JPS626428Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は天井の要所のみに清浄空気吹出口を
設けた垂直層流型クリーンルームに関するもので
ある。

半導体装置等の高精度電子部品の製造、カメ
ラ、時計等の精密機器の組立てなど、無塵の作業
環境を必要とする作業は、クリーンルームと呼ば
れる清浄空気室内において行なわれており、また
最近では無塵、無菌の環境を必要とする病院の手
術室などにもこのクリーンルームが利用されるよ
うになつてきている。

このクリーンルームは、室内に清浄空気を吹出
す吹出口に、除塵効率99.97％以上（0.3ミクロン
以上の微粒子に対する計数測定）の超高性能フイ
ルタを設けて、室内に高い清浄度の清浄空気を吹
出すようにしたものであり、この清浄空気の吹出
し方式には層流式と非層流式とがあるが、室内空
気の清浄度の点では層流式が優れている。そし
て、層流式は、吹出空気の気流方向から分類し
て、垂直層流型と水平層流型とに分けられてお
り、一般には天井に吹出口を設けた垂直層流型が
広く利用されている。

垂直層流型のクリーンルームとしては、天井全
面を空気吹出口とする全面吹出方式と、天井の要
所のみに吹出口を設けた部分吹出方式とがあり、
室内の清浄度からいえば室内に既存空気領域が存
在しない全面吹出方式が優れている。しかし、全
面吹出方式は、天井全面を空気吹出口とするもの
であるため、実際に清浄空気を必要とする作業領
域に比べて吹出口が過大であり、このような大型
の吹出口にその全域にわたつて非常に高価な超高
性能フイルタを設けることは経済的に不利である
という問題がある。このため、通常のクリーンル
ームにおいては部分吹出方式が採用されている
が、部分吹出方式は、必要な領域だけに清浄空気
を吹出すものであるために、清浄空気領域の周囲
に残留する既存空気の拡散によつて清浄空気領域
の清浄度が低下するという問題をもつている。こ
のため、部分吹出方式のクリーンルームにおいて
は、天井の吹出口周囲から床面近くまでビニール
カーテンを垂らしたり、ガラス板などにより室内
を仕切つたりして清浄空気領域の清浄度を保つよ
うにしているが、このようにクリーンルーム内に
独立した清浄空気環境の作業室をつくつたので
は、作業上の行動範囲を制限されるだけでなく、
クリーンルーム内における作業室内とその外部と
の通行や連絡なども困難となる。

そこで従来は、クリーンルーム天井の要所のみ
に設けた清浄空気吹出口の下端縁部からクリーン
ルーム内の作業の邪魔にならない高さまで吹出空
気誘導垂壁を吊設することにより、清浄空気領域
内への既存空気の拡散を少なくすると共に、クリ
ーンルーム内の行動範囲を室内いつぱいにとれる
ようにしている。

第１図は上記従来のクリーンルームを示したも
ので、図中１ａはクリーンルームの天井、１ｂは
室壁、１ｃは床である。前記天井１ａにはその中
央に空気吹出口２が設けられており、この空気吹
出口２の上には、空気吹出口２の上流側全域に超
高性能フイルタ４を取付けた吹出チヤンバ３が設
けられている。５はクリーンルームの室内空気を
吹引する還気グリル、６はクリーンルーム内の中
央に上記空気吹出口２の下に位置させて設置され
た作業台（または手術台など）、７は上記天井１
ａの下に空気吹出口２を囲むように垂下された吹
出空気誘導垂壁であつて、この垂壁７は、上記空
気吹出口２の外形に応じて角筒状または円筒状に
形成されており、その上端を天井１ａの空気吹出
口縁部に取付けて上記天井１ａ下に室内作業の邪
魔にならない高さ、すなわち垂壁下端と床１ｃ面
との間隔を少なくとも２メートル以上にとつた高
さまで吊設されている。なお、この垂壁７として
は例えばガラス板またはアクリルなどの合成樹脂
板が使用されている。

すなわち、このクリーンルームは、天井１ａの
下に空気吹出口２を囲む垂壁７を室内作業の邪魔
にならない高さまで吊設し、この垂壁７によつて
吹出口２から吹出される清浄空気をある程度の距
離、すなわち垂壁７の高さにわたつて案内するよ
うにしたもので、このようにすれば、超高性能フ
イルタ４を通過して吹出された清浄空気（実線矢
印で空気流を示す）を、その清浄度を保つたまま
垂壁７の下端まで送風することができるから、室
内に開放して吹出される清浄空気が作業台６に達
するまでの距離が短縮され、従つて清浄空気領域
ａの周囲に存在している既存空気の清浄空気領域
ａ内への拡散を少なくすることができる。

しかしながら、上記垂壁によつて吹出空気を案
内するようにしたクリーンルームは、室内の行動
範囲に制約を受けないという点では有利である
が、第１図に示した従来のクリーンルームでは、
清浄空気領域ａの周囲に存在する既存空気が垂壁
７の周囲の既存空気と一緒に第１図に破線矢印で
示すように回流するために、清浄空気領域ａに接
している既存空気だけでなく垂壁７の外面に沿つ
て流下してくる既存空気も垂壁７の下端において
清浄空気流に引き込まれて清浄空気領域ａ内に拡
散することになり、そのために、清浄空気領域ａ
の清浄度を高く保つことができなかつた。

この考案は上記のような実情にかんがみてなさ
れたものであつて、その目的とするところは、垂
壁によつて吹出空気を案内することにより室内の
行動範囲に制約を受けないようにしたものであり
ながら、清浄空気領域内への既存空気の拡散を少
なくして清浄空気領域の清浄度を高く保つことが
できる部分吹出方式の垂直層流型クリーンルーム
を提供することにある。

すなわち、この考案の垂直層流型クリーンルー
ムは、クリーンルーム天井の要所のみに清浄空気
吹出口を設け、前記空気吹出口の下端縁部からク
リーンルーム内の作業の邪魔にならない高さまで
吹出空気誘導垂壁を吊設したクリーンルームにお
いて、前記垂壁の下端外周に、垂壁周囲の既存空
気が垂壁下に回流するのを阻止する回流阻止板を
略水平に突設したことを特徴とするものである。

以下、この考案の一実施例を第２図を参照して
説明する。なお、第２図において第１図と同一の
構成については図面に同符号を付してその説明を
省略する。

この垂直層流型クリーンルームは、クリーンル
ーム天井１ａの要所に設けた清浄空気吹出口２の
下端縁部からクリーンルーム内の作業の邪魔にな
らない高さまで吊設された吹出空気誘導垂壁７の
下端外周に、垂壁周囲の既存空気が垂壁下に回流
するのを阻止するのを阻止する回流防止板８を略
水平に突設したものであり、このクリーンルーム
においては、垂壁７の外面に沿つて流下する既存
空気が前記回流防止板８に当つて垂壁７への回流
を阻止されるから、垂壁７の外面に沿つて流下し
た既存空気が清浄空気流に引き込まれて清浄空気
領域ａ内に拡散することはない。

しかも、このクリーンルームにおいては、前記
回流防止板８が垂壁周囲からの既存空気の流下を
阻止するから、クリーンルーム内の周囲において
上下に回流する既存空気流は、図に破線矢印で示
すように垂壁７の周囲で回流する空気流と清浄空
気領域ａの周囲で回流する空気量とに分離される
ことになり、従つて清浄空気領域ａの周囲を回流
する既存空気の回流量を減少させて、清浄空気領
域ａ内への既存空気の拡散をさらに効果的に減少
させることができる。

なお、上記実施例においては室内の中央部を清
浄空気領域ａとしたクリーンルームを示したが、
室内の片側を清浄空気領域とするクリーンルーム
においても、空気吹出口の室壁と接していない下
端縁部から垂壁を吊設し、その下端外周に上記回
流防止板を略水平に突設すれば、上記実施例と同
様の効果を得ることができる。

以上のように、この考案の垂直層流型クリーン
ルームは、垂壁の下端外周に回流防水板を略水平
に突設して、垂壁外面に沿つて流下する既存空気
が清浄空気流に引き込まれるのを防ぐと共に清浄
空気領域周囲を回流する既存空気の回流量を減少
させるようにしたものであるから、垂壁によつて
吹出空気を案内することにより室内の行動範囲に
制約を受けないようにしたものでありながら、清
浄空気領域内への既存空気の拡散を少なくして清
浄空気領域の清浄度を高く保つことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のクリーンルームを示す縦断正面
図、第２図はこの考案の一実施例を示す縦断正面
図である。 １ａ……クリーンルーム天井、２……空気吹出
口、７……垂壁、８……回流防止板。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. クリーンルーム天井の要所のみに清浄空気吹出
   口を設け、前記空気吹出口の下端縁部からクリー
   ンルーム内の作業の邪魔にならない高さまで、吹
   出空気誘導垂壁を吊設したクリーンルームにおい
   て、前記垂壁の下端外周に、垂壁周囲の既存空気
   が垂壁下に回流するのを阻止する回流阻止板を略
   水平に突設したことを特徴とする垂直層流型クリ
   ーンルーム。