JPS6314003Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本案は頭上カム軸型式の動弁機構において、吸
気弁または排気弁を開状態とし、シリンダ内を減
圧せしめるエンジンのシリンダ減圧装置に関する
ものである。

（従来の技術） デイーゼルエンジンにおいては圧縮圧力が大で
あり、クランク軸を手動回転させることは困難で
ある。このため、吸気弁または排気弁を極僅か開
状態としてシリンダ内を減圧し、エンジン始動時
におけるクランク軸の回転を容易とし、かつエン
ジン停止時にもシリンダ内の圧縮仕事を解除する
ことにより停止を容易とし、更に整備時、あるい
は始動前のエンジン調整等に便ならしめるシリン
ダ減圧装置を具備する。

（考案が解決しようとする問題点） このような、シリンダ減圧装置としては、実公
昭40−21442号公報に開示されるように、カム軸
と同心、かつ吸気カム、排気カムの基礎円と同
一、または小さい基礎円をもつ減圧カムを機関運
転中は衝駒に触れないようカム軸に回動自在に嵌
挿し、この減圧カムを機壁に摺動自在に挿通した
減圧棒により回動させるようにするとともに互い
に螺合する弁間隙調整用圧子と衝駒とを介して弁
開度を調節し得るようにしてなるものがある。こ
のような手段による場合は減圧棒を水平動させて
内端と係合する下部係合部を介し減圧カムを回動
させるから弁開放状態は不安定であり、作動の確
実性に欠けるという問題点があつた。

（問題点を解決するための手段） 本案はカム軸をシリンダヘツド上方に配設し、
カム軸のカム部をタペツトに係合させ吸気弁、排
気弁を開閉させる頭上カム軸式ダイレクトアタツ
ク方式の動弁機構に適用するものであつて、カム
軸に略馬蹄形を呈し作用凸部を有する減圧カムを
回動自在に装着し、この減圧カムの両脚部に連結
板を取付け、ヘツドカバーの軸受部に支持され、
かつヘツドカバー外突出端に減圧レバーを固定し
た減圧軸を設け、この減圧軸に端部を固定した作
動部材の他端部を前記連結板に取付け、減圧レバ
ーを操作し減圧カムを回動させて作用凸部によ
り、タペツトを介し吸気弁または排気弁を開放す
るようにしたエンジンのシリンダ減圧装置であ
る。

（作 用） 減圧レバーを倒伏させ、減圧軸を回動し作動部
材の他端部を上方に移動させて連結板を回すとカ
ム軸に回動自在に装着した略馬蹄形の減圧カムが
回動し、減圧カムの作用凸部がタペツトと係合し
てタペツトを介して排気弁を押下させて弁を開放
してシリンダ減圧状態とし、次にシリンダ減圧状
態を解除するには、減圧レバーを原位置に戻し減
圧軸、作動部材、連結板とを介して減圧カムの作
用凸部をタペツトから離脱させ、カム軸と係合す
るタペツトと減圧カムとの間に隙間を形成しカム
軸による動弁機構の作動に支障を来たすことのな
いシリンダ減圧解除態勢とする。

（実施例） 本案装置の実施例を図面について説明すれば、
シリンダヘツド１に装着した排気弁２の上端に弁
ばね受け３を固定し、この弁ばね受け３に固着し
た中間部材４の上面に天板部５ａの内面中央部に
突設した係合凸部５ｂを載置したタペツト５を設
け、このタペツト５の周裾部５ｃをシリンダヘツ
ド１の摺動孔６に上下摺動自在に嵌挿してある。

次いで、シリンダヘツド１のカム軸取付部７
と、このカム軸取付部７に植設したボルト８、座
金９、ナツト１０によりカム軸取付部７に固定し
たカム軸キヤツプ１１とによつて支持されシリン
ダヘツド１の上方かつタペツト５の上方に配設し
たカム軸１２に一対の減圧カム１３，１３を回動
自在に装着してある。

前記減圧カム１３は両脚部１３ａ，１３ａと、
彎曲連結部１３ｂと、この彎曲連結部１３ｂの外
縁に突設した作用凸部１４とからなる略馬蹄形を
呈し、同形同大の各減圧カム１３，１３はカム軸
１２のカム部１２ａ両側近くに軸部１２ｂを形成
しそれぞれ両脚部１３ａ，１３ａ間を位置させる
とともに彎曲連結部１３ｂの内縁を軸部１２ｂの
側周に回動自在に当接させてあり、右斜上方向に
延びる両脚部１３ａ，１３ａのそれぞれ先端部に
挿通孔１５，１５を貫設してある。

次に減圧カム１３，１３のそれぞれ両脚部１３
ａ，１３ａ間に基部を挟在させた連結板１６を設
け、この連結板１６の挿通孔１７と前記両脚部１
３ａの挿通孔１５，１５とに亘つてピン１８を挿
通しスナツプリング１９を嵌着して連結板１６を
減圧カム１３に取付け、かつ連結板１６の端部に
欠切した弧状切欠２０をカム軸１２の軸部１２ｂ
の側周に回動自在に当接し、各連結板１６，１６
のそれぞれ他端部に貫設した取付孔２１，２１に
支軸２２を挿通しスナツプリング２３により抜出
不能とし、カム部１２ａを跨ぐように連結板１
６，１６間に支軸２２を掛渡す。

さらに、ヘツドカバー２４の軸受部２５により
支持する減圧軸２６を設け、この減圧軸２６のヘ
ツドカバー２４外突出端に減圧レバー２７の基部
を固定し、ヘツドカバー２４内の減圧軸２６に端
部を固定した作動部材２８の他端部の二又部２９
内に前記支軸２２を係合させる。

前記減圧カム１３の作用凸部１４のカム面３０
は非減圧時におけるカム軸１２のカム部１２ａが
タペツト５に係合する状態においては第１図示の
ようにタペツト５との間に隙間を有する非作動状
態にあり、減圧レバー２７，作動部材２８，連結
板１６を介し減圧カム１３を矢印ａ方向に回した
ときには、カム軸１２の中心から遠地点にあるカ
ム面３０の高所３０ａがタペツト５の天板部５ａ
に係合し、排気弁２を１mm乃至２mm程度開き開放
するように選定してある。

なお、カム軸キヤツプ１１にピン３１を植設
し、このピン３１に作用凸部１４の端面を係止自
在としてカム軸１２による減圧カム１３のつれ回
りを防止してあり、減圧カム１３とカム軸１２の
軸部１２ｂ、連結板１６の弧状切欠２０と軸部１
２ａとは互いに回動自在に当接させてある。

本案装置は前記のように構成するから、第１図
示の状態からシリンダ減圧状態へ移行するには、
減圧レバー２７を倒伏させ、減圧軸２６を回動
し、作動部材２８の他端部を上方に移動させて二
又部２９により支軸２２を介して連結板１６を矢
印ｂ方向に回すと減圧カム１３は矢印ａ方向に回
り、作用凸部１４のカム面３０の高所３０ａタペ
ツト５の天板部５ａと係合してタペツト５を介
し、排気弁２を押下させて弁開放状態とし、シリ
ンダ減圧状態とすることができる。

次にシリンダ減圧状態を解除するには減圧レバ
ー２７を原位置に戻せば、減圧軸２６、作動部材
２８、連結板１６を介して減圧カム１３の作用凸
部１４をタペツト５の天板部５ａから離脱させ、
カム部１２ａと係合するタペツト５の天板部５ａ
と減圧カム１３との間に隙間を形成し、カム軸１
２による動弁機構作動に支障を来たさないシリン
ダ減圧解除態勢となる。

本例は減圧カム１３をカム軸１２のカム部１２
ａの両側近くにそれぞれ設定したが、減圧カム１
３はカム部１２ａの片側にのみ設定してもよい。

（考案の効果） 本案は略馬蹄形の減圧カムの両脚部の連結板を
取付け、取付け空間を小さくまたばね等を用いる
ことなく構造を簡単に作動を確実としたため、減
圧レバーを起倒操作すれば直ちに吸気弁または排
気弁を介しシリンダの圧縮仕事を解除できる装置
であり、始動時のクランキングを容易にし、また
静粛な停止が可能となり、リンクレバーを用いて
ロツカーアームを押し下げる形式の減圧装置の採
用が難しい頭上カム軸式ダイレクトアタツク方式
のシリンダ減圧装置として作動を確実とし、修理
等の取付け、取外しを容易とし操作を簡単とした
新規かつ極めて適切な装置であり、エンジン停止
時にも使用できる等その実用的効果は大である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本案装置の要部断面図、第２図は同・
各部材の配設関係位置を示す第１図の−線相
当部分から視た配置図、第３図は同・シリンダ減
圧時における要部断面図である。 １…シリンダヘツド、２…排気弁、３…弁ばね
受け、５…タペツト、１２…カム軸、１３…減圧
カム、１４…作用凸部、１６…連結板、１８…ピ
ン、２０…弧状切欠、２２…支軸、２４…ヘツド
カバー、２６…減圧軸、２７…減圧レバー、２８
…作動部材、３０…カム面。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. カム軸に略馬蹄形を呈し作用凸部を有する減圧
   カムを回動自在に装着し、この減圧カムの両脚部
   に連結板を取付け、ヘツドカバーの軸受部に支持
   され、かつヘツドカバー外突出端に減圧レバーを
   固定した減圧軸を設け、この減圧軸に端部を固定
   した作動部材の他端部を前記連結板に取付け、減
   圧レバーを操作し減圧カムを回動させて作用凸部
   により、タペツトを介し吸気弁または排気弁を開
   放するようにしたエンジンのシリンダ減圧装置。