JPH0441205Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、内燃機関に燃料を供給する、いわゆ
る列型燃料噴射ポンプに係わり、タペツト部分や
カム面に潤滑油を供給する構造に関する。

〔従来の技術〕

内燃機関に燃料を供給する列型燃料噴射ポンプ
は、機関の回転によりガバナを通じてカム軸を駆
動し、このカム軸の回転を、カムローラ、タペツ
トを介してポンププランジヤの往復運動に変換し
ていることは知られている。

上記タペツトはハウジングにより摺動案内され
るようになつているためこの摺動面を潤滑する必
要があり、またカム軸のカム面とカムローラの摺
動面も潤滑する必要がある。

従来においては、特公昭44−8537号公報に示さ
れるように、タペツト摺動部のハウジング側面に
潤滑油供給孔を開設し、機関からパイプを経て圧
送されてきた潤滑油を、上記潤滑油供給孔を通じ
てハウジングとタペツトとの摺動部に供給するよ
うになつていた。

しかしながら、上記の構造の場合、機関と潤滑
油供給孔を結ぶパイプの接続位置が、タペツト摺
動部の範囲に制約される不具合があり、周囲に位
置する他の部品との干渉を避けるためパイプの接
続位置を変更したい場合等に自由度がなく、周囲
に位置する他の部品との干渉が発生しやすい欠点
があつた。

また、潤滑油の供給量が多過ぎると、ガバナに
溢流する潤滑油量も多くなるからガバナウエイト
の開度不良を招き、燃料噴射量の制御特性が不安
定になる欠点をもち、逆に潤滑油の供給量が少な
過ぎると、摺動面の異状摩耗や異状音を発生す
る。

このため、潤滑油供給量は高精度にコントロー
ルさせる必要がある。しかしながら、上記公報に
よる従来の場合、潤滑油供給量がハウジングとタ
ペツトとの摺動部クリアランスによつて決まるこ
とになり、このクリアランスはハウジングやタペ
ツトの摺動面の加工ばらつきによりばらつくか
ら、高精度な供給を期待できない不具合があつ
た。

〔考案が解決しようとする問題点〕

本考案は上記の事情にもとづきなされたもの
で、その目的とするところは、機関から潤滑油を
導入するためのパイプの接続位置を選択する自由
度が大きく、しかも潤滑油の供給量を一定量に制
御することができる内燃機関の燃料噴射ポンプを
提供しようとするものである。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案は上記の目的を達成するため、カム室空
間を構成する壁に、供給源から送られる潤滑油を
導入するアダプタを取付け、このアダプタに潤滑
油供給パイプを摺動自在に取着し、この潤滑油供
給パイプを押圧付勢して先端をカム軸の外面に摺
接させ、この潤滑油供給パイプの先端とカム軸の
外面との間にクリアランスを形成し、このクリア
ランスを通じて上記カム室空間に潤滑油を供給す
るようにしたことを特徴とする。

〔作用〕

上記の構成によると、機関から潤滑油を導入す
るためのパイプの接続位置は、カム室空間を構成
する壁のどこであつてもよいから、該パイプの接
続位置は選択の自由度が大きくなる。しかも、ア
ダプタに摺動自在に取着した潤滑油供給パイプの
先端がカム軸の外面に摺接することにより、該潤
滑油供給パイプとカム軸とのクリアランスを一定
に保持し、したがつて潤滑油の供給量を、カム軸
外面の加工ばらつき等に影響されずに一定に制御
することができる。

〔考案の実施例〕

以下本考案を、第１図および第２図に示す一実
施例にもとづき説明する。

図において１はハウジングであり、このハウジ
ング１はタペツト摺動孔２により、カム室空間３
と、ばね収容室空間４に区画されている。

カム室空間３には機関により、図示しないガバ
ナを介して回転されるカム軸５が収容されてお
り、このカム軸５にはカム面６が形成されてい
る。

タペツト摺動孔２にはタペツト７が摺動自在に
嵌挿されており、このタペツト７は、上記ばね収
容室空間４に収容したコイルばね８により、上記
カム軸５のカム面６に向かつて押付けられてい
る。タペツト７にはカムローラ９が回転自在に取
着されており、上記カム面６に接して回転する。

タペツト７にはポンププランジヤ１０の下端が
連結されており、このポンププランジヤ１０の上
端は図示しないポンプ室に嵌合されている。

前記カム室空間３を構成する壁１１には、アダ
プタ１２が取付られており、このアダプタ１２に
はホロースクリユ１３が接続されている。ホロー
スクリユ１３にはニツプル１４が連結されてお
り、このニツプル１４には図示しない潤滑油導入
用パイプが接続されている。

機関から送り出された潤滑油は、上記潤滑油導
入用パイプからニツプル１４を通じてホロースク
リユ１３に形成した潤滑油通路１３ａ，１３ｂに
送られ、アダプタ１２の孔１２ａに供給される。

アダプタ１２の孔１２ａには、潤滑油供給パイ
プ１５が摺動自在に嵌合されており、この潤滑油
供給パイプ１５の先端はカム室空間３に伸びてカ
ム軸５の外面に当接している。

潤滑油供給パイプ１５内の潤滑油供給通路１６
は、アダプタ１２の孔１２ａ内径より小さい内径
に設定されている。この潤滑油供給パイプ１５内
の潤滑油供給通路１６はカム軸５の外面に開口さ
れている。この場合、第２図に示す通り、潤滑油
供給パイプ１５の先端面は平面に形成されるのに
対し、カム軸５の外面は曲面に形成されるので、
これら潤滑油供給パイプ１５の先端面とカム軸５
の外面の間にクリアランスｓが形成される。

なお、１７はワツシヤ、１８はＯリングを示
す。

カム室空間３の上部に位置した壁１１には溢流
孔１９が開口されており、この溢流孔１９にはホ
ロースクリユ２０が接続されているとともに、こ
のホロースクリユ２０にはニツプル２１が接続さ
れている。ニツプル２１には図示しない排出パイ
プが接続されている。

このような構成によると、機関より供給される
潤滑油は、図示しない潤滑油導入用パイプを通じ
てニツプル１４に送られ、ホロースクリユ１３の
潤滑油通路１３ａ，１３ｂを経てアダプタ１２の
孔１２ａに供給される。アダプタ１２の孔１２ａ
には潤滑油供給パイプ１５の潤滑油供給通路１６
が開口されているため、アダプタ１２の孔１２ａ
に供給された潤滑油は潤滑油供給通路１６を通じ
て、潤滑油供給パイプ１５の先端面とカム軸５の
外面の間のクリアランスｓよりカム室空間３に供
給される。

この場合、潤滑油供給パイプ１５の後端面は、
アダプタ１２の孔１２ａに供給された潤滑油の油
圧によつて押され、潤滑油供給パイプ１５の先端
面がカム軸の外面に押付けられる。したがつて、
カム軸５が回転しても潤滑油供給パイプ１５の先
端面はカム軸５の外面に摺接し、よつてクリアラ
ンスｓが常に一定に保たれる。潤滑油の供給量は
このクリアランス量で決まるから、クリアランス
ｓが一定に維持されることにより潤滑油供給量も
一定となる。

潤滑油供給パイプ１５からカム室空間３に供給
された潤滑油は、油面レベルが溢流孔１９を越え
ようとすると、この溢流孔１９から図示しない排
出パイプを通じて機関側に戻される。したがつて
溢流孔１９の位置に合致する油面レベルＬが保た
れる。

この油面レベルＬは、カム軸５の位置よりも高
く、したがつてカム軸５は潤滑油溜りに浸漬され
る。このためカム軸５の回転によりカム面６が潤
滑油を掬い上げ、飛沫を発生させてタペツト７や
カムローラ９に散布する。

この飛沫散布によりタペツト７やカムローラ９
の摺動面が濡れるので潤滑されることになる。

したがつて上記実施例によれば、潤滑油供給パ
イプ１５の先端面がカム軸５の外面に押付けられ
ることによりクリアランスｓを一定に保つので、
カム軸５の外面の加工ばらつきがあつても供給量
を一定に保つ。

しかもアダプタ１２は、カム室空間３を構成す
る壁１１に取付られるから、機関と接続される図
示しない潤滑油導入用パイプの接続位置は、カム
室空間３を構成する壁１１のどこであつても可能
であり、接続位置を自由に選定できることにな
る。

なお本考案は上記第１図および第２図に示した
一実施例に制約されるものではなく、第３図およ
び第４図に示す他の実施例のようにしてもよい。

第３図および第４図に示す他の実施例では、上
記第１図および第２図に示した一実施例と同一部
材は同一番号を付してその説明を省略する。

本実施例ではアダプタ１２の孔１２ａにコイル
ばね３０を収容し、このコイルばね３０の力で潤
滑油供給パイプ１５の先端面をカム軸５の外面に
押付けている。このようにすると、機関が停止し
た場合でも潤滑油供給パイプ１５の先端面がカム
軸５の外面から離れないのでクリアランスを一定
に保つ。

また、潤滑油供給パイプ１５の先端に、第４図
に示すような切欠孔３１を設けることにより、前
記クリアランスｓだけでは供給量が不足する場合
に対して供給量を補うことができる。

なお上記切欠孔３１に変わつて、カム軸５の外
面に、想像線で示すような溝３２を形成してもよ
く、このような溝３２は軸方向および周方向のい
ずれに伸びていてもよい。

〔考案の効果〕

以上説明したように本考案によれば、機関から
潤滑油を導入するためのパイプの接続位置は、カ
ム室空間を構成する壁のどこであつてもよいか
ら、該パイプの接続位置は選択の自由度が大きく
なり、周囲の部品との干渉を避ける位置に接続可
能となる。しかもアダプタに摺動自在に取着した
潤滑油供給パイプの先端がカム軸の外面に摺接す
ることにより、該潤滑油供給パイプとカム軸との
クリアランスを一定に保持するから、潤滑油の供
給量を、カム軸外面の加工ばらつき等に影響され
ずに一定に制御することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図は本考案の一実施例を示
し、第１図は断面図、第２図は要部を拡大した断
面図、第３図および第４図は本考案の他の実施例
を示し、第３図は断面図、第４図は要部を拡大し
た断面図である。 １……ハウジング、２……タペツト摺動孔、３
……カム室空間、４……ばね収容室空間、５……
カム軸、６……カム面、７……タペツト、９……
カムローラ、１１……カム室空間の壁、１２……
アダプタ、１３……ホロースクリユ、１４……ニ
ツプル、１５……潤滑油供給パイプ、ｓ……クリ
アランス、１９……溢流孔、３０……コイルば
ね、３１……切欠孔、３２……溝。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 カム室に収容したカム軸の回転をカムローラお
   よびタペツトによりポンププランジヤの往復運動
   に変換し、このポンププランジヤにより燃料を吐
   出する内燃機関用燃料噴射ポンプにおいて、 上記カム室空間を構成する壁に、供給源から送
   られる潤滑油を導入するアダプタを取付け、この
   アダプタに潤滑油供給パイプを摺動自在に取着
   し、この潤滑油供給パイプを押圧付勢して先端を
   上記カム軸の外面に摺接させ、この潤滑油供給パ
   イプの先端とカム軸の外面との間にクリアランス
   を形成し、このクリアランスを通じて上記カム室
   空間に潤滑油を供給するようにしたことを特徴と
   する内燃機関用燃料噴射ポンプ。