JPS6315859B2 - - Google Patents

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JPS6315859B2
JPS6315859B2 JP21403783A JP21403783A JPS6315859B2 JP S6315859 B2 JPS6315859 B2 JP S6315859B2 JP 21403783 A JP21403783 A JP 21403783A JP 21403783 A JP21403783 A JP 21403783A JP S6315859 B2 JPS6315859 B2 JP S6315859B2
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JP
Japan
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membrane
membrane oxygenator
mixed solvent
hollow fiber
silicone
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JP21403783A
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Hiromichi Fukazawa
Michio Sugano
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Terumo Corp
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Terumo Corp
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Description

【発明の詳細な説明】 発明の背景 (技術分野) 本発明は、膜型人工肺の製造方法に関するもの
である。詳しく述べると、体外血液循環におい
て、血液中の二酸化炭素を除去し、かつ血液中に
酸素を添加する人工肺において、血液の漏洩が少
なくかつ防炎性の優れた膜型人工肺の製造方法に
関するものである。 (先行技術〕 従来、開心術の補助手段等として、内壁から外
壁にかけて連通する多数の細孔を有するガス交換
用の疎水性の中空糸膜または平膜を介して、血液
と酸素含有ガスとを接触させてガス交換をする膜
型人工肺が用いられている。 前記人工肺においては、前記膜が疎水性である
ことから、血液が細孔を通過することなく、すな
わち該膜の血液流路側から他方のガス流路側への
血液洩れを生ずることなく、ガス中の酸素を血液
中に添加し、かつ血液中の二酸化炭素をガス中へ
除去することを可能としている。 しかしながら、前記人工肺を長時間にわたつて
使用した場合、該膜の製造ロツトによつて大きく
異なるある発生率で、該膜の血液流路側から他方
のガス流路側への血液洩れを生ずることがあり、
特に該膜が中空糸膜である場合にはその傾向が著
しい。このような現象は、人工肺の製造段階にお
いて水洩れ試験を行ない、異常のないことを確認
したものについても認められるものであり、使用
時に生じる現象である。 前記血液洩れは、人工肺という極めて高い信頼
性を要求される人工臓器においては、特に許容し
難い欠陥である。特に、膜型人工肺は、他の気泡
型人工肺等に比してより長時間の血液循環に使用
することができるという長所を有し、特に高齢者
等で心臓の機能が低下しており、手術後に使用す
る場合または肺外傷等で一時的に肺機能が低下し
ているときに使用する場合には、数週間にわたり
使用されることがある。このような長期にわたる
使用に際し、前記血液洩れの発生は出血多量を防
止するために、輸血を必要とする等の不都合を生
ぜしめることがある。 このような問題点を解決するために、本発明者
らは、さらに膜型人工肺において疎水性膜の少な
くともガス流入口付近の外面または内面の少なく
とも一面にシリコーンの溶液を接触させて処理す
る方法を提案している(特願昭57−151690号)。
しかして、このような方法では、シリコーン溶液
の溶媒として、塩化弗化炭素化合物単独またはヘ
キサンとイソプロパノールの一対5〜1対1の混
合溶媒が使用されている。しかしながら、前記塩
化弗化炭素化合物は沸点が低く揮発性であるので
作業中に溶液中のシリコーン濃度が変り、濃度管
理が困難であるばかりでなく、シリコーン被膜の
厚さが変化して一定のものを得ることが困難であ
るという欠点がある。一方、ヘキサンとイソプロ
パノールの混合溶媒は、引火性が高いので作業中
に火災を起し易いという欠点があつた。 発明の目的 したがつて、本発明の目的は、新規な膜型人工
肺の製造方法を提供することにある。本発明の他
の目的は、長時間使用しても血液の漏洩が少なく
かつ防炎性の優れた膜型人工肺の製造方法を提供
することにある。 これらの諸目的は、ガス流出入口および血液流
出入口を備えたハウジングと、該ハウジング内に
収納された多数の連通微細孔を有するガス交換用
のポリオレフイン疎水性膜とよりなり、該疎水性
膜を介して第1の流体と、第2の流体とを接触さ
せてガス交換を行なう膜型人工肺において、前記
疎水性膜の少なくともガス流入口付近の内面およ
び外面の少なくとも一方の面にシリコーンを低級
アルコールと塩化弗化炭素化合物および弗化炭素
化合物からなる群から選ばれた少なくとも1種の
化合物の容量比で10/1〜1/1の混合溶媒に
0.1〜10重量%溶解させてなる溶液を接触させた
のち、該溶媒を除去することを特徴とする膜型人
工肺の製造方法により達成される。 また、本発明は、ポリオレフインがポリプロピ
レン、特に延伸法により微細孔を形成されたポリ
プロピレンである膜型人工肺の製造方法である。
また、本発明は、疎水性膜が中空糸膜である膜型
人工肺の製造方法である。さらに、本発明は、低
級アルコールが炭素原子数1〜4、特に2〜3の
脂肪族アルコールである膜型人工肺の製造方法で
ある。本発明は、混合溶媒中の低級アルコールと
塩化弗化炭素化合物および/または弗化炭素化合
物との容量比が8/1〜2/1である膜型人工肺
の製造方法である。また、本発明は、混合溶媒が
炭素原子数2〜3の脂肪族アルコールと塩化弗化
炭素化合物との混合物である膜型人工肺の製造方
法である。さらに、本発明は、塩化弗化炭素化合
物が、1,2,2−トリクロロ−1,2,2−ト
リフルオロエタン、トリクロロフルオロメタンお
よび1,1,2,2−テトラクロロ−1,2−ジ
フルオロエタンよりなる群から選ばれたものであ
る膜型人工肺の製造方法である。また、本発明
は、膜型人工肺が中空糸膜型である膜型人工肺の
製造方法である。 発明の具体的構成 つぎに、図面を参照しながら本発明方法を詳細
に説明する。第1図は、本発明が適用される中空
糸膜型人工肺の一実施例を示すものである。すな
わち、該中空糸膜型人工肺は、ハウジング1を具
備してなり、このハウジング1は筒状本体2の両
端部にそれぞれ環状の雄ネジ付き取付けカバー
3,4が設けられ、ハウジング1内には、全体が
広がつて多数の、例えば10000〜60000本のガス交
換用中空糸膜5がハウジング1の長手方向に沿つ
て並列的に相互に離間配置されている。そして、
このガス交換用中空糸膜5の両端部は、取付カバ
ー3,4内においてそれぞれの開口が閉塞されな
い状態で隔壁6,7により液密に支持されてい
る。また、上記各隔壁6,7は、中空糸膜5外周
面と上記ハウジング1の内面とともに第1の物質
移動室である酸素室8を構成し、これを閉塞し、
かつ上記ガス交換用中空糸膜5の内部に形成され
る第2の物質移動流体用空間である血液流通用空
間(図示しない)と酸素室8を隔離するものであ
る。 一方の取付けカバー3には、第1の物質移動流
体である酸素を供給する導入口9が設けられてい
る。他方の取付カバー4には酸素を排出する導出
口10が設けられている。 上記ハウジング1の筒状本体2の内面には、軸
方向の中央に位置して突出する絞り用拘束部14
を設けることが好ましい。すなわち、拘束部14
は上記筒状本体2の内面に筒状本体と一体に形成
されていて、筒状本体2内に挿通される多数の中
空糸膜5からなる中空糸束15の外周を締め付け
るようになつている。こうして、上記中空糸束1
5は、第1図で示すように軸方向の中央において
絞り込まれ、絞り部16を形成している。したが
つて、中空糸膜5の充填率は、軸方向に沿う各部
において異なり、中央部分において最も高くなつ
ている。なお、後述する理由により望ましい各部
の充填率は次の通りである。まず、中央の絞り部
16における充填率は、約60〜80%、その他筒状
本体2内では約30〜60%であり、中空糸束15の
両端、つまり隔壁6,7の外面における充填率で
は、約20〜40%である。 中空糸膜5は人工肺用としては多孔性ポリオレ
フイン系樹脂、たとえばポリプロピレン、ポリエ
チレンからなり、特に、ポリプロピレンが好適で
ある。以下、人工肺を例に本発明の医用物質移動
装置を説明する。この人工肺用中空糸膜5は壁の
内面と外面を連通する微細孔が多数存在するもの
が得られる。そして、その内系は約100〜1000μ
m、肉厚は約10〜50μm、平均孔径は約200〜
2000Å、かつ空孔率は約20〜80%とするものであ
る。このようなポリオレフイン系樹脂よりなる中
空糸膜を用いると気体の移動が体積流として行な
われるため、気体の移動に際して膜抵抗が少な
く、ガス交換性能が著しく高くなる。 次に、上記隔壁6,7の形成について述べる。
前述したように隔壁6,7は、中空糸膜5の内部
と外部を隔離するという重要な機能を果すもので
ある。通常、この隔壁6,7は、極性の高い高分
子ポツテイング材、たとえばポリウレタン、シリ
コーン、エポキシ樹脂等をハウジング1の両端内
壁面に遠心注入法を利用して流し込み、硬化させ
ることにより作られる。さらに詳述すれば、ま
ず、ハウジング1の長さより長い多数の中空糸膜
5…を用意し、この両開口端を粘度の高い樹脂に
よつて目止めをした後、ハウジング1の筒状本体
2内に並べて位置せしめる。この後、取付けカバ
ー3,4の径以上の大きさの型カバーで、中空糸
膜5…の各両端を完全に覆つて、ハウジング1の
中心軸を中心にそのハウジング1を回転させなが
ら両端部側から高分子ポツテイング剤を流入す
る。流し終つて樹脂が硬化すれば、上記型カバー
を外して樹脂の外側面部を鋭利な刃物で切断して
中空糸膜5…の両開口端を表面に露出させる。か
くして隔壁6,7を形成されることになる。 上記隔壁6,7の外面は、環状凸部を有する流
路形成部材11,12でそれぞれ覆われている。
この流路形成部材11,12はそれぞれ液分配部
材17,18およびネジリング19,20よりな
り、この液分配部材17,18の周縁部付近に設
けられた環状凸部として突条21,22の端面を
前記隔壁6,7にそれぞれ当接させ、ネジリング
19,20を取付カバー3,4にそれぞれ螺合す
ることにより固定することにより第2の物質移動
流体である血液の流入室23および流出室24が
それぞれ形成されている。この流路形成部材1
1,12にはそれぞれ第2の物質移動流体である
血液入口25および出口26が形成されており、
また空気抜き孔27,28が設けられている。 この隔壁6,7と、流路形成部材11,12と
により形成される隔壁6,7の周縁部の空隙部
は、該空隙部に連通する少なくとも2個の孔2
9,30一方より充填側31,32を充填するこ
とにより前記隔壁6,7と接触するようにシール
される。あるいはまた、Oリング(図示せず)を
介してシールされる。 なお、第1図において、各口にはキヤツプ3
3,34,35,36が取付けられている。 なお、前記中空糸膜型人工肺において、第1の
物質移動流体としては空気等の酸素含有ガスまた
は血液であり、第2の物質移動流体としては血液
または酸素含有ガスである。したがつて、第1の
物質移動流体がガスの場合には第2の物質移動流
体は血液であり、一方、第1の物質移動流体が血
液の場合には第2の物質移動流体はガスである。 しかして、前記膜型人工肺においては、長時間
にわたる使用状態下で、中空糸膜5の血液漏洩発
生を完全に防止するように、中空糸膜5の少なく
とも外面、すなわちガスと接する面に、生体に対
する安全性の高いシリコーンを低級アルコールと
塩化弗化炭素化合物および/または弗化炭素化合
物との混合溶媒(以下、単に混合溶媒という。)
に溶解して得られる溶液を接触させたのち、該溶
媒を除去することにより処理される。 このような処理法としては、例えば、第1図に
示す中空糸膜型人工肺の第1の物質移動流体導出
口10に供給管(図示せず)を連結し、かつ第1
の物質移動流体導入口9にL字状でかつその先端
部が隔壁6の側面ないしそれ以上の高さに位置す
る充填管(図示せず。)を連結したのち、前記供
給管より充填間における液位が前記隔壁6の端面
にほぼ達するまで前記シリコーンの混合溶媒溶液
を酸素室8内に供給して充填し、所定の時間後に
前記供給管より前記溶液を排出させ、ついで中空
糸膜5の内外を通気乾燥し、中空糸膜5内に微細
孔を介してシリコーンの侵入があつた場合にも、
該シリコーンを外部に排出させ、中空糸膜5の少
なくとも外面、すなわちガスと接触する面の全面
にシリコーンの処理部位を形成する。 以上は、中空糸膜5の全面に処理部位を形成す
る場合について説明したが、本発明者らの知見に
よれば、血液漏洩は、常に吹送ガスによつて乾燥
される付近の中空糸膜に生じていることから、処
理部位は、中空糸膜5の少なくともガス流入口付
近に限定することも可能である。この場合には、
第1の物質移動流体導入口9が下方になるように
鉛直に配置し、該導入口9に供給管(図示せず。)
を連結し、該供給管から前記シリコーンの混合溶
媒溶液を流入させ、中空糸膜5の全長の1/4〜
1/3程度を該溶液で浸漬したのち、該溶液を排
出することにより、ガス流入口付近の中空糸膜の
みに処理部位を形成する。 本発明で使用されるシリコーンは、前記混合溶
媒に溶解しかつ前記膜と接触することにより該膜
の微細孔を実質的に閉塞することなく該膜の表面
に薄い被膜を形成するものであり、シリコーンオ
イル、シリコーンゴム、シリコーン樹脂等があ
る。シリコーンオイルとしては、メチルシリコー
ンオイル、ジメチルシリコーンオイル、メチルフ
エニルシリコーンオイル、メチルクロロフエニル
シリコーンオイル等がある。シリコーンゴムない
しシリコーン樹脂としてはジメチルポリシロキサ
ン、メチルフエニルポリシロキサン、メチルビニ
ルポリシロキサン−メチルフエニルビニルポリシ
ロキサン、部分架橋型のシリコーン、例えばアミ
ノアルキルシロキサン、ジメチルシロキサン共重
合体等がある。これらのシリコーンのうち、シリ
コーンゴムが好ましい。 前記シリコーンゴムのうち、常温加硫ゴムが好
ましく、生ゴムのままでは強度が不充分であるの
で、シリカ微粉末等の充填剤を配合して補強す
る。また、加硫剤としては、過酸化ベンゾイル、
過酸化ビス−2,4−ジクロルベンゾイル、過酸
化ジクミル、過酸化ジターシヤリブチル等の有機
過酸化物、脂肪酸アゾ化合物等がある。 なお、シリコーン溶液による疎水性膜の処理
は、組立前にも実施可能であるが、モジユール組
立後に行なうことが最適である。 溶媒は、低級アルコールと塩化弗化炭素化合物
および/または弗化炭化水素との混合溶媒であ
り、その容量比は10/1〜1/1、好ましくは
8/1〜2/1、最も好ましくは約5/1であ
る。すなわち、該容量比が10/1を越えて低級ア
ルコール量が増えると、シリコーンが溶解しにく
くなり、一方該容量比が1/1未満で低級アルコ
ール量が少なくなると、揮発性の高い塩化弗化炭
素化合物および/または弗化炭素化合物のために
濃度管理が困難となるからである。 低級アルコールとしては、炭素原子数1〜4、
好ましくは2〜3の脂肪族アルコールがあり、一
例を挙げると、例えばメタノール、エタノール、
n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタ
ノール、イソブタノール、sec−ブタノール、t
−ブタノール等がある。これらのうち、メタノー
ルは揮発性が高いので濃度管理に問題を生じやす
く、一方ブタノール類は比較的シリコーン溶解度
が低くなるので炭素原子数2〜3のアルコールが
望ましく、かつ価格および溶解度の点からはプロ
パノール類が最も好ましい。 塩化弗化炭素化合物としては、例えば、1,
1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロ
エタン、トリクロロフルオロメタン、1,1,
2,2−テトラクロロ−1,2−ジフルオロエタ
ン等がある。また、弗化炭素化合物としては、弗
化メチル、四弗化炭素、テトラフルオロエタン、
テトラフルオロエチレン、パーフルオロメチルプ
ロピルシクロヘキサン、パーフルオロブチルシク
ロヘキサン等のパーフルオロシクロアルカン類、
パーフルオロデカリン、パーフルオロメチルデカ
リン、パーフルオロアルキル、テトラヒドロピラ
ン、パーフルオロデカン等がある。これらのう
ち、揮発性が低くかつ安価である点から塩化弗化
炭素化合物が好ましい。 しかして、シリコーンは、前記混合溶媒中に
0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜5重量%の濃度
で使用される。すなわち、0.1重量%未満では疎
水性膜の漏洩防止効果が不充分であり、一方10重
量%を越えると微細孔が塞閉して充分なガス交換
性能が得難くなるからである。なお、このような
シリコーンの混合溶媒溶液中には、原料として使
用されるシリコーンがシリコーン溶液である場合
に、これに随伴してくる他の溶媒、例えば脂肪族
ないし芳香族炭化水素類が混入してもよいことは
もちろんである。例えばシリコーンが30〜50重量
%のトルエン/イソプロパノール(4/1重量
比)混合溶媒の溶液である場合、該混合溶媒に由
来するトルエンの混入はなんらさしつかえなく、
一方、該混合溶媒に由来するイソプロパノール
は、前記低級アルコール/塩化弗化炭素化合物お
よび/または弗化炭素化合物混合溶媒中の比率と
して計算される。 本発明において、疎水性膜とシリコーン混合溶
媒溶液との接触時間は、特に限定されるものでは
ないが、前記のごとき浸漬法の場合には、通常5
秒〜30分間、好ましくは1〜10分間である。ま
た、浸漬終了後、すなわち前記溶液除去後の乾燥
温度は20〜70℃、好ましくは30〜50℃あり、その
時間は前記混合溶媒が揮発除去するのに充分な時
間であればよい。 以上は、第1の物質移動流体が酸素含有ガスで
ある場合の膜型人工肺について説明したが、第1
の物質移動流体が血液である場合には、第2の物
質移動流体入口25または出口26から前記と同
様な方法でシリコーンの混合溶媒溶液を供給して
処理すればよい。 また、前記方法は浸漬法により疎水性膜をシリ
コーンの混合溶媒溶液で処理する場合について説
明したが、スプレーコーテイング法によつて処理
することにより、処理後の乾燥工程を不要もしく
は短時間とすることが可能となる。すなわち、前
記のごときシリコーンの混合溶媒溶液を、空気流
入管を備えたネブライザーによつて微粒子とし、
供給管を介して第1または第2の物質移動流体入
口または出口から送気し、他方の出口または入口
から排気し、ついで前記のごとき温度のシリコー
ンおよび混合溶媒に対して不活性なガス、例えば
空気を送気して乾燥を行なうことにより膜型人工
肺が得られる。 以上は中空糸膜型人工肺の製造方法について説
明したが、積層式、1枚の膜をコイル状に巻いた
もの、ジグザグ状に折り込んだもの等の平膜型人
工肺についても同様に処理することにより長時間
使用しても血液の漏洩が実質的にない膜型人工肺
が得られる。 つぎに、実施例を挙げて本発明方法をさらに詳
細に説明する。 実施例 1 第1図に示すような両端にガスポート9,10
を備えた筒状本体2内に延伸ポリプロピレン製の
中空糸膜(平均微細孔径約700Å、内径約200μ
m、肉厚約25μm、空孔率約50%)約38000本か
らなる中空糸束を収納し、両端をポリウレタンポ
ツテイング剤でポツテイングして筒壁6,7を形
成させてなる中空糸膜型人工肺を鉛直に立て、ガ
スポート10に供給管を連結した。 一方アミノアルキルシロキサン10〜20重量%お
よびジメチルシロキサン90〜80重量%よりなる部
分的に硬化してなる有機シロキサン共重合性ゴム
を固形分33重量%でトルエン/イソプロパノール
(重量比4/1)の混合溶媒に溶解してなるポリ
プロピレン溶液を、その固形分濃度が約1.5重量
%となるようにイソプロパノール/1,1,2−
トリクロロ−1,2,2−トリフルオロエタン
(容量比約5/1)の混合溶媒に溶解してシリコ
ーンの混合溶媒溶液を調整した。この溶液を前記
供給管よりガスポート10を経て酸素室8に供給
して約5分間前記中空糸膜を浸漬したのち、排出
させた。ついで、45℃の温風を50〜60/分の流
量で120分間供給して混合溶媒を揮発させた。 牛血に抗凝固剤(ACD液)50ml/およびヘパ
リン10000ユニツト/を添加し、採取後1日間
冷蔵庫に保存し、ヘマトリツクス値を35%に調整
した牛血を、第2図に示すように受器40からライ
ン41を経てポンプ42により中空糸膜型人工肺
43の血液入口25に供給し、血液出口26より
排出させ、ライン44を経て受器40に1500ml/
分の血液量で4時間循環させるとともに、ガスポ
ート10より空気を2〜3/分酸素室8に供給
したのちガスポート9より排出させてその間ガス
交換を行なつた。ついで、血液を停止し、空気の
みを20分間吹送し、さらに空気を停止して血液を
1時間流通させた。終了後、血液の漏洩をみて、
1.5/分の流量で10分間水洗し、24時間後にさ
らに漏洩状態を確認したところ、第1表の結果か
ら得られた。なお、この場合、全てのサンプルに
おいて、血液循環中の漏洩、ホクロ状等の発生は
みられなかつた。 比較例 1 実施例に方法において、混合溶媒としてイソプ
ロパノール/ヘキサン(容量比約5/1)の混合
溶媒を使用した以外は、同様の方法を行なつたと
ころ、第1表の結果が得られた。 比較例 2 未処理の実施例と同様な中空糸膜型人工肺を用
いて、実施例と同様な試験を行なつたところ、第
1表の結果が得られた。
【表】 参考例 イソプロパノールと、1,1,2−トリクロロ
−1,2,2−トリフルオロエタン(フレオン
TF)の混合溶媒について、該イソプロパノール
に対するフレオンの濃度と容量で0、5、7、
10、15、20および80%に変えてシヤーレに採り、
常温(24.3℃)でマツチの炎を近づけて引火の程
度を試験したところ、第2表の結果が得られた。
【表】 第2表から明らかなように、フレオン濃度が高
くなると、混合溶媒を炎に近づけたとき、蒸気に
よつて消化される現象が観察された。常温におい
ては、フレオン濃度を10重量%以上にすれば、容
易に引火しなかつた。 発明の具体的効果 以上述べたように、本発明は、ガス流出入口お
よび血液流出入口を備えたハウジングと、該ハウ
ジング内に収納された多数の連通微細孔を有する
ガス交換用のポリオレフイン疎水性膜とよりな
り、該疎水性膜を介して第1の流体と、第2の流
体とを接触させてガス交換を行なう膜型人工肺に
おいて、前記疎水性膜の少なくともガス流入口付
近の内面および外面の少なくとも一方の面に、シ
リコーンを低級アルコールと塩化弗化炭素化合物
および弗化炭素化合物からなる群から選ばれた少
なくとも1種の化合物の容量比で10/1〜1/1
の混合溶媒に0.1〜10重量%溶解させてなる溶液
を接触させたのち、該溶媒を除去することを特徴
とする膜型人工肺の製造方法であるから、シリコ
ーンに対する溶解度が充分であるにもかかわら
ず、常温で引火せず、特にその容量比が8/1〜
2/1では炎を近づけてもその蒸気により消火す
るので、防炎上極めて安全である。しかし、イソ
プロパノールと脂肪族ないし芳香族炭化水素との
混合溶媒を使用したシリコーン溶液処理に比して
優れとも劣らない漏洩防止効果があるのである。 このように、防炎上安全でかつ優れた漏洩防止
効果を有する前記混合溶媒によるシリコーン溶液
を使用するので、安価な疎水性膜であるポリオレ
フイン、特にポリプロピレン膜、特に好ましくは
ポリプロピレン中空糸膜が使用でき、また低級ア
ルコールとして炭素原子数2〜3の脂肪族アルコ
ールを使用した場合にその効果が著しい。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明により製造される膜型人工肺の
一実施例を示す部分断面図であり、第2図は本発
明方法で製造された膜型人工肺を使用してガス交
換を行なつたときの血液の漏洩を試験するための
フロー図である。 1…ハウジング、2…筒状本体、5…中空糸
膜、6,7…隔壁、8…第1の物質移動室、9,
10…第1の物質移動流体導入出口、15…中空
糸束、25,26…第2の物質移動流体入出口。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 ガス流出入口および血液流出口を備えたハウ
    ジングと、該ハウジング内に収納された多数の連
    通微細孔を有するガス交換用のポリオレフイン疎
    水性膜とよりなり、該疎水性膜を介して第1の流
    体と、第2の流体とを接触させてガス交換を行な
    う膜型人工肺において、前記疎水性膜の少なくと
    もガス流入口付近の内面および外面の少なくとも
    一方の面にシリコーンを低級アルコールと塩化弗
    化炭素化合物および弗化炭素化合物からなる群か
    ら選ばれた少なくとも1種の化合物の容量比で
    10/1〜1/1の混合溶媒に0.1〜10重量%溶解
    させてなる溶液を接触させたのち、該溶媒を除去
    することを特徴とする膜型人工肺の製造方法。 2 ポリオレフインがポリプロピレンである特許
    請求の範囲第1項に記載の膜型人工肺の製造方
    法。 3 ポリプロピレンが延伸法により微細孔を形成
    されたものである特許請求の範囲第2項に記載の
    膜型人工肺の製造方法。 4 低級アルコールが炭素原子数1〜4の脂肪族
    アルコールである特許請求の範囲第1項ないし第
    3項のいずれか一つに記載の膜型人工肺の製造方
    法。 5 低級アルコールが炭素原子数2〜3の脂肪族
    アルコールである特許請求の範囲第4項に記載の
    膜型人工肺の製造方法。 6 混合溶媒中の低級アルコールと塩化弗化炭素
    および/または弗化炭素との容量比が8/1〜
    2/1である特許請求の範囲第4項または第6項
    に記載の膜型人工肺の製造方法。 7 混合溶媒が炭素原子数2〜3の脂肪族アルコ
    ールと塩化弗化炭素化合物との混合物である特許
    請求の範囲第5項に記載の膜型人工肺の製造方
    法。 8 塩化弗化炭素化合物が1,1,2−トリクロ
    ロ−1,2,2−トリフルオロエタン、トリクロ
    ロフルオロメタンおよび1,1,2,2−テトラ
    クロロ−1,2−ジフルオロエタンよりなる群か
    ら選ばれたものである特許請求の範囲第7項に記
    載の膜型人工肺の製造方法。 9 膜型人工肺が中空糸膜型である特許請求の範
    囲第1項ないし第8項のいずれか一つに記載の膜
    型人工肺の製造方法。
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