスの欠点として附与したエンボ
スが加圧に対して極めて弱く製品を長時間堆積す
ると凹凸が消える欠点があるが、本発明の製造方
法によりなる化粧材においてこの様な欠点が解消
されており、それ故本発明の製造方法によりなる
化粧材に対しては製品の保管、運送を簡易化する
ことができ、その取り扱いが平易となる。

而して、本発明の製造方法によつて得られる化
粧材は種々の用途を有し、例えば、壁装材、天井
材、床材、家具、キヤビネツト類等に適用するこ
とができる。

次に実施例をあげて、更に具体的に本発明につ
いて説明する。

実施例 坪量30ｇ/m²のプリント原紙に硝化綿をバイン
ダーとしたグラビアインキを用いて抽象柄をグラ
ビア印刷し、更に抽象柄の１部を隆起させる為、
深度250μに腐蝕したグラビア印刷版と次の組成
のグラビア印刷インキを用いて隆起部を印刷し
た。

塩化ビニルペーストレジン 100部 ジオクチルフタレート 50部 安 定 剤 ３部 メチルイソブチルケトン 20部 次いでこのシートにポリウレタン塗料をロール
コート法により固型分にして10ｇ/m²塗布し、80
℃で乾燥し、続いて210℃にて乾燥すると共に隆
起部の印刷インキを完全にゲル化させて立体感の
ある壁装材を得た。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第３図は本発明の化粧材の製造方
法の工程を示す模式的断面図である。 １……基材、２……階調印刷模様部、３……肉
盛り印刷凹凸模様部、４……表面保護膜層。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 基材の上に、グラビア、オフセツト、オフセ
   ツトグラビア等の通常の印刷法により階調印刷模
   様部を形成する工程と、グラビア印刷法により前
   記階調印刷模様部と同調整合する肉盛り印刷凹凸
   模様部を形成する工程とよりなることを特徴とす
   る化粧材の製造方法。 ２ 腐蝕深度が200ないし400ミクロンのグラビア
   印刷版を用いて前記肉盛り印刷凹凸模様部を印刷
   形成することを特徴とする特許請求の範囲第１項
   記載の化粧材の製造方法。 ３ セル間口の深度に対する比が２以上５以下で
   あることを特徴とする特許請求の範囲第１項又は
   第２項記載の化粧材の製造方法。 ４ 塩化ビニルゾルをバインダーとしたグラビア
   印刷インキを用いて前記肉盛り印刷凹凸模様部を
   印刷形成することを特徴とする特許請求の範囲第
   １項、第２項又は第３項記載の化粧材の製造方
   法。 ５ 前記階調印刷模様部及び肉盛り印刷凹凸模様
   部を形成したのち、透明樹脂組成物をコーテイン
   グするか或いは透明樹脂フイルムないしシート状
   物を積層して表面保護膜を形成することを特徴と
   する特許請求の範囲第１項、第２項、第３項、又
   は第４項記載の化粧材の製造方法。