JPH0347883Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はエンボス用シートに関する。

従来、メラミン化粧板、DAP化粧板等の化粧
板において、該化粧板に立体感のある凹凸模様を
出すために、ローラーエンボス、型板エンボス等
の方法が行なわれているが、それらを用いたエン
ボス加工は煩雑である上、それらエンボス版の製
造も面倒でコスト的に高価になる欠点があつた。

又樹脂フイルム、金属箔等自体に一体に凹凸模
様を設けてエンボス用シートとして使用するもの
も考えられるが、これらはシヤープな凹凸模様が
付与され難く、且つその製造も面倒であるとの欠
点があつた。

本考案は上述した従来技術の欠点を克服したエ
ンボス用シートを提供することを目的とする。

すなわち本考案は、シート基材の表面に印刷に
より任意のパターン模様を有する多数のインキ層
を形成すると共に該インキ層を被覆する剥離性及
び耐熱圧性の被覆層を形成し、それらのインキ層
及び被覆層からなる凹凸部を設けてなることを特
徴とするエンボス用シートを要旨とする。

以下、本考案の実施例を図面に基づき説明す
る。第１図には本考案の一実施例であるエンボス
用シート１が示されている。該シート１はシート
基材２の表面に凹凸部３を設けた構成になつてい
る。該凹凸部３は印刷により任意のパターン模様
を有する多数のインキ層４及び該インキ層４を被
覆する剥離性及び耐熱圧性の被覆層５を形成する
ことにより形成される。

印刷方法としては、シルクスクリーン印刷、グ
ラビア印刷、グラビアオフセツト印刷、平版オフ
セツト印刷、ダイリン印刷、凸版印刷、凹版印
刷、ジエトプリント、静電印刷等が挙げられる。
上記中でシルクスクリーン印刷が最も適した印刷
方法であり、又版深が50〜300μのグラビア印刷
も使用するのに好適である。

印刷に使用されるインキは通常インキ樹脂、体
質顔料、溶剤等から構成されている。インキ樹脂
としては、エチルセルロース、エチルヒドロキシ
エチルセルロース、セルロースアセテートプロピ
オネート、酢酸セルロース等のセルロース誘導
体、ポリスチレン、ポリαメチルスチレンなどの
スチレン樹脂及びスチレン共重合樹脂、ポリメタ
クリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリ
アクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチルなどの
アクリル又はメタクリル樹脂の単独又は共重合樹
脂、ロジン、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン
変性フエノール樹脂、重合ロジンなどのロジンエ
ステル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、クマロン樹
脂、ビニルトルエン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリ
エステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ブチラール樹
脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共
重合樹脂等が挙げられる。又体質顔料としては、
炭酸カルシウム、クレー、カオリン、シリカ、ア
ルミナ等の無機質が挙げられる。体質顔料の樹脂
に対する割合は、５〜12倍、好ましくは８倍〜10
倍である。溶剤としては、メチルイソブチルケト
ン、メチルエチルケトン、アノン等通常用いられ
る有機溶媒が挙げられる。シート基材２の材質と
しては、薄葉紙、晒クラフト紙、チタン紙、リン
ター紙、板紙、石こうボード紙等の紙、ポリエチ
レンフイルム、ポリプロピレンフイルム、ポリ塩
化ビニルフイルム、ポリ塩化ビニリデンフイル
ム、ポリビニルアルコールフイルム、ポリエチレ
ンテレフタレートフイルム、ポリカーボネートフ
イルム、ナイロンフイルム、ポリスチレンフイル
ム、エチレン酢酸ビニル共重合体フイルム、エチ
レンビニルアルコール共重合体フイルム、アイオ
ノマー等のプラスチツクフイルム、鉄、アルミニ
ウム、銅等の金属箔若しくはシート、並びに以上
の各基材の複合体及びセラミツク基材等が挙げら
れる。

被覆層５の形成方法としては、図示の如くイン
キ層４による基材２の凹凸を有する表面に樹脂組
成物等を印刷に依りコーテイングするか、或いは
樹脂フイルム、金属箔等をラミネートすることに
より形成する。被覆層５の材質としては、例えば
アルミ箔等の金属が挙げられる。

本考案は被覆層５を設けることにより、インキ
層４を保護しインキ層４の破壊を防止でき、ひい
ては凹凸部３の強度を増大できる利点がある。ま
た、被覆層５の材質は被エンボス材に用いられる
材質（例えばメラミン樹脂、DAP樹脂等の熱可
塑性樹脂）に対し剥離性の良い材質でもあるの
で、解圧時に凹凸部３が被エンボス材に付着する
こともなく製造がより円滑に行われる利点があ
る。さらにインキ層４、被覆層５の材質、厚みを
調節して、同一シート上で深さ等の違つた凹凸部
を形成出来き、一枚のエンボス用シートで多段プ
レスと同様の効果を得られる。

本考案のエンボス用シートは例えば高圧メラミ
ン成型、低圧メラミン成型、DAP成型等の熱硬
化性化粧板の熱圧成型時に加熱押圧手段と被エン
ボス材との間に介在され、熱圧成型により化粧板
を成型すると同時に本考案エンボス用シートによ
つて化粧板表面に凹凸模様、クレーター模様等の
立体模様を形成するものである。以上の様に本考
案エンボス用シートは、シート基材に凹凸部を印
刷に依り形成する為、製造が容易であると共に、
大量生産が可能で極めて安価に製造できる効果が
ある。しかも剥離性及び耐熱圧性の被覆層を設け
てなるためインキ層を充分に保護し凹凸部自体が
強度的に優れたものとなり、またエンボス加工の
解圧時には凹凸部が被エンボス材に付着すること
がなく加工をより円滑に行うことができる効果が
ある。特にグラビア印刷及びロータリースクリー
ン印刷を用いて本考案シートを作製した場合エン
ドレス形式のエンボス用シートが作製できる利点
がある。又印刷により凹凸部を形成しているから
該凹凸部はシヤープに形成され、従つて本考案エ
ンボス用シートを用いてエンボス加工を施したと
き、化粧板の表面に極めてシヤープな凹凸模様が
形成される等種々の効果を有するものである。

次に本考案の具体的実施例を挙げてさらに詳細
に説明する。

実施例 １ 印刷面をコロナ処理した厚さ40μの無延伸CPP
シート（東京セロフアン(株)製）上に、塩化ビニル
樹脂6.5％、炭酸カルシウム60％、メチルイソブ
チルケトン４％、メチルエチルケトン14％、アノ
ン15.5％から成るインキを用いて、グラビア印刷
（120μダイレクトエツチング版）により所定のパ
ターン模様に印刷を施こした。さらに厚さ15μの
アルミ箔（東洋アルミ製）を厚さ10μのポリエチ
レンフイルムを介してラミネートして凹凸部を有
するエンボス用シートを作製した。

上記エンボス用シート１を用いて第３図の如く
該シート１を当て板６とオーバレイ含浸紙７との
間に介在し、140℃、100Kg／cm²の条件下で10分間
化粧板の高圧メラミン成型を行なつた。図中８は
熱板、９はパターン含浸紙、１０はフエノールコ
ア含浸紙である。冷却解圧後表面凹凸を有し立体
感がある高圧メラミン化粧板を得た。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す縦断面図、第
２図は本考案シートを用いて高圧メラミン成型を
行う状態を示す縦断面略図である。 １……エンボス用シート、２……シート基材、
３……凹凸部、４……インキ層。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. シート基材の表面に印刷により任意のパターン
   模様を有する多数のインキ層を形成すると共に該
   インキ層を被覆する剥離性及び耐熱圧性の被覆層
   を形成し、それらのインキ層及び被覆層からなる
   凹凸部を設けてなることを特徴とするエンボス用
   シート。