JPS631345Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、例えば電子オルガン等の鍵盤楽器の
スライド式捲り屋根の改良に関する。

従来のスライド式捲り屋根は第１図の如く複数
の割板状の木あるいはアルミニウムから成る屋根
部材ａ，ａ……の相隣る先端部裏面側を、長手方
向に間隔を存して複数の金属製蝶番ｂ，ｂ……で
連結し、特に鍵盤楽器の前面略垂直方向に配置さ
れる屋根部材ａ１とそのすぐ後方の傾斜して配置
される屋根部材ａ２の連結部はスライド式捲り屋
根の使用時に、両屋根部材ａ１，ａ２先端部の木
口が露出しないよう、また両屋根部材ａ１，ａ２
の先端上部に間隔があき、外観美を損うこととな
らないよう、屋根部材ａの長手方向の長さと略等
しい長さの捲り屋根金具ｃを、前面に配置される
屋根部材ａ１の蝶番ｂに重ねる状態にして取付
け、使用時の両屋根部材ａ１，ａ２間に存する間
隙を塞ぎ、また屋根部材ａ１，ａ２の木口を覆う
ようにしている。

この捲り屋根金具ｃは、その先端部が円弧状を
なし、捲り屋根の不使用時には後方の屋根部材ａ
２の先端部に入り込むようにしてあり、その屋根
部材ａ２の先端部が捲り屋根金具ｃの先端部の形
状に対応するように断面円弧状にくりぬかれてい
る。したがつて、後方の屋根部材ａ２の先端の円
弧状にくりぬかれる部分は、木製の屋根部材の場
合には加工精度が要求されて工数がかかり、アル
ミニウム製のものは押出し成型等で簡単にできる
が高価なものとなつてしまう。

また、蝶番ｂの外に捲り屋根金具ｃが必要であ
るため部品点数が多く、さらに蝶番ｂを複数使用
するので、前面の屋根部材ａ１のすぐ後方に位置
する屋根部材ａ２の、蝶番ｂが取付けられていな
い箇所は屋根部材ａ２の補強がなく、屋根部材ａ
２が木製の場合には長手方向の反りがでる。

さらにまた、捲り屋根金具ｃの先端は、捲り屋
根の使用時には、時折り、後方の屋根部材ａ２と
の摩擦による操作の不具合や後方の屋根部材ａ２
との摺動による金属音を生じ、不使用時にはスピ
ーカーによる振動音を発生する不都合がある。

そこで本考案は上記種々の不都合を排除するこ
とを目的として提供され、先端面を対向させた複
数の割板状の屋根部材１，１を蝶番２で互いに連
結する式のものにおいて、該蝶番２の少なくとも
一つを可撓性材料で一体に形成した薄肉の曲折部
３とこれの両側のく字形の取付部７，７とで構成
し且つその長さを該屋根部材１の長手方向の長さ
と略等しく形成するとともに該蝶番２の曲折部３
を該屋根部材１の表面側に配置し、さらに該蝶番
２の曲折部３と両取付部７，７との結合部に該屋
根部材１の長手方向に略等しい長さの鉤状部６，
６を形成し、該両屋根部材１，１の先端面を内方
に傾斜する傾斜面に形成して、該両鉤状部６，６
に各屋根部材１，１の先端上部を係止させ、該両
取付部７，７のく字形の一方の片を各屋根部材
１，１の傾斜する先端面に当接させ、該両取付部
７，７のく字形の他方の片を各屋根部材１，１の
裏面側に取付けたことを特徴とする。

第２図において、捲り屋根は鍵盤楽器４の両側
の腕木５，５間に設けられ、鍵盤及びタブレツ
ト・スイツチ等の操作部を覆うように形成され、
本考案の特に要部となる構成は鍵盤楽器４の前面
垂直方向に配置される屋根部材１−１とそのすぐ
後方の傾斜して配置される屋根部材１−２との間
に設けられる第３図及び第４図に示される蝶番２
とその取付状態にある。蝶番２はポリプロピレン
等の可撓性の合成樹脂材料で一体成型され、その
曲折部３の両側の捲り屋根表面側に屋根部材１の
長手方向に略等しい長さの鉤状部６，６を有し、
両屋根部材１−１，１−２の取付部７，７は厚肉
でしかもく字形に形成される。

この蝶番２の取付けは夫々の鉤状部６，６に各
屋根部材１−１，１−２の先端上部を係止し、そ
の先端上部から内方に傾斜した先端下部を各屋根
部材１−１，１−２の取付部７，７に当接後、ね
じ止めしてあるいは接着等で行なわれ、この蝶番
２を取付けた捲り屋根は、不使用時に蝶番２及び
両屋根部材１−１，１−２が第５図のような状態
となつて、第２図に示す鍵盤楽器４の上屋根８の
下方に仕舞われる。

尚、この蝶番２は鍵盤楽器４の前面に略垂直方
向に配置される屋根部材１−１とそのすぐ後方の
傾斜して配置される屋根部材１−２との連結に使
用されるだけではなく、さらに後方に配置される
屋根部材どうしの連結に使用しても良いことは勿
論である。

このように本考案によれば、可撓性材料で一体
に形成され且つ屋根部材１の長手方向の長さと略
等しく形成された蝶番２の曲折部３を該屋根部材
１の表面側に配置し、これとその両側のく字形の
取付部７，７との結合部に形成した両鉤状部６，
６に各屋根部材１，１の先端上部を係止させ、該
両取付部７，７のく字形の一方の片を各屋根部材
１，１の傾斜する先端面に当接させ、該両取付部
７，７のく字形の他方の片を各屋根部材１，１の
裏面側に取付けたので、木製の屋根部材の場合に
おいて、従来例のように、後方の屋根部材を円弧
状にくりぬく必要がなく、そのため加工精度が要
求されず、工数の減少が図れ、また、相隣る屋根
部材の連結に複数の蝶番を使用せず、１つの蝶番
のみで連結でき、夫々の屋根部材の長手方向の反
りを防止することができる。

さらに、従来例のように、屋根部材間の間隙を
覆う捲り屋根金具を必要とすることなく、部品点
数が減少するとともに捲り屋根の使用時あるいは
不使用時に生じる捲り屋根金具による金属音・振
動音や摩擦による操作の不具合がなく、構造が簡
単でしかも廉価に提供できる等の優れた効果が得
られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来例の截断側面図、第２図は鍵盤楽
器の斜視図、第３図は本考案のスライド式捲り屋
根の截断側面図、第４図は本考案の蝶番の側面
図、第５図は本考案のスライド式捲り屋根が鍵盤
楽器の上屋根下方に仕舞われたときの蝶番及び両
屋根部材の状態を示す截断側面図である。 １……屋根部材、２……蝶番、３……曲折部、
６……鉤状部、７……取付部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 先端面を対向させた複数の割板状の屋根部材
   １，１を蝶番２で互いに連結する式のものにおい
   て、該蝶番２の少なくとも一つを可撓性材料で一
   体に形成した薄肉の曲折部３とこれの両側のく字
   形の取付部７，７とで構成し且つその長さを該屋
   根部材１の長手方向の長さと略等しく形成すると
   ともに該蝶番２の曲折部３を該屋根部材１の表面
   側に配置し、さらに該蝶番２の曲折部３と両取付
   部７，７との結合部に該屋根部材１の長手方向に
   略等しい長さの鉤状部６，６を形成し、該両屋根
   部材１，１の先端面を内方に傾斜する傾斜面に形
   成して、該両鉤状部６，６に各屋根部材１，１の
   先端上部を係止させ、該両取付部７，７のく字形
   の一方の片を各屋根部材１，１の傾斜する先端面
   に当接させ、該両取付部７，７のく字形の他方の
   片を各屋根部材１，１の裏面側に取付けたことを
   特徴とするスライド式捲り屋根。