JPS63171555A - 人工血管及びその製造方法 - Google Patents

人工血管及びその製造方法

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JPS63171555A
JPS63171555A JP62001845A JP184587A JPS63171555A JP S63171555 A JPS63171555 A JP S63171555A JP 62001845 A JP62001845 A JP 62001845A JP 184587 A JP184587 A JP 184587A JP S63171555 A JPS63171555 A JP S63171555A
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artificial blood
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artificial
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金子 憲明
平田 吉見
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Ube Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、長期に亘って優れた開存性を有しており、特
に中小口径の人工血管として適している人工血管及びそ
の製造方法に関する。
(従来の技術) 従来、人工血管としてはポリエチレンテレフタレートを
材料とし、これを紡糸して得られるポリエステルの高分
子miを編織してチューブ状とし、これに蛇腹状のひだ
をつけてキンキング現象(屈曲によって折れる現象)を
防止したものや、ポリ四フッ化エチレンをチューブ状に
成形し、延伸加工してフィブリル化(微細な繊維状構造
化)したもの(以後、フッ素樹脂系人工血管という)が
用いられている。これらを代用血管として用いると、管
壁の構造が有孔化されているために、この隙間に細胞が
浸入生育し、生体化するという利点がある。
従来のポリエステル繊維による人工血管もまた延伸加工
したポリ四フッ化エチレンの人工血管も、生体に移植さ
れると、まず血液と接触する内表面に凝血層が生じ、こ
の上に細胞が増殖して内皮膜を形成して抗血栓性の内膜
となる。このように血管の内壁が生体化してはじめて人
工血管は生体代用物としての役割を果たすのであるが、
最初に生成する凝血層の厚さは1mm−1,5mmにも
達し、また内皮膜が形成された後にもこの内皮膜の肥厚
が経時的にみられる。
このため、血管として移植後、通常内口径の狭窄が生じ
、内ロ径6mm以下のものは実質的に使用出来ない、実
際に安心して用いられる人工血管は、現行の性能では内
口径10mm以上のものである。
すなわち、内口径10mm〜61!lImのものは経時
的に次第に内口径が挟まり、3年後の開存率は60〜7
0%である。したがって、現状では内ロ径6mm以下の
人工血管では長期開存性が悪く、殊に4n++a以下の
ものでは実用に供しうるちのは存在しない。
冠状動脈狭窄のために心不全をおこす患者を救うために
行われる冠状動脈バイパス手術には自己の伏在静脈を摘
出して、これを専ら利用しているが、人によっては適当
な伏在静脈が使えない場合がある。
幸い自己の伏在静脈を摘出利用して、冠状動脈バイパス
手術に成功しても、これまでの累積成績でみる限り、移
植した人工血管の開存率は5年後で60〜70%といわ
れており、したがって30〜40%の人は5年後に、再
手術を受けなくてはならないこととなる。この場合、最
早利用出来る伏在静脈がないので、この患者の救命は難
しい。
このような人々を救命するためには内口径が4)ないし
3mmの開存性に優れた人工血管が必要であるが、世界
の研究者の10余年に亘る懸命の開発努力にもかかわら
ず、実用に供しうる小口径人工血管の開発成功例はない
この不成功の原因は、いずれも移植人工血管の閉塞によ
るものであるが、この閉塞には、凝血による閉塞、吻合
部に生じるパヌス(生長肉塊)、吻合部付近に生じるス
テノシス(狭窄)に起因するものが多い。
人工血管に要求される基本性能は多岐に亘るが、現在量
も強く要望されているのは、■力学的性質が充分実用に
耐え生体内で劣化しないこと、■生体適合性が良いこと
、■抗血栓性が優れ、狭窄、閉塞しないこと、■易治癒
性を備えていること、等があげられる。
小口径の人工血管を考えると、これが実用に供しうるた
めには、移植後の管内壁に生成する初期血栓の生成を抑
えること、内皮膜の肥厚を抑えることが大切で、4ma
+以下の人工血管では、これが達成されないと血管の開
存性の点から実用化は難しい。
小口径の人工血管に長期開存性゛を付与するべく1人工
血管の構成材料として抗血栓性に優れたものを用いるこ
とにより、移植直後から数ケ月の間に生成する初期血栓
が厚く生長することを抑制すること力5行われている。
さらには、人工血管の内壁面を平滑面にして血流を円滑
にすることにより、血栓の生成を防止する方法も行われ
ている。
しかしながら、このように血管の内壁面を平滑面にした
場合には、血流は円滑になる結果血栓生成は減少するが
、その反面、血管の内壁面に血液が直接長期間接触する
ことにより徐々に石灰が生成・沈着し、その結果、沈着
した石灰の周辺に血栓が生成して、血管を閉塞させるに
到る。
したがって、人工血管に優れた長期開存性を付与するた
めには、ポリウレタンやポリウレタンウレアなどの抗血
栓性に優れた構成材料を用いて、その内壁面が平滑面で
はなく、粗い面の人工血管にすることによって、初期血
栓を緩慢に生成させることが良いと推測されている。す
なわち。
血管が閉塞に到らない程度に緩かに血栓を生成させるこ
とにより、血栓の生成と共に内皮細胞が徐々に血管の内
壁面に付着していく。その結果、人工血管の内壁面にい
わゆる偽内膜と呼ばれる生体血管に類似の内膜が新生す
るために、長期間に亘って生体血管に匹敵する開存性を
得られるのである。さらに、人工血管内における急速な
初期血栓の生成を抑制するためには、血液中のフィブリ
ノーゲンに由来するフィブリン繊維網の網目の中で、多
量の血小板や赤血球が凝集して塊状になる、いわゆる混
合血栓を生成させるのではなく、充分に発達したフィブ
リン繊維網からなる薄い膜を人工血管の内壁面に形成さ
せたのち、該フィブリン繊維網の網目の中に血栓を生成
させることが重要であると考えられている。
かかる知見に基づいて、特開昭57−15094号公報
においては、5〜100.Illの微細孔を有する人工
血管に関する技術が開示されている。すなわち1人工血
管の構成材料溶液に、成形型を浸漬・乾燥する工程を繰
り返して多層構造の人工血管を製造し、次いで、人工血
管の血液接触面を、食塩などの無機塩の溶液に浸漬した
のち、該無機塩を溶出することによって微細孔を有する
人工血管を製造している。
しかしながら、かかる方法によって得られた人工血管は
、内壁面に存在する微細孔の形状が無機塩の形状により
限定されてしまうだけでなく、人工血管の内径の大きさ
が一定したものを得ることができず、実用的ではない、
また、本願出願人が、上記の人工血管を実際に試作して
評価したところ、人工血管は約1〜4週間で閉塞し、血
流が停止してしまった。
[発明が解決しようとする問題点] 上記のとおり、従来の人工血管では、急速な初期血栓の
生成やそれに伴う内皮膜の過剰の肥厚による血管狭窄な
どのために、長期間に亘って優れた開存性を維持するこ
とができず、このためにとりわけ、実用化が切望されて
いる中小口径の人工血管は未だ実用化されるに到ってい
ない。
したがって、本発明は、優れた長期開存性を有しており
、中小口径、特に内径が4mm以下の人工血管としても
充分に実用化が可能な人工血管及びその製造方法の提供
を目的とする。
[問題点を解決するための手段及び作用]本発明者らは
、まず、急速な初期血栓の生成を防止して、人工血管の
長期開存性を維持するためには、人工血管の内壁面を凹
凸のある構造にすること、とりわけ微細な構造にする必
要があるという点に着目して検討を行った。その結果、
人工血管の内壁面を、単に凹凸構造にしただけでは、初
期血栓の生成時に上記した混合血栓を生じてしまい急激
な血管の狭窄現象が生じるということ、また、該凹凸構
造をさらに微細構造にした場合には、急激な初期血栓の
生成は著しく抑制され、この点からは長期開存性を維持
し得るが、生体血管との吻合部分に異常な肉芽が形成さ
れてしまうことから、結果的に血管が閉塞されてしまう
ということを見出した。したがって、これらの知見に基
づいて、さらに検討を行った結果侵れた長期開存性を有
する人工血管は、その内壁面を単に微細な凹凸構造にす
るだけでは得ることができず、該凹凸構造に一定の規則
性を付与することにより得ることが可能であるというこ
とを見出し、本発明を完成するに到った。
本発明は、血液と接触する面が、平滑面と該血液と接触
する面に均一に分散した状態で存在している開口部の形
状が円形又はその変形した形状であり、その内部が球面
又は略球面である凹部とから構成されており、かつ該平
滑面と該凹部とが交わる部分の曲率半径が小さいことを
特徴とする人工血管及びその製造方法に関する。
本発明の人工血管の血液との接触面における平滑面は、
血管内において血流を円滑にすることに資する部分であ
る。かかる平滑面は、例えば走査型電子顕微鏡で200
0〜5000倍に拡大して観察した場合に滑らかに見え
るような面である。具体的には、その表面粗さが血小板
の直径(2〜3P)のl/10未満であり、好ましくは
0.1μm以下であり、さらに好ましくは0.05μm
以下である。平滑面の全面又はその一部の表面粗さがあ
まり大きすぎる場合には、血液の円滑な流れが阻害され
て血液の停滞が生じる結果、°平滑面上に血小板が付着
して、これが急速な血栓形成の原因になるために好まし
くない。
また、血液接触面に均一に分散して存在する凹部は、こ
の部分で血流のよどみを積極的に起こすことによって、
血液中に含有されている可溶性のフィブリノーゲンを不
溶性のフィブリン変化させると共に、血小板を該凹部に
付着させ、凝集させることにより、フィブリンの#am
網を生成・生長−させることに資する部分である。
かかる凹部の開口部の形状は、円形又はその変形した形
、例えば、卵円形もしくは楕円形であり又はこれらが変
形した形でもよい、また、凹部の内部の形状は、球面又
はこれに類似の曲面である。この開口部の大きさは、上
記のとおり少なくとも血小板が侵入できる大きさが必要
であることから、少なくとも3戸以上であり、好ましく
は5〜100μmであり、さらに好ましくは10〜50
戸である。この開口部の大きさがあまり大きすぎる場合
には、適度な血流のよどみを起こすことが困難になる。
凹部の深さは、5〜100.であり、好ましくは5〜5
0IIMである。深さが5−未満の場合には、血小板の
侵入が困難になり、100Juaを超える場合は、フィ
ブリン繊維網の生長が阻害される。
かかる凹部には、その内部表面にさらに1〜2個の陥没
部分が存在しても差し支えなく、該陥没部分にさらに陥
没部分が存在していてもよいが、このような場合でも平
滑面から最深部までが200戸以内であることが好まし
い、この深さが200μ階を超える場合には、石灰化現
象が発現することがある。
本発明の人工血管の血液接触面においては。
上記の平滑面と凹部が混在しているが、この場合に平滑
面と凹部とが交わる部分の曲率半径が小さいことが必要
である。この関係を図に基づいて説明する。なお、図は
、本発明の人工血管を直径方向(又は長さ方向)に切断
した場合の部分的な断面図である。すなわち、平滑面l
と凹部2とが交わる部分の曲率半径Rが、凹部2の平均
直径りより小さいことが必要であり、好ましくはRがl
/20D未満である。かかる曲率半径があまり大きすぎ
る場合には、血流の適度なよどみを生じさせることが困
難になるために好ましくない。
また、人工血管の血液接触部における平滑面の面積と凹
部の開口部の面積との割合は特に制限されるものではな
いが、凹部の開口部の面積が小さい、すなわち凹部の数
が少ない場合には、血流の適度なよどみを生じる箇所が
少なくなることから、フィブリン繊維網の形成が著しく
遅れ、これが血栓の生成の要因ともなるので好ましくな
い。
したがって、人工血管の血液接触部において平滑面の総
画a Aと凹部の開口部の総面積Bとが、次式; %式% で示される関係を充足していることが好ましい。
かかる構造を有する本発明の人工血管の構成材料として
は、血液や組織との適合性に優れた物質、即ち急性及び
慢性の毒性、発熱性、溶血性を持たず、長期に亘って移
植しても周囲の組織に炎症を惹起しないポリマーが好ま
しい。このようなポリマーとしては、例えばポリハロゲ
ン化ビニル、ポリスチレン及びその銹導体、ポロオレフ
ィン系重合体、ポリエステル系縮合体、セルロース系高
分子、ポリウレタン系高分子、ポリスルホン系樹脂、ポ
リアミド系高分子などが挙げられる。
勿論これらを相互に含む共重合体や混合物でもよい。力
学的性質や生体内での安定性、更に、抗血栓性の面から
見て、これらの中で好ましいのは、ポリウレタン系のも
のである。その具体例としては、ポリウレタン、ポリウ
レタンウレア、これらとシリコーンポリマーとのブレン
ド物又は相互侵入網目構造を有するものが挙げられる。
また、これらには、セグメント化ポリウレタン又はポリ
ウレタンウレア、主鎖中にポリジメチルシロキサンを含
むもの、ハード、ソフトセグメントにフッ素を含むもの
を包含する。生分解を受けにくいという点で、ポリエー
テル型のポリウレタン又はポリウレタンウレアがポリエ
ステル型よりも好ましい。
前記ポリウレタン等のポリエーテルセグメントを構成す
るポリエーテルとしてはポリテトラメチレンオキシドが
最も好ましいが、その他のポリアルキレンオキシド(但
しアルキレンの炭素数は2及び/又は3)も好ましい。
かかるポリアルキレンオキシドの具体例としては、ポリ
エチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、エチレン
オキシド−プロピレンオキシド共重合体又はブロック共
重合体が挙げられる。また同一主鎖中にポリテトラメチ
レンオキシドセグメントとポリアルキレンオキシド(但
しアルキレンの炭素数は2及び/又は3)とを含む親水
性と力学的特性とを兼ねそなえたポリウレタンを用いて
もよい。このポリウレタンは抗血栓性、生体適合性が群
を抜いて優れていることから本発明の人工血管の構成材
料としてはより好ましいものである。
これらのソフトセグメントを形成するポリエーテルの分
子量は通常400〜3.000の範囲であり、好ましく
は450〜2.500、更に好ましくは500〜2,5
00の範囲であり、中でも最も優れたポリエーテルセグ
メントは分子量800〜2.500、特に分子量1,3
00〜2.000のポリテトラメチレンオキシド鎖であ
る。このポリエーテルソフトセグメントの分子量が3,
000を超えると、ポリウレタン人工血管の機械的性質
が劣悪となり、400未満では人工血管として成形して
も固すぎて使用できない。
ポリウレタンの合成は、両末端水酸基の上述のポリエー
テルを、4.4′−ジフェニルメタンジイソシアネート
、トルイジンジイソシアネート、4.4′−ジシクロヘ
キシルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソ
シアネートなど公知のポリウレタン合成に用いるジイソ
シアネートと反応させて末端インシアネートのプレポリ
マーをつくり、これをエチレンジアミン、プロピレンジ
アミン、テトラメチレンジアミンなどのジアミンや、エ
チレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオ
ールのようなジオールで鎖延長する常法を用いて合成し
てもよい。
次に、構成材料として上記のポリウレタンを用いた場合
を例にとり、本発明の人工血管の製造方法について説明
する。
まず、ポリウレタンをジメチルホルムアミド又はジメチ
ルアセトアミドとテトラヒドロフランとの混合溶媒に、
ポリウレタン濃度が15〜25重量%になるように溶解
させる。このポリウレタン濃度は、用いるポリウレタン
の分子量に応じて調整すべき値であるが、通常は前記濃
度に調整すれば充分である。しかしながら、より目的に
合致した人工血管を得るためには、人工血管の成形温度
か 20〜406Cに屯’ii?I!−温為小社面嶋(
50,300ボイズになるようにポリウレタン濃度を調
整することが好ましい、ポリウレタンの濃度があまり低
すぎる場合には1人工血管の成形が著しく困難になる。
また、ポリウレタンの濃度があまり高すぎる場合には、
人工血管の内壁面に存在する凹部の総面積の、全体に占
める割合が少なくなるために本発明の目的を達成する上
で好ましくない。
ポリウレタンを溶解させる際に用いるジメチルホルムア
ミド又はジメチルアセトアミドとテトラヒドロフランと
の割合は、ジメチルホルムアミド又はジメチルアセトア
ミドとテトラヒドロフランとの重量比で、3:2〜1:
2が好ましい。ジメチルホルムアミド又はジメチルアセ
トアミドの含有割合があまり多すぎる場合には、人工血
管の内壁面に存在する凹部の総面積の全体に占める割合
が少なくなる。また、テトラヒドロフランの含有割合が
あまり多すぎる場合には、人工血管が固くなりすぎるた
めに、使用時において例えば縫合針の通りが悪くなるだ
けでなく、曲げた場合に折れる現象、すなわちキンキン
グ現象が生じ易くなる。
次いで、上記のポリウレタン溶液に、円形のオー  リ
フイスから断面が円形で、かつ該オリフィスと同中心に
位置する剛体の芯棒を押し出すことにより、該オリフィ
スと該芯棒との間隙スリットよりポリウレタン溶液を該
芯棒の全周表面に付着させる。その後、このようにして
ポリウレタン溶液が付着された芯棒を直接又は適当な乾
式1程を経由させたのち凝固浴に導き、付着したポリウ
レタンを凝固させる。すなわち、かかる凝固処理におい
ては、円形のオリフィスと芯棒との間隙スリットから吐
出されるポリウレタン溶液が付着した芯棒をそのまま水
系凝固浴中に導入する湿式凝固と、乾式1程を経由した
のち水系凝固浴に導入する乾湿式凝固のいずれの方法も
適用可能である。
凝固処理を施し、充分に芯棒に付着したポリウレタンを
凝固せしめたのち、該芯棒を抜き取り。
洗浄し、乾燥することによって、本発明の人工血管を得
ることができる。なお、ここで用いる剛体の芯棒は、ス
テンレススチール製や鋼製の棒を表面粗さが平均で0.
5戸以下になるように充分研磨したのち、クロムメッキ
したものが好ましい(ただし、クロムメッキ後の表面粗
さも0.5戸以下である)、かかる芯棒の表面粗さが大
きい場合や芯棒の表面粗さが部分的に異なる場合には、
得られる人工血管の口径に部分的なばらつきが生じるた
めに好ましくない。
このようにして、血液との接触部分が平滑面と凹部とか
ら構成されている本発明の人工血管を得ることができる
0本発明の人工血管は、優れた長期開存性を有している
が、以下においてその特性を発揮するに到る作用機構に
ついて説明する。
本発明の人工血管を生体内の血管の一部として移植した
場合には、該人工血管の内壁面の凹部において、速やか
に血流のよどみが生じて、数個〜数十個の血小板が凹部
に浸入して、その内表面に付着し、その一部は凝集し、
これと同時に凹部に滞留しているフィブリノーゲンをフ
ィブリンのU&雌に変化させ、生長させる。なお、この
凹部には、赤血球のような大きな血球は存在することが
ない、また、該フィブリンの繊維は、経時的に生長して
いき、まず、凹部の開口部が網を張るようにして閉塞さ
れ、次いで、各凹部で形成されたフィブリン繊維が相互
に連結してフィブリンam網が形成され、やがて人工血
管の内壁面に平滑なフィブリン繊維のネットワークから
なる薄い層が形成される。このようにして人工血管の内
壁面に形成された該薄層には、大きな血球、特に赤血球
は捕捉されることが少なく、該薄層は極めて緩やかにそ
の厚さを増加させて行き、最終的に人工血管の内壁面に
生体血管の内膜と類似のいわゆる偽内膜が形成される。
かかる偽内膜の形成速度は一部には言うことはできない
が、ポリウレタンを構成材料とする内径4.5mg+の
人工血管の場合には、太腹部大動脈に移植後、約4ケ月
経過後において僅か10μ程度であり、その時点で人工
血管と生体血管の吻合部分には内皮の生長が認められる
ようになる。このように本発明の人工血管は、移植後、
緩かな速度で該人工血管の内壁面に生体血管の内膜と類
似の偽内膜が形成されることにより、長期間に亘って優
れた開存性を維持することができる。
[実施例] 以下、実施例を掲げて本発明をさらに詳しく説明する。
なお、以下において「%」は全て「重量%」を表す。
実施例1 分子量1500の両末端が水酸基のポリテトラメチレン
グリコールを4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネ
ートと反応させて両末端がインシアネート基のプレポリ
マーを得た0次いで、該プレポリマーにブタンジオール
を反応させてポリウレタン(平均分子量1.2X10’
)を得た。
得られたポリウレタンは、テトラヒドロフラン−エタノ
ール系の混合溶剤中で計3回再沈澱をさせ、精製した。
次いで、精製したポリウレタンを、ジメチルアミド60
%とテトラヒドロフラン40%の混合溶剤に溶解させて
、ポリウレタン濃度が17%の溶液を製造した。このよ
うにして得た溶液中に、直径6mmのオリフィスから該
オリフィスと同中心になるように設置された外径4mm
で、表面粗さが平均で0 、3.tのクロムメッキされ
たステンレススチール酸の棒を一定速度で押し出した。
かかる操作により、オリフィスとステンレススチール酸
の棒との間の均一な距離の間隙から該棒の全周表面に均
一な量のポリウレタン溶液を付着させた。押し出された
棒を直ちに35℃の水中に導き、外部から急激に凝固さ
せた。その後、そのまま水中で保持して溶剤を除去した
のち、水中から引き上げ、棒を抜き出し、洗浄し、約4
0″Cで乾燥し、人工血管を得た。この人工血管は、内
径が4mmであり、その内壁面には平滑面と凹部が混在
していること(凹部の占有割合35%)を走査型電子顕
微鏡(SEM)で確認した。
凹部の開口部の形状は、円形、卵円形、楕円形及びこれ
らの変形した形であり、その内部はほぼ球面であり、ま
た該凹部の一部には、その内部さらに微細な孔が認めら
れた。凹部の開口部の最大径は約40Q以下であり、1
0〜20%の径のものが多かった。凹部の深さはほとん
どのものが5〜20117+1であった。また、平滑面
をSEMを用い10’倍に拡大して観察したところ、や
はり平滑であり、表面粗゛さは0.1−未満であった。
さらに、人工血管を直径方向に切断した断面をSEMを
用い1000倍の倍率で観察したところ、平滑面と凹部
とが交わる部分の曲率半径には、0.5μm以上のもの
はなかった。
このようにして得られた人工血管を3.5cmの長さに
切断したものを、いずれも体重が約6Kgの計5匹の犬
の腹部大動脈に移植した。その後、1週間、1ケ月、3
ケ月、6ケ月及び1年経過後に該人工血管を順次摘出し
てそれぞれについてSEMによる観察を行った。その結
果、1週間経過後の人工血管の場合には、凹部にのみ血
小板が付着・変形し、その一部は凝集を起こしており。
部分的にフィブリンが認められた。また、平滑面には血
小板は付着していなかった。1ケ月経過後の場合には、
フィブリンramが発達し、凹部の開口部に2網を張っ
たようになっているのが認められた。また、平滑面及び
フィブリン繊維のいずれにも赤血球の付着は認められな
かった。3ケ月経過後の場合には、内壁面全体が網状構
造のフィブリン繊維で薄く(約10戸)覆われているの
が認められた。6ケ月経過後の場合には、生体血管との
吻合部に内皮細胞の生長が認められた。1年経過後の場
合には、内壁面全体が均一な厚さく2007m)の内皮
で被覆されており、また赤色の血栓は全く認められなか
った。
実施例2 実施例1で製造したポリウレタンを用い、これをジメチ
ルアセトアミド35%及びテトラヒドロフラン65%の
混合溶剤に溶解させてポリウレタン濃度25%の溶液を
調製した。このポリウレタン溶液を用い、実施例1と同
様にして人工血管を製造した。得られた人工血管は、内
径が4mmであり、その内壁面には平滑面と凹部が混在
している(凹部の占有割合85%)ことを確認した。
また、該凹部の開口部の最大径は15JJJR以下であ
った。
得られた人工血管を3cmに切断したものを、成犬の腹
部大動脈に移植した場合には、1年経過後においても生
体血管と同程度の血流が維持されていた。また、逆行性
血管造影法により観察した場合も異常は全く認められな
かった。
実施例3 分子11890の両末端が水酸基のポリテトラメチレン
グリコールと4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソ
シアネートとを反応させて両末端がイソシアネート基の
プレポリマーを得た。
次いで、該プレポリマーにエチレンジアミンを反応させ
てポリウレタンウレア(平均分子量tx・ 104)を
得た。得られたポリウレタンウレアはジメチルホルムア
ミド−エタノール系の混合溶媒中で計3回再沈澱させて
精製した。次いで、精製したポリウレタンウレアをジメ
チルホルムアミドとテトラヒドロフランの2二1の混合
溶媒に溶解させ、ポリウレタウレア濃度20%の溶液を
調製した。この溶液を用い、実施例1と同様にして人工
血管を製造した。得られた人工血管は、実施例2で得ら
れた人工血管とほぼ同様の内部構造を有していた。
このようにして得られた人工血管を3.5cmの長さに
切断したものを、犬の腹部大動脈に移植して6ケ月経過
後に摘出したが、この場合にも赤色の血栓は全く見られ
なかった。
比較例1 実施例1で製造したポリウレタンをジメチルホルムアミ
ドに溶解させ、ポリウレタン濃度26%のジメチルホル
ムアミド溶液を調製した。この溶液を用い、実施例1と
同様にして内径4mmの人工血管を製造した。得られた
人工血管の内壁面には、波状の3〜5IUIの凹凸があ
り、一部に2戸以下の径を有する孔が認められた。
得られた人工血管を3.5cmの長さに切断したものを
、犬の腹部大動脈に移植したのち、逆行性血管造影法で
経時変化を観察したところ、2ケ月経過後に大動脈との
吻合部分に肉芽の過剰形成が認められ、3ケ月経過後に
は血流が停止した。
比較例2 実施例1で製造したポリウレタンと実施例3で製造した
ポリウレタンウレアとを等量ずつ含有する濃度14%の
ジメチルアセトアミドとテトラヒドロフランの1:3の
混合溶媒の溶液を調製した。次いで、この溶液を用い、
実施例1と同様にして人工血管を製造した。得られた人
工血管の内壁面をSEMで観察したところ、内壁面全体
に占める平滑面の面積の割合は約5%しかなく、他の部
分は最大径が70μ以下の孔が認められた。
このようにして得られた人工血管は、その壁膜が極めて
硬く、7〜Oの縫合針では吻合が困難であることから、
実用性に乏しかった。
比較例3 実施例1で製造した人工血管を、室温下、ジメチルアセ
トアミドの60%水溶液に1時間浸漬したのち、充分に
水洗して付着したジメチルアセトアミドを除去したのち
、乾燥させた。この人工血管をSEMで観察したところ
、平滑面と凹部とが交わる部分は約2〜4−の径の緩曲
面であった。なお、他の構造については変化は認められ
なかった。
かかる人工血管を、犬の腹部大動脈に移植したのち、逆
行性血管造影法により経時的に血流を観察したところ、
2週間で血管の狭窄が認められ、これを摘出して観察し
たところ血管内には多量の赤色の血栓が生成していた。
[発明の効果コ 以上説明したとおり、本発明の人工血管は、血液との接
触面が平滑面と凹面とが所定の状態で混在した特定の構
造を有していることから、移植初期における急速な血栓
塊の生成と生長を抑制することができ、また内皮の生着
に適したフィブリンta維網を緩かに形成して、最終的
に生体血管の内部構造に類似の構造を形成することがで
きる。
したがって1本発明の人工血管は、生体内に移植した場
合にも、凝血による血管の閉塞の問題や生体血管との吻
合部にパヌスやステンレスが発生するという問題が生じ
ることがなく、長期間に亘って優れた血管の開存性を維
持することができる。また、本発明の人工血管は、従来
は実用化されていなかった口径4霞璽以下の小口径の人
工血管として使用した場合でも、優れた長期開存性を維
持できることから、例えば従来は専ら伏在静脈を使用し
ていた冠状動脈バイパス手術において、該伏在静脈の代
用物としても充分に適用が可能である。
【図面の簡単な説明】
図は本発明の人工血管の部分断面図である。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 (1)血液と接触する面が、平滑面と該血液と接触する
    面に均一に分散した状態で存在している開口部の形状が
    円形又はその変形した形状であり、その内部が球面又は
    略球面である凹部とから構成されており、かつ該平滑面
    と該凹部とが交わる部分の曲率半径が小さいことを特徴
    とする人工血管。 (2)平滑面と凹部とが交わる部分の曲率半径が、該凹
    部平均直径の1/20未満であり、かつ平滑面の総面積
    Aと凹部の開口部の総面積Bが、次式;  0.1≦B/(A+B)≦0.9 で示される関係を有している特許請求の範囲第1項記載
    の人工血管。 (3)人工血管がポリウレタン及び/又はポリウレタン
    ウレアから構成されている特許請求の範囲第1項又は第
    2項記載の人工血管。 (4)高分子化合物の有機溶媒溶液を円柱物の全周表面
    に均一な厚さになるように付着させ、次いで、付着させ
    た有機溶媒溶液を凝固させたのち、該円柱物を抜き取り
    、乾燥を行う人工血管の製造方法において、 該有機溶媒溶液が、ジメチルホルムアミド又はジメチル
    アセトアミドとテトラヒドロフランの混合溶媒溶液であ
    ることを特徴とする人工血管の製造方法。 (5)高分子化合物がポリウレタン及び/又はポリウレ
    タンウレアである特許請求の範囲第4項記載の製造方法
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Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS60188164A (ja) * 1984-03-07 1985-09-25 鐘淵化学工業株式会社 人工血管
JPS61238238A (ja) * 1985-04-15 1986-10-23 鐘淵化学工業株式会社 人工血管の製造方法

Patent Citations (2)

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