JPS629025Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はトラツク、バス等の大型自動車に装備
する工具箱に関し、更に詳述すれば必要時に迅速
且つ簡単に組立て得るようにしたことを特徴とし
たものである。

トラツク、バス等の大型自動車は、自動車の点
検、修理等をするための工具を収納する工具箱を
装備している。ところで、このような工具箱は自
動車販売店が自動車の販売に際しユーザーの要望
に応えて自動車に装備する性格の商品である。従
つて、自動車販売店は常に多数個の工具箱を在庫
する必要があり、大型自動車の工具箱は大きな容
積を有しているので広い保管場所を必要とし、工
具箱を保管するためのコストが高くつく等の問題
があつた。

本考案は前述した問題に鑑み、板状に分解可能
な組立式の構造として、保管時には工具箱を分解
した状態にして、保管のために広い空間を必要と
せず、しかも組立が簡単であり、堅固な組立状態
を得ることができる工具箱を提案したものであ
る。

以下本考案に係る工具箱を図面によつて詳述す
る。第１図は本考案に係る工具箱（以下本案品と
いう）の斜視図である。本案品は分離可能な蓋板
１付の前面板２、天井板３、背面板４、底板５、
左、右側側板６ｌ，６ｒ等からなる。第１図にお
いて、前面板２は左右に長い長方形状の薄鉄板で
形成されており、上側を稍後方に向けて傾斜して
いる。前面板２と天井板３及び底板５とは第１４
図に示す如き角部連結部材７を用い、第１６図に
示す如き態様で接合される。そして前面板２と底
板５、天井板３と背面板４及び背面板４と底板５
とを接合している角部連結部材７はその外面を傾
斜させている。前面板２の下部を係入している角
部連結部材７の少し上部にはヒンジ金具８，８の
一側が固着されている。このヒンジ金具８，８の
他側は、薄鉄板で形成された蓋板１の下端部に取
付けられていて蓋板１を前倒しすることにより、
前面板２を内面側より示す第２図に表した長方形
状の工具出入口２ｃを露出させ得るようになつて
いる。蓋板１の前面には該蓋板１の外側端縁に平
行し、その端縁より内側寄りの位置に段部１ａを
形成して、長方形状で深さの浅い凹部１ｂが形成
されており蓋板１の機械的強度が高められてい
る。そして蓋板１の上端部の左、右側には環状金
具９ａ，９ａを有する掛止具９，９が夫々取付け
られており、また蓋板１の上端部中央には蓋板１
の上方に延出させて先端側に縦長の角孔を開設し
た鎖錠板１０が取付けられている。また前面板２
の上端部の中央には、前記鎖錠板１０の角孔に係
入される突片１１が突設している。この突片１１
の先端側には錠取付孔を開設していて、この錠取
付孔を利用して錠１２が取付けられる。

前記天井板３の前端部の左、右側には前面板２
に取付けた掛止具９，９の環状金具９ａ，９ａが
係合する係止板１３，１３が取付けられている。
前面板２の上、下端縁は第２図及び第３図に示す
ように、鋭角的に適長内側へ屈曲させて係合部２
ａ，２ｂが形成されている。そしてこの係合部２
ａ，２ｂは角部連結部材７を介して天井板３及び
底板５と接合した場合にこれらと所定の角度をな
すように屈曲角度を定めてある。そして前面板２
の左右端部側には小径のネジ孔１５が複数個（図
面では２個）形成されている。

第４図及び第５図は天井板の内面側を示す平面
図及び側面図であつて、天井板３は前面板２と等
幅であり、適宜の奥行寸法を有する長方形状の薄
鉄板で形成されている。この天井板３の前部及び
後部の各端縁は内側に略直角及び直角より稍広角
に屈曲されて係合部３ａ，３ｂを形成している。
また両側端部には夫々複数のネジ孔１５を設けて
いる。

第６図及び第７図は背面板の内面側を示す立面
図及び側面図である。背面板４は前面板２と天井
板３と等幅であり、前面板２の垂直高さ寸法と等
しい高さ寸法の長方形状に形成されている。この
背面板４の上下部の端縁は、夫々適長内側に略直
角に屈曲されて係合部４ａ，４ｂが形成されてい
る。

第８図及び第９図は底板の内面側を示す平面図
及び側面図である。底板５は背面板４と等幅であ
り奥行寸法を天井板３より若干長くしている。底
板５の前後部の夫々の端縁は、適長内側に略直角
に折曲げられ係合部５ａ，５ｂが形成されてい
る。また底板５の内面には、底板５の幅方向に平
行する２本の細いリブが形成されている。

以上の背面板４、底板５の左右の端部側には、
小径のネジ孔１５が複数個（図面では２個）形成
されている。第１０図及び第１１図並びに第１２
図及び第１３図は、左側側板６ｌ並びに右側側板
６ｒの内面側を示す正面図及び側面図であつて、
左側側板６ｌ及び右側側板６ｒは前面板２、天井
板３、背面板４、底板５を後述するように組合せ
て形成される筒体に外嵌できるように形成されて
おり、前面板２、天井板３、背面板４、底板５の
夫々に整合させた形状、寸法の前面側フランジ６
ａ，天井面側フランジ６ｂ、背面側フランジ６ｃ
及び底面側フランジ６ｄを備え、これらのフラン
ジ６ａ，６ｂ，６ｃ及び６ｄは内側に向けて直角
に屈曲されている。またこれらのフランジ６ａ，
６ｂ，６ｃ，６ｄには、左、右側側板６ｌ，６ｒ
を前面板２、天井板３等によつて形成される前記
筒体に嵌合させた場合に、それらの板２，３，４
及び５に形成したネジ孔１５と対応する位置に小
径で皿孔状の貫通孔１６が形成されている。また
左、右側側板６ｌ，６ｒの正面には、適宜幅寸法
からなる対角線を交差させてＸ字状をした僅かに
盛上つた凸部１７がプレス加工により形成されて
いて、左、右側側板６ｌ，６ｒの機械的強度を高
めている。

第１４図はスライドサツシ式の角部連結部材の
斜視図であつて、角部連結部材７は全体的断面形
状が２等辺三角形状であり、前面板２、天井板３
等の幅寸法に等しい長さを有する頂点の稜に相当
する部分が開いた三角筒状をなしている。そして
この角部連結部材７は上記頂点の稜に対向する面
７ａは一重であるが、これの両側に連なる面の部
分は２重となつている。即ち面２ａに連なる内側
案内部７ｂ，７ｃは前記頂点の稜側の端部から外
側へ折曲げられて、面７ａ側へ延びるようにして
内側案内部７ｂ，７ｃと平行した外側案内板部７
b′，７c′とで、前記した前面板２、天井板３等の
係合部２ａ，２ｂ，３ａ，３ｂ等を係入させ得る
間隙寸法の係合溝Ｇを全長に亘つて形成してい
る。２つの係合溝Ｇは直角をなすようにしてい
る。次に本案品の組立方法を説明する。

先ず第１５図に示す如く前面板２の上端部の係
合部２ａの先端に角部連結部材７の一方の係合溝
Ｇを臨ませて、前記係合溝Ｇに前記係合部２ａを
係入して接合し、夫々の左右の端部を揃える。そ
の後、角部連結部材７の他方の係合溝Ｇに天井板
３の前端部の係合部３ａを係入して接合し、角部
連結部材７の左右端部と天井板３の左右端部とを
揃えて前面板２と天井板３とを密接に接合させ
る。続いて、前記同様にして天井板３の後端部の
係合部３ｂを、天井板３と背面板４とを接合させ
るための角部連結部材７の一方の係合溝Ｇに係入
して天井板３に接合し、更に他方の係合溝Ｇに背
面板４の上端部の係合部３ｂを係入して接合す
る。これにより前面板２と天井板３と背面板４と
で側面形状がコ字状となるように組立てられる。
次に前面板２及び背面板４の夫々の下端部の係合
板部２ｂ及び４ｂを、底板５と接合させるための
角部連結部材７，７の一方の係合溝Ｇに係合させ
て、前面板２及び背面板４の下端部に角部連結部
材７，７を接合させる。その後、前面板２及び背
面板４の下端部に接合させた角部連結部材７，７
に跨らせて夫々の他方の係合溝Ｇ，Ｇに、底板５
の前後端部の係合部５ａ，５ｂを夫々係入して、
その左、右側端部を底板５の左右側端部に揃え
る。これにより、前面板２、天井板３、背面板４
及び底板５により側面視で略台形状をした筒体が
形成される。このように形成された筒体の左右側
端部に、左側側板６ｌ及び右側側板６ｒを外嵌さ
せる。その後左、右側側板６ｌ，６ｒの外周面に
形成している貫通孔１６を通して固定用皿ビス１
４を、前面板２、天井板３、背面板４及び底板５
のネジ孔１６に螺入して、左、右側側板６ｌ，６
ｒを前面板２、天井板３、背面板４及び底板５に
固定して本案品の組立を完了する。この組立によ
り前面板２、天井板３、背面板４、底板５の各接
合部は第１６図に示す如くなり、そして第１図に
示した組立状態となる。

このように組立てられた工具箱は、掛止具９，
９の環状掛具９ａ，９ａを係止板１３，１３に係
合させることにより、蓋板１を前面板２に当接さ
せて工具出入口１ｂを閉塞した状態を保持させる
ことができる。また錠取付孔に錠１２を取付ける
ことにより蓋板１を鎖錠状態に出来る。一方、工
具箱から工具を出入れする場合には施錠した錠１
２を解錠して取外した後、掛止具９，９を操作し
てその環状掛具９ａ，９ａを係止板１３，１３か
ら離脱させることにより、蓋板１を前方に倒して
工具出入口１ｃを露出させて、工具箱内の工具の
出入れが自由にできる。

第１７図及び第１８図は素材としてラワン材等
の木を用いた場合の実施例を示す正面図及び右側
側面図である。

２０は前面板であつてその大部分を占める上側
の蓋板２０ａと、これに蝶番２６，２６を用いて
連結した横長の基板２０ｂとからなり、蝶番２
６，２６の部分で前倒して開放できるようにする
と共に、少し後傾させた状態で天井板２１の上面
前端部に取付けた係止板１３，１３に対して掛止
具９，９の環状掛具９ａ，９ａを係合して閉塞で
きるようにしている。錠を取付け得るように構成
するのも自由である。

斯かる前面板２０の外の天井板２１、背面板２
２、底板２３及び左、右側側板２４ｌ，２４ｒは
夫々１枚の板からなつている。これら前面板２
０、天井板２１等は正面視、側面視で共に額縁状
になるように接合されている。そしてこの実施例
では隣接する板の接合を固定するためにＬ字状を
なし、両端末を内側へ直角に屈曲させた断面形状
を有し、各接合部に必要とされる長さを有する角
部連結部材２５を用いている。各板の接合部の角
部に近い外面には全長に亘る溝G′が形成されて
いて、角部連結部材２５の端末屈曲部をこの溝
G′に長手方向の一端から係入するようにしてあ
る。

以上２つの例は角部連結部材がいずれも箱の外
側に現れるものであつたが、第１９図、第２０図
に示す如く断面形状がチヤネル材のフランジ部に
Ｌ字状の内向き屈曲部を形成して一部が開放され
た２つの角筒を連ねた如き形状の角部連結部材３
０を用い、また各板は接合部にテーパ部３１、こ
のテーパ部３１から内側へ直角に屈曲させて内側
へ延出させた対向部３２、対向部３２からテーパ
部３１に平行になるように屈曲させた平行部３３
及び平行部３３からテーパ部３１に向けて屈曲さ
せた端末部３４を備え接合部に一部が開放された
角筒を形成した如き形状として、２枚の板の対向
部３２，３２を衝合せ両角筒部を組合せるように
嵌合する構成とする場合は角部連結部材３０を箱
内部に位置せしめ得、外観の美観が増す利点があ
る。そしてこの実施例の場合は板と角部連結部材
との結合が強固であるから板としてプラスチツク
板を用いることもできる。

なお前面板、天井板、背面板及び底板相互の接
合はその総てを角部連結部材７，２５，３０によ
ることとせず、その一部、例えば背面板と底板と
を蝶番にて連結し、折畳可能としておくこととし
てもよい。

以上のように本考案による工具箱は天井板、背
面板、底板、左側側板、右側側板及び開閉自在の
蓋板を設けた前面板が別体となつており、相互の
接合部の全部又は一部は一方の板の端縁と他方の
板の端縁に挿脱可能に係合させた角部連結部材に
より連結してなるものであるから、これを在庫の
ために保管する場合には、前面板、天井板等を
別々にして積重ねておくことにより嵩低く保管す
ることができる。また運搬に際しても分離した嵩
の低い状態で行うことができ、多量輸送に好適で
ある。そして組立は簡単であり、また組立後は角
部連結部材、ビス等により略６面体が固定され堅
固な構造となる。更に６面の一部が破損した場合
はその板だけを交換するだけで良い等、本考案は
優れた効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る工具箱の外観斜視図、第
２図及び第３図は前面板の内面側を示す平面図及
び側面図、第４図及び第５図は天井板の内面側を
示す平面図及び側面図、第６図及び第７図は背面
板の内面側を示す立面図及び側面図、第８図及び
第９図は底板の内面側を示す平面図及び側面図、
第１０図及び第１１図並びに第１２図及び第１３
図は夫々左側側板並びに右側側板の内面側を示す
正面図及び側面図、第１４図は角部連結部材の外
観斜視図、第１５図は前面板と天井板とを接合す
る際の説明図、第１６図は工具箱の部分断面右側
面図、第１７図及び第１８図は他の実施例を示す
正面図及び一部破砕右側面図、第１９図は他の実
施例の角部連結部材を示す斜視図、第２０図はこ
れを用いた場合の接合部側断面図である。 １……蓋板、２……前面板、３……天井板、４
……背面板、５……底板、６ｌ……左側側板、６
ｒ……右側側板、７，２５，３０……角部連結部
材、Ｇ……係合溝。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 天井板、背面板、底板、左側側板、右側側板及
   び開閉自在の蓋板を設けた前面板が別体となつて
   おり、相互の接合部の全部又は一部は、一方の板
   の端縁と他方の板の端縁に挿脱可能に係合させた
   角部連結部材により連結してなることを特徴とす
   る工具箱。