JPS626649Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、可変抵抗器に係り、特に摺動子と摺
動接触させる被覆層の組成に関する。

従来の可変抵抗器としては、金属コイル抵抗器
と、カーボン抵抗器が一般的であるが、コイル抵
抗器は長期使用により抵抗体の摺動子との摺動面
が摩耗して接触不良や断線或いは抵抗特性の変化
を来たし、寿命が短かいという欠点がある。ま
た、カーボン抵抗器は、グラフアイト抵抗体の周
囲をカーボン層で被覆した導体型ものや、合成樹
脂や無機充填剤を混合した炭素複合体で、被覆若
しくは体型可変で接触型のもの等があるが、使用
に伴なう発熱と低温化の繰り返しにより内部に湿
気が入り、特性が劣化すると共に摺動面が屡々異
常摩耗して変形し接触不良を生ずるという欠点が
ある。

本考案は上記した欠点に鑑み、耐摩耗性、耐湿
性に勝れ、かつ電気抵抗が小さく、熱発散性も良
好となる長寿命の可変抵抗器を提供することを目
的としてなされたものである。

本考案の可変抵抗器は、摺動子と接触する面を
含む抵抗体の周囲を、少なくとも炭化チタンと窒
化チタンのいずれかの粉末を混合した合成樹脂か
らなる塗着層で被覆することにより、電気抵抗の
低下と、耐摩耗性、耐湿性および熱発散性を向上
させたことを特徴とする。

以下本考案の一実施例を図面により説明する。
１は例えば炭素粉末と無機物質と合成樹脂とを混
合して成形したソリツド抵抗、あるいはカーボラ
ンダム紛末と粘土とカーボンとを焼結した炭化ケ
イ素抵抗等からなる抵抗体、２は該抵抗体の被覆
層、３は該被覆層と接触摺動させる摺動子であ
る。被覆層２は、窒化チタン（TiN）および炭化
チタン（TiC）のうち少なくともいずれかの微粉
末を導電剤として合成樹脂からなる塗着剤中に含
み、さらに必要に応じて二酸化ケイ素（SiO₂）、
酸化スズ（SnO₂）、一酸化ベリリユウム
（BeO）、二酸化ベリリユウム（BeO₂）、酸化チタ
ン（TiO₂）等の酸化物や炭化ケイ素（SiC）等の
炭化物を混合してなるものであり、抵抗体１の周
囲に薄く塗着して固化したものである。塗着剤と
しての合成樹脂材料には、エポキシ系、フエノー
ル系、イミド系等のものが利用出来る。

実施例として、0.5μφのTiN粉末をノボラツ
ク系エポキシ樹脂に12％（体積％）混合してこれ
に硬化促進剤としてフエノール樹脂を混合した塗
着剤を炭素粉末を成形してなるソリツド抵抗に５
μの厚さで塗着、固化したものを製作し、
530rpmで３×10⁶回摺動子による摺動を行つた
所、抵抗特性は製作直後の特性と同じであり、極
めて安定であつた。また、ノイズマージンは
10^-7V程度であつた。

このように、本考安の可変抵抗器は、少なくと
もTiN，TiCを含む充填剤を導電剤として合成樹
脂でなる塗着剤に混合し塗着したものであり、
TiN，TiCは炭素に比べて約20分の１ないし200
分の１程度の比抵抗を有するので、より少量で導
電性を持たせることができ、混合量を少なくする
ことができるので、脆弱性がなくなる上、TiN，
TiCは炭素に比べて硬度がはるかに大であるか
ら、塗着層は従来よりも耐摩耗性がはるかに勝つ
たものとなる。また、TiN，TiCは炭素に比べて
熱伝導率が５倍ないし８倍であるために、通電に
より生じた熱の発散が良好に行われ、温度の過昇
とそれに伴なう特性の変化が防止される。また、
充填剤が従来よりも少なくてすむので、内部の抵
抗体を完全に封止することができるため、高い防
湿性が得られ、耐摩耗性の向上および熱発散特性
の向上と相俟つて、長寿命の可変抵抗器が提供で
きる。なお、TiN，TiC粉の大きさ及び塗着剤に
対する混入量は、可変抵抗体の使用目的、用途等
によつても相違するが、塗着層を薄く形成するに
は数μｍφ以下の微粉とすることが必要で、その
粉粒子形状は前述の如く微粉であれば球状、片
状、条片状、又は樹枝状等による変化がないから
格別の形状とする必要は少なく、また混入量は要
求される電気抵抗、耐摩耗性、或いは耐湿性等に
より３〜45％（体積比）、通常８〜25％の間で選
定できるが、電気抵抗を減少させるには銅、ニツ
ケル、又は銀等の金属、合金微粉を混合するよう
にしても良い。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案による可変抵抗器の一実施例を
示す正面図、第２図は第１図のＡ−Ａ断面図であ
る。 １……抵抗体、２……被覆層、３……摺動子。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 摺動子と接触する面を含む抵抗体の周囲を、少
   なくとも窒化チタンと炭化チタンのいずれかの粉
   末を混合した合成樹脂層で被覆したことを特徴と
   する可変抵抗器。