JPS6311289Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、外周にウオームねじ部を設けた筒体
をクランク軸に嵌合、固着し、このウオームねじ
部に噛合するギヤー部を外周に備え、クランク軸
の駆動により、ポンプケース内に往復摺動するプ
ランジヤーによつて給油部に潤滑油を送油するた
めのエンジンのオイルポンプ装置に係るものであ
る。

従来、この種エンジンのオイルポンプ装置は、
プランジヤーの摺動範囲を規制して油量を調整す
る油量調整装置が設けられているが、チエンソー
等の本体ケースに収容されたエンジンにおいて
は、シリンダーは垂直方向に、クランク軸は側方
向に配設されるのが通例であり、このオイルポン
プの１側には遠心クラツチが設けられ、他側には
クランクケースが配設されて、いずれもオイルポ
ンプよりも外径の大きな構造であり、この両側方
には、油量調整装置の操作ロツドを本体ケースの
外部まで取り出すことはできなかつた。したがつ
て、この操作ロツドはクランクケースと遠心クラ
ツチの間のクランク軸と直交する方向に取り出す
ことになるが、前後方向はそれぞれチエンソー、
後ハンドルが配設され、下方は地上に載置した際
に操作できず、したがつて操作ロツド、操作ハン
ドルは上部に設けることが最適なものであるが、
従来においては、この上方はシリンダーの冷却フ
インによつて覆われて操作ロツドを装着すること
ができず、調整に際しては、シリンダーカバーを
外ずしてドライバーによつて直接油量調整装置の
調整ねじを操作し、あるいは、可撓軸、ユニバー
サルジヨイント等の複雑な構成によつて操作ハン
ドルに連結する他はなかつた。したがつて、構造
複雑で安価に製作できない欠点があつた。

本考案は操作ハンドルをシリンダーカバーの上
部に設けるとともに、この操作ロツドをシリンダ
ーの冷却フインの縁部に設けた切欠孔を貫通して
設けることによつて、シリンダーカバーの外部に
おいて油量の調整操作を可能とし、しかも構造簡
単で加工容易に、安価に製作できるエンジンのオ
イルポンプ装置を提供しようとするものである。

以下、図面により本考案の１実施例について詳
細な説明を行なう。

図において、１は本考案の１実施例を備えたチ
エンソーである。３はエンジン５を収容する本体
ケース、７はエンジン５の上部のシリンダー９を
覆うシリンダーカバー、１１はソーチエン１３を
保持するソーチエンバー１５の根元部を覆うサイ
ドカバーである。１７，１９はそれぞれ本体ケー
ス３を支持するための前ハンドル、後ハンドルで
ある。２１は前ハンドル１７を把持する手を保護
るためのガードである。２３はエンジン５のクラ
ンク軸で、端部には遠心クラツチ装置２５が装着
されている。２７は遠心クラツチ装置２５のクラ
ツチドラム２９に固着したボス部で、ベアリング
３１を介してクランク軸２３に回転自在に嵌合し
ている。３３はボス部２７の外周に一体的に係合
するスプロケツトギヤーで、ソーチエン１３を回
転駆動するものである。３５はクランク軸２３を
本体ケース３に支持するベアリングである。

３７はオイルポンプで、つぎのように構成され
ている。すなわち、３９はクランク軸２３に嵌合
した筒体で、外周にウオームねじ部４１が設けら
れている。筒体３９は端部においてベアリング３
５のインナーレース４３を係止して位置決めされ
ている。すなわち、インナーレース４３はクラン
ク軸２３のクランク４５の根元の段部４７に１側
を当接して位置決めされ、他側は筒体３９、ワツ
シヤー４９を介して遠心クラツチ５１のボス部５
３によつて押圧されている。ボス部５３はねじ部
５５によりクランク軸２３に螺合し、筒体３９、
ワツシヤー４９、インナーレース４３を段部４７
との間に押圧、挾持している。５７はポンプケー
スで、プランジヤー５９を摺動、回転自在に嵌合
している。ポンプケース５７は端部において、本
体ケース３に圧入されたベアリング３５のアウタ
ーレース６１を係止している。５８はオイルシー
ルである。プランジヤー５９の外周には、筒体３
９のウオームねじ部４１と係合するギヤー部６３
が設けられている。６５はプランジヤー５９の内
部に軸方向に設けた中空部で、その内部に弾機６
７が弾装され、ばね押え６９を介して蓋部７１に
当接、押圧し、プランジヤー５９を第３図の左方
向に付勢している。７３，７５はそれぞれポンプ
ケース５７に設けた吸入通路、吐出通路である。
吸入通路７３、吐出通路７５にはそれぞれ逆止弁
（図示せず）が設けられ、プランジヤー５９の往
復運動により、オイルタンク（図示せず）から潤
滑油を吸入通路７３から吐出通路７５に送油する
ものである。オイルポンプ３７には油量調整装置
７７が設けられている。すなわち、オイルポンプ
３７内の、プランジヤー５９の端部に設けた室７
９に、油量調整カム８１を固着した調整杆８３が
回動自在に設けられ、調整杆８３の上端部は操作
ロツド８５に係合している。操作ロツド８５はシ
リンダー９の冷却フイン８７の縁部を切り欠いて
形成した切欠孔８８を通過し、シリンダーカバー
７を貫通して、外部に突出した先端に操作ハンド
ル８９が固着している。油量調整カム８１はプラ
ンジヤー５９の端部にカム状に設けたカム部９１
が弾機６７によつて押圧、当接してプランジヤー
５９の回転にともなつてプランジヤー５９を往復
摺動せしめるものである。

９３はクランク軸２３内を軸方向に貫通して設
けた連通路で、連通孔９５を介してベアリング３
１に連通し、また連通孔９７を介して筒体３９の
内径部に設けた溝部９９に連通している。１０１
は連通路９３の端部の開口部を閉鎖する盲栓であ
る。１０３はウオームねじ部４１と溝部９９とを
連通する連通孔である。プランジヤー５９の端部
と蓋部７１との間の圧力室１０５は吸入通路７
３、吐出通路７５に連通し、プランジヤー５９が
第３図の右方向に移動するとき圧力を生じ、圧力
回路の１部となる。圧力室１０５はプランジヤー
５９の外周とポンプケース５７の内径との間の間
隙およびギヤー部６３を介してウオームねじ部４
１に連通している。

以上の実施例において、エンジン５を駆動する
と、クランク軸２３が回転し、ウオームねじ部４
１によりギヤー部６３を介してプランジヤー５９
が回転する。プランジヤー５９の回転にともな
い、弾機６７により油量調整カム８１に押圧、当
接されたカム部９１によりプランジヤー５９が往
復摺動し、オイルタンク（図示せず）内の潤滑油
は吸入通路７３から吐出通路７５に送油されるも
のである。潤滑油の送油量を調整するにあたつて
は、操作ハンドル８９を回動せしめ油量調整カム
８１を回動せしめて、プランジヤー５９の往復移
動範囲を調整して油量の調整を行なうものであ
る。圧力回路の１部である圧力室１０５内の潤滑
油は、プランジヤー５９の外周とポンプケース５
７の内径との間の間隙を通つてギヤー部６３に入
り、さらにウオームねじ部４１から連通孔１０
３、溝部９９、連通孔９７、連通路９３、連通孔
９５を経てベアリング３１に自動的に給油される
ものである。

本考案は、請求の範囲に記載のとおりの構成で
あるから、油量調整用の操作ハンドルをシリンダ
ーカバーの外部に設けることができて、操作が容
易となり、しかも構造がきわめて簡単となつて安
価に製作できるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係るエンジンのオイルポンプ
を備えたチエンソーの１実施例の斜視説明図、第
２図は本考案の１実施例の側断面図、第３図は要
部の正断面図である。 図面の主要な部分を表わす符号の説明、７……
シリンダーカバー、９……シリンダー、２３……
クランク軸、３９……筒体、４１……ウオームね
じ部、５７……ポンプケース、５９……プランジ
ヤー、６３……ギヤー部、７７……油量調整装
置、８５……操作ロツド、８７……冷却フイン、
８８……切欠孔、８９……操作ハンドル。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 外周にウオームねじ部４１を備え、クランク軸
   ２３に嵌合、固着する筒体３９と、前記ウオーム
   ねじ部４１に噛合するギヤー部６３を外周に備
   え、前記クランク軸２３の駆動によりポンプケー
   ス５７内を往復摺動するプランジヤー５９とを備
   えたエンジンのオイルポンプ装置において、前記
   プランジヤー５９の摺動範囲を規制して油量を調
   整する油量調整装置７７を設け、操作ロツド８５
   を介して前記油量調整装置７７を調整操作するた
   めの操作ハンドル８９をシリンダーカバー７の上
   部に設けるとともに、前記操作ロツド８５をシリ
   ンダー９の冷却フイン８７の縁部に設けた切欠孔
   ８８を貫通して設けたことを特徴とするエンジン
   のオイルポンプ装置。