JPS627023Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、四サイクルエンジンとトランスミツ
シヨンを一体にした自動二輪車用パワーユニツト
における潤滑、系構造に関するものである。

この種自動二輪車用パワーユニツトで、エンジ
ンないしトランスミツシヨンケース底部をオイル
パンとした構造では、オイルパン自体が放熱体と
なり、潤滑オイル温度を下げる作用を有する。

さらに積極的に潤滑オイルを冷却するために、
オイルクーラーを併設することがある。この場
合、冷却されたオイルを直接エンジンへ圧送する
か、オイルパンに戻すことを一般とした。

本考案は、エンジンとトランスミツシヨンを共
通のオイルで潤滑する型式においてエンジンでな
くトランスミツシヨンへのオイルを冷却し、１種
類のオイルでそれぞれに求められる温度に近づけ
て供給することで、エンジンでは軸受部の摩擦損
失、およびクランク軸部のオイル撹拌損失の増加
を防止し、又トランスミツシヨンではギヤのピツ
チング（ころがり摩耗現象）を効果的に防止する
ことを目的としたものである。

以下、第１図ないし第３図に示した本考案の一
実施例について説明する。

自動二輪車１に搭載されたＶ型二気筒エンジン
２は、トランスミツシヨンケース３と一体に形成
されており、底部にオイルパン４を備えている
（第１図参照）。

また、エンジン２内には、クランク軸５、主軸
６、副軸７が配設され、主軸６上に設けられたス
プロケツト６ａと、オイルポンプ１２，１９用駆
動軸８上のスプロケツト８ａとに亘つて、チエー
ン９が架渡されている。各オイルポンプ１２、１
９の吸入管１１，１８の先端にはオイルストレー
ナー１０，１７が付設され、オイルポンプ１２の
吐出管１３は、ヘツドパイプ１Ａに付設されたオ
イルクーラー１４に接続され、オイルポンプ１９
の吐出管２０は、オイルフイルター２１に接続さ
れている。

さらに、前記オイルクーラー１４の吐出側に
は、吐出管１５が接続され、同吐出管１５の吐出
口１６は、主軸６および副軸７におけるギヤ噛合
部上方位置のトランスミツシヨンケース３の上壁
に開口せられている。

なお、オイルパン４内は、内壁４ａによつて前
後に区画され、その前方側Ａ室にオイルストレー
ナー１０が、後方側Ｂ室にオイルストレーナー１
７が配設されている。

前記構成において、エンジン稼動状態では、主
軸６の回転によつてチエーン９を介してオイルポ
ンプ駆動軸８が回動され、オイルポンプ１２，１
９が動作せしめられる。

しかるに、主としてエンジン駆動部を含む各部
から戻りオイルが貯溜されるＡ室内の潤滑オイル
は、オイルストレーナー１０、吸入管１１を介し
てオイルポンプ１２に吸入、吐出され、吐出管１
３よりオイルクーラー１４へ導入され、冷却オイ
ルが、吐出管１５を介して吐出口１６から変速ギ
ヤの噛合部に吐出される。変速ギヤは、冷却オイ
ルによつて効果的に冷却され、その結果若干昇温
した潤滑オイルが、オイルパン４におけるＢ室に
貯溜される。

Ｂ室内の潤滑オイルは、オイルストレーナー１
７、吸入管１８、オイルポンプ１９、吐出管２０
を経由して、オイルフイルター２１に給送され、
その吐出口２２からクランク軸５を含むエンジン
各部へ圧送される。

前記のように、本実施例においては、エンジン
各部から戻りオイルをオイルクーラー１４で冷却
せしめるため、潤滑オイルの冷却効率が良い。

また、オイルクーラー１４によつて冷却された
潤滑オイルを、変速ギヤの噛合部に対して直接放
出せしめるので、変速ギヤが効果的に冷却され、
噛合部における良好な潤滑性が確保される。しか
も、変速ギヤの冷却によつて、加温された潤滑オ
イルが、エンジン各部へ給送されるので、エンジ
ン駆動部が過度に冷却されることもなく、機関性
能が十分に発揮される。

なお、潤滑オイル吐出口１６をトランスミツシ
ヨンケース３の上壁に設けた構造では、流れ下る
潤滑オイルによつて変速ギヤの冷却が効率良く行
われるだけでなく、壁面に沿つて流れ下る潤滑オ
イルによつてトランスミツシヨンケース３の冷却
も効果的に行われる。

以上、実施例の説明から明らかなように、エン
ジンとトランスミツシヨンケースとが一体に形成
され、底部に潤滑オイル貯溜室を有するととも
に、エンジンの動力で駆動されるオイルポンプを
備えた自動二輪車用パワーユニツトであつて、前
記潤滑オイル貯溜室が、エンジン側の第一室と、
トランスミツシヨン側の第二室とに区画されると
ともに、第一室の潤滑オイルを吸入する第一オイ
ルポンプと、第二室の潤滑オイルを吸入する第二
オイルポンプとを備え、かつエンジンの前方に配
置されたオイルクーラーを備えており、第一オイ
ルポンプから吐出された潤滑オイルが、オイルク
ーラーを経てトランスミツシヨンケース上壁に形
成された潤滑オイル吐出口から変速ギヤに向けて
吐出された後、第二室に流入して貯溜され、さら
に第二室から第二オイルポンプに吸入された潤滑
オイルがエンジン各所へ吐出，給送される様に各
潤滑オイル給送管を設けてあることを特徴とする
自動二輪車用パワーユニツトが提案された。

斯かる構成によれば、変速ギヤに対しては、エ
ンジン前方の走行風を受け易い位置に存するオイ
ルクーラーで冷却された低温，低粘性の潤滑オイ
ルが供給されるため、ギヤのピツチングが効果的
に防止され、エンジンの各所に対しては、変速ギ
ヤを冷却して適当に加温され相対的に粘性が低下
した潤滑オイルが供給されるため、軸受部の摩擦
損失およびクランク軸部におけるオイル撹拌損失
の増加が防止される。また、エンジン各所を潤滑
して相対的に高温になつた潤滑オイルがオイルク
ーラーに送られて冷却される構造では、オイルク
ーラーによる冷却効果が最大限に発揮される利点
がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例に係るパワーユニツ
トを備えた自動二輪車の側面図、第２図は同パワ
ーユニツトの要部縦断側面図、第３図は第２図に
おける−線断面図である。 １……自動二輪車、１Ａ……ヘツドパイプ、２
……Ｖ型二気筒エンジン、３……トランスミツシ
ヨンケース、４……オイルパン、４ａ……隔壁、
５……クランク軸、６……主軸、７……副軸、８
……オイルポンプ駆動軸、９……チエーン、１０
……オイルストレーナー、１１……吸入管、１２
……オイルポンプ、１３……吐出管、１４……オ
イルクーラー、１５……吐出管、１６……吐出
口、１７……オイルストレーナー、１８……吸入
管、１９……オイルポンプ、２０……吐出管、２
１……オイルフイルター、２２……吐出口。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 エンジンとトランスミツシヨンケースとが一体
   に形成され、底部に潤滑オイル貯溜室を有すると
   ともに、エンジンの動力で駆動されるオイルポン
   プを備えた自動二輪車用パワーユニツトにおい
   て、 前記潤滑オイル貯溜室が、エンジン側の第一室
   と、トランスミツシヨン側の第二室とに区画され
   るとともに、第一室の潤滑オイルを吸入する第一
   オイルポンプと、第二室の潤滑オイルを吸入する
   第二オイルポンプとを備え、かつエンジンの前方
   に配置されたオイルクーラーを備えており、 第一オイルポンプから吐出された潤滑オイル
   が、オイルクーラーを経てトランスミツシヨンケ
   ース上壁に形成された潤滑オイル吐出口から変速
   ギヤに向けて吐出された後、第二室に流入して貯
   溜され、さらに第二室から第二オイルポンプに吸
   入された潤滑オイルがエンジン各所へ吐出，給送
   される様に各潤滑オイル給送管を設けてあること
   を特徴とする自動二輪車用パワーユニツト。