JPS629664Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はピンのそれぞれに貫通コンデンサ等の
フイルタ要素を付設したコネクタに関する。

各種の産業用もしくは家庭用の電子・電気機器
の高度化、高感度化に伴い、これら機器から発生
するノイズおよび外部からこれら機器に侵入する
ノイズによる誤動作防止が重要な課題になつてい
る。このようなノイズを機器の入出力端で阻止す
るため、従来より、コネクタピンの各々に貫通コ
ンデンサ等のフイルタ要素を付設した入出力用の
コネクタが知られている。

第１図はこの種のコネクタの従来例を示し、平
板状の磁器基板１に所定の間隔で貫通孔２を貫設
し、貫通孔２のまわりに互に独立する電極３およ
び共通電極４を被着形成した複合貫通形コンデン
サＣを、金属製のケース５内に挿置し、各貫通孔
２を貫通させたコネクタピン６の各々を、電極３
にそれぞれ半田付け固定した構造となつていた。

このコネクタは、第２図に示すように貫通形コ
ンデンサＣをコネクタピン６の各々に結合させて
あるから、ある程度のノイズ減衰効果を得ること
ができるが、低周波帯のノイズ減衰特性が悪い。
このような欠点を除去するため、フエライトビー
ズなどの磁性体またはチヨークコイル等をコネク
タピンの各々に結合したものも提案されている。
しかし、このようなノイズフイルタ素子を追加す
れば、部品点数、工数の増加による大型化やコス
トアツプを招く不具合がある。特にこの種のコネ
クタは、たとえば自動車のカーラジオ用等に使用
されるもので、予め大きさが制限されることが多
く、前述のようなノイズフイルタ素子の増加は必
ずしも容易ではない。

本考案は上述する従来の諸問題を一挙に解決
し、部品点数、工数の増加を招くことなくフイル
タ要素を追加したと同様の優れたノイズ減衰効果
を得ることの可能なコネクタを提供することを目
的とする。

上記目的を達成するため、本考案に係るコネク
タは、複数のコネクタピンを貫通して植設した外
装ケースとなるハウジングと、前記コネクタピン
を導出した前記ハウジングの一面側に装着され、
前記コネクタピンの各々に該コネクタピンを貫通
端子として結合されたノイズフイルタ要素とを備
えるコネクタであつて、前記ハウジングを磁性粉
末を混入した絶縁材料より形成したことを特徴と
する。

以下実施例たる添付図面を参照し、本考案の内
容を具体的に詳説する。第３図は本考案に係るコ
ネクタの斜視図、第４図は同じくその断面図であ
る。

図において、７は外装ケースとなるハウジング
である。該ハウジング７の底部７ａには、所定の
ピツチ間隔を有して複数個のコネクタピン８を貫
設してある。該ハウジング７は、従来は66ナイロ
ン、ABS、PBTまたはフエノール樹脂等の合成
樹脂で構成してあつたが、本考案においては、該
ハウジング７は、磁性粉末を均一に混入した絶縁
材料によつて構成してある。

このような構成であれば、ハウジング７がシー
ルドケースとして動き、外部からの信号を遮断す
ると同時に、コネクタピン８を貫通させた底部７
ａの部分が、コネクタピン８に対してインダクタ
ンス要素として結合され、実質的にノイズフイル
タ要素を追加した同様の効果を得ることができ
る。

前記磁性粉としては透磁率μ＝50〜150程度の
フエライト粉末が望ましい。またこの磁性粉末を
混入する絶縁材料としては、従来ハウジング材料
として用いられていた66ナイロン、ABS，PBT
またはフエノール樹脂等の合成樹脂が望ましい。

ハウジング７の成型にあたつては、前記絶縁材
料より構成された絶縁塗料中に、数％〜60％程度
の磁性粉を均一に分散させ、この塗料を用いてハ
ウジング７を成型する。

９は複合貫通形コンデンサである。該複合貫通
形コンデンサ９は、平板状の磁器基板１０に前記
コネクタピン８を貫通させる貫通孔１１を貫設す
ると共に、該貫通孔１１のまわりに互に独立する
電極１２および共通電極１３をそれぞれ被着形成
した構造となつていて、貫通孔１１内にコネクタ
ピン８のそれぞれを貫通させつつ、ハウジング７
の底部７ａ上に重ね、かつコネクタピン８を電極
１２のそれぞれに半田付けなどの手段によつて固
着してある。磁器基板１０は誘電体磁器基板また
は半導体磁器基板のいずれでもよいが、半導体磁
器基板とした場合には、誘電体磁器基板とした場
合より10倍以上も大きい容量を取得できる利点が
あり、それだけ優れたノイズ減衰特性が得られ
る。

なお、この貫通形コンデンサ９を形成する他の
方法としては、コネクタピン８のそれぞれに、互
に独立した貫通コンデンサ、たとえば円環状の貫
通コンデンサを結合することも考えられる。

第５図は、本考案に係るコネクタの等価回路図
であり、貫通コンデンサ９による各容量C₁のほ
か、ハウジング７によるインダクタンスL₁をコ
ネクタピン８のそれぞれに直列に挿入した回路構
成となる。したがつて、本考案に係るコネクタ
は、従来より、インダクタンスL₁によるフイル
タ要素が多くなり、特に低周波帯のノイズ減衰特
性が、第６図に示すように改善される。第６図の
曲線A₁は、第１図に示した従来のコネクタのノ
イズ減衰特性曲線、曲線A₂が本考案に係るコネ
クタのノイズ減衰特性曲線である。図から明らか
なように、本考案によれば、100MHz以下の低周
波帯で、ノイズ減衰特性が著るしく改善されてい
る。

以上述べたように、本考案に係るコネクタは、
複数のコネクタピンを貫通して植設した外装ケー
スとなるハウジングと、前記コネクタピンを導出
した前記ハウジングの一面側に装着され、前記コ
ネクタピンの各々に該コネクタピンを貫通端子と
して結合されたノイズフイルタ要素とを備えるコ
ネクタであつて、前記ハウジングを磁性粉末を混
入した絶縁材料より形成したことを特徴とするか
ら、次のような効果が得られる。

(1) ハウジングがシールドケースとして働くの
で、シールドケースを省略し、部品点数、工数
の減少による小形化、コストダウンが達成でき
る。

(2) ハウジングがコネクタピンのそれぞれに対し
てインダクタンスとして結合されるので、特に
低周波帯におけるノイズ減衰特性が著るしく改
善される。

(3) しかもハウジング自体がインダクタンスとな
るので、前述のようなノイズ減衰特性の改善に
あたつても、部品点数、工数が増加することが
ない。

なお、第１図におけるケース５を磁性粉末を混
入した絶縁材料で構成しても、同様の効果を得る
ことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のコネクタの断面図、第２図は同
じくその等価回路図、第３図は本考案に係るコネ
クタの斜視図、第４図は同じくその断面図、第５
図は同じくその等価回路図、第６図は本考案の効
果を示すノイズ減衰特性図である。 ７……ハウジング、８……コネクタピン、９…
…複合貫通形コンデンサ。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 複数のコネクタピンを貫通して植設した外装
   ケースとなるハウジングと、前記コネクタピン
   を導出した前記ハウジングの一面側に装着さ
   れ、前記コネクタピンの各々に該コネクタピン
   を貫通端子として結合されたノイズフイルタ要
   素とを備えるコネクタであつて、前記ハウジン
   グを磁性粉末を混入した絶縁材料より形成した
   ことを特徴とするコネクタ。 (2) 前記磁性粉末はフエライト粉末であることを
   特徴とする実用新案登録請求の範囲第１項に記
   載のコネクタ。 (3) 前記絶縁材料は合成樹脂であることを特徴と
   する実用新案登録請求の範囲第１項または第２
   項に記載のコネクタ。