JPS63118048A - 鋳鉄製摺動部材およびその製造法 - Google Patents

鋳鉄製摺動部材およびその製造法

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JPS63118048A
JPS63118048A JP26532386A JP26532386A JPS63118048A JP S63118048 A JPS63118048 A JP S63118048A JP 26532386 A JP26532386 A JP 26532386A JP 26532386 A JP26532386 A JP 26532386A JP S63118048 A JPS63118048 A JP S63118048A
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chilled
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sliding surface
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JP26532386A
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Katsunori Hanakawa
勝則 花川
Takeshi Okazaki
健 岡崎
Yasuo Uosaki
靖夫 魚崎
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Mazda Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野〉 本発明は、例えばロータリピストンエンジンのアペック
スシール等の鋳鉄製摺動部材およびその製造法に関し、
特に折損防止等の強化対策に関する。
(従来の技術) 一般に、ロータリビス1〜ンエンジンにおけるロータの
頂部に装着されるアペックスシールは、高圧燃焼ガスに
ざらされるとともに、遊星回転運動に伴う各種の拘束力
を受けることから、これらの苛酷な条件に十分に耐え得
るよう耐摩耗性および高温強度等の向上が要求される。
そして、これら耐摩耗性等の向上を図る手段として、例
えば特公昭48−25290号公報に開示されているよ
うに、合金鋳鉄製素材の表面〈ロータハウジング内周面
に摺接する摺動面部に相当する部分)を高密度エネルギ
熱線を照射することによりチル化させるようにしたもの
が知られている。
(発明が解決しようとする問題点) ところで、ロータリピストンエンジンの高出力化が叫ば
れている今日、これに対応すべくロータリピストンエン
ジンの構成部品でおるアペックスシールにおいても、そ
の摺接幅を狭くすることにJ:り摺動抵抗を小さくした
り、軽量化を図ることなどをすることが望ましい。
しかし、このようにアペックスシールの摺接幅を狭くす
ると、アペックスシールは上)ホの如く苛酷な条件の下
で使用されることから、運転時におけるアペックスシー
ルにかかる負担が増大することとなる。そこで、上記従
来の如く摺動面部をチル化したアペックスシールを高出
力化が要求されるロータリピストンエンジンに適用する
ことが考えられるが、上記摺動面部はチル化によって耐
摩耗性の向上が図られているものの、チル化部分と他の
部分との境界部は高密度エネルギ熱線の熱影響を受けて
組織が粗大化して脆くなる。また、チル化部分以外の部
分は鋳放しであるためにアペックスシールを構成する合
金元素が偏析して部分的に不均一な組織になっていて剛
性が低下する。さらには、上記チル化部分と他の部分と
の硬度差のために両者の結合力が低下するなどの不具合
が生じ、運転中に折損するおそれがある。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものでおり、その目
的とするところは、上記従来のチル化手段に加えて適切
な処理を施すことにより、チル化部分(摺動面部)と他
の部分との組織をベイナイト組織に改質せしめ得、これ
により上記チル化による摺動面部の耐摩耗性を確保しつ
つ折損強度の向上したアペックスシール等の鋳鉄製lト
動部材を提供せんとすることにある。
さらに、本発明は、上記鋳鉄製摺動部材を効率良く製造
するための方法を提供せんとすることにある。
(問題点を解決するための手段) 上記の目的を達成するため、本発明の解決手段は、例え
ばロータリピストンエンジンのロータ頂部に装着され、
ロータハウジング内周面を摺動するアペックスシール等
の鋳鉄製摺動部材を対象とし、C3,○〜4.0重但%
、重量1.5〜2.5重量%、Mn  0.3〜1.0
重量%、P下、MCIまたはCe  0.005〜0.
025重量%、Cu  0.5〜2.0重ffi%およ
びNi0.5〜3.0重量%の少なくとも1種以上、C
r0.4〜1.0重量%、Mo  1.0〜2゜0重量
%およびV0.1〜0.5重量%の少なくとも1種以上
、残部がFeよりなり、かつ摺動面部がチル貸せしめら
れ、さらに全体が主としてベイナイト組織になされるよ
うに構成する。
さらに、本発明は、上記の如きアペックスシール等の鋳
鉄製!8動部材の製造法として、まず、C3,0〜4,
0重量%、st  1.5〜2.5重量%、Mn  0
.3〜1. ()ffifJi%、P  O。
05〜0.3重量%、30.1重量%以下、Moまたは
Ce  0.005〜0.025重量%、Cu0.5〜
2.0重量%およびN:O,5〜3.0重量%の少なく
とも1種以上、cr  o。
4〜1.0重川%、MO1,0〜2.0重量%およびV
0.1〜0.5重量%の少なくとも1種以上、残部がF
eよりなる合金鋳鉄製素材を用意する。次に、該合金鋳
鉄製素材の上記ロータハウジング内周面等に摺接する摺
動面部に相当する部分を高密度エネルギ熱線を照射する
ことによりチル化させる。その後、上記摺動面部に相当
する部分がチル化した合金鋳鉄製素材をオーステナイト
化温度800〜900℃、オーステナイト化時間30分
以下のオーステナイト化処理を施し、しかる後、恒温変
態処理温度200〜400℃、恒温変態処理時間10分
〜4時間の恒温変態処理を施すオーステンパー処理を行
うことにより、全体が主としてベイナイト組織になされ
た鋳鉄製摺動部材を得る方法にする。
(作用) 上記の構成により、本発明では、例えばアペックスシー
ルのロータハウジング内周面等に摺接する摺動面部に相
当する部分は、高密度エネルギ熱線の照射によりチル化
せしめられた後、オーステンパー処理が施される。これ
により、上記チル化部分(摺動面部)と仙の部分との組
織がベイナイト組織に改質せしめられ、よって上記チル
化による周動面部の耐摩耗性が確保されかつ折損強度の
向上が図られたアペックスシール等の鋳鉄製18動部材
が得られることとなる。
(実施例) 以下、本発明の実施例に係る鋳鉄製摺動部材およびその
製造法について説明する。
第1図は、ロータリピストンエンジンのロータ頂部に装
着され、ロータハウジング内周面を摺動する。鋳鉄製摺
動部材としてのアペックスシールを示し、本実施例では
そのうちロータハウジング内周面に摺接する一方(図で
上側のもの)を対客とする。そして、以下、これをアペ
ックスシールAと称呼することとする。該アペックスシ
ールAは、C3,0〜4.0重量%、Si  1.5〜
2.5重量%、Mn0.3〜1.0重量%、P0.05
〜0.3重1%、30.1徂徂%以下、MOまたはCe
  0.005〜0.025重伍%、C置火′0.5〜
2.0fiffi%およヒNi0.5〜3.0重量%の
少なくとも1種以上、Cr0.4〜1.0重量%、MO
1,0〜2.0重量%およびV0.1〜0.5重量%の
少なくとも1種以上、残部がFeよりなる合金鋳鉄製素
材をオーステンパー処理することにより形成される。そ
して、上記合金鋳鉄製素材のロータハウジング内周面に
1習接する摺動面部に相当する部分は、上記オーステン
パー処理が施される前に電子ビーム等の高密度エネルギ
熱線によりチル化せしめられており、かつ仝休つまり上
記!習動面部に相当するチル部a】、該チル部a1以外
の部分つまり母材部a3および上記チル部a1と母材部
a3との境目の境界部a2が主としてベイナイト組織に
なされている。
上記合金鋳鉄製素材中のCの含有量を3.0〜4.0重
量%に設定したのは、3.OM量%未満ではチル部a1
の炭化物徂が少なくなって耐摩耗性が低下する一方、4
゜0重量%を越えると鋳造時に初晶黒鉛を核として巨大
な黒鉛を生成するようになるため、強度および耐摩耗性
が悪化するからでおる。また、Siとの飽和度および鋳
造性の関係からこの範囲にしたものでおる。
また、3iの含有量を1,5〜2.5重量%に設定した
のは、1.5重量%未満では鋳造性を悪化させるととも
に、鋳放しでチルを生成し易くなって加工性の観点から
好ましくない一方、2.5重量%を越えるとチル生成時
に多量の遊離黒鉛が生成して耐摩耗性が悪化するからで
ある。
さらに、Mnの含有量を0.3〜1.0重最%に設定し
たのは、0.3重量%未満では十分な焼入れ性が得られ
なくなる一方、1.0重量%を越えると粒界への偏析傾
向が強くなって組織の不均一化を促して靭性を低下させ
るからである。
また、Pの含有量を0.05〜0.3重量%に設定した
のは、0.05重型組未満ではチル生成を促して耐摩耗
性を向上させるPの効果が得られなくなる一方、0.3
重量%を越えると母材中にステダイ1〜が生成して強度
低下を招くおそれがおるからである。
さらに、Sの含有量を0.1重量%以下に設定したのは
、溶解材料から必然的に含有される量として、また、強
度を阻害しないレベルとしてこのくらいが適当でおるか
らでおる。
また、MgまたはCeの含有量を0.005〜0.02
5重量%に設定したのは、0.005重量%未満では素
材溶解中に脱酸剤として添加されるMCIまたはCeの
効果が1qられず、その結果、チル生成時にブローホー
ル欠陥か多発するおそれがおる一方、0.025重最重
量越えるとチル生成時にスパッタリングによってビード
形状が悪化するからでおる。
さらに、Cuの含有量を0.5〜2.0n%に設定した
のは、0.5重量%未満では鋳造時に炭化物の晶出を押
さえるというCuの効果が得難くなる一方、2.0重量
%を越えると上記効果が飽和するとともに、逆に偏析し
て強度を低下させることとなるからである。
また、N1の含有量を0.5〜3.0重量%に設定した
のは、0.5重量%未満では上記Cuの場合と同様に鋳
造時に炭化物の晶出を押さえるというNiの効果が得難
くなる一方、3.0重量%を越えると上記効果が飽和す
るとともにコスト高となるからである。
さらに、Orの含有量を0.4〜1.0重量%に設定し
たのは、0.4重量%未満ではチル硬j哀を向上させて
耐摩耗性を改善するというC「の効果が得難くなる一方
、1.0重M%を越えると上記効果が飽和するとともに
、母材部a3の結晶粒界に炭化物として偏析するため、
加工性を阻害して強度を低下させることとなるからであ
る。
また、MOの含有量を1.0〜2.0重量%に設定した
のは、上記Crの場合と同様に1.01間%未満ではチ
ル硬度を向上させて耐摩耗性を改善するというMOの効
果が得難くなる一方、2゜0重量%を越えると上記効果
が飽和するとともに、母材部a3の結晶粒界に炭化物と
して偏析するため、加工性を阻害して強度を低下させる
こととなるからである。
さらに、■の含有量を0.1〜0.5重量%に設定した
のは、上記CrおよびMOの場合と同様に0.1重量%
未満ではチル硬度を向上させて耐摩耗性を改善するとい
うVの効果が得難くなる一方、0.5重量%を越えると
上記効果が飽和するとともに、母材部a3の結晶粒界に
炭化物として偏析するため、加工i生を阻害して強度を
低下させることとなるからでおる。
そして、上記アペックスシールへは、高密度エネルギ熱
線の照射(こよりチル化せしめられた後のオーステティ
1〜化工程および・旧温変g処理工程からなるオーステ
ンパー処理工程を経ることにより、全体が主として均一
なベイナイト組織になされている。つまりチル部a1が
上記加熱によりチル分解しない程度に加熱され、これに
にリオーステナイトの均一化および安定化が図られて耐
摩耗性が確保される一方、組織全体が上記オーステンパ
ー処理によりベイナイト組織に改質されて靭性を向上さ
ぜる。
次に、その製造法について説明する。
まず、上)ホの如き組成比に設定され、かつ予めアペッ
クスシールAの形状に鋳造された合金鋳鉄製素材を用意
する。そして、該合金鋳鉄製素材のロータハウジング内
周面に摺接する摺動面部に相当する部分を例えば電子ビ
ーム等の高密度エネルギ熱線を照射することによりチル
化させる。次に、上記摺動面部に相当する部分がチル化
した合金鋳鉄製素材をオーステナイト化温度800〜9
006C,オーステナイト化時間30分以下のオーステ
ティ1〜化条件の下で処理し、しかる後、200〜40
0’Cの冷却媒体(塩浴、オイル浴、流動層等〉に10
分〜4時間浸漬して急令する・旧温変態処理を施したの
ち空冷するオーステンパー処理を施すことにより、全体
がベイナイト組織になされたアペックスシールAを得る
上記オーステナイト化温度を800〜900’Cに設定
したのは、800°C未満ではチル部a1の均一かつ安
定なオーステナイト化が困難となる一方、900’Cを
越えるとチル分解が急激に進行して耐摩耗性が損われる
おそれがおるからである。
また、オーステナイト化時間を30分以下に設定したの
は、30分を越えるとチル部a1の炭化物が分解して耐
摩耗性が低下するおそれがあるからでおる。
また、上記恒温変態処理温度を200〜400℃に設定
したのは、200℃未満ではマルテンサイトを多足に形
成し靭性のあるベイナイト組織が1qられなくなる一方
、400’Cを越えるとベイナイトの粗大化と、残留オ
ーステナイトの分解による炭化物の析出等で靭性の低下
を招くおそれがおるからである。また、恒温変態処理時
間を10分〜4時間に設定したのは、10分未満では多
量の不安定オーステナイl〜が残留するため、冷却媒体
から引上げ後の空冷過程でマルテンサイトに変態して靭
性が低下するおそれがある一方、4時間を越えるとベイ
ナイト組織中の残留オーステナイトが分解して炭化物を
析出するために靭性が低下するおそれがあるからである
次に、その製造法を比較例と共に具体的に説明する。
まず、表1に示す如き組成比に設定された実施例(I)
〜(IV)および比較例(I)〜(I[I)に係るアペ
ックスシール用合金鋳鉄製素材を溶解鋳造する。次に、
この各合金鋳鉄製素材のロータハウジング内周面に摺接
する摺動面部に相当する部分を電子ビームを照射するこ
とによりチル化させる。
その後、上記実施例(I)〜(IV)および比較例(1
)、(n)については、各合金鋳鉄製素材を加熱温度8
50°C2加熱時間5分の加熱条件の下で加熱し、しか
る後、恒温変態処理温度300°Cの塩浴中に1時間浸
漬するオーステンパー処理を施した後、仕上げ加工を施
して完成品としてのアペックスシールを得た。一方、上
記比較例(III)については、オーステンパー処理を
経ることなく仕上げ加工を施して完成品としてのアペッ
クスシールを得た。なお、表1中、Feの含有最につい
ては省略した。また、各元素側の数値の単位は全て重量
%である。
このようにして得た上記実施例(I)〜(IV)おJ:
び比較例(I)〜(I)に係る各アペックスシールの抗
折試験および摩耗試験を行った試験データを表2に示す
。なお、上記抗折試験の要領は、第2図に示すように、
水平に支持した状態の各アペックスシールAに対しその
中央部に上方から荷重Pを加えることにより行った。ま
た、上記摩耗試験の要領は、第3図に示す如き装置を用
いて行った。つまり、この装置は軸1回りに回動可能に
支持された回動アーム2を備えてなり、その基端には滑
車3に掛は渡された線材4の一端が取り付けられていて
、該線材4の他端に図中、矢印方向に荷重を加えるよう
になされている。そして、上記回動アーム2の先端に上
記各アペックスシールAと同一の材質からなる合金鋳鉄
製のテストピース5を固着し、上記回動アーム2近傍に
設けられた回動軸6に取り付けられたCrメッキ製ディ
スク7の表面に上記テストピース5接触させて、上記回
転軸6を5m/Secの回転速度で20分間回転させた
状態で、回動アーム2に4.5Kgの荷重を加えること
により行った。
表2 この試験の結果、上記実施例(I)〜(IV)の摩耗間
は全て比較例(III)と大差なく、はぼ同等の耐摩耗
性を有していることが判る。また、抗折強度についても
上記実施例(I)〜(IV)は比較例(1)より高くな
っていることが判る。特に実施例(I)では比較例(I
[I)に比べて約2倍も強かった。なお、比較例(I)
では高硬度な炭化物か生成されるために耐摩耗性は向上
するが、逆に抗折強度が向上せず、オーステンパー処理
を施した意味がなくなり、また、比較例(II)では十
分な炭化物硬度が得られず、そのため抗折強度の向上は
みられるものの耐摩耗性が低下している。
また、上記実施例(I>についてオーステンパー処理条
件を変えた試験結果を表3に示す。なお、表3中、実施
例(I−1)〜(I−8)はオーステンパー処理条件が
上記設定範囲にあることを、比較例(IV)〜(Vl)
はオーステンパー処理条件が上記設定範囲を逸脱してい
ることをそれぞれ示す。また、オーステンパー処理条件
欄中、上段はオーステナイト化条件を、下段は恒温変態
処理条件をそれぞれ示す。
この試験結果から判るように、実施例(I−1)〜実施
例(I −,8)の摩耗量は全て比較例(1)と大差な
く、はぼ同等の耐摩耗性を有してあり、かつ抗折強度に
ついても向上していることが判る。
しかし、比較例(IV)では恒温変態処理温度が180
’Cと低いためにマルテンサイトが多量に析出し、これ
により硬度が高くなって摩耗間も少なくなっているが、
逆に抗折強度が低下した。また、比較例(V)では耐摩
耗性については良かったが、A−ステナイト化温度が7
90’Cと低いために十分なオーステナイト化ができず
、このため組織が不均一となって上記比較例(IV)と
同様に抗折強度が低下した。さらに、比較例(Vl)で
は抗折強度については高かったが、オーステナイト化温
度か910’Cと高いためにチル部a1の炭化物か分解
し、このため1f耗量が増大した。
このように実施例(I)〜(IV)および実施例(I−
1) 〜(I−8>が比較例(■)〜(vI)に比べて
抗折強度および耐摩耗性に優れていること実証するため
に、実施例(I>および比較例(I[I>の4000倍
に拡大した走査型顕微鏡写真をそれぞれ第4図および第
5図に示す。これによると実施例(I>では、チル部a
t  (第4図(a))のマトリックスと母材部a3 
(第4図(C))がいずれもベイナイト組織になってお
り、かつ電子ビームの照射による熱影響を受けた境界部
a2(第4図(b))もベイナイト組織を呈してその熱
影響が解消されていることが判る。また、−旦オースデ
ナイ1〜化しているので、第4図の走査型顕微鏡写真か
らも判るように組織全体が均一化した。一方、比較例(
I[l)では、チル部at  (第5図(a))のマト
リックスと電子ビームの照射による熱影響を受けた境界
部a2 (第5図(b)〉がいずれもマルテンサイト組
織になっており、かつ母材部a3 (第5図(C))が
鋳放しのベイナイト組織になっていることが判る。また
、電子ビームの照射による熱影響により境界部a2 (
第5図(b))のチル部でない部分がマルテンサイト化
され、さらには結晶が粗大化されていることが判る。
したがって、上記実施例(I)〜(IV)あJ:び実施
例(I−1)〜(ニー8)の各アペックスシールAを高
出力化が要求されるロータリピストンエンジンのロータ
に適用しても、折損等の事故がなく、よって強度が向上
しかつチル化による囲動面部の耐摩耗性を確保すること
ができる。
また、上記製造法は、鋳造後のアペックスシール合金鋳
鉄製素材に電子ビームを照射し、その後オーステンパー
処理するだけの簡単な手段であるので、上記特性を有す
るアペックスシールAを効率良く製造することができる
なお、上記実施例では、鋳鉄製摺動部材が、ロータリピ
ストンエンジンのロータ頂部に装着されるアペックスシ
ール△である場合を示したが、これに限らず、1冨動面
部を有する部材であれば如何なるものでおってもかまわ
ない。
(発明の効果) 以上説明したように、本発明によれば、摺動部(Aの素
材して合金鋳鉄を用い、該合金鋳鉄素材の回動面部をチ
ル化し、かつ全体を主としてベイナイト組織に改質した
ので、上記チル化による摺動面部の耐摩耗性を確保しつ
つ折損強度の向上した鋳鉄製摺動部材を提供することが
できる。
また、本発明の製造法ににれば、鋳造後の合金鋳鉄製素
材に高密度エネルギ熱線を照射し、その後オーステンパ
ー処理するだけの簡単な方法により、上記特性を有する
鋳鉄製1習動部拐を効率良く製造することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の実施例に係る鋳鉄製摺動部材としての
ロータリピストンエンジン用アペックスシールを示す斜
視図、第2図は抗折試験要領を説明するための説明図、
第3図は摩耗試験装置の概略構成図、第4図および第5
図は実施例(工) 〔r>よび比較例(III)にあけ
るアペックスシールのチル部、境界部および母(1部の
組織を4000倍に拡大した走査型顕微鏡写真である。 A・・・アペックスシール、al・・・チル部、a2・
・・境界部、a3・・・母材部。 第4図

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 (1)C3.0〜4.0重量%、Si1.5〜2.5重
    量%、Mn0.3〜1.0重量%、P0.05〜0.3
    重量%、S0.1重量 %以下、MgまたはCe0.005〜0.025重量%
    、Cu0.5〜2.0重量%およびNi0.5〜3.0
    重量%の少なくとも1種以上、Cr0.4〜1.0重量
    %、Mo 1.0〜2.0重量%およびV0.1〜0.5重量%の
    少なくとも1種以上、残部がFeよりなり、かつ摺動面
    部がチル化せしめられ、さらに全体が主としてベイナイ
    ト組織になされていることを特徴とする鋳鉄装着動部材
    。 (2)C3.0〜4.0重量%、Si1.5〜2.5重
    量%、Mn0.3〜1.0重量%、P0.05〜0.3
    重量%、S0.1重量 %以下、MgまたはCe0.005〜0.025重量%
    、Cu0.5〜2.0重量%およびNi0.5〜3.0
    重量%の少なくとも1種以上、Cr0.4〜1.0重量
    %、Mo 1.0〜2.0重量%およびV0.1〜0.5重量%の
    少なくとも1種以上、残部がFeよりなる合金鋳鉄製素
    材を用意し、まず、該合金鋳鉄製素材の摺動面部に相当
    する部分を高密度エネルギ熱線を照射することによりチ
    ル化させ、次に、上記摺動面部に相当する部分がチル化
    した合金鋳鉄製素材をオーステナイト化温度800〜9
    00℃、オーステナイト化時間30分以下のオーステナ
    イト化処理を施し、しかる後、恒温変態処理温度200
    〜400℃、恒温変態処理時間10分〜4時間の恒温変
    態処理を施すオーステンパー処理を行うことにより、全
    体が主としてベイナイト組織になされた鋳鉄製摺動部材
    を得ることを特徴とする鋳鉄製摺動部材の製造法。
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Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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