JPS628367Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、フロート室の気体空間の気圧上昇に
因るメインノズルおよびベント（vent）から吸気
通路への燃料のスピユーイング（噴出：
spewing）を防止するガソリンエンジン用気化器
に関する。

気化器フロート室の燃料面は、フロートの揺動
によるニードル弁の開閉により一定のレベルにな
るよう制御されているが、自動車旋回時では燃料
面が水平面に対して著しく傾き、フロート室下部
のプライマリメインジエツトあるいはセカンダリ
メインジエツトが燃料面より上へ露出してプライ
マリバレルあるいはセカンダリバレルへの燃料供
給が困難となり、自動車が失速するおそれがあ
る。そこでスペーサがフロート室に設けられ、そ
の体積によりフロート室の燃料を排除してフロー
ト室の燃料面の傾斜を抑制して上記の支障を回避
している気化器がすでに提供されているが、この
スペーサは、フロート室の上壁に取付けられて、
一方の対向側壁のほぼ全体に渡つて延びているの
で、動圧ベントおよび静圧ベントと燃料流入部と
の間がスペーサにより仕切られている構造になつ
ている。さらにフロート室はエンジン本体からの
熱により高温となつているのに対し、燃料タンク
からフロート室へ送られてくる燃料は低温である
ので、フロート室への流入燃料がフロート室内の
燃料に合流する燃料面では、低温の流入燃料があ
わ立ち、蒸発している。このような燃料の蒸発は
フロート室の気体空間の気圧を増大させ、メイン
ノズルからのスピユーイングの原因となるので、
一般の気化器ではフロート室の気体空間は、吸気
通路の吸入空気の動圧および静圧をそれぞれ受け
る動圧ポートおよび静圧ポートへそれぞれ動圧ベ
ントおよび静圧ベントを介して接続され、エンジ
ン運転中は空気が動圧ベント、フロート室、およ
び静圧ベントの順に流れ、このようなフロート室
の掃気によりフロート室の気体空間の気圧上昇を
抑制するようになつている。しかしスペーサによ
る前述の仕切り構造のために、掃気空気はあわ立
ちおよび蒸発の最も激しい燃料流入部の燃料面範
囲へ導かれることなく、動圧ベントから静圧ベン
トへ短絡的に抜けている。そこで本出願人は先に
実願昭57−62081号において、スペーサに対して
動圧および静圧ベント側の空気空間部分に延びて
フロート室における動圧ベントおよび静圧ベント
のポート間を仕切る仕切り部材が設けられている
気化器を開示した。この気化器では仕切り部材に
より動圧ベントから静圧ベントの掃気空気の短絡
的な抜けを回避して、掃気空気が燃料面近傍を流
れるようにしているが、スペーサはフロート室の
上流の上壁に取付けられて一方の対向側壁間のほ
ぼ全体に渡つて延びており、動圧ベントおよび静
圧ベントと燃料流入部の燃料面範囲との間がスペ
ーサにより仕切られているので、掃気空気が該燃
流面範囲まで充分に達せず、掃気効果が不十分で
あつた。

本考案は、前記先願の改良に関し、掃気空気を
燃料流入部の燃料面範囲へ適切に導いてスピユー
イングを確実に防止することができる気化器を提
供することである。

この目的を達成するために本考案の気化器によ
れば、動圧ベントからフロート室へ導入された空
気を燃料流入部の燃料面範囲へ導くための通路と
燃料流入部の燃料面範囲を掃気した空気を静圧ベ
ントへ導くための通路とがスペーサに形成されて
いる。

この結果、動圧ベントからの空気はスペーサの
通路、燃料流入部の燃料面範囲、スペーサの別の
通路を経て静圧ベントへ流れるので、該燃料面範
囲の掃気が円滑に行なわれ、スピユーイングが確
実に防止される。

本考案の好ましい実施態様ではスペーサにおけ
る通路はスペーサの外面に形成される。したがつ
て通路の形成、加工が非常に容易となる。

さらに本考案の実施態様では、この通路の流通
断面積は動圧ベントおよび静圧ベントの流通断面
積より大きくされ、スペーサの通路への掃気空気
の導入を円滑にする。

図面を参照して本考案の実施例を説明する。

フロート室１の内壁形状は第１図では二点鎖線
により示されており、フロート室１の空気空間２
（第３図）は動圧ベント３および静圧ベント４を
介して吸気通路へ接続されている。動圧ベント３
および静圧ベント４は第５図に示されるように吸
気通路５における吸入空気の流れ方向６に対して
それぞれ垂直および平行に開口している動圧ポー
ト８および静圧ポート９をもつている。スペーサ
１４は、フロート室１の上壁に固定され、傾斜下
面１７を有している。スペーサ１４は、自動車旋
回時におけるフロート室１内の燃料１５の燃料面
１６の傾斜を抑制するために、フロート室１にお
ける動圧ベント３および静圧ベント４のポート１
８，１９の場所を回避して空気空間２のほぼ全体
に広がるように体積および形状を設定されてお
り、フロート室１の一方の対向壁２０，２１間で
は対向壁２０，２１間のほぼ全体に渡つて延びて
いる。フロートはスペーサ１４の突出部２４の上
部に一端を回転可能に支持され、突出部２４の下
端は第３図に示されるように通常時は燃料面１６
より下に位置している。突出部２４には鉛直方向
へ貫通して延びる円形横断面の孔２５が形成さ
れ、この孔２５にはフロートに下端を固定されて
いるニードルが挿入される。燃料面１６が低下し
てフロートが揺動することによりニードルが下方
へ移動して弁座から離れると燃料がニードル弁を
介してフロート室内へ流入する。孔２５は流入燃
料の分散を制限して流入燃料を孔２５の下の燃料
面範囲に落下させる。仕切り部材２８は、ポート
１８，１９間に配置され、上端をフロート室１の
上壁に固定され、鉛直方向へ延び、下端は燃料面
１６の近傍まで達している。壁面２０，２１側の
スペーサ１４の外面にはそれぞれ通路３０ａ，３
０ｂが形成され、通路３０ａ，３０ｂはそれぞれ
側壁２０，２１に対して平行に水平方向へ延びる
部分３１ａ，３１ｂ、スペーサ１４の突出部２４
側（スペーサ１４を突出部２４側とベント３，４
側とに分けて考えた場合の突出部２４側）の面に
おいて鉛直方向へ延びる部分３２ａ，３２ｂ、お
よびスペーサ１４の突出部２４側の面において側
壁２０，２１に対して垂直に水平方向へ延びる部
分３３ａ，３３ｂから成る。部分３０ａ，３０ｂ
はフロート室１の上壁近傍に延び、部分３３ａ，
３３ｂは燃料面１６近傍に延びている。通路３０
ａ，３０ｂの流通断面積はベント３，４の流通断
面積より大きい。また通路３０ａ，３０ｂはスペ
ーサ１４の外面に沿つて形成されるので、通路３
０ａ，３０ｂの形成のためのスペーサ１４の成
形、加工は容易となる。

加速時では吸気系への加速燃料の供給のために
燃料面１６のレベルは第４図のものより急激に下
降して突出部２４の下端より下になる。燃料タン
クからニードル弁を経てフロート室１へ流入した
燃料は孔２５内を燃料面１６まで落下する。落下
場所に相当する燃料面１６の範囲では燃料のあわ
立ち、蒸発が生じるが、特に気化器高温時では燃
料タンクからの燃料の温度とフロート室１内の温
度との差が大きいために該範囲における蒸発が激
しく、フロート室１内の気圧を増大させる。しか
しエンジン運転中は吸気通路５における吸入空気
の動圧が静圧より大きいので、空気が動圧ベント
３のポート１８からフロート室１へ流入する。流
入した空気は動圧ベント３のポート１８から短絡
的に静圧ベント４のポート１９へ向かうのを仕切
り部材２８により阻止され、矢印３５で流れを示
すように通路３０ａの部分３１ａ，３２ａ，３３
ａを経て孔２５の下端と燃料面１６との間を通
り、さらに通路３０ｂの部分３３ｂ，３２ｂ，３
１ｂを経て静圧ベント４へ流れる。空気が孔２５
の下端と燃料面１６との間を通る際、前記あわ立
ち範囲を冷却および掃気するので、フロート室１
内の気圧上昇は防止され、スピユーイングが防止
される。なお通路３０ａ，３０ｂの流通断面積は
ベント８，９の流通断面積より大きいので、掃気
空気の大部分を通路３０ａ，３０ｂへ円滑に流す
ことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案による実施例のフロート室の斜
視図、第２図は第１図の方向から示す図、第３
図は第１図の方向から示す図、第４図は第１図
のスペーサを方向から示す図、第５図は吸気通
路におけるベントのポートの向きを示す図であ
る。 １……フロート室、２……気体空間、３……動
圧ベント、４……静圧ベント、５……吸気通路、
８……動圧ポート、９……静圧ポート、１４……
スペーサ、１５……燃料、１６……燃料面、２
０，２１……対向壁、２５……孔、２８……仕切
り部材、３０ａ，３０ｂ……通路。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ フロート室の空気空間が、吸気通路の吸入空
   気の動圧および静圧をそれぞれ受ける動圧ポー
   トおよび静圧ポートへそれぞれ動圧ベントおよ
   び静圧ベントを介して接続され、体積によりフ
   ロート室の燃料を排除してフロート室の燃料面
   の傾斜を抑制するスペーサが、フロート室の一
   方の対向側壁間のほぼ全体に渡つて延びて動圧
   ベントおよび静圧ベントとフロート室への燃料
   流入部との間を仕切り、スペーサに対して動圧
   および静圧ベント側の空気空間部分に延びてフ
   ロート室における動圧ベントおよび静圧ベント
   のポート間を仕切る仕切り部材が設けられてい
   る気化器において、動圧ベントからフロート室
   へ導入された空気を燃料流入部の燃料面範囲へ
   導くための通路と燃料流入部の燃料面範囲を掃
   気した空気を静圧ベントへ導くための通路とが
   スペーサに形成されていることを特徴とする、
   気化器。 ２ 前記通路がスペーサの外面に沿つて形成され
   ていることを特徴とする、実用新案登録請求の
   範囲第１項記載の気化器。 ３ 前記通路の流通断面積が、動圧ベントおよび
   静圧ベントの流通断面積より大きいことを特徴
   とする、実用新案登録請求の範囲第２項記載の
   気化器。