JPS6317553Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔技術分野〕 本考案は縦鋳込用砂型に関する。

〔従来技術〕

砂型の上下方向に複数の製品キヤビテイが配設
された縦鋳込用砂型においては、製品キヤビテイ
が設けられた位置の差、特に湯口からの高さ方向
の距離の差により溶湯ヘツド圧（溶湯の静水圧）
が異なる。このため、各製品キヤビテイへの溶湯
圧が下方側程大きくなり、この溶湯圧により下方
の製品キヤビテイを郭定している砂型面内に溶湯
が差し込み、鋳造品にメザシと呼称される表面欠
陥が発生する。

従来、かかる対策として鋳物砂の成分の変更、
エアベント等を用いて砂の充填密度を高くする等
の方法が採られているが、縦鋳込用砂型を用いて
鋳造を行う場合には、下方側に位置する鋳造製品
の表面欠陥を完全になくすことはできなかつた。
これは、メザシの主要発生原因である溶湯圧が制
御されていないためと考えられる。

〔考案の目的〕 本考案は上記従来技術の問題を解決するために
なされたもので、鋳造品の表面欠陥であるメザシ
の発生を防止できる縦鋳込用砂型を提供すること
を目的とする。

〔考案の構成〕

かかる目的は、本考案によれば、次の縦鋳込用
砂型によつて達成される。

即ち、本考案の縦鋳込用砂型は、砂型上部の湯
口に連通して上下方向に延在して設けられた湯道
より、適宜間隔を保つて複数の堰およびこの堰に
連通する製品キヤビテイが設けられた縦鋳込用砂
型であつて、 上方側の堰と下方側の堰の間の湯道の一部が他
の湯道の部分より狭くされていることを特徴とし
ている。

本考案において、湯道が狭くされている部分、
即ち湯道の薄肉部は、上方側の堰（もしくは横湯
道）と下方側の堰（もしくは横湯道）の間に設け
られる。この湯道の薄肉部は通り道の断面積が他
の部分より狭くなつていればよく、断面形状は矩
形でも円形でもよい。どの程度狭くするかは、湯
道の大きさ、長さ等を考慮して適宜決めることが
できるが、この湯道の薄肉部は注湯後１分以内で
凝固する大きさとすることが望ましい。これは、
メザシが発生するのは溶湯圧が掛かつてから一定
時間経過後であり、砂型の砂が溶湯により強度が
低下したのち砂の間に溶湯が差し込むためと考え
られ、通常１分以上が必要である。

〔考案の作用〕 本考案に係る縦鋳込用砂型を用いて鋳造を行う
と、湯口、湯道等を経由した溶湯が各製品キヤビ
テイに充填され、１分以内に湯道の薄肉部が凝固
する。このため、この薄肉部より下方に設けられ
た製品キヤビテイ内の溶湯には、薄肉部より上方
の溶湯圧は掛からず、薄肉部より下方の溶湯圧の
み掛かる。

〔考案の効果〕

以上より、本考案の縦鋳込用砂型によれば、次
の効果を奏する。

(イ) 湯道の薄肉部より下方に設けられた製品キヤ
ビテイ内の溶湯に過大な溶湯圧が掛かるのが防
止されるため、鋳造品には過大な溶湯圧に起因
するメザシと呼ばれる表面欠陥が防止され、品
質が向上する。

(ロ) 本考案の縦鋳込用砂型は、従来の縦鋳込用砂
型に対し湯道の一部を狭くするだけでよいた
め、比較的容易に実施ができる。

〔実施例〕

次に、本考案の実施例を図面を参考にして説明
する。

（第１実施例） ここで、第１図は本考案の第１実施例に係る縦
鋳込用砂型を示す縦断面図、第２図は第１図の
−線矢視図である。

第１図において、１は砂型であり、この砂型１
の上部には湯口２が形成され、この湯口２と連通
し上下方向に延在する縦湯道３が形成されてい
る。この縦湯道３には、上下方向略等間隔に上か
ら第１の横湯道４ａと第２の横湯道４ｂの２つの
横湯道４が設けられ、これらの横湯道４ａ，４ｂ
にはそれぞれ一対の第１の堰５ａと第２の堰５ｂ
の２つの堰５が設けられ、この堰５はそれぞれ第
１の製品キヤビテイ６ａと第２の製品キヤビテイ
６ｂに連通している。そして、第１の横湯道４ａ
と第２の横湯道４ｂが分岐している縦湯道３の途
中には、第２図に示すように、通り道が狭くなつ
た部分、即ち薄肉部７が設けられている。

この砂型１を用いて重力鋳造を行つた。

第１図において、湯口２からFC25相当の溶湯
を注ぎ込んだ。溶湯は湯口２、縦湯道３、横湯道
４、堰５を経由して製品キヤビテイ６に導入、充
填された。このとき、縦湯道３の薄肉部７は、周
囲の鋳物砂により早期（１分以内）に凝固した。
この結果、１分経過後は第２の製品キヤビテイ６
ｂには、薄肉部７より下方に存在する溶湯圧しか
掛からなくなる。

本実施例に係る縦鋳込用砂型を用いて製造され
た鋳造品を調べたところ、第２の製品キヤビテイ
で得られた鋳造品においてもメザシの発生はな
く、品質的に優れたものであつた。

（第２実施例） 縦湯道の薄肉部を第３図に示す形状としたこと
以外、他は実質的に第１実施例と同様の縦鋳込用
砂型を造型した。即ち、本実施例では、縦湯道の
薄肉部より下方側の湯道の断面積を上方側より大
きくしたことが特徴である。かかる形状のもの
は、周囲の鋳物砂による冷却に加え、溶湯の凝固
収縮に伴いこの薄肉部が切れやすくなり、薄肉部
の上方側と下方側の遮断を促進する結果となる。

本実施例においても、得られた鋳造品は第１実
施例と同様にメザシの発生はなく、品質的に優れ
たものであつた。

以上、本考案の特定の実施例について説明した
が、本考案は、この実施例に限定されるものでは
なく、実用新案登録請求の範囲に記載の範囲内で
種々の実施態様が包含されるものである。

例えば、実施例においては上下方向に２段に製
品キヤビテイを配設した例を示したが、上下方向
に３段以上に製品キヤビテイを配設してもよい。
この場合は、湯道の薄肉部はほぼ中央に設けるの
が望ましい。

また、実施例では横湯道を設けた例を示した
が、横湯道を用いないで直接縦湯道から堰に接続
してもよい。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の第１実施例に係る縦鋳込用砂
型を示す縦断面図、第２図は第１図の−線矢
視図、第３図は本考案の第２実施例に係る縦鋳込
用砂型の湯道の薄肉部近傍を示す部分断面図であ
る。 １……砂型、２……湯口、３……縦湯道、４…
…横湯道、４ａ……第１の横湯道、４ｂ……第２
の横湯道、５……堰、５ａ……第１の堰、５ｂ…
…第２の堰、６……製品キヤビテイ、６ａ……第
１の製品キヤビテイ、６ｂ……第２の製品キヤビ
テイ、７……薄肉部。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 砂型上部の湯口に連通して上下方向に延在して
   設けられた湯道より、適宜間隔を保つて複数の堰
   およびこの堰に連通する製品キヤビテイが設けら
   れた縦鋳込用砂型であつて、 上方側の堰と下方側の堰の間の湯道の一部が他
   の湯道の部分より狭くされていることを特徴とす
   る縦鋳込用砂型。