JPS626234Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案はギアドケーブルにより車両用の窓ガ
ラスを上下させるウインドウレギユレータに関す
るものである。

自動車の側面窓ガラス等の昇降窓ガラスを上下
させるためのウインドウレギユレータとして、略
Ｓ字状に形成されたギアドケーブルが使用されて
いる。第１図はウインドウレギユレータの概略を
示す正面図であり、１は窓ガラス、２はギアドケ
ーブルを示す。窓ガラス１は、ギアドケーブル２
を構成するパイプ３内に収納されたケーブルにブ
ラケツト４により取付けられている。ギアドケー
ブル２には中のケーブルをスライドさせるための
ギア５が設けられている。

第２図は従来のギアドケーブルを示す斜視図、
第３図はその部分拡大斜視図、第４図Ａはケーブ
ルの正面図、Ｂはその横断面図である。パイプ３
は長手方向に開口を有するほぼＳ字状の金属製パ
イプからなり、その内部にケーブル６がスライド
可能に挿入されている。ケーブル６は第４図Ａお
よびＢに示すように、中心に設けられたより線６
ａと、このより線６ａに巻付けられたスパイラル
ワイヤー６ｂからなり、その一端にブラケツト４
が取付けられており、ブラケツト４とケーブル６
の接合部がパイプ３に設けられた長手方向の開口
を通してスライドするようにされている。パイプ
３はブラケツト７により車体（ドア）に取付けら
れており、そのＳ字状の中間部にはギア５が長手
方向の開口部から挿入され、内部のケーブル６に
かみ合うようにブラケツト８により取付けられて
いる。

以上のように構成されたウインドウレギユレー
タでは、ギア５を回転することにより、これにか
み合うケーブル６がスライドし、その先端に取付
けられた窓ガラス１が上下する。

しかしながら、このような従来のウインドウレ
ギユレータにおいては、ほぼＳ字状の開口パイプ
を使用しており、このパイプは剛性を有する金属
パイプを、それぞれのコーナーにアールをつける
ように直接曲げ加工して製造する必要があるた
め、曲げ加工に多くの工数を要するとともに、車
体へ取付けるブラケツト７の位置が決つているた
め、寸法精度に正確さが要求され、加工条件が厳
しいという問題点があつた。

この考案は、このような従来の問題点に着目し
てなされたもので、Ｓ字状に形成されたパイプ
を、そのギア取付位置付近を境として、窓ガラス
に向う側を従来と同様の開口パイプとし、反対側
をこれに接続する開口を有しない可撓性のパイプ
とすることにより、上記問題点を解決し、金属部
分の加工工程が少なく、しかも寸法精度を正確に
出すことができるウインドウレギユレータを提供
することを目的としている。

この考案は昇降窓ガラスに接続するケーブル
と、このケーブルを収納するパイプと、前記ケー
ブルをスライドさせるギアとを有するウインドウ
レギユレータにおいて、前記パイプは前記ギアの
取付位置付近を境として、前記窓ガラスに向う側
が剛性の高い材料により成形された長手方向に開
口を有する開口パイプからなり、反対側がこの開
口パイプに接続し、かつ可撓性を有する材料によ
り成形された長手方向の開口を有しない非開口パ
イプからなることを特徴とするウインドウレギユ
レータである。

ギアドケーブルにおけるパイプ３がＳ字状に形
成されている理由は、狭いスペースに長いケーブ
ル６を収容する必要があるためであり、このパイ
プ３の機能はケーブル６のガイドと収容である。
いま第２図について、パイプ３の機能をみると、
ギア５の取付位置付近を境として、窓ガラス１に
向う側すなわちＸ側は、ギア５による駆動力を窓
ガラス１に伝えるためのケーブル６のガイドとし
ての機能を有しているが、反対側すなわちＹ側は
余分のケーブル６を単に収容する機能しか有して
いない。パイプ３が剛性を有する金属パイプによ
り形成されるのは、ケーブル６が駆動力を伝える
部分をガイドし、支持体として保護するためであ
るから、パイプ３のガイド機能を有するＸ側は金
属パイプで形成する必要があるが、ガイド機能を
有せず、単に収容機能を有するにすぎないＹ側は
必ずしも金属パイプで形成する必要はなく、加工
の簡単な可撓性を有する合成樹脂製パイプで形成
することも可能である。

この考案は以上のような観点に立つてなされた
ものである。以下、この考案を図面に基いて説明
する。第５図はこの考案の一実施例によるウイン
ドウレギユレータのギアドケーブルを示す斜視
図、第６図はその一部の分解斜視図、第７図は接
合部の縦断面図であり、第１図ないし第４図と同
一符号は同一または相当部分を示す。

この実施例では第３図におけるＳ字状のパイプ
３に代えて、Ｘ側の部分はパイプ３と同様に長手
方向に開口を有するＪ字状の金属パイプからなる
開口パイプ９で形成され、Ｙ側の部分は可撓性を
有する合成樹脂パイプからなる非開口パイプ１０
で形成され、両者がギア５の取付位置付近で接合
されている。そして開口パイプ９はブラケツト
７，８で車体に取付けられ、非開口パイプ１０は
別のブラケツト１１で車体に取付けられる。また
ケーブル６は開口パイプ９および非開口パイプ１
０を通してスライド可能に収容され、両パイプの
接合部付近に設けられたギア５にかみ合つてい
る。

以上のように構成されたウインドウレギユレー
タにおいては、開口パイプ９および非開口パイプ
１０はそれぞれ別に形成され、接合されて第５図
のようにブラケツト７，８，１１により車体に取
付けられ、従来のものと同様に操作して使用され
る。この場合、ギア５の回転によりケーブル６は
スライドするが、ケーブル６の駆動力を伝える部
分は金属性の開口パイプ９によつてガイドされ、
余分の部分は非開口パイプ１０に収容される。

以上の実施例では開口パイプ９を非開口パイプ
１０に挿入して接合しているため、ケーブル６が
開口パイプ９の先端に接触してスライドすると金
属音が発生する。第８図ないし第１０図はこのよ
うな点を改善した別の実施例を示すパイプの接合
部の一部縦断面図である。第８図の実施例では、
開口パイプ９の末端部がケーブル６と直接接触し
ないように、非開口パイプ１０の接合部に段差が
設けられており、これにより開口パイプ９の末端
部とケーブル６が摺れることによる金属音の発生
が防止される。第９図および第１０図の実施例で
は、開口パイプ９と非開口パイプ１０の接合部
に、開口パイプ９の先端とケーブル６との接触を
妨げる消音性の別部品からなる接続部材１２が介
在しており、これにより金属音の発生が防止され
ている。

なお、以上の実施例においては、非開口パイプ
１０として可撓性パイプを使用したが、必ずしも
可撓性でなくてもよく、その材質、形状は限定さ
れない。またギア５の取付位置も実施例のものに
限定されず、若干の変更は可能である。さらに開
口パイプ９および非開口パイプ１０の接合手段も
任意のものが選択可能である。

以上のとおり、この考案によれば、ギアの取付
位置付近を境として、窓ガラスに向う側を剛性の
高い材質からなる開口パイプとし、反対側を非開
口パイプとしたので、剛性の高い材料からなる開
口パイプの曲げ加工が１個所となり、このため加
工工程が簡単になり、寸法精度が出しやすくなる
とともに、非開口パイプとケーブルの接触部分が
少なくなるため、金属音の発生が少なく、スムー
ズに駆動することができる。非開口パイプは可撓
性を有する合成樹脂により形成されているので、
曲げ加工が不要となり、取付位置の寸法を正確に
加工する必要はなく、また取付時に適宜変形でき
るので、取付作業性がよくなる。さらに開口パイ
プの先端がケーブルと直接接触しないようにすれ
ば、金属音の発生が少なくなる。

【図面の簡単な説明】

第１図はウインドウレギユレータの概略を示す
正面図、第２図は従来のギアドケーブルを示す斜
視図、第３図はその部分拡大斜視図、第４図Ａは
ケーブルの正面図、Ｂはその横断面図、第５図は
この考案の一実施例によるウインドウレギユレー
タのギアドケーブルを示す斜視図、第６図はその
一部の分解斜視図、第７図は接合部の縦断面図、
第８図ないし第１０図は別の実施例を示すパイプ
の接合部の一部の縦断面図である。 各図中、同一符号は同一または相当部分を示
し、１は窓ガラス、２はギアドケーブル、３はパ
イプ、４，７，８，１１はブラケツト、５はギ
ア、６はケーブル、９は開口パイプ、１０は非開
口パイプ、１２は接続部材である。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 昇降窓ガラスに接続するケーブルと、このケ
   ーブルを収納するパイプと、前記ケーブルをス
   ライドさせるギアとを有するウインドウレギユ
   レータにおいて、前記パイプは前記ギアの取付
   位置付近を境として、前記窓ガラスに向う側が
   剛性の高い材料により成形された長手方向に開
   口を有する開口パイプからなり、反対側がこの
   開口パイプに接続し、かつ可撓性を有する材料
   により成形された長手方向の開口を有しない非
   開口パイプからなることを特徴とするウインド
   ウレギユレータ。 (2) 非開口パイプは耐摩耗性に富む合成樹脂によ
   り成形されたものである実用新案登録請求の範
   囲第１項記載のウインドウレギユレータ。 (3) 開口パイプの末端部がケーブルと接触しない
   ように、非開口パイプの接合部に段差が設けら
   れている実用新案登録請求の範囲第１項または
   第２項記載のウインドウレギユレータ。 (4) 開口パイプと非開口パイプの接続部に消音性
   の別部品が介在している実用新案登録請求の範
   囲第３項記載のウインドウレギユレータ。