JPS6315926B2 - - Google Patents
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- JPS6315926B2 JPS6315926B2 JP55135039A JP13503980A JPS6315926B2 JP S6315926 B2 JPS6315926 B2 JP S6315926B2 JP 55135039 A JP55135039 A JP 55135039A JP 13503980 A JP13503980 A JP 13503980A JP S6315926 B2 JPS6315926 B2 JP S6315926B2
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- JP
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- Prior art keywords
- rubber
- weight
- impact strength
- resin
- temperature
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- Graft Or Block Polymers (AREA)
Description
本発明は耐候性および耐衝撃性、特に低温にお
ける耐衝撃性に優れたゴム変性熱可塑性樹脂の製
造方法に関する。 さらに詳しくは、エチレン−プロピレン系共重
合体ゴム(以下EPRと略記することがある)と
ジエン系ゴムから成る混合ゴム成分の存在下芳香
族ビニル化合物とシアン化ビニル化合物などから
なる単量体混合物を溶液グラフト共重合すること
によるグラフト共重合体(以下AES樹脂と略記
することがある)の製造方法およびかかるグラフ
ト共重合体にゴム成分を含まない共重合体を配合
してゴム変性熱可塑性樹脂を製造する方法に関す
るものである。 ジエン系ゴムにスチレン、アクリロニトリルな
どをグラフト共重合したABS樹脂は、耐衝撃性
に優れた樹脂として広い分野で利用されている。
しかし主鎖に不飽和結合を多く含むジエン系ゴム
を用いるため耐候性に劣るという欠点を有する。 このことから主鎖に不飽和結合を持たず、耐候
性、耐オゾン性に優れるEPRにスチレン、アク
リロニトリルなどをグラフト共重合して得られる
AES樹脂は、耐候性、耐衝撃性に優れることか
ら更に巾広い用途が期待され、その製造方法につ
いても種々の方法が提案されている。 しかし、従来の方法で得られるAES樹脂は
ABS樹脂に比べ耐寒性、特に低温における耐衝
撃性が劣るという重大な欠点を有している。 このため耐候性に優れるという大きな長所があ
るにも拘らず、その使用範囲は著しく制限されて
いるのが現状である。 AES樹脂の低温における衝撃強度が低い原因
は明らかでないが、EPRがブタジエンゴムなど
と比較して高いガラス転移温度を持つことや、樹
脂中のゴム粒子に架橋構造がほとんどないことな
どの他に分散ゴム粒子径や、グラフト率などの要
因が絡み合つたAES樹脂の本質的欠点によるも
のと考えられている。 この低温での耐衝撃性を改良するため、種々の
試みがなされている。例えばAES樹脂に低温耐
衝撃性に優れたABS樹脂をポリマーブレンドす
ることもその1つであるが低温衝撃強度はほとん
ど向上せず、逆に耐候性が大巾に低下するという
欠点を生ずる。 また異種重合体を混合して改良しようとする試
みは、ABS樹脂以外にも数多く行なわれている
が、耐候性を保持したまま低温における衝撃強度
を改良した例は今のところ見当たらない。 さらにAES樹脂に可塑剤などを添加して分散
ゴム粒子の動き易さを助ける試みなどもなされて
いるが、改良の効果は少なく、逆に機械的強度の
低下を招くことになる。 この様な状況にあつて先に本発明者らは、
AES樹脂の低温衝撃強度を改良する方法として
AES樹脂の製造に当たり芳香族炭化水素とメチ
レンクロライドからなる混合溶媒を用いる方法
(特開昭54−94596)を提案しているがこれも工業
的には溶媒の回収工程が煩雑になるなど不利な面
を有している。 本発明者らは、AES樹脂の有する優れた耐候
性を損なうことなく、優れた低温耐衝撃性を与え
ることを目的として更に鋭意検討を進めた結果、
ゴム成分としてEPRとジエン系ゴムとを特定の
割合で混合して用いることにより、極めて優れた
耐候性と低温衝撃強度を併せ有するグラフト共重
合体が得られることを見出し、本発明に到達し
た。 即ち本発明は、エチレン−プロピレン系共重合
体ゴムとガラス転移温度が−60℃以下のジエン系
ゴムを重量比で99/1〜85/15の割合とした混合
ゴム成分に芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル
化合物を主成分とする単量体混合物をグラフト共
重合するか、あるいはかくして得られた樹脂にゴ
ム成分を含まない芳香族ビニル化合物とシアン化
ビニル化合物を主成分とする共重合体を配合する
ことを特徴とするゴム変性熱可塑性樹脂の製造方
法である。 本発明による効果の発現機構は明確でないが
AES樹脂中の分散ゴム粒子において同一ゴム粒
子内にEPRとジエン系ゴムが混在することによ
り、ジエン系ゴムの使用割合が少ないにも拘らず
ゴム粒子全体がジエン系ゴムと同程度の低温での
補強効果を発現すると共に、耐候性はEPR層が
ジエン系ゴム層を保護する形で維持されジエン系
ゴム使用による悪影響を防いでいるためと考えら
れる。 この結果AES樹脂とABS樹脂のポリマーブレ
ンドなどからは予測できない本発明の特異な効果
が発揮されるものと推定される。 本発明のグラフト共重合体の第一の特徴は、
EPRとジエン系ゴムの併用により、各ゴム成分
の組成比から期待されるより遥かに優れた低温で
の衝撃強度が得られることである。 特にノツチ付き衝撃強度の絶対値および常温で
の衝撃強度値に対する保持率における改良は著し
い。 また第二の特徴は、AES樹脂の優れた耐候性
が実質的に維持されることである。即ちジエン系
ゴムをEPRに配合した場合、混合ゴム成分を用
いたグラフト共重合体の耐候性は急激に低下する
と考えられるが、本発明においては全ゴム量に対
するジエン系ゴムの使用量を15重量%以下に抑え
ることによりAES樹脂の優れた耐候性をそのま
ま保持することに成功したものである。 また本発明の方法による樹脂は、射出成形にお
いてウエルド部分での強度低下が小さく、流れ方
向と流れに垂直な方向との強度比すなわち配向性
が小さいなどの特徴も有している。 以下に本発明を詳細に説明する。 本発明で用いるエチレン−プロピレン系共重合
体ゴムとは、エチレン−プロピレンあるいはエチ
レン−プロピレン−非共役ジエンからなるゴム状
共重合体であり、エチレン:プロピレンのモル比
が5:1〜1:3の範囲のものが好ましい。非共
役ジエンとしてはノルボルネン類、環状ジエン
類、脂肪族ジエン類などから選ばれるが、5−エ
チリデン−2−ノルボルネンおよびジシクロペン
タジエンが好ましく、その割合はヨウ素価で表わ
して40以下の範囲が好ましい。 またEPRのムーニー粘度(ML1+4、100℃)
は、特に制限はないが、20〜100好ましくは25〜
70のものを用いるのが適当である。 上記エチレン−プロピレン系共重合体ゴムと組
合わせて用いられるジエン系ゴムとは溶液重合法
あるいは乳化重合法で製造されたブタジエンゴ
ム、ブタジエン−スチレンゴム、ブタジエン−ア
クリロニトリルゴム、イソプレンゴムなどであ
り、ガラス転移温度が−60℃以下のものである。
ジエン系ゴムとしてはブタジエンゴムが好まし
く、中でもシス含量80%以上のシス−ポリブタジ
エンが好ましい。 併用するジエン系ゴムのガラス転位温度が−60
℃を超えると低温衝撃強度の改良効果はほとんど
認められない。 またジエン系ゴムのムーニー粘度は特に限定さ
れるものではないが、50より高いものを使用する
と低温耐衝撃性の改良効果は低下し、一方15より
低いものを用いると室温での衝撃強度が低下する
ため好ましくない。特に好ましくは20〜40の範囲
である。 本発明の効果を発現させるにはEPRとジエン
系ゴムの重量比を99/1〜85/15、特に好ましく
は98/2〜90/10の範囲とすることが重要であ
る。全ゴム成分中のジエン系ゴムの含有量が15重
量%を超えると低温衝撃強度の改良効果は飽和
し、逆に耐候性の低下を招く。また1重量%未満
ではその効果が十分発揮されない。 本発明においてグラフト共重合に使用される単
量体は、スチレン、α−メチルスチレン、ビニル
トルエン、ハロゲン化スチレンなどの芳香族ビニ
ル化合物とアクリロニトリル、メタクリロニトリ
ルなどのシアン化ビニル化合物の混合物である。 これらの他に共重合可能なビニル単量体とし
て、メチルメタクリレートなどのメタクリル酸エ
ステル類などを併用しても差し支えない。 特に好ましいものはスチレンとアクリロニトリ
ルであり、重量比で80:20〜60:40の範囲で使用
する場合である。 またゴム成分を含まない芳香族ビニル化合物と
シアン化ビニル化合物を主成分とする共重合体の
製造に使用される単量体としては上記と同様の単
量体を用いることができる。 本発明のゴム変性熱可塑性樹脂中のゴム成分の
割合は最終的に得られる樹脂中のゴム含量が5〜
30重量%の範囲となるようにすることが好まし
い。 本発明におけるグラフト共重合反応は塊状重
合、塊状−懸濁重合、懸濁重合、溶液重合、乳化
重合などの方法で実施することができるが、撹拌
下、有機過酸化物を触媒として用いる溶液重合法
が本発明に最も適した方法である。 溶液重合の場合の溶媒量としては単量体混合物
とゴムの合計量100重量部に対して総量で50〜200
重量部とするのが好ましい。 ここで使用する溶媒はEPRおよびジエン系ゴ
ムを均一に溶解できるものが適当であり、芳香族
炭化水素およびこれらのハロゲン化物、例えばベ
ンゼン、トルエン、エチルベンゼン、クロルベン
ゼンなどが挙げられる。 また重合触媒としては通常のラジカル触媒が用
いられる。例えばケトンパーオキサイド、ジアル
キルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、
パーオキシエステル、ハイドロパーオキサイドな
どの有機過酸化物である。 重合温度は50〜150℃の範囲内で行なうのが適
当である。本発明のゴム変性熱可塑性樹脂に通常
用いられる酸化防止剤、滑剤、紫外線吸収剤、難
燃剤などを加えて種々の性能を付与することも勿
論可能である。 以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明す
る。 実施例 1 パドル型撹拌翼を備えた10ステンレス製反応
器に、EPRとして日本イーピーラバー社製
JSREP22(ヨウ素価15、ムーニー粘度42、プロピ
レン含有率43重量%、ジエン成分5−エチリデン
−2−ノルボルネン)17重量部、ジエン系ゴムと
してブタジエンゴム(日本合成ゴム社製
JSRBR02L:ムーニー粘度34、シス含量94%)
3重量部、スチレン56重量部、アクリロニトリル
24重量部、トルエン重量部を仕込み室温で撹拌し
てゴムを完全に溶解させた後、Tert−ドデシル
メルカプタン0.1重量部、ジクミルパーオキサイ
ド0.2重量部を加え、撹拌下120℃まで昇温して10
時間重合反応を実施した。反応終了後、2,2′−
メチレン−ビス−(4−メチル−6−Tert−ブチ
ルフエノール)0.2重量部を添加した後、未反応
単量体と溶媒を水蒸気蒸留により留去した。これ
を粉砕乾燥し、40mmベント付押出機(220℃)で
ペレツト化した後、1オンス射出成形機(230℃)
で試験片を成形し物性を評価した。 実施例2〜4および比較例1、2 実施例2〜4および比較例1、2は、EPRと
ブタジエンゴムの重量比を変える以外は実施例1
と同様にして行なつた。 物性測定結果を表−1にまとめた。 実施例1〜4は、EPRのみをゴム成分として
用いた比較例1に比べ、低温(−30℃)における
衝撃強度は遥かに高い値を示しており、低温での
衝撃強度の絶対値のみでなく室温での衝撃強度の
値に対する保持率も著しく向上していることが分
る。また室温での耐衝撃性も比較例1と同等ない
しはそれ以上に優れていることが明らかである。
さらに耐候性試験200時間後の低温の衝撃強度も
比較例1と同水準を示し耐候性が維持されている
ことが分る。 これに対して比較例2のようにブタジエンゴム
の使用量を仕込ゴム量の20重量%としたものでは
低温衝撃強度の値は実施例1の15重量%併用と変
わらず、一方耐候性試験後の低温衝撃強度は大き
く低下しており、耐候性において劣ることが示さ
れている。 実施例 5〜7 EPRとして日本イーピーラバー社製JSREP84
(ヨウ素価12、ムーニー粘度62、プロピレン含有
率32重量%、ジエン成分はジシクロペンタジエ
ン)を用い、ジエン系ゴムとしては日本合成ゴム
社製JSRBR02LL(ムーニー粘度28、シス含量94
%)またはムーニー粘度55(シス含量94%)もし
くは15(シス含量94%)のブタジエンゴムを試作
して用いたものである。 これ以外の条件は実施例2と同様である。 実施例5に示したように、ムーニー粘度が55の
ブタジエンゴムを用いると実施例2(ムーニー粘
度34のブタジエンゴム使用)または実施例6(ム
ーニー粘度28のブタジエンゴム使用)に比べ低温
耐衝撃性の改良効果はやや低下するものの比較例
1に比べると明らかに優れている。 一方ムーニー粘度が15のブタジエンゴムを用い
る(実施例7)と低温衝撃強度の保持率は高いも
のの室温での衝撃強度の低下が見られる。 比較例 3〜9 比較例3〜9は、AES樹脂(比較例1の試料
と同一)とABS樹脂(日本合成ゴム社製
JSRABS10)を、表−2に示した比率で混合し、
40mm押出機(230℃)で溶融混練しペレツト化し
た後、実施例1と同様の方法で物性を測定したも
のである。 AES樹脂の低温衝撃強度はABS樹脂の混合に
よつては殆ど改良されず、一方耐候性はABS樹
脂を10重量%混合しただけで大幅に低下すること
が分る。 この結果からも本発明のEPRとジエン系ゴム
を特定の割合で併用することによる低温衝撃強度
の改良と耐候性の保持が非常に特異的であること
が理解される。
ける耐衝撃性に優れたゴム変性熱可塑性樹脂の製
造方法に関する。 さらに詳しくは、エチレン−プロピレン系共重
合体ゴム(以下EPRと略記することがある)と
ジエン系ゴムから成る混合ゴム成分の存在下芳香
族ビニル化合物とシアン化ビニル化合物などから
なる単量体混合物を溶液グラフト共重合すること
によるグラフト共重合体(以下AES樹脂と略記
することがある)の製造方法およびかかるグラフ
ト共重合体にゴム成分を含まない共重合体を配合
してゴム変性熱可塑性樹脂を製造する方法に関す
るものである。 ジエン系ゴムにスチレン、アクリロニトリルな
どをグラフト共重合したABS樹脂は、耐衝撃性
に優れた樹脂として広い分野で利用されている。
しかし主鎖に不飽和結合を多く含むジエン系ゴム
を用いるため耐候性に劣るという欠点を有する。 このことから主鎖に不飽和結合を持たず、耐候
性、耐オゾン性に優れるEPRにスチレン、アク
リロニトリルなどをグラフト共重合して得られる
AES樹脂は、耐候性、耐衝撃性に優れることか
ら更に巾広い用途が期待され、その製造方法につ
いても種々の方法が提案されている。 しかし、従来の方法で得られるAES樹脂は
ABS樹脂に比べ耐寒性、特に低温における耐衝
撃性が劣るという重大な欠点を有している。 このため耐候性に優れるという大きな長所があ
るにも拘らず、その使用範囲は著しく制限されて
いるのが現状である。 AES樹脂の低温における衝撃強度が低い原因
は明らかでないが、EPRがブタジエンゴムなど
と比較して高いガラス転移温度を持つことや、樹
脂中のゴム粒子に架橋構造がほとんどないことな
どの他に分散ゴム粒子径や、グラフト率などの要
因が絡み合つたAES樹脂の本質的欠点によるも
のと考えられている。 この低温での耐衝撃性を改良するため、種々の
試みがなされている。例えばAES樹脂に低温耐
衝撃性に優れたABS樹脂をポリマーブレンドす
ることもその1つであるが低温衝撃強度はほとん
ど向上せず、逆に耐候性が大巾に低下するという
欠点を生ずる。 また異種重合体を混合して改良しようとする試
みは、ABS樹脂以外にも数多く行なわれている
が、耐候性を保持したまま低温における衝撃強度
を改良した例は今のところ見当たらない。 さらにAES樹脂に可塑剤などを添加して分散
ゴム粒子の動き易さを助ける試みなどもなされて
いるが、改良の効果は少なく、逆に機械的強度の
低下を招くことになる。 この様な状況にあつて先に本発明者らは、
AES樹脂の低温衝撃強度を改良する方法として
AES樹脂の製造に当たり芳香族炭化水素とメチ
レンクロライドからなる混合溶媒を用いる方法
(特開昭54−94596)を提案しているがこれも工業
的には溶媒の回収工程が煩雑になるなど不利な面
を有している。 本発明者らは、AES樹脂の有する優れた耐候
性を損なうことなく、優れた低温耐衝撃性を与え
ることを目的として更に鋭意検討を進めた結果、
ゴム成分としてEPRとジエン系ゴムとを特定の
割合で混合して用いることにより、極めて優れた
耐候性と低温衝撃強度を併せ有するグラフト共重
合体が得られることを見出し、本発明に到達し
た。 即ち本発明は、エチレン−プロピレン系共重合
体ゴムとガラス転移温度が−60℃以下のジエン系
ゴムを重量比で99/1〜85/15の割合とした混合
ゴム成分に芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル
化合物を主成分とする単量体混合物をグラフト共
重合するか、あるいはかくして得られた樹脂にゴ
ム成分を含まない芳香族ビニル化合物とシアン化
ビニル化合物を主成分とする共重合体を配合する
ことを特徴とするゴム変性熱可塑性樹脂の製造方
法である。 本発明による効果の発現機構は明確でないが
AES樹脂中の分散ゴム粒子において同一ゴム粒
子内にEPRとジエン系ゴムが混在することによ
り、ジエン系ゴムの使用割合が少ないにも拘らず
ゴム粒子全体がジエン系ゴムと同程度の低温での
補強効果を発現すると共に、耐候性はEPR層が
ジエン系ゴム層を保護する形で維持されジエン系
ゴム使用による悪影響を防いでいるためと考えら
れる。 この結果AES樹脂とABS樹脂のポリマーブレ
ンドなどからは予測できない本発明の特異な効果
が発揮されるものと推定される。 本発明のグラフト共重合体の第一の特徴は、
EPRとジエン系ゴムの併用により、各ゴム成分
の組成比から期待されるより遥かに優れた低温で
の衝撃強度が得られることである。 特にノツチ付き衝撃強度の絶対値および常温で
の衝撃強度値に対する保持率における改良は著し
い。 また第二の特徴は、AES樹脂の優れた耐候性
が実質的に維持されることである。即ちジエン系
ゴムをEPRに配合した場合、混合ゴム成分を用
いたグラフト共重合体の耐候性は急激に低下する
と考えられるが、本発明においては全ゴム量に対
するジエン系ゴムの使用量を15重量%以下に抑え
ることによりAES樹脂の優れた耐候性をそのま
ま保持することに成功したものである。 また本発明の方法による樹脂は、射出成形にお
いてウエルド部分での強度低下が小さく、流れ方
向と流れに垂直な方向との強度比すなわち配向性
が小さいなどの特徴も有している。 以下に本発明を詳細に説明する。 本発明で用いるエチレン−プロピレン系共重合
体ゴムとは、エチレン−プロピレンあるいはエチ
レン−プロピレン−非共役ジエンからなるゴム状
共重合体であり、エチレン:プロピレンのモル比
が5:1〜1:3の範囲のものが好ましい。非共
役ジエンとしてはノルボルネン類、環状ジエン
類、脂肪族ジエン類などから選ばれるが、5−エ
チリデン−2−ノルボルネンおよびジシクロペン
タジエンが好ましく、その割合はヨウ素価で表わ
して40以下の範囲が好ましい。 またEPRのムーニー粘度(ML1+4、100℃)
は、特に制限はないが、20〜100好ましくは25〜
70のものを用いるのが適当である。 上記エチレン−プロピレン系共重合体ゴムと組
合わせて用いられるジエン系ゴムとは溶液重合法
あるいは乳化重合法で製造されたブタジエンゴ
ム、ブタジエン−スチレンゴム、ブタジエン−ア
クリロニトリルゴム、イソプレンゴムなどであ
り、ガラス転移温度が−60℃以下のものである。
ジエン系ゴムとしてはブタジエンゴムが好まし
く、中でもシス含量80%以上のシス−ポリブタジ
エンが好ましい。 併用するジエン系ゴムのガラス転位温度が−60
℃を超えると低温衝撃強度の改良効果はほとんど
認められない。 またジエン系ゴムのムーニー粘度は特に限定さ
れるものではないが、50より高いものを使用する
と低温耐衝撃性の改良効果は低下し、一方15より
低いものを用いると室温での衝撃強度が低下する
ため好ましくない。特に好ましくは20〜40の範囲
である。 本発明の効果を発現させるにはEPRとジエン
系ゴムの重量比を99/1〜85/15、特に好ましく
は98/2〜90/10の範囲とすることが重要であ
る。全ゴム成分中のジエン系ゴムの含有量が15重
量%を超えると低温衝撃強度の改良効果は飽和
し、逆に耐候性の低下を招く。また1重量%未満
ではその効果が十分発揮されない。 本発明においてグラフト共重合に使用される単
量体は、スチレン、α−メチルスチレン、ビニル
トルエン、ハロゲン化スチレンなどの芳香族ビニ
ル化合物とアクリロニトリル、メタクリロニトリ
ルなどのシアン化ビニル化合物の混合物である。 これらの他に共重合可能なビニル単量体とし
て、メチルメタクリレートなどのメタクリル酸エ
ステル類などを併用しても差し支えない。 特に好ましいものはスチレンとアクリロニトリ
ルであり、重量比で80:20〜60:40の範囲で使用
する場合である。 またゴム成分を含まない芳香族ビニル化合物と
シアン化ビニル化合物を主成分とする共重合体の
製造に使用される単量体としては上記と同様の単
量体を用いることができる。 本発明のゴム変性熱可塑性樹脂中のゴム成分の
割合は最終的に得られる樹脂中のゴム含量が5〜
30重量%の範囲となるようにすることが好まし
い。 本発明におけるグラフト共重合反応は塊状重
合、塊状−懸濁重合、懸濁重合、溶液重合、乳化
重合などの方法で実施することができるが、撹拌
下、有機過酸化物を触媒として用いる溶液重合法
が本発明に最も適した方法である。 溶液重合の場合の溶媒量としては単量体混合物
とゴムの合計量100重量部に対して総量で50〜200
重量部とするのが好ましい。 ここで使用する溶媒はEPRおよびジエン系ゴ
ムを均一に溶解できるものが適当であり、芳香族
炭化水素およびこれらのハロゲン化物、例えばベ
ンゼン、トルエン、エチルベンゼン、クロルベン
ゼンなどが挙げられる。 また重合触媒としては通常のラジカル触媒が用
いられる。例えばケトンパーオキサイド、ジアル
キルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、
パーオキシエステル、ハイドロパーオキサイドな
どの有機過酸化物である。 重合温度は50〜150℃の範囲内で行なうのが適
当である。本発明のゴム変性熱可塑性樹脂に通常
用いられる酸化防止剤、滑剤、紫外線吸収剤、難
燃剤などを加えて種々の性能を付与することも勿
論可能である。 以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明す
る。 実施例 1 パドル型撹拌翼を備えた10ステンレス製反応
器に、EPRとして日本イーピーラバー社製
JSREP22(ヨウ素価15、ムーニー粘度42、プロピ
レン含有率43重量%、ジエン成分5−エチリデン
−2−ノルボルネン)17重量部、ジエン系ゴムと
してブタジエンゴム(日本合成ゴム社製
JSRBR02L:ムーニー粘度34、シス含量94%)
3重量部、スチレン56重量部、アクリロニトリル
24重量部、トルエン重量部を仕込み室温で撹拌し
てゴムを完全に溶解させた後、Tert−ドデシル
メルカプタン0.1重量部、ジクミルパーオキサイ
ド0.2重量部を加え、撹拌下120℃まで昇温して10
時間重合反応を実施した。反応終了後、2,2′−
メチレン−ビス−(4−メチル−6−Tert−ブチ
ルフエノール)0.2重量部を添加した後、未反応
単量体と溶媒を水蒸気蒸留により留去した。これ
を粉砕乾燥し、40mmベント付押出機(220℃)で
ペレツト化した後、1オンス射出成形機(230℃)
で試験片を成形し物性を評価した。 実施例2〜4および比較例1、2 実施例2〜4および比較例1、2は、EPRと
ブタジエンゴムの重量比を変える以外は実施例1
と同様にして行なつた。 物性測定結果を表−1にまとめた。 実施例1〜4は、EPRのみをゴム成分として
用いた比較例1に比べ、低温(−30℃)における
衝撃強度は遥かに高い値を示しており、低温での
衝撃強度の絶対値のみでなく室温での衝撃強度の
値に対する保持率も著しく向上していることが分
る。また室温での耐衝撃性も比較例1と同等ない
しはそれ以上に優れていることが明らかである。
さらに耐候性試験200時間後の低温の衝撃強度も
比較例1と同水準を示し耐候性が維持されている
ことが分る。 これに対して比較例2のようにブタジエンゴム
の使用量を仕込ゴム量の20重量%としたものでは
低温衝撃強度の値は実施例1の15重量%併用と変
わらず、一方耐候性試験後の低温衝撃強度は大き
く低下しており、耐候性において劣ることが示さ
れている。 実施例 5〜7 EPRとして日本イーピーラバー社製JSREP84
(ヨウ素価12、ムーニー粘度62、プロピレン含有
率32重量%、ジエン成分はジシクロペンタジエ
ン)を用い、ジエン系ゴムとしては日本合成ゴム
社製JSRBR02LL(ムーニー粘度28、シス含量94
%)またはムーニー粘度55(シス含量94%)もし
くは15(シス含量94%)のブタジエンゴムを試作
して用いたものである。 これ以外の条件は実施例2と同様である。 実施例5に示したように、ムーニー粘度が55の
ブタジエンゴムを用いると実施例2(ムーニー粘
度34のブタジエンゴム使用)または実施例6(ム
ーニー粘度28のブタジエンゴム使用)に比べ低温
耐衝撃性の改良効果はやや低下するものの比較例
1に比べると明らかに優れている。 一方ムーニー粘度が15のブタジエンゴムを用い
る(実施例7)と低温衝撃強度の保持率は高いも
のの室温での衝撃強度の低下が見られる。 比較例 3〜9 比較例3〜9は、AES樹脂(比較例1の試料
と同一)とABS樹脂(日本合成ゴム社製
JSRABS10)を、表−2に示した比率で混合し、
40mm押出機(230℃)で溶融混練しペレツト化し
た後、実施例1と同様の方法で物性を測定したも
のである。 AES樹脂の低温衝撃強度はABS樹脂の混合に
よつては殆ど改良されず、一方耐候性はABS樹
脂を10重量%混合しただけで大幅に低下すること
が分る。 この結果からも本発明のEPRとジエン系ゴム
を特定の割合で併用することによる低温衝撃強度
の改良と耐候性の保持が非常に特異的であること
が理解される。
【表】
【表】
実施例8〜10、比較例10〜12
EPRとしてJSREP22を36重量部、ジエン系ゴ
ムとしてJSRBR02Lを4重量部用い、スチレン
42重量部、アクリロニトリル18重量部、トルエン
150重量部を用いる他は実施例1と同様にして重
合反応を実施し、ゴム含量約44重量%のグラフト
共重合体(A)を得た。 また同様にしてジエン系ゴムを含まないゴム含
量約45重量%のグラフト共重合体(B)を得た。 市販のスチレン−アクリロニトリル共重合体
Litac 120pc(三井東圧社製、結合AN約24重量
%、流動性15×10-3c.c./sec)と上記グラフト共
重合体とを40mmベント付押出機(220℃)を用い
て混練配合し物性を評価した。結果を表−3にま
とめたが、実施例は比較例に比べ低温での衝撃強
度に優れていた。
ムとしてJSRBR02Lを4重量部用い、スチレン
42重量部、アクリロニトリル18重量部、トルエン
150重量部を用いる他は実施例1と同様にして重
合反応を実施し、ゴム含量約44重量%のグラフト
共重合体(A)を得た。 また同様にしてジエン系ゴムを含まないゴム含
量約45重量%のグラフト共重合体(B)を得た。 市販のスチレン−アクリロニトリル共重合体
Litac 120pc(三井東圧社製、結合AN約24重量
%、流動性15×10-3c.c./sec)と上記グラフト共
重合体とを40mmベント付押出機(220℃)を用い
て混練配合し物性を評価した。結果を表−3にま
とめたが、実施例は比較例に比べ低温での衝撃強
度に優れていた。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 エチレン−プロピレン系共重合体ゴムとガラ
ス転移温度が−60℃以下のジエン系ゴムを重量比
で99/1〜85/15の割合とした混合ゴム成分に、
芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル化合物を主
成分とする単量体混合物をグラフト共重合するこ
とを特徴とするゴム変性熱可塑性樹脂の製造方
法。 2 ジエン系ゴムとしてムーニー粘度(ML1+4、
100℃)が、20−40のシス−ポリブタジエンを用
いる特許請求の範囲第1項記載の方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP13503980A JPS5759924A (en) | 1980-09-27 | 1980-09-27 | Production of rubber-modified thermoplastic resin |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP13503980A JPS5759924A (en) | 1980-09-27 | 1980-09-27 | Production of rubber-modified thermoplastic resin |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPS5759924A JPS5759924A (en) | 1982-04-10 |
| JPS6315926B2 true JPS6315926B2 (ja) | 1988-04-06 |
Family
ID=15142507
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP13503980A Granted JPS5759924A (en) | 1980-09-27 | 1980-09-27 | Production of rubber-modified thermoplastic resin |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPS5759924A (ja) |
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO1993021246A1 (fr) * | 1992-04-09 | 1993-10-28 | Sanyo Chemical Industries Ltd. | Materiau polymere composite, produit moule a partir de celui-ci, et stratifie |
Families Citing this family (5)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| USRE32217E (en) * | 1982-11-12 | 1986-07-29 | The Dow Chemical Company | Graft copolymerization process |
| US4471092A (en) * | 1983-03-03 | 1984-09-11 | Uniroyal, Inc. | Impact resistant polymer with improved flow characteristics |
| JP2740954B2 (ja) * | 1988-11-29 | 1998-04-15 | 株式会社日立製作所 | 電気車駆動装置 |
| US5282361A (en) * | 1991-05-27 | 1994-02-01 | Sung Lee D | Device for facilitating exhaust action of an internal combustion engine |
| JP6379492B2 (ja) * | 2014-01-17 | 2018-08-29 | テクノUmg株式会社 | 軋み音低減接触用部品 |
Family Cites Families (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPS5318086B2 (ja) * | 1972-04-24 | 1978-06-13 | ||
| JPS5230994A (en) * | 1975-09-04 | 1977-03-09 | Daido Steel Co Ltd | Gear manufacturing method |
| JPS52148590A (en) * | 1976-06-04 | 1977-12-09 | Idemitsu Petrochemical Co | Process for producing graft copolymers |
-
1980
- 1980-09-27 JP JP13503980A patent/JPS5759924A/ja active Granted
Cited By (4)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO1993021246A1 (fr) * | 1992-04-09 | 1993-10-28 | Sanyo Chemical Industries Ltd. | Materiau polymere composite, produit moule a partir de celui-ci, et stratifie |
| GB2280190A (en) * | 1992-04-09 | 1995-01-25 | Sanyo Chemical Ind Ltd | Polymer composite,molding product thereof,and laminate |
| GB2280190B (en) * | 1992-04-09 | 1996-04-24 | Sanyo Chemical Ind Ltd | A polymer composite, a method of preparing it, an article moulded from it, and a laminate containing it |
| US5534590A (en) * | 1992-04-09 | 1996-07-09 | Sanyo Chemical Industries, Ltd. | Polymer composite, its molded article and laminate |
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPS5759924A (en) | 1982-04-10 |
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