JPS6133971B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、エンジンの動弁機構の給油装置に係
り、特にオーバヘツドカム軸型動弁機構に於てそ
の回転カムとロツカアームとの接触領域に油を供
給するための給油装置に係る。

オーバヘツドカム型（OHC型）動弁機構に於
ては、回転カムとロツカアームとの接触領域の潤
滑を行うべくその接触領域に潤滑油を供給する必
要があり、従来その給油は、例えば特公昭47−
10125号公報、特開昭49−44110号公報、実開昭50
−26239号公報等に示されている如く、ロツカア
ームに設けられた油孔からの噴油、カム軸に沿つ
て配置された給油パイプの油孔からの噴油等によ
つて行われている。しかし、ロツカアームに設け
られた油孔からの噴油による給油によつては常に
所定量の油をカムとロツカアームとの接触領域に
供給することが難しく、多くの油量を必要とす
る。又給油パイプを用いる給油装置によれば、給
油パイプの配置位置とその油孔の開口方向を適宜
に設定することにより、カムとロツカアームとの
接触領域に常に所定量の油を供給することができ
るが、パイプ及びその固定装置を必要とするため
コスト的に不利であり、又狭い場所に給油パイプ
を設置しなければならず、給油パイプが動弁機構
のメンテナンスを行い難くするという問題があ
る。

かかる問題に対処して、シリンダヘツドに、油
通路と、一端にて該油通路に接続し他端にてシリ
ンダヘツドの上面に開口する給油ノズル孔とを設
け、該油通路を経て導かれた油を前記給油ノズル
孔よりその上方に配置されたオーバヘツドカム軸
型動弁機構の回転カムの表面へ向けて噴射する構
成の給油装置が、実願昭48−26382号（実開昭49
−127650号）に於て提案されている。かかる構成
のオーバヘツドカム軸型動弁機構のための給油装
置は一応上述の如き問題を解決するものではある
が、この先の提案になる給油装置に於ては、給油
ノズル孔より噴射された油がカム表面に対し略垂
直に噴付けられるようになつているため、カム表
面に噴付けられた油がカム表面との衝突により跳
返され、カム表面に付着してこれに担持されるこ
とにより該カム表面とロツカアームとの接触部へ
有効な潤滑油として運ばれる油の量は給油ノズル
孔より噴射される油の量に比してかなり減少する
ものと推測される。又この先の提案に於ては、シ
リンダヘツドの上面に開口する給油ノズル孔は丁
度回転カムの回転中心の垂直方向下方の位置に開
口しており、シリンダヘツドの上面は回転カムと
の干渉を避けるべくこの給油ノズル孔の開口付近
にて最も低い表面を呈するように構成されている
ことから、エンジンが停止され、給油ノズル孔内
の油が重力により油通路へ向けて引き戻される際
に、このシリンダヘツドの最低面部上に溜まつた
摩耗粉、煤、スラツジ等の固形物が給油ノズル孔
より油通路内へ侵入し、油通路の詰りを生ずる如
き不具合が生ずる危険が予想される。

本発明は、かかるシリンダヘツド内に穿孔され
た油通路より該シリンダヘツドの表面に開口する
給油ノズル孔を経てオーバヘツドカム軸型動弁機
構へ直接潤滑油を噴射供給する型の給油装置に於
ける上述の如き問題に対処し、この点に関し更に
改良されたオーバヘツドカム軸型動弁機構のため
の改良された給油装置を提供することを目的とし
ている。

かかる目的は、本発明によれば、シリンダヘツ
ドに形成された油通路と、一端にて前記通路に接
続し他端にてシリンダヘツド上面に開口した給油
ノズル孔とを有し、シリンダヘツドの上方に配置
された回転カムと該回転カムに対しパツド部が垂
直方向上方より当接するロツカアームとを有する
オーバヘツドカム軸型動弁機構の前記回転カムの
表面へ向けて前記給油ノズル孔より油を噴射する
オーバヘツドカム軸型動弁機構の給油装置にし
て、前記給油ノズル孔の前記他端はシリンダヘツ
ドの上面に於ける最低面部より隆起した隆起部に
あつて且前記回転カムの回転中心の垂直方向下方
の位置より該給油ノズル孔に対向する前記回転カ
ムの表面の移動方向に偏倚した位置に開口してお
り、更に前記給油ノズル孔はそれに対向する前記
回転カムの表面に対しその移動方向に沿つて実質
的に接線をなす方向に油を噴射するようその開口
方向を定められていることを特徴とする給油装置
によつて達成される。

かかる構成によれば、給油ノズル孔から噴射さ
れた油はカム表面に向けて回転カムの回転方向に
沿つて実質的に接線方向に噴射されるので、その
油はカム表面に塗布された如くより良く付着し、
回転カムの回転に伴いカム表面によつて担持され
てカムとロツカアームとの接触領域に効率よく運
ばれ、その接触領域の潤滑を行う。この場合、油
の噴射圧は一般にエンジン回転速度に応じて比例
的に増大し、油の噴射速度は噴射圧の平方根に比
例して増大するが、カム表面の移動速度もエンジ
ン回転数に比例して増大し、しかも両者の方向が
一致するので、カム表面に対する油噴流の相対的
噴付け速度を大幅に低減せしめることができる。
又油がカム表面に接線的に噴付けられる場合、謂
ゆるコアンダ効果によつて油はカム表面に噴付け
られるように流れ、カムとロツカアームとの接触
領域に効率良く運ばれるので、従来に比して少な
い油量で所望の良好な潤滑状態を得ることができ
る。

又給油ノズル孔がシリンダヘツドの上面に於け
る最低面部より隆起した隆起部に開口しているこ
とにより、エンジンが停止され、給油ノズル孔内
の油が重力により油通路へ向けて逆に引込まれる
場合にも、シリンダヘツドの上面の最低面部に溜
まつた摩耗粉、煤、スラツジ等が給油ノズル孔内
へ流入する虞れはなく、かかる固形物の流入によ
つて給油ノズル孔や油通路に詰りを生ずる危険は
確実に回避される。

以下に添付の図を参照して本発明を実施例につ
いて詳細に説明する。

添付の第１図は本発明による給油装置を組込ん
だオーバヘツドカム軸型動弁機構の一例を示す一
部断面による概略図であり、第２図は第１図に示
された動弁機構のカム軸の軸受部分を示す横断面
図である。図に於て、１はエンジンのシリンダヘ
ツドを示し、該シリンダヘツドはその上部にカム
軸２を回転自在に但持していると共に、ロツカア
ーム軸３を一体的に担持している。ロツカアーム
軸３にはロツカアーム４が回動自在に取付けられ
ており、ロツカアーム４はその一方の端部に形成
されたパツド部５にてカム軸２に形成された回転
カム６のカム表面（カムプロフアイル面）に摺接
するようになつている。ロツカアーム４の他方の
端部にはロツクナツト７との係合によりねじ込み
量が調節可能な態様にてアジヤストスクリユ８が
取付けられており、このアジヤストスクリユ８は
先端部にてエンジンバルブ９のステム先端に当接
している。エンジンバルブ９はステム先端部にロ
ツク要素１０を介して取付けられたリテーナ１１
とシリンダヘツド１の上面に形成されたばね座部
１２との間に取付けられた圧縮コイルばね（バル
ブスプリング）１３によつて図にて上方へ、即ち
閉弁方向へ付勢されており、回転カム６によりロ
ツカアーム４がロツカアーム軸３を中心として図
にて反時計廻り方向に回転されたとき圧縮コイル
ばね１３のばね力に抗して図にて下方へ移動し、
開弁するようになつている。かかる構造は一般的
なオーバヘツドカム軸型動弁機構の構造である。

シリンダヘツド１にはカム軸２の軸心の垂直方
向下方の位置よりそれに対向するカム表面の移動
方向に、即ち、カム軸２の回転方向が第１図で見
て時計廻り方向の場合、前記軸心の垂直方向下方
の位置より左方へ偏倚した位置にカム軸の軸線に
平行に延びる油通路１４が形成されている。この
油通路１４はガンドリル等による切削加工により
シリンダヘツド１をその前後方向に貫通して形成
され、一端にて図には示されていない油供給源に
接続され、他端は栓要素によつて閉じられるか或
は他の油通路に接続されている。シリンダヘツド
１には一端にて油通路１４に接続し他端にてシリ
ンダヘツド上面の最低面部２０より隆起した隆起
部２１にあつて且カム軸２の回転中心の垂直方向
下方の位置よりカム表面の移動方向に偏倚した位
置にてシリンダヘツドの上面に開口した給油ノズ
ル孔１５が形成されている。

給油ノズル孔１５は油通路１４を経てそれに供
給された油をカム表面へ向けてカムの回転方向に
沿つて実質的に接線方向に噴射する。カム表面に
向けて噴射された油は該油の噴流速度とカム表面
の移動速度との差であるより小さい相対速度にて
カム表面に噴付けられるので、カム表面に対する
油の衝突による飛散をよりよく回避し、又コアン
ダ効果を手伝つて油はカム表面によりよく付着
し、カム表面に担持されてカムの回転に伴いカム
とロツカアームとの接触領域に運ばれ、該接触領
域の潤滑を行う。

尚オーバヘツドカム軸型動弁機構の場合、回転
カム２は、第２図によりよく示されている如く、
そのジヤーナル部をシリンダヘツド１に形成され
た軸受部１′と該軸受部にボルト１６により取付
けられた軸受キヤツプ１７とにより回転自在に支
持され、その軸受部の潤滑を行う必要があるが、
上記の如くシリンダヘツド１に油通路１４が形成
されていれば、該油通路と軸受部１′に形成され
た油溝１８とを接続する油通路１９をシリンダヘ
ツドに形成するのみでカム軸受部に必要量の油を
供給することができる。

以上に於ては本発明を特定の実施例について詳
細に説明したが、本発明はこれに限られるもので
はなく、本発明の範囲内にて種々の実施例が可能
であることは当業者にとつて明らかであろう。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明による給油装置を備えたオーバ
ヘツドカム軸型動弁機構の一実施例を示す一部断
面による概略図、第２図は第１図に示された動弁
機構のカム軸の支持部を示す横断面図である。 １…シリンダヘツド、２…カム軸、３…ロツカ
アーム軸、４…ロツカアーム、５…パツド部、６
…回転カム、７…ロツクナツト、８…アジヤスト
スクリユ、９…エンジンバルブ、１０…ロツク要
素、１１…リテーナ、１２…ばね座部、１３…圧
縮コイルばね、１４…油通路、１５…給油ノズル
孔、１６…ボルト、１７…軸受キヤツプ、１８…
油溝、１９…油通路、２０…シリンダヘツド上面
の最低面部、２１…隆起部。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ シリンダヘツドに形成された油通路と、一端
   にて前記油通路に接続し他端にてシリンダヘツド
   上面に開口した給油ノズル孔とを有し、シリンダ
   ヘツドの上方に配置された回転カムと該回転カム
   に対しパツド部が垂直方向上方より当接するロツ
   カアームとを有するオーバヘツドカム軸型動弁機
   構の前記回転カムの表面へ向けて前記給油ノズル
   孔より油を噴射するオーバヘツドカム軸型動弁機
   構の給油装置にして、前記給油ノズル孔の前記他
   端はシリンダヘツドの上面に於ける最低面部より
   隆起した隆起部にあつて且前記回転カムの回転中
   心の垂直方向下方の位置より該給油ノズル孔に対
   向する前記回転カムの表面の移動方向に偏倚した
   位置に開口しており、更に前記給油ノズル孔はそ
   れに対向する前記回転カムの表面に対しその移動
   方向に沿つて実質的に接線をなす方向に油を噴射
   するようその開口方向を定められていることを特
   徴とする給油装置。