JPS6317227Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の技術分野〕 本考案は変圧器コイルの口出し部の構造を改良
した変圧器に関する。

〔考案の技術的背景〕

例えば単相変圧器において大容量のものにあつ
ては、変圧器コイルが大型で工作が面倒となるた
めに、一次側コイルと二次側コイルを夫々分割し
て並列接続することにより工作の容易化を図る方
式が採用されている。すなわち、第１図で示すよ
うに一次側コイル１をコイル１Ａとコイル１Ｂ
に、二次側コイル２をコイル２Ａとコイル２Ｂに
夫々分割し、変圧器鉄心の２個の主脚部に夫々二
次側コイル２Ａ，２Ｂが内側となるようにしてコ
イル１Ａとコイル２Ａ、コイル１Ｂとコイル２Ｂ
を夫々内外側に分けて同心円的に巻装することに
より２組のコイル構造体Ａ，Ｂを設け、さらに一
次側のコイル１Ａとコイル１Ｂ、二次側のコイル
２Ａとコイル２Ｂを夫々並列的に接続したもので
ある。そして、コイル構造体Ａ，Ｂの外側に巻装
された一次側の各コイル１Ａ，１Ｂには夫々複数
の巻回数位置（タツプ電圧位置）にタツプ口出し
部３，３を設け、各コイル１Ａ，１Ｂにおいて同
レベルの巻回数位置にある口出し部３，３を夫々
切換選択して電源端子に対して並列的に接続する
ことにより所定のタツプ電圧を得るようにしてい
る。

しかして、このような方式の変圧器コイルにお
いて、タツプ口出し部は従来第２図および第３図
で示す構成をなしている。図において４は鉄心で
あり、この鉄心４の２個の主脚部にはコイル構造
体Ａ，Ｂを巻装する。コイル構造体Ａ，Ｂは鉄心
４主脚部に取付け絶縁筒５上に二次側のコイル２
Ａ，２Ｂを巻回し、絶縁処理を施してコイル２
Ａ，２Ｂの外側に一次側のコイル１Ａ，１Ｂを巻
回したものである。外側のコイル１Ａ，１Ｂには
複数のタツプ口出し部３、例えば３個のタツプ口
出し部３₁，３₂，３₃が夫夫所定の巻回数位置毎
に設けてある。このタツプ口出し部３は第３図で
示す構成をなしている。コイル１Ａ，１Ｂにおけ
る最外層のコイル導体６を所定の巻回数位置のタ
ツプ口出し個所にて一旦切断（分断）し、この切
断により分断されたコイル導体６の両端部６ａ，
６ａを重ねてコイル径方向に折曲して外方に突出
させ、この突出した部分に圧着端子からなるタツ
プ口出端子７を取付ける。そして、一端部を一次
側端子８に接続した接続線９，９の他端部を、各
コイル１Ａ，１Ｂに夫々設けたタツプ口出し部３
すなわち口出し部３₁，３₂，３₃に切換接続して
所定のタツプ電圧を得ている。

なお、図中１０は各コイル構造体Ａ，Ｂの二次
側コイル２Ａ，２Ｂを接続線１１，１１を介して
接続する二次側端子である。

〔背景技術の問題点〕

しかして、従来の変圧器においては、各コイル
構造体Ａ，Ｂにおけるコイル１Ａ，１Ｂに夫夫設
けた複数のタツプ口出し部３を各々個別に電源端
子に接続する構成であるから、各タツプ口出し部
３全てにおいて夫々コイル導体６に口出し端子７
を取付ける必要がある。このため、タツプ口出し
部３を組立てる作業が大変面倒であり、多くの口
出し端子７を必要とする問題がある。また、タツ
プ電圧を変更する時に各コイル構造体Ａ，Ｂの
各々のタツプ口出し部３を同じ位置にあるタツプ
口出し部３に合せる必要があり、一方のタツプ口
出し部３の切換え忘れによる事故誘発の危険をも
もち合せている。

さらに、タツプ口出し部を第３図のように構成
しても、コイルの巻始めに近いタツプ口出し部３
は、コイル導体６を順次切断してその切断端部を
コイル径方向に突出させ、２本または複数本のコ
イル導体６で構成できるが、コイル巻回最終端の
タツプ口出し部３は、第４図で示すように片側の
コイル導体６のみで構成することになる。なお、
図中１５は添棒である。ところで、タツプ口出し
部３の口出端子７には第５図および第６図で示す
ように接続線９端部に取付けた接続端子１２をボ
ルト１３とナツト１４により接続固定している
が、タツプ切換作業において巻回最終端のタツプ
口出し部３における口出し端子７から接続端子１
２の固定を緩める場合に、コイル導体６は片側の
一本のみで機械的強度が小であるから、コイル導
体６の端部６ａが外部応力により図示P₁または
P₂矢印方向に変形して口出し端部７も動いてし
まい、再度接続端子１２を接続する時に良好に接
続することが仲々困難であるという問題もある。

〔考案の目的〕 本考案はタツプ口出し部の構成が簡素で機械的
強度が大であり、且つタツプ口出し部の組立作業
を容易に且つ誤作業を少なく行なえる変圧器を提
供するものである。

〔考案の概要〕

本考案の変圧器は、鉄心の少なくとも２個の主
脚部にそれぞれコイル構造体を設け、この各コイ
ル構造体の外側に巻回したコイルのコイル導体を
夫々同一巻回数位置で切断して、夫々のコイル導
体の端部を同一のタツプ口出し個所に位置させて
１個の口出し端子を共通に取付けることにより、
各コイルにおける同レベルのタツプ口出し部を一
体的にまとめて構成するものである。

〔考案の実施例〕

以下考案を図面で示す実施例について説明す
る。

本考案の変圧器の一実施例を第７図および第８
図について説明する。第７図および第８図におい
て第２図および第３図と同一部分は同一符号を付
してある。この実施例のコイル構成は、鉄心４の
２個の主脚部に絶縁筒５を介して二次側のコイル
２Ａ，２Ｂを夫々巻回し、これらコイル２Ａ，２
Ｂの外側に一次側コイル１Ａ，１Ｂを夫々巻回し
て、コイル構造体Ａ，Ｂを構成し、各コイル構造
体Ａ，Ｂのコイル１Ａ，１Ｂ同志とコイル２Ａ，
２Ｂ同志を夫々並列接続したものである。

各コイル構造体Ａ，Ｂの外側に巻回した一次側
のコイル１Ａとコイル１Ｂとの間の空間の個所に
は、各コイル１Ａ，１Ｂの夫々の最外層に巻回さ
れたコイル導体６，６を組合せて構成した各コイ
ル１Ａ，１Ｂ共通の複数個のタツプ口出し部１
６、例えば３個の口出し部１６₁，１６₂，１６₃
が所定の巻回数位置に分けて夫夫設けてある。タ
ツプ口出し部１６の構成について述べる。一方の
コイル構造体Ａのコイル１Ａにおいて最外層の所
定巻回数位置にて巻回されているコイル導体６を
途中で切断して分断する。他方のコイル構造体Ｂ
のコイル１Ｂにおいて最外層のコイル１Ａと同じ
巻回数位置に巻回されているコイル導体６を途中
で切断して分断する。一方のコイル１Ａにおける
コイル導体６の切断された両端部６ａ，６ａと、
他方のコイル１Ｂにおけるコイル導体６の切断さ
れた両端部６ａ，６ａを、コイル構造体Ａとコイ
ル構造体Ｂとの間に夫々位置させ、且つこれらコ
イル導体６の端部６ａ，６ａとコイル導体６の端
部６ａ，６ａを互に重ねて束ねて揃えた状態に
し、コイル半径方向に沿い突出長さl₁をもつて外
側に向けて折曲してコイル外側へ突出させる。ま
た、各コイル導体６，６の端部６ａ，６ａおよび
６ａ，６ａの先端は絶縁被覆を剥して長さl₂をも
つて内部の芯線を夫々裸出し、この裸出した芯線
を束ねて揃えた状態にして１個の圧着端子からな
る口出し端子７を嵌合圧着して取付ける。このよ
うにしてタツプ口出し部１６すなわち、タツプ口
出し部１６₁〜１６₃は、各コイル構造体Ａ，Ｂの
コイル１Ａ，１Ｂにおける各タツプ口出し部（コ
イル導体６の切断部）を一個所に集合させて一体
に組合せ、１個の口出し端子７を取付けることに
より１組のタツプ口出し部として構成したもので
ある。なお、タツプ口出し部１６₁〜１６₃の口出
し端子７には従来と同様に接続線９に取付けた接
続端子１２をボルト１３およびナツト１４により
接続固定し、接続線９は一次側端子８に接続す
る。

そして、タツプ口出し部１６₁〜１６₃のなかか
ら所定レベルの口出し部を切換選択して接続線９
を接続することにより、所定のタツプ電圧を得
る。

しかして、この変圧器においては、コイル構造
体Ａのタツプ口出し部とコイル構造体Ｂのタツプ
口出し部を１個にまとめて１組として組立てるた
めに、各コイル構造体Ａ，Ｂにおいて夫夫個別に
タツプ口出し部を組立てる場合に比して作業工数
が半分となり、タツプ組立作業に要する手間と時
間を大幅に削減でき、且つ口出し端子７の数も半
分に減少できる。また、各コイル構造体Ａ，Ｂの
各タツプ口出し扮を夫々１個所にまとめることに
より、タツプ電圧を変更する時に１組のタツプ口
出し部１６に接続するだけで、各コイル構造体
Ａ，Ｂの同レベルにある各タツプ口出し部を合せ
て接続することができ、切換え忘れによる事故誘
発の危険を防止できる。また、各コイル構造体
Ａ，Ｂのコイル１Ａ，１Ｂにおける各コイル導体
６，６の切断部を束ねて口出し端子７を取付ける
構成であるために、各コイル導体６，６が外力に
対して相互に作用し合つて変形が少なく充分な機
械的強度を有しており、口出し端子７に接続して
いた接続子１２の締付けを緩める場合に作用する
外力に対しても充分耐えて変形を生ずることが少
ない。また、タツプリードは各コイル１Ａ，１Ｂ
のタツプ口出し部を一体的に組立てるために配線
作業が不要となる。

前記の実施例では各コイル１Ａ，１Ｂのコイル
導体６を圧着端子からなる口出し端子７により圧
着して組立てる場合について述べたが、これに限
らず他の組立て構造とすることもできる。コイル
導体６にアルミニウム導体を使用すると、銅など
の他の金属で形成された圧着端子からなる口出し
端子７によるタツプ口出しは困難である。そこ
で、第９図で示すように各コイル１Ａ，１Ｂのア
ルミニウムからなるコイル導体６，６を所定の巻
回数位置にて夫々切断（分断）し、夫々の切端さ
れた端部６ａ，６ａを一個所にまとめて突出長た
l₃をもつてコイル外側に向け折曲突出させる。次
にコイル導体６，６の端部６ａ，６ａの絶縁被覆
を長さl₄の範囲で剥離し、コイル導体６，６と同
じアルミニウムからなる平板型の口出し端子１７
をコイル導体６，６の端部６ａ，６ａの間に挾ん
で、端部６ａ，６ａおよび端子１７を冶金学的な
接合、例えばミグ溶接などにより接合固定に接合
してタツプ口出し部を構成する。

〔考案の効果〕

本考案の変圧器は以上説明したように、鉄心の
少なくとも２個の主脚部に設けられた各コイル構
造体のコイルにおいて夫々同じ巻回数位置で切断
したコイル導体の切断部を同一個所にまとめて一
個の口出し端子を取付けてタツプ口出し部を組立
てるので、コイル構造体全体としてタツプ口出し
部の数を減少させて、タツプ口出し部の組立作業
を大幅に簡素化できる。また、タツプ口出し部の
機械的強度を高めてタツプ切換え時などに外力が
加わつても変形を防止することができ、さらにタ
ツプ切換え時には各コイル構造体のタツプ口出し
部を一度にまとめて切換え接続でき切換え忘れを
防止できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案が対象とする変圧器のコイルの
結線を示す回路図、第２図ないし第６図は従来例
を示すもので、第２図は従来の変圧器におけるコ
イルのタツプ口出し部の接続構造を示す正面図、
第３図ａ，ｂは夫々タツプ口出し部の構成を示す
変圧器コイルの平面図および正面図、第４図ａ，
ｂは夫々タツプ口出し部の例を示す変圧器コイル
の平面図および正面図、第５図および第６図は
夫々タツプ口出し部と接続端子との接続構造を示
す平面図および正面図、第７図および第８図は
夫々本考案の一実施例を示すもので、第７図は変
圧器を示す正面図、第８図ａ，ｂは夫々タツプ口
出し部の構成を示す変圧器コイルの平面図および
正面図、第９図ａ，ｂは夫夫本考案の他の実施例
を示す変圧器コイルの平面図および正面図であ
る。 １Ａ，１Ｂ……一次側コイル、２Ａ，２Ｂ……
二次側コイル、３，３₁，３₂，３₃……タツプ口
出し部、４……鉄心、６……コイル導体、７……
口出し端子、８……一次側端子、９……接続線、
１２……接続端子、１６，１６₁，１６₂，１６₃
……タツプ口出し部、１７……口出し端子、Ａ，
Ｂ……コイル構造体。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 鉄心の少なくとも２個の主脚部にそれぞれ一次
   側コイルと二次側コイルを内外側に分けて同心的
   に巻装したコイル構造体を設け、各コイル構造体
   における一次側コイル同志および二次側コイル同
   志を夫々並列接続したものにおいて、前記各コイ
   ル構造体にて外側に巻回されるコイル導体を各コ
   イル毎に同じ巻回数位置で夫々切断し、各コイル
   のコイル導体の切断された端部を共通のタツプ口
   出し個所にて重ねてコイル外側に向け突出させ、
   突出されたこれらコイル導体の端部に共通にタツ
   プ口出し端子を取付けたことを特徴とする変圧
   器。