JPS6314829Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は金冠を歯牙に冠せ或は歯科治療のため
歯牙を切削する歯科用自動切削器に関する。

従来歯科補綴用として金冠を歯牙に冠せるには
歯牙の切削が必要であり、この切削を従来エアタ
ービン及びマイクロモーター等の駆動機構を利用
して、ダイヤモンド及びタングステン、カーバイ
ト製等の削刻具を用いて切削してきたが、この削
刻によるときは歯牙の表面に凹凸を生じ、または
歯牙の角面取り、或は歯牙列の内側の削刻が困難
で歯肉を傷つけることが多かつた。このため手動
用ヂゼル（のみ）等を使用して成形仕上げや角面
仕上げ、若くは歯牙列の内側弧状面の削刻を行つ
てきたが、作業に長時間を必要とする欠点があつ
た。

本考案はこのような欠点を除去するために提案
された歯科用自動削刻器の考案である。即ち本考
案は把持筒内にクランクシヤフトを回転自在に装
設し、このクランクシヤフトの先端に軸心より
0.1mm程度偏心している偏心軸を設け、この偏心
軸を前記把持筒に設けた支持筒内に昇降するよう
に挿入した昇降筒の周突間にボールベアリングを
介して嵌め、クランクシヤフトの回転により昇降
筒と、これの内方に挿入、かつ連結されたメタル
チヤツクとを0.1mm程度昇降し、かつ0.1mm程度左
右に回動するように形成し、該メタルチヤツクに
挿着した削刻具にて歯牙の凹凸や歯牙列の内側弧
状面などを削刻仕上げをするように形成すると共
に、前記把持筒に摺動自在に装設したキーの先端
に形成してある下向き傾斜を、前記昇降筒にこれ
の相対位置に設けた上向き傾斜を圧接することに
よつて、偏心軸の回転を止めるように構成したこ
とを特徴とする歯科用自動削刻器の考案である。
これを添附図面について説明すると次のようであ
る。

図において１は中空の把持筒であつて、この把
持筒１の先端に支持筒２の側方を取付けて、把持
筒１の中空部と支持筒２の中空部とを倒Ｔ字形に
連通している。把持筒１内に支筒３を嵌装し、こ
の支筒３内にクランクシヤフト４を回転自在に装
設し、このクランクシヤフト４の先端に設けた鍔
５の後面を、支筒３の先端部に接触係止して、支
筒３の移動を阻止し、クランクシヤフト４の先端
にこの軸心より0.1mm程度偏心している偏心軸６
を突設している。把持筒１の表面一部にキー溝７
を穿ち、このキー溝７にキー８を摺動自在に係合
し、このキー８を第４図に示すように把持筒１に
取付けたキーロツクスプリング９にて覆い、把持
筒１を把持し、削刻作業中妄りにキー８が移動し
ないように形成されている。前記支持筒２内に昇
降筒１３を0.1mm程度昇降し、かつ所定量即ち0.1
mm程度左右に往復回動するように挿入しこの昇降
筒１３の外周上下に周突１０，１１を必要の間隔
を置いて設け、この周突１０，１１間にボールベ
アリング１５を介装して偏心軸６を嵌入すると共
に、昇降筒１３内にメタルチヤツク１６を挿入
し、このメタルチヤツク１６に穿つた螺溝Ａに、
昇降筒１３に穿つた弧状の長い透孔Ｂより挿入し
たチヤツクストツパービス１７の雄ねじを螺合し
て、メタルチヤツク１６を昇降筒１３に連結し、
このメタルチヤツク１６に「のみ」２０或は「や
すり」２１のように削刻具を挿着して、クランク
シヤフト４の回転により、昇降筒１３とメタルチ
ヤツク１６および削刻具、例えば「のみ」２０或
は「やすり」２１を0.1mm程度昇降し、或は0.1mm
程度左右に回動して歯牙列の内側を削刻するもの
である。

昇降筒１３とメタルチヤツク１６との上昇量は
メタルチヤツク１６の上方に刻設した雄ねじＤに
螺着したロツクナツト１９の下面と、キー８の上
面との間の間隙の幅だけ上昇する。また昇降筒１
３を、メタルチヤツク１６との下降量は周突１１
の下面が支持筒２の空間部下面１２との間隙だけ
下降する。メタルチヤツク１６に「のみ」２０や
「やすり」２１の挿脱を良くするため４個程度の
割目を設けて弾性を附与するものであるが図示し
ていない。１８はメタルチヤツク１６の上方に取
付けてあるストツパーリングである。昇降筒１３
に設けた周突１０の右側面に上向き傾斜１４を設
けこの上向き傾斜１４に相対して、キー８の先端
に下向き傾斜Ｃを設け、偏心軸６の回転を停止す
るとき、キー８を左方向に摺動し、下向き傾斜Ｃ
を上向き傾斜１４に圧接することによつて、偏心
軸６の回転は停止するように形成されている。

本考案にて金冠を冠せるために削刻した歯牙の
成形仕上げを行うには、把持筒１を持ち、キー８
を後退させ、モーター（図示しない）を駆動して
クランクシヤフト４を回転し、この回転によつて
偏心軸６を0.1mm程度左右に回転し、この偏心軸
６の回転により、該偏心軸６の偏心量即ち0.1mm
程度昇降筒１３を昇降し、この昇降により昇降筒
１３に取付けてあるメタルチヤツク１６と「の
み」２０或は「やすり」２１を偏心軸６の偏心量
だけ昇降して歯牙の凹凸や歯牙列の内側弧面等を
削刻するものである。また偏心軸６の回転を止め
るには、キー８を左に押し、下向き傾斜Ｃを周突
１０の上向き傾斜１４に圧接係合することによ
り、偏心軸６の回転は止み、これにより昇降筒１
３の昇降は止むものである。そしてキー８の傾斜
Ｃを周突１０の傾斜１４より離し、偏心軸６を回
転することにより、昇降筒１３を0.1mm程度縦の
軸線より左右に往復回動するので、「のみ」２０
にて歯肉２２を傷つけることがなく、歯牙根部の
角面２３を金冠の接着に必要なだけ削り取ること
ができる。また「のみ」２０に代えて「やすり」
２１を取付けるときは、歯牙列の内側面を滑らか
に仕上げ、或は歯牙の咬合面の調整なども行うこ
とができる。

本考案は上記のように構成したから、キー８を
後退して該キー８の先端に設けてある下向き傾斜
Ｃを昇降筒１３の周突１０に設けてある上向き傾
斜１４との係合を外すと、昇降筒１３はクランク
シヤフト４の回転により、該昇降筒１３の先端に
これの軸心より0.1mm程度偏心して設けた偏心軸
６を回転し、この回転にて昇降筒１３を0.1mm程
度上下に昇降して歯牙の根部などを削刻具２０，
２１にて削刻することができる。これと同時に、
昇降筒１３を0.1mm程度左右に往復回動して、歯
牙列（第６図に示す）の内側などを「のみ」２０
にて歯牙列の内側弧状面に添つて削刻仕上げを行
うことができる。また該キー８の先端の下向き傾
斜Ｃを昇降筒１３に設けてある周突１０の上向き
傾斜１４に圧接係合することにより、偏心軸６の
回転は止み、これによつて昇降筒１３の昇降も止
むもので、歯牙の切削及び切削中止も容易であ
る。しかも歯牙列の内側弧面を削刻具にて確実に
削刻し得ると共に、歯肉を傷つけることがなく、
歯牙の削刻を行い得る。また能率的に弧状面の仕
上げを行うことができる。ことに第７，８図に示
す「やすり」２１をメタルチヤツク１６に取付け
ると歯牙の表面を滑らかに仕上げて金冠の接着を
良好ならしめ、かつ歯の咬合の調整等にも使用す
ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は一部を切欠して示す本考案の縦断側面
図、第２図は第１図Ｂ−Ｂ線の断面図、第３図は
一部を切欠し、キーの摺動状態を示す平面図、第
４図は第１図Ａ−Ａ線の断面図、第５図は上方か
ら歯牙を削刻している状態を示す歯牙の側面図、
第６図は側方から歯牙を削刻している状態を示す
歯牙列の平面図、第７図はやすりの側面図、第８
図は同上正面図である。 １……把持筒、２……支持筒、３……支筒、４
……クランクシヤフト、６……偏心軸、７……キ
ー溝、８……キー、９……キーロツクスプリン
グ、１０，１１……周突、１３……昇降筒、１４
……上向き傾斜、１５……ボールベアリング、１
６……メタルチヤツク、１７……チヤツクストツ
パービス、２０，２１……削刻具。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 把持筒１の先端に支持筒２の側方を取付けて、
   把持筒１の中空部と、支持筒２の中空部とをＴ字
   形に連通せしめ、把持筒１内に支筒３を介してク
   ランクシヤフト４を回転自在に装設し、このクラ
   ンクシヤフト４の先端に軸心より0.1mm程度偏心
   している偏心軸６を突設し、この偏心軸６の外周
   をボールベアリング１５を介して、前記支持筒２
   内に挿入してある昇降筒１３の周突１０，１１間
   に嵌め、該周突１０の右側面に上向き傾斜１４を
   設け、この上向き傾斜１４に、前記把持筒１に設
   けたキー溝７に摺動自在に係合したキー８の後端
   に形成してある下向き傾斜Ｃを接離することによ
   り、昇降筒１３を昇降し、更に該昇降筒１３を軸
   心より左右に0.1mm程度振れるように形成すると
   共に、昇降筒１３内にメタルチヤツク１６を所定
   の範囲左右に往復回動するように挿入し、このメ
   タルチヤツク１６に削該具を挿着して金冠或は義
   歯の角面若くは歯牙列の内側弧面を削刻するよう
   に構成してなる歯科用自動削刻器。