JPS631455B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は低温時におけるエンジンの始動および
低速回転を大量の低速燃料によつて円滑に行わせ
るようにした気化器に関するものである。

主系統と低速系統とチヨーク弁とを具えた気化
器において、チヨーク弁は始動時に吸入空気を絞
つて高濃度混合気をエンジンに供給するのが本来
の機能であるが、その開度によつて主ノズルに作
用する負圧が変化することから主燃料の量を変え
る機能も有している。これに対して低速燃料は絞
り弁開度に支配され、チヨーク弁は低速燃料を直
接制御しない。即ち、チヨーク弁開度と絞り弁開
度と排ガス中の一酸化炭素量との関係を測定して
得られた第３図のグラフおよび混合気が薄くなる
に従い一酸化炭素が減少するというよく知られた
現象から判るように、チヨーク弁開度が小さい領
域ではエンジン回転により発生した吸入負圧が主
ノズルに作用して主燃料を吸出し高濃度混合気を
作るがチヨーク弁開度が大きくなると主燃料を吸
出さなくなるため混合気が薄くなる。

このことは例えば始動時に手動でチヨーク弁を
急速に開くとエンジンの回転が低下し停止する場
合があること、或いは自動チヨーク機構のフアス
トアイドルカムの二段目が主燃料吸出し始めの絞
り弁開度域である10〜12度に絞り弁を開くように
形成されているのが普通であることから一段目よ
り二段目にキツクダウンしたときもエンジンの回
転が低下する場合のあることからも理解される。
また自動車が凍結路面を走行する場合スリツプを
避けるため低速回転で車速を抑えるようにして走
行することが多いが、このようなときは気化器に
おいては低速回転中負荷の領域であつて主燃料が
吸出されにくい状態に在り、一定車速で走行する
のが困難であることも自動車運転者の経験すると
ころである。

このような始動時のエンジン回転の低下、特定
条件下での車速の不安定、更に加速性能の低下と
いう欠点をなくすにはチヨーク弁の開きを抑える
ようにして主燃料が途切れるのを防止すればよい
が、通常の運転域で混合気が必要以上に高濃度と
なる。

本発明は排ガス規制および燃料節約という問題
を考慮して前述の諸欠点の内で特に低温時におけ
る始動と低速回転を改善したものであつて、低温
時に低速燃料を大量に供給するようにしたもので
ある。

ここで、既存の低速系統をそのまま利用して各
部分の有効径を変え低速燃料を制御することは容
易に考えられるが、低速ジエツトはジエツト径が
小さいため制御困難であり、低速エコノマイザは
有効径の変化が低速燃料の流量にきわめて鋭敏に
影響するため必要以上に効果が現われ却つて実用
的でなく、低速燃料通路は径を変えても殆んど効
果はなく、低速空気ブリードはその性格から高速
回転域で効果が現われる。またスローポートのブ
リード側を制御すると絞り弁開度の小さい範囲で
は燃料を増大できるが絞り弁開度の大きい範囲で
はスローポート面積が小さいため燃料が減少する
欠点が現われる。スローポートの燃料側を制御す
る方式およびアイドルポートを制御する方式は絞
り弁開度の小さい範囲で有効であり絞り弁開度の
大きい範囲では従来と殆んど変らないためチヨー
ク弁を調整する必要がないが、制御機構を設ける
のが場所的に困難であり且つ小径のポートの面積
を変化させることは実際上きわめて厄介である。

そこで、低速燃料通路に別通路を新設し低温時
の低速運転域でこの別通路から低速燃料を供給す
ることが実開昭52−114129号公報に提案されてい
る。しかしながら、この公報で提案されたもの
は、低速燃料通路に低速ジエツトの上流側から分
岐して低速空気ブリードの側方に接続された補助
低速通路を設け、この補助低速通路に補助ジエツ
トと低温時に開く開閉弁とを設置した構成である
ので、並列に設置された低速ジエツトと補助ジエ
ツトとに働く負圧が等しいときは両方から燃料が
供給され高濃度混合気を作ることが可能である
が、両通路の配置や形状などによつて負圧に差異
を生じやすく、このようなときはいずれかからの
みしか燃料が供給されず高濃度混合気を作ること
ができないのできわめて不確実である。

本発明はこのような欠点のない気化器を提供す
るものであつて、低速燃料通路の低速ジエツトと
低速エコノマイザとの間から分岐してスローポー
ト室に接続された連絡通路を設け、且つ前記連絡
通路に補助低速エコノマイザと低温時に開く開閉
弁とを設けた構成としたことを特徴としている。

次に本発明の実施例を図面に基いて説明する
と、第１図において１はチヨーク弁、２はベンチ
ユリ、３は絞り弁、４は恒油面室、５は主ジエツ
ト６、主燃料通路７、主ノズル８を具えた主系
統、９は主ジエツト６の下流から分岐した低速燃
料通路１０、アイドルポート１１、スローポート
１２を具えた低速系統である。低速燃料通路９は
上流から順に低速ジエツト１３、第一低速空気ブ
リード１４、低速エコノマイザ１５、第二低速空
気ブリード１６を有し、これらを経て空気を混入
しエマルジヨン状態となつた低速燃料はスローポ
ート室１７へ入りアイドルポート１１、スローポ
ート１２から吸出される。

低速燃料通路９の低速エコノマイザ１５より上
流側であつて低速ジエツト１３、第一低速空気ブ
リード１４より下流側の水平方向へ延びる高所個
所とスローポート室１７とを補助低速エコノマイ
ザ１８を有する連絡通路１９にて接続し、この連
絡通路１９の入口端部に開閉弁２０を設けたもの
である。

第１図の実施例は開閉弁２０をソレノイド２１
で開閉駆動させるようにしたもので、エンジンの
冷却水、潤滑油またはエンジン周囲の空気の温度
を感知する検知器２２からの信号で開閉するスイ
ツチ２５をソレノイド２１の電源回路２４に設
け、予め設定した一定の温度より低温のときスイ
ツチ２３を閉じソレノイド２１に通電して開閉弁
２０を開かせ、設定温度より高温のときスイツチ
２３を開き開閉弁２０を閉じるようにしたもので
ある。

従つてこの実施例によると低温時にチヨーク弁
１の開度と無関係に連絡通路１９を燃料が流れて
スローポート室１７へ補給され、チヨーク弁１が
急速に大きく開かれて主燃料を吸出さなくなり或
いは絞り弁３が主燃料を吸出さない開度に閉じら
れても低速燃料のアイドルポート１１、スローポ
ート１２からの吸出し量が増大するため始動およ
びそれに続く暖機を安定したエンジン回転で行わ
せる。

第２図の実施例は開閉弁２０をチヨーク弁１の
開度に関連させて開閉駆動させるようにしたもの
で、チヨーク弁軸２５に固着したチヨーク腕２６
に回動自由なレバー２７の先端部を接触係合させ
ると共にレバー２７の基端部に開閉弁２０を連結
し、ばね２８の弾性力でチヨーク腕２６に常時接
触しているレバー２７がチヨーク弁１の一定以下
の開度で開閉弁２０を開かせ、一定以上の開度で
開閉弁２０を閉じるようにしたものである。

従つてこの実施例によるとチヨーク弁１の開度
の小さい領域で連絡通路１９を燃料が流れてスロ
ーポート室１７へ補給され低速燃料の吸出し量を
増大するもので、誤操作により低温時にチヨーク
弁を大きく開かせるという心配のない自動チヨー
ク機構付きの気化器に適する。

尚、チヨーク弁１の開度に関連させて開閉弁２
０を開閉駆動する手段としてチヨーク弁軸２５、
チヨーク腕２６の回転を利用する他に、チヨーク
弁下流の負圧、空気流速、更にチヨーク弁開度に
より副次的に変化する排ガス組成分、エンジンの
温度および回転速度、絞り弁開度を検出して開閉
弁２０の開閉の操作に利用することも可能であ
る。

以上のように本発明は低速燃料通路の低速ジエ
ツトと低速エコノマイザとの間から分岐してスロ
ーポート室に接続された連絡通路を設け、この連
絡通路に補助低速エコノマイザおよび低温時に開
く開閉弁を設けたものであるから、開閉弁が開弁
したときスローポート室の高い負圧が連絡通路を
通つて低速ジエツトに作用し、低速空気ブリード
の影響を殆んど受けないで大量の燃料を補助低速
エコノマイザを経て供給するのである。このため
低温時の始動および低速回転に際してチヨーク弁
が大きく開かれ或いは絞り弁が主燃料を吸出さな
い開度範囲に閉じられることがあつても大量に吸
出される低速燃料によつて必要濃度の混合気が作
られエンジン回転の低下更に停止を招くことなく
低温時の始動および低速回転を安定よく円滑に行
わせるのである。また、低速燃料の流量を鋭敏に
規制する低速エコノマイザの上流側から連絡通路
を分岐したので、開閉弁の開弁時に正規の低速燃
料に影響を与えることなく燃料をスローポート室
へ補給しアイドルポート、スローポートから吸出
させることができるばかりか、開閉弁の駆動機構
を気化器上方の余裕のある場所に設置でき、且つ
開閉弁は連絡通路を単にオン−オフさせればよい
ので構造的に簡単である等のすぐれた効果を有す
るものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の実施例を示す縦断面図、第２
図は異なる実施例の縦断面部分図、第３図はチヨ
ーク弁、絞り弁、一酸化炭素の関係を示すグラフ
である。 １……チヨーク弁、３……絞り弁、５……主系
統、９……低速系統、１０……低速燃料通路、１
１……アイドルポート、１２……スローポート、
１５……低速エコノマイザ、１７……スローポー
ト室、１９……連絡通路、２０……開閉弁。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 主系統５と低速系統９とチヨーク弁１とを具
   えた気化器において、低速燃料通路１０の低速ジ
   エツト１３と低速エコノマイザ１５との間から分
   岐してスローポート室１７に接続された連絡通路
   １９を設け、且つ前記連絡通路１９に補助低速エ
   コノマイザ１８と低温時に開く開閉弁２０とを設
   けたことを特徴とする気化器。