JPS627062B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、缶、樽、瓶（以下単に容器という）
に簡単に取付け、容器内の例えばビール、清涼飲
料水等（以下単に液体という）をコツプまたはジ
ヨツキ等に小出しに注出する自然落下式の注出具
に関し、更に詳しく云えば使用し終えた注出具を
容器から取りはずし笛として使用できるようにし
た注出具に関する。

〔従来の技術〕

容器内部の飲料、例えばビールをコツプ、ジヨ
ツキ等に小出しに注出する注出具は、例えば実開
昭56−125895号公報に開示されている。この注出
具は、主注出孔と副注出孔とを有する注出具本体
にサイホンパイプを設けた構成である。注出具
は、飲料の出入口が１個の容器に対して液密に取
付けられる。しかして、飲料であるビール等をコ
ツプあるいはジヨツキ等に小出しに注ぐ場合、主
注出孔と副注出孔とサイホンパイプとをコツプの
開口部に向けて傾斜指向させれば、主注出孔と副
注出孔とから、ビールが注出されるとともにサイ
ホンパイプから空気が吸入される。

〔発明が解決しようとする問題点〕

しかしながら、上記の実開昭56−125895号公報
に開示されたものは、容器内の例えばビールをコ
ツプあるいはジヨツキ内に小出しに注出すると
き、副注出孔からの副注出流が細かい液流であ
り、副注出流中に溶解していた炭酸ガスが空気中
に放出され易い状態となつていることにより、副
注出流がコツプあるいはジヨツキ内のビールの表
面に到達したときに副注出流中に溶解して炭酸ガ
スがきわめて細かい小さな泡を形成する。

また、副注出流がコツプあるいはジヨツキ内の
ビールの表面に達した時にコツプあるいはジヨツ
キ内のビールに刺激が与えられ、コツプあるいは
ジヨツキ内のビール中に溶解していた炭酸ガスが
その刺激によつてきわめて小さな泡を形成する。
それ故、コツプあるいはジヨツキ内に注がれたビ
ールの泡はきわめて微細な泡となり、償飲欲が向
上せしめられる。

このように、上記の如き構成の注出具は、如何
にして美味しくビールをコツプあるいはジヨツキ
内に注ぐことができるかのみを目的として開発さ
れたものである。

従つて、このように液体の効果的な注出機能以
外に他の機能を兼ね備えた構造の注出具は全くな
かつた。

本発明者らは、上記の如き効果的な注出機能を
もつた注出具をさらに鋭意研究して、液体のきわ
めて効果的な注出を行い得るという注出具として
の本来の機能は勿論のこと、ビールの注出を終え
た後の注出具を笛として利用できるようにした商
品価値のきわめて高い注出具を開発することに成
功した。

本発明は、容器より液体の注出が効果的に行え
ることは勿論のこと、液体の注出を終えた後の注
出具を容器から取りはずし笛として利用できるよ
うにした極めて興趣のある鳴音機構を備えた注出
具を提供することを目的とするものである。

〔問題点を解決するための手段〕

上記の目的を達成するための本発明の手段は、
空気取入れパイプおよび傾斜構造の注出筒を有す
る注出具において、該注出具の取付筒よりも長く
突出させた空気取入れパイプの中心軸線の延長線
上に位置するように、前記注出筒の周面上に鳴音
筒を設け、この鳴音筒は上記の空気取入パイプ側
と対向する口縁部が空気取入パイプの中心軸線も
しくはその近傍に位置されるように構成したこと
を特徴とする鳴音機構を備えた注出具を提供する
にある。

〔作用〕

１個の取付孔を持つた容器に対して注出具を液
密に取付ける。しかして、容器内の例えばビール
を注出するには、注出具をコツプ内の方向に指向
させれば、空気取入れパイプから空気が取り入れ
られ、該空気は容器内の液体中に導入される。こ
の空気導入により、容器内の液体が通路を通り注
出具外に注出されるとともに副流室のノズルから
もビールが注出される。上記の場合、通路からは
比較的大容量のビールが注出され、コツプ内に大
きな塊を形成するが、副流室から注出されるビー
ルによつて、上記のビール液面に細かい振動が与
えられる。したがつて、ビール中に溶解していた
炭酸ガスが、その刺激で無数の微細な泡となつて
発生し、ビールの液面を覆うから、空気塊の巻き
込みがあつた場合にもそれはビール注ぎ出しの初
期に止まり、大きな泡の形成が有効に阻止されこ
とになる。液体の注ぎ出しを完了したならば、注
出具を容器から取り外し笛として利用する。すな
わち、取り外した空気取入れパイプの内端部と反
対側を口に加えてそのまま空気を吹き込めばよ
い。吹き込まれた空気は空気取入れパイプの中心
軸線上を流れて、鳴音筒の中心軸線上を通り過
ぎ、その一部の空気が鳴音筒の口縁部をかすめ
る。このかすめるときに発生される音が鳴音筒で
共鳴され、あたかも口笛を吹くと同じような音色
の音となつて発生されることになる。

以下図面について本発明の実施例について説明
するが、本発明はこれによつて限定されるもので
はない。

〔実施例〕

本発明の第１実施例による注出具を第１図及び
第２図について説明すると、注出具は符号１とし
て総括的に示してある。注出具１は鍔２を介して
第２図において左側に注出筒３を、また右側に取
付筒４を一体に有する。取付筒４は図面に示して
いない例えばビール等の液体を収容する容器に対
して例えば圧入あるいはねじ込み等の手段によつ
て着脱可能に取付けられる。注出筒３はその基部
側のところが若干の角度屈曲させてあり、それに
よつて注出筒３の先端側が傾斜されている。この
傾斜によつて液体の注出が行い易くなる。注出筒
３の上部周面上の頂部には、その傾斜面に沿つて
注出口縁部６から屈曲部５のところまで鳴音筒７
が設けてある。鳴音筒７は中空パイプ状に成形さ
れている。注出筒３の流出開口部８はテーパ面に
成形され、このテーパ面に沿うよに鳴音筒７の開
口面９もテーパ面に形成してある。

上記の鍔２には空気取入れパイプ１０が設けて
ある。空気取入れパイプ１０の空気吸込口１０ａ
は鍔２の平面より第１図において左方へ突出させ
てある。空気取入れパイプ１０は、鳴音筒７の中
心軸線の延長線上に位置されている。この空気取
入れパイプ１０は、液体の注出に際し、容器内に
空気を取り入れるために利用され、また、空気取
入れパイプ１０の空気吸込口１０ａと反対側の端
部が、取付筒４よりも更に外方へ突出させてある
ので、笛として注出具を使用する際には、容器よ
り注出具を取り外し、空気取入れパイプの内端部
と反対側を口に加えてそのまま空気を吹き込んで
吹奏せしめればよい。

注出具１の第１図において下側頂部には副流室
１１が設けてある。この副流室１１は注出筒３の
先端側では区画されているが、その基部側におい
ては断面半円状の凹状部１２により注出筒３内と
連通される。副流室１１の第１図において左端部
にはノズル筒１３′が設けてある。前記注出筒３
の屈曲部５のところに位置して通路１３内に突出
するように邪魔板１４が設けてある。邪魔板１４
によつて通路１３の屈曲部のところに液体の注出
時に空気溜り部１５，１６が形成されるようにな
つている。従つて、これらの空気溜り部１５，１
６によつて、液体の注ぎ出しを中止して容器を起
こした際に、注出具１の通路内に残つた液体たと
えばビールおよび泡が容器内に戻る際に流路壁か
ら受ける粘性抵抗を少なくし、戻り易くする効果
を生じるとともに容器内の炭酸ガスの圧力によつ
て、それらの残留物が不用意に噴出されることが
防止される。

しかして、取付筒４を容器（図示せず）の取付
口部に嵌め込んで固定し、通常のように容器を把
持して容器内の液体（本例においてはビール）を
注出すればよい。上記の注出に際しては、空気取
入れパイプ１０から空気が取り入れられ、該空気
は液体中に導入される。この空気導入により、容
器内の液体が通路１３を通つて注出されるととも
に凹状部１２からも液体が副流室１１内に導入さ
れる。この副流室１１内に入つた液体はノズル筒
１３′から注出される。上記の場合において、通
路１３からは比較的大容量のビールが注出され、
従つて、注出されたビールは、コツプあるいはジ
ヨツキ内において空気の塊を巻き込んでしまい、
大きな泡を形成することになる。しかし、副流室
１１内を通つてノズル筒１３′から注出されるビ
ールによつて、コツプあるいはジヨツキ内に既に
溜つたビールの液面に細かい振動が与えられ、ビ
ール中に溶解していた炭酸ガスが、その刺激で無
水の微細な泡となつて発生し、ビール液面を覆う
から、空気塊の巻き込みがあつた場合にも、それ
はビール注ぎ出しの初期のみに止まり、大きな泡
の発生が有効に阻止される。

上記のようにして、容器内の液体を注出するわ
けであるが、該液体の注出をすべて完了したなら
ば、注出具１を容器から取り外し、該注出具１を
笛として利用する場合には、取付筒４のところを
把持して、空気取入パイプ１０の内端部１０ａの
反対側を口に加えてそのまま空気を吹き込めばよ
い。吹き込まれた空気は、空気取入パイプ１０の
中心軸線Ｘ−Ｘ上を流れて、鳴音筒７の中心軸線
Ｙ−Ｙ上を通り過ぎ、その一部の空気が鳴音筒７
の口縁部７ａをかすめる。このかすめるときに発
生される音が鳴音筒７で共鳴され、あたかも口笛
を吹くと同じような音色「ピー」の音が発生され
ることになる。

また、本発明の第２実施例による注出具を第３
図について説明すると、この実施例において第１
実施例と異なる点は、空気取入パイプ１０の空気
吸込口１０ａが鍔２と同一平面上に位置されてい
るのみである。なお、その他の構造については、
第１実施例のものとまつたく同じであるため、そ
れと部品を同じくするものには同じ番号を付し、
説明は省略する。

以上詳細に説明したように、本発明の注出具に
よれば、液体がきわめて最良の条件での注出はも
ちろんのこと、注出具に鳴音筒が設けてあるた
め、液体の注出後における注出具を笛として利用
することができるので、注出具の利用範囲がさら
に広まり、その商品価値がより高められる。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の好適な実施例を示したものであ
り、第１図は第１実施例による注出具の斜面図、
第２図はその縦断面図、第３図は第２実施例によ
る注出具の斜面図である。 符号の説明、１……注出具、３……注出筒、７
……鳴音筒、７ａ……口縁部、１０……空気取入
パイプ、Ｘ−Ｘ……注出筒の中心軸線。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 空気取入れパイプおよび傾斜構造の注出筒を
   有する注出具において、該注出具の取付筒よりも
   長く突出させた空気取入れパイプの中心軸線の延
   長線上に位置するように、前記注出筒の周面上に
   鳴音筒を設け、この鳴音筒は上記の空気取入パイ
   プ側と対向する口縁部が空気取入パイプの中心軸
   線もしくはその近傍に位置されるように構成した
   ことを特徴とする鳴音機構を備えた注出具。