JPS6315026Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は各種測定作業を行なう際に利用される
定盤に関する。

各種測定作業の際に基準台として用いられる定
盤には、高剛性、耐摩耗性、高硬度、形状安定性
等の性質が特に求められるところから、従来は花
崗岩等の天然石材がもつとも広く採用されてい
た。しかしながら、このような定盤に要求される
種々の特性を備えた天然石材には限りがあり入手
も次第に困難なものとなつてきた。特に近時の被
測定物の大型化に伴い、広い面積の定盤に利用で
きる天然石材を入手することは困難であつた。し
かも、この場合、天然石材を広い面積にわたり平
滑に加工することも困難であつた。さらに、被測
定物等の定盤上における姿勢変動をさけるため、
被測定物あるいは各種治具等を固定するためのね
じ孔を設ける場合があるが、このようなねじ孔加
工も経済的負担が過大となつてしまうものであつ
た。

ところで、天然石材に代えて、高剛性、耐摩耗
性、高硬度等の特性を備えたセラミツクス材を用
いることが考えられるが、セラミツクス材を単に
従来の天然石材の代用としてそのまま用いること
は次のような理由から不適である。すなわち、セ
ラミツクス材の形成に用いる焼結炉が過大とな
り、また、セラミツクス材に多くのねじ孔を加工
することは極めて困難であり、ねじ孔の径の大き
さによつては加工不能となる等の理由があるから
である。

本考案の目的は、天然石材を用いることなく高
剛性、耐摩耗性、高硬度等の定盤に求められる特
徴を備え、しかも、種々の大きさの定盤とするこ
とが容易であり、また、ねじ孔を設けることも容
易な定盤を提供することにある。

そのため本考案は、入手容易かつ加工容易な金
属製の基台にその基台の上端面にて開口する複数
のねじ孔を設け、この基台上に高剛性、耐摩耗
性、高硬度等の特徴を備えた一定厚さのセラミツ
クス板を複数枚接着固定し、この際セラミツクス
板には前記ねじ孔上に重ねられる貫通孔を設けて
セラミツクス板の上端面側に被測定物等をねじ孔
を利用して取付け可能とし、さらに、各セラミツ
クス板の相互間には微細な隙間を設けてセラミツ
クス板と基台との熱膨張係数の差異による全体形
状の変形を解消するよう構成して前記目的を達成
しようとするものである。

以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明す
る。

第１図には本考案に係る定盤の一実施例が示さ
れている。図中、四隅に脚部１１を有する金属製
の基台１２の上端面１３には平滑に研磨されてい
る。この上端面１３には内周面がねじ孔１４とさ
れた円管状の雌めじ管１５が複数所定の配列状態
で埋設されている（第２図参照）。

雌めじ管１５の上端面は上端面１３と同一高さ
もしくはやや低くされ、ねじ孔１４は上端面１３
にて開口されている。

上端面１３上には互いに同形の一定厚さの複数
のセラミツクス板１６が接着層１７（第２図参
照）を介して接着固定されている。これらセラミ
ツクス板１６の例えば中央部には、前記ねじ孔１
４と等しいあるいはねじ孔１４より大きな貫通孔
１８が形成されており、これら貫通孔１８はねじ
孔１４上に丁度重ね合わされた状態となつてい
る。またセラミツクス板１６相互の間には微小な
幅の隙間１９が設けられるとともに、複数のセラ
ミツクス板１６の上端面は互いに同一平面を形成
するよう構成されている。なお、隙間１９の幅は
図面中誇張して表現されている。

このような本実施例によれば被測定物や各種測
定機器類等が直接載置されるのはセラミツクス板
１６の上端面上であるため、花崗岩等の天然石材
を用いることなく、セラミツクス板１６の有する
特性を活して高剛性、耐摩耗性、高硬度等の定盤
に求められる種々の特徴を備えさせることができ
る。

また、ひとつひとつのセラミツクス板１６を高
精度に形成することは、大きな焼却炉を要するこ
とがなく且つ研磨も容易である等の理由から十分
可能であり、しかも、接着によりこれら複数のセ
ラミツクス板１６を順次上端面１３上に接着固定
して全体として広い面積の平滑面を形成すること
も容易であるため、精度が高くしかも種々の大き
さの定盤を形成することが容易である。更に、上
端面１３上に複数のセラミツクス板１６を接着し
た後に全体の表面を一括的に研磨する（仕上げ
る）ことができ、平滑な基準面を極めて簡易に製
作することができる。

また、セラミツクス板１６自体には単に（ねじ
加工されない）貫通孔１８を形成し、被取付機器
類（被測定物や測定装置、あるいは治具等）を取
付るためのねじ孔１４は加工、製作の容易な金属
製の基台１２に設けてある。そのため、ねじ加工
等の困難な加工をセラミツクス板１６に要するこ
とがないにもかかわらず被取付機器を取付けるこ
とのできる定盤することができる。従つて、この
点からも経済的負担が少ない。また、あらかじめ
一定寸法の複数のセラミツクス板１６を製作用意
しておくことにより、これら同一寸法のセラミツ
クス板１６を用いて種々の定盤を容易に製作する
ことができ、生産性にも優れている。しかも、大
きな一枚板状のセラミツクス板を接着する場合と
異なり、定盤１２への接着作業も容易かつ高精度
に行うことができる。

さらにまた、各セラミツクス板１６の相互間に
は微細な隙間１９が設けられているため、セラミ
ツクス板１６と基台１２との熱膨張係数の差異に
よる全体形状の変形を解消できる。

なお、実施にあたり、互いに同形の複数のセラ
ミツクス板１６を用いる場合に限らず、複数のセ
ラミツクス板のすべてがあるいは一部が互いに異
なる大きさ、形状であつてもよく、要するに、上
端面１３上に接着固定されて同一の平滑面を形成
するよう一定の厚さを有する複数のセラミツクス
板であればよい。また貫通孔１９のないセラミツ
クス板を前記セラミツクス板１６と組合せること
により定盤表面（基準面）を拡大させることとし
てもよい。また、セラミツクス板に設けられる貫
通孔の数は一つに限らず複数であつてもよい。さ
らに、ねじ孔１４は雌ねじ管１５に設けられるも
のとしたが、基台１２に直接ねじ加工されてねじ
孔１４が形成されるものであつてもよい。

上述のように本考案によれば、天然石材を用い
ることなく従つて経済的負担も少なく高剛性、耐
摩耗性、高硬度等の定盤に求められる特徴を備
え、種々の大きさの定盤とすることが容易であ
り、また、ねじ孔を設けることも容易な定盤を提
供できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る定盤の一実施例の全体構
成を示す斜視図、第２図は第１図の−線に従
う矢視拡大断面図である。 １２……基台、１３……上端面、１４……ねじ
孔、１６……セラミツクス板、１８……貫通孔、
１９……隙間。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 上端面にて開口する複数のねじ孔が設けられて
   いる金属製の基台上に、貫通孔を有する一定厚さ
   の複数枚のセラミツクス板が、夫々その貫通孔が
   前記ねじ孔上に重ねられるとともに相互に微小な
   幅の隙間を有するよう接着固定されていることを
   特徴とする定盤。