JPS6315529Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、内燃機関のロツカアーム式動弁装
置において、ロツカアームとバルブステムエンド
との接触部を強制潤滑する潤滑機構に関する。

ロツカアーム式動弁装置におけるロツカアーム
とカムとの摺動部の潤滑機構として、従来例えば
第１図に示すように、中空管状のロツカシヤフト
１に小孔２を開口形成するとともに、ロツカアー
ム３のボス部３ａに切欠４あるいは小孔５を形成
し、ロツカアーム３の揺動中に小孔２と切欠４が
合致した時、又は小孔２と小孔５が合致した時
に、ロツカシヤフト１内の潤滑油通路から潤滑油
を噴射供給するように構成したものが知られてい
る（実開昭50−26239号公報）。

しかしながら、このような従来の構成において
は、ロツカシヤフト１やロツカアーム３の軸方向
位置を高精度に管理しないと、小孔２と切欠４あ
るいは小孔５との間でズレが生じたり、あるいは
噴射方向が狂つてしまつたりし易く、正しい位置
に所定量の潤滑油を噴射することが難しい。とり
わけ、潤滑対象が小さなバルブステムエンドに対
し潤滑を行う場合には、僅かな潤滑方向の狂いに
よつても噴射される潤滑油が潤滑対象に供給され
ずに潤滑不良が生じ易く、かつ無駄に噴射される
潤滑油が多くなつてしまう。

また一方、上記従来の構成では、ロツカアーム
３とロツカシヤフト１との間の潤滑に関し特に考
慮されていないため、バルブリフト時の荷重によ
り両者の摺接面に偏摩耗が生じ易く、これに起因
する潤滑油漏洩量の増大によつて油圧が低下し易
い、という問題もある。

この考案は上記のような従来の問題点に鑑みて
なされたもので、その目的とするところは、ロツ
カアームやロツカシヤフトの取付誤差等に撮影さ
れずにバルブステムエンドに確実に潤滑油を供給
できるとともに、ロツカアームとロツカシヤフト
との潤滑を同時に行うことができる潤滑機構を提
供することにある。

すなわち、この考案に係る動弁装置の潤滑機構
は、ロツカアーム軸受部とロツカシヤフトとの摺
接面に、ロツカシヤフト内の潤滑油通路と連通す
る主油溝を周方向に形成する一方、この主油溝よ
りロツカシヤフトの軸方向に分岐する分岐油溝を
ロツカシヤフト表面に設け、かつ上記ロツカアー
ム軸受部には、バルブステムエンドを指向する潤
滑油噴出孔を、上記分岐油溝と合致可能な位置に
貫通形成したことを特徴とするものである。

以下、この考案の一実施例を図面に基づいて詳
細に説明する。

第２図はこの考案を適用した内燃機関の動弁装
置を示すもので、１１はシリンダヘツド、１２は
このシリンダヘツド１１に固着されたロツカサポ
ート、１３はこのロツカサポート１２とシリンダ
ヘツド１１との間に回転自在に保持されたカムシ
ヤフト、１４はロツカサポート１２両側にボルト
にて固定されたロツカシヤフト、１５はロツカサ
ポート１２に摺動可能に嵌挿されて基端がカムシ
ヤフト１３に当接したオイルタペツト、１６はロ
ツカアームであつて、このロツカアーム１６は、
一端が上記オイルタペツト１５先端に当接すると
ともに、他端が吸排気バルブ１７のステムエンド
１７ａに当接し、かつ略中央の円筒状の軸受部１
６ａが上記ロツカシヤフト１４に揺動自在に嵌合
している。また上記軸受部１６ａには、軸垂直方
向に潤滑油噴出孔１８が貫通形成されており、そ
の先端は上記ステムエンド１７ａに指向してい
る。

一方、上記ロツカシヤフト１４は、第３図に示
すように内部に潤滑油通路１９を有し、ロツカサ
ポート１２からロツカアーム１６との嵌合部に潤
滑油を導いているとともに、この潤滑油通路１９
先端に連続してロツカシヤフト１４外周に環状に
主油溝２０が刻設されており、更に、この主油溝
２０に直交してロツカシヤフト１４軸方向に延び
る分岐油溝２１が刻設されている。上記主油溝２
０および分岐油溝２１は、ロツカアーム軸受部１
６ａとの摺接面内に位置し、かつ上記分岐油溝２
１は、ロツカアーム１６が揺動した際に上記潤滑
油噴出孔１８と合致し得る位置に設けられてい
る。

すなわち、上記潤滑油通路１９を通して圧送さ
れた潤滑油は、主油溝２０を介してロツカシヤフ
ト１４とロツカアーム軸受部１６ａとの摺接面に
十分に供給され、バルブリフト時の荷重に対して
も油膜切れを生じることなく良好な潤滑を行う一
方、ロツカアーム１６の摺動により、潤滑油噴出
孔１８と分岐油溝２１とが合致した時点で、上記
潤滑油噴出孔１８から潤滑油が噴出され、ロツカ
アーム１６とバルブステムエンド１７ａとの接触
部を潤滑するのである。ここで上記分岐油溝２１
は、ロツカシヤフト１４軸方向に長く形成されて
いるため、ロツカアーム１６との間で相対的な取
付位置に若干の誤差があつたとしても何ら支障は
無く、また仮に分岐油溝２１の形成位置に若干の
誤差があつて噴出時期が狂つたとしても、その噴
出方向は上記潤滑油噴出孔１８によつて常にバル
ブステムエンド１７ａを指向しているために確実
な潤滑が行える。しかも、上記分岐油溝２１はロ
ツカシヤフト１４表面に溝として形成されるもの
であるから、例えばロツカシヤフトに細長い孔を
開口形成する場合に比較して極めて加工が容易で
ある。

尚、上記主油溝２０はロツカアーム１６の軸受
部１６ａ内周に形成しても良く、全く同様の効果
を得ることができる。

以上の説明で明らかなように、この考案に係る
動弁装置の潤滑機構によれば、潤滑油が主油溝を
介してロツカアームとロツカシヤフトとの摺接面
に広く供給されて該摺接面の良好な潤滑を行うこ
とができるとともに、分岐油溝および潤滑油噴出
孔を介してバルブステムエンドへ確実に潤滑油を
供給できる。特に、上記分岐通路がロツカシヤフ
ト軸方向に沿つて形成されているので、ロツカア
ームの位置がロツカシヤフト軸方向に多少ずれて
いたとしても、潤滑油噴出孔は確実に分岐通路を
横切ることになり、十分な量の潤滑油を供給する
ことができる。しかも、ロツカアームとロツカシ
ヤフトとの間の潤滑の改善によつて、両者の摺接
面の偏摩耗を防止できるため、バルブステムエン
ドへの噴出油量の低下を長期に亘つて防止でき
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の潤滑機構の一例を示す平面図、
第２図はこの考案の潤滑機構を備えた動弁装置の
断面図、第３図はその要部の分解斜視図である。 １１……シリンダヘツド、１４……ロツカシヤ
フト、１６……ロツカアーム、１６ａ……軸受
部、１７……吸排気バルブ、１７ａ……ステムエ
ンド、１８……潤滑油噴出孔、１９……潤滑油通
路、２０……主油溝、２１……分岐油溝。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 略中央の円筒状の軸受部を有するロツカアーム
   と、内部に潤滑油通路を有し、かつ上記ロツカア
   ーム軸受部が揺動自在に嵌合するロツカシヤフト
   とを備えてなる動弁装置において、上記ロツカア
   ーム軸受部とロツカシヤフトとの摺接面に、上記
   ロツカシヤフト内の潤滑油通路と連通する主油溝
   を周方向に形成する一方、この主油溝よりロツカ
   シヤフトの軸方向に分岐する分岐油溝をロツカシ
   ヤフト表面に設け、かつ上記ロツカアーム軸受部
   には、バルブステムエンドを指向する潤滑油噴出
   孔を、上記分岐油溝と合致可能な位置に貫通形成
   したことを特徴とする動弁装置の潤滑機構。