JPS6254321B2 - - Google Patents

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JPS6254321B2
JPS6254321B2 JP3545182A JP3545182A JPS6254321B2 JP S6254321 B2 JPS6254321 B2 JP S6254321B2 JP 3545182 A JP3545182 A JP 3545182A JP 3545182 A JP3545182 A JP 3545182A JP S6254321 B2 JPS6254321 B2 JP S6254321B2
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cellulose
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cellulose acetate
acetone
solution
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JP3545182A
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Hideo Yabune
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Daicel Corp
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Daicel Chemical Industries Ltd
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Publication date
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  • Polysaccharides And Polysaccharide Derivatives (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 本発明はセルロースを特定のアミド系化合物と
塩化リチウムの混合物に溶解し、均一溶液系にて
セルロースのアシル化を行なうことにより含水ア
セトンに均一溶解するセルロース・アセテートを
製造する方法に関するものである。
セルロース・アセテートはセルロース・カルボ
ン酸エステルの代表的なエステルであり、衣料用
繊維、タバコ・フイルター・チツプ、プラスチツ
クス、フイルム、塗料等その用途は多岐にわたつ
ており、セルロース誘導体の中でも最も生産量が
多く工業的に重要なものである。
本発明の目的は含水アセトン可溶性のセルロー
ス・アセテートをセルロースが溶解している溶液
系で、一段階アセチル化により直接合成すること
である。
ここで、従来のアセトン可溶性セルロース・ア
セテートの伝統的な製造法の繁雑さについて記述
しておく。即ち、先づ木材パルプ、コツトン・リ
ンター等のセルロース原料を適当量の酢酸で前処
理した後、あらかじめ冷却された酢化混液中で処
理し、一次セルロース・アセテート(完全エステ
ル化セルロース)を生成せしめる。この場合、酢
化混液の最も一般的なものは酢酸/無水酢酸/触
媒系であつて、触媒は例えば硫酸であり、系内の
無水酢酸量は系内の水より化学量論的に過剰な量
である。
次に、中和剤水溶液、例えばカルシウム、マグ
ネシウム、鉄、アルミニウム及び亜鉛等の炭酸
塩、水酸化物、酸化物又は酢酸塩の水溶液、又ナ
トリウム、カリウムの炭酸塩、酢酸塩の水溶液を
加えて酢化反応後も残存している過剰の無水酢酸
を加水分解し、且つ酢化時に使用した触媒硫酸の
一部分を中和する。
次に、この一次セルロース・アセテートを少量
の酢化反応触媒、即ち硫酸が残存している状態で
50〜90℃とし、且つ鹸化反応を妥当な速さとする
水を添加し、希望する酢化度(アセチル基置換
数)、重合度を有する二次セルロース・アセテー
トにまで鹸化、熟成する。この時点で系内に残存
している触媒硫酸を前記のような中和剤を再び用
いて完全に中和するか、時には中和することなく
水又は稀酢酸中に鹸化熟成反応終了液を投じて二
次セルロース・アセテートを分離し、洗滌、安定
化、乾燥して生成物を得る。
以上のような工業的に伝統的なセルロース・ア
セテートの製造方法は二次セルロース・アセテー
ト法と呼ばれており、このような複雑な工程を経
ることにより、含水アセトン等の溶剤への溶解性
が良好なセルロース・アセテートを得ることがで
きる。特にアセチル基の無水グルコース1単位当
りの置換数の低い(2.0以下)セルロース・アセ
テートの製造を目的とする場合、鹸化熟成反応は
一般に長時間を要し、且つ鹸化中に二次セルロー
ス・アセテートの解重合が起るので、用途領域で
要求される重合度を有するセルロース・アセテー
トを得る為には格別の工夫を必要とするのが常で
ある。例えば、鹸化熟成の時の反応系の水分濃度
を高くしたり、低い反応温度を適用したりする。
水分濃度を高くするには酢化反応終了後多量の水
を系に導入しなければならないが、酢化反応で生
成している一次セルロース・アセテートは比較的
疎水性であり、これが水導入時に析出分離し、鹸
化熟成反応が不均一となり、最終生成物の物性を
損なう可能性もある。又、反応の低温度で行うこ
とは鹸化熟成に長時間を要し、生産性を低くす
る。
以上のような繁雑な工程にもかかわらず、現在
二次セルロース・アセテート法が採用されている
理由は次のように説明されている。即ち、セルロ
ース・のアセチル化反応過程は初期には所謂不均
一系反応であつて、反応の律速は反応試剤のセル
ロース内部への拡散浸透にあると考えられる。従
つて、アセチル化反応は試剤の浸透のより容易な
非晶領域より優先的に反応すると推定され、アセ
チル化反応途上にあるアセチル化生成物は、ほと
んど完全にアセチル化された非晶部分とアセチル
化が十分進んでいない結晶領域部分セルロースと
の混合物であり、溶剤溶解性が均一にして十分な
ものが得られない。従つて、一旦反応性の劣れる
結晶領域部分セルロースまでも十分にアセチル化
し、反応希釈剤たる酢酸やメチレンクロライドに
溶解し得るようにし、均一反応溶液系を実現して
後、そこに水を導入して均一系鹸化反応を行なわ
せて、一次セルロース・トリアセテートの分子の
各部位より均一にアセチル基を脱離させることに
より、均一なアセチル基分布を有し、含水アセト
ン等の工業溶剤にほぼ均一に溶解するセルロー
ス・アセテートを得ているのが実状である。
云うまでもなく、上記のような方法は繁雑であ
り、生産性が劣る。従つて、若し一段法アセチル
化、つまり、アセチル化反応途上で、希望する置
換度のアセチル基を有し、且つ溶剤に完溶するセ
ルロース・アセテートを生成物として分離するこ
とができれば明らかに有利である。
これまでにも、一段法アセチル化に関し、いく
つかの方法や提案が為されているが、真に目的を
達している例はない。多くの試みが不首尾に終つ
ている最大の理由はセルロースには非晶領域と結
晶領域とが存在し、不均一系での反応では両者の
反応性の差が大きいことにある。従つて、セルロ
ースを溶解した系で反応を行なうことができれば
セルロースの結晶領域に起因する困難を除くこと
が可能になると推定される。
周知の如く、近年セルロースを溶かす溶剤につ
いての報告が多くなされ、それらを用いてセルロ
ースのアセチル化を試みた例もある。
最近、セルロースを塩化リチウムとジメチルア
セトアミドとの混合物中で溶解し、過塩素酸/無
水酢酸又はピリヂン/酸クロライドでエステル化
する発明がなされた(USP4278790)。
又、本発明者らも該セルロース溶解系でピリヂ
ンを触媒とし、酸無水物をアシル化剤とし、一段
エステル化に成功した(特願昭56―116202)。し
かし、特願昭56―116202になる発明によつて調製
されるセルロース・ジアセテートはメチレンクロ
ライド―メタノール混合溶媒、ニトロメタン等に
均一完溶するが、アセトン、テトラヒドロフラ
ン、ジオキサン等には膨潤するにとどまつた。特
に、これまでの工業的製法によるセルロース・ア
セテートがアセテート繊維等に紡糸する際によく
用いられる汎用の溶剤である含水アセトンに溶解
しなかつたことには注意を要し、アセトン溶解紡
糸のシステムが概ね工業的に打ち建てられてしま
つている状況を観る時、溶剤系での一段アセチル
化技術においても生成物のアセトン可溶化は誠に
重要な命題であろうと考えられる。
かかる状況より本発明者らは塩化リチウム/ジ
メチルアセトアミド系でのセルロースの均一アセ
チル化による生成物セルロース・アセテートの含
水アセトン溶解性の具体化策について鋭意検討し
本発明に到達したものであり、本発明によるセル
ロース・アセテートの含水アセトンへの溶解性に
は誠に顕著なものがある。
以下に本発明について詳細に記す。
本発明は、セルロースの溶解、セルロース
のアセチル化並びに生成せるセルロース・アセ
テートの分離精製の3つの工程で構成される。セ
ルロースの溶解工程は先駆技術(特開昭56―
32501、USP4302252)に従い、事前のセルロース
活性化操作としてジメチルアセトアミド、1―
メチル―2―ピロリドン中で加熱還流し、これら
のアミドの過熱蒸気でセルロースの活性化を図
る。原料セルロースを水中で活性化して後、前
記アミドで水を抽出し置換してゆく、原料セル
ロースを蒸気により活性化後、残存する水分をア
ミドで溶媒置換する、液体アンモニア中に原料
セルロースを浸漬して活性化後、アンモニアを
徐々に蒸発除去する等が挙げられ、以後前記のア
ミド中で塩化リチウムの介在により、ある場合に
は加熱を要し、ある場合には加熱を必要としない
でセルロースを溶解する。
前記操作にて活性化したセルロースを溶媒に溶
解して得られたセルロース溶液に激しい撹拌下で
硫酸とアミドの混合物を添加する。触媒硫酸の適
当な添加量はセルロース溶液のセルロース濃度に
依存するが、対セルロース100部当り3部前後ま
でである。
その理由は、硫酸のようなプロトン放出性強酸
は塩化リチウム/ジメチルアセトアミド系のセル
ロース溶液との相溶性に乏しく、多量に添加する
とセルロースの溶解状態が破壊され、セルロース
が再生し、溶液はゲル状乃至は相分離の状況を呈
するに至り、本発明が基本的に目指すところの均
一溶液系でのセルロースの均一系アセチル化を不
可能にしてしまう。従つて硫酸の添加はこれをア
ミドで希釈したものを良好な撹拌混合の下に行な
うことが実際の操作には必要である。硫酸が加え
られることにより、その一部はセルロースと反応
し、硫酸セルロースを形成すると推定される。
ついで、反応溶液は所定の温度に昇温させる。
硫酸はセルロースの解重合反応も生起するので、
アセチル化に許容される温度は最終生成物に要求
される重合度、極限粘度の水準によつて決定され
てしまうが、室温から90℃前後に至る温度が可能
である。混合物が所定の温度に達する前後に、無
水酢酸を加える。無水酢酸は少くとも系内に存在
する水並びにセルロースの水酸基と反応する化学
量論量存在することが基本的に必要であるが、ア
セチル化の速度が系内の無水酢酸の濃度に依存す
るので、生産性を勘案しつつ、又、最終生成物の
要求重合度のレベルをにらんで化学量論量より過
剰に用いられることは当然考えられることであ
る。
セルロースが希望するアセチル基置換数に達し
た時点で反応物をメタノール等の低級アルコール
に投じ生成せるセルロース・アセテートを分離析
出せしめる。生成物はメタノール等の低級アルコ
ールでよく洗い、触媒硫酸、ジメチルアセトアミ
ド、塩化リチウム等を除去後乾燥し、生成物とす
る。
本発明によるセルロース・アセテートは無水グ
ルコース単位当り0.01〜0.05個の硫酸エステル基
を有している。その溶剤溶解性は均一で分子間酢
化度分布が広くないことが示唆される。特に塩化
リチウム/アミド系のセルロースをピリヂン等の
塩基性触媒を使用して無水酢酸又は塩化アセチル
でアセチル化して得られるセルロース・アセテー
トがメチレンクロライド―メタノール混合溶媒や
ニトロメタン等に溶解しても最も工業的に一般的
な含水アセトンに全く溶解しないのに比して本発
明によるセルロース・アセテートは含水アセトン
に均一に完溶する。
本発明に云う含水アセトンとは、通常セルロー
スジアセテートの紡糸に使用されている3%程度
水を含有するアセトンからアセトンと等量程度の
水を含有する含水アセトンまでを包含するもので
ある。上記セルロース・ジアセテートは純粋のア
セトンにも可溶であるが、紡糸溶液の粘度、回収
溶剤の再使用などの工業的メリツトのため紡糸に
は95%アセトン水溶液が一般に用いられている。
なお、セルロース・アセテートを良好に溶解す
る含水アセトンの水の濃度は該セルロース・アセ
テートの酢化度に依存している。例えば、本発明
の方法により作成したセルロース・アセテートの
うち、アセチル置換基2.4前後のものは95%アセ
トン水溶液に完全に溶解する。また、アセチル置
換基数1.7前後のものは60%アセトン水溶液に完
全に溶解する。
セルロース・アセテートの最終的な用途によつ
ては微量残存する硫酸エステルが望ましくない領
域もあるが、本発明による生成物を希鉱酸水溶液
中で煮沸する等の方法で実質的に問題とならない
レベルに硫酸エステル基の量を減じることも基本
的に可能である。
本発明の思想は無水酢酸以外の酸無水物、例え
ば無水プロピオン酸等にも適用でき、溶解性の優
れたセルロース・プロピオネートを得ること、又
無水酢酸―プロピオン酸混合物に適用し、溶解性
の優れたセルロース・アセテート・プロピオネー
トを得ること、又、無水酢酸―酪酸混合物に適用
し、セルロース・アセテート・プチレートを得る
ことも可能とする。
以下に実施例をあげて本発明について説明する
が、本発明がこれらに記述された範囲に限定され
るものではない。
実施例 1 サルフアイト法溶解パルプ(α―セルロース分
96.5%)を家庭用電気ミキサー中で解砕した。解
砕パルプの水分は6.8%であつた。同解砕パルプ
の5.9部(部は重量部、以下同じ)を85.5部のジ
メチルアセトアミド(水分0.2%以下同じ)に投
じ、外部加温して撹拌しつつ約30分間還流(165
℃近辺)した。その後混合物は100℃までゆつく
りと冷却し、100℃に至つた段階で激しく撹拌し
つつ8.6部の無水塩化リチウムを徐々に添加し
た。以後撹拌しつつ室温まで徐冷後、5℃まで冷
却した。終夜放置するとセルロース溶液が得られ
た。溶液を光学顕微鏡で観察すると、極微細の未
溶解セルロースを認めるに過ぎず、完全溶解に近
いものであつた。
この溶液をさらに60部のジメチルアセトアミド
で稀釈して撹拌して完全な均一溶液として後、激
しい撹拌下にて0.17部の濃硫酸(セルロースに対
し3重量%)と20部のジメチルアセトアミドの均
一混合物を注意深く徐々に滴下した。外部より加
温して反応溶液を50℃に至らしめた。撹拌しつつ
39部の無水酢酸と20部のジメチルアセトアミドの
混合物を約10分間で添加した。以後50℃に保ち、
約7時間経過後反応溶液を約1000部のメタノール
に激しく撹拌しつつ投じ白色半透明の凝固物を得
た。生成物はメタノールで数回洗滌すると白色不
透明様を呈していた。乾燥後白色の生成物を得た
が、このものは酸塩基滴定法により評価した酢化
度は44.5%、燃焼法によるイオウ分は0.36%であ
り、無水グルコース1単位当りアセチル基置換数
1.71個、硫酸基置換数0.03個のセルロース・アセ
テートであつた。このセルロース・アセテート
は、アセトン/水(60/40重量比)に均一に完全
溶解した。ちなみに市販の二次セルロース・アセ
テート法による工業グレードのセルロース・アセ
テートにも酢化度44.8%のセルロース・アセテー
トが存在するが、該フレークスもアセトン/水
(60/40重量比)に完溶した。又、両者の赤外吸
収スペクトルは基本的に同じであつた。
実施例 2 実施例―1と同様にしてサルフアイト法溶解パ
ルプ(α―セルロース分96.5%)の塩化リチウム
―ジメチルアセトアミド溶液を調製した。この溶
液100部を60部のジメチルアセトアミドで稀釈
し、撹拌均一溶液とした。溶液を激しく撹拌しつ
つ、あらかじめ0.17部の濃硫酸(セルロースに対
し3重量%)を20部のジメチルアセトアミドに溶
解稀釈しておいたものを注意深く徐々に滴下し
た。外部より加温して反応溶液を70℃に至らしめ
た。撹拌しつつ39部の無水酢酸と20部のジメチル
アセトアミドの混合物を約10分間で添加した。以
後70℃で10時間保つた後に反応溶液を約1000部の
メタノールに投じ、白色粉末析出物を得た。生成
物はメタノールでよく洗滌、乾燥した。生成物の
酸塩基滴定法による酢化度は56.1%、燃焼法によ
るイオウ分は0.56%であり、無水グルコース1単
位当りアセチル基置換数2.47個、硫酸基置換数
0.05個のセルロース・アセテートであつた。この
セルロース・アセテートは95%アセトン水溶液に
均一に完全溶解した。ちなみに、市販の二次セル
ロース・アセテート法による工業グレードのセル
ロース・アセテート(酢化度55.0%)も95%アセ
トン水溶液に完溶した。
実施例 3 サルフアイト法溶解パルプ(α―セルロース分
96.5%)を家庭用電気ミキサー中で解砕した。解
砕パルプの水分は6.5%であつた。同解砕パルプ
の4.3部を87.0部の1―メチル―2―ピロリドン
(水分0.2%以下)に投じ、外部加温して撹拌しつ
つ165℃近辺に至らしめその温度で約30分間保つ
た。その後、混合物は100℃までゆつくりと冷却
し、100℃に至つた段階で激しく撹拌しつつ8.7部
の無水塩化リチウムを徐々に添加した。以後、撹
拌しつつ室温まで徐冷後、5℃まで冷却した。終
夜放置するとセルロース溶液が得られた。
この溶液をさらに60部の1―メチル―2―ピロ
リドンで稀釈して撹拌して完全な均一溶液として
後、激しい撹拌下にて0.12部の濃硫酸(セルロー
スに対し3重量%)と20部の1―メチル―2―ピ
ロリドンの均一混合物を注意深く徐々に滴下し
た。外部より加温して反応溶液を50℃に至らしめ
た。撹拌しつつ28部の無水酢酸と20部の1―メチ
ル―2―ピロリドンの混合物を約10分間で添加し
た。以後50℃に保ち、約10時間経過後、反応溶液
を約1000部のメタノールに激しく撹拌しつつ投
じ、白色半透明の凝固物を得た。生成物はメタノ
ールで数回洗浄後、乾燥し、白色生成物を得た。
生成物の酢化度は43.8%であり、無水グルコース
1単位当り1.70個のセルロース・アセテートであ
つた。このセルロース・アセテートはアセトン/
水(60/40重量比)に均一に完全溶解した。
比較例 1 サルフアイト法溶解パルプ(α―セルロース分
96.5%)を希塩酸で加水分解して非結晶領域を除
去して後、磨砕洗滌乾燥して微結晶セルロースを
得た(重合度約200)。この微結晶セルロース(水
分5.1%)5.9部を85.5部のジメチルアセトアミド
に投じ、外部加温して撹拌しつつ約30分間還流し
た。
その後混合物は100℃まで徐冷し、100℃に至つ
た段階で激しく撹拌しつつ8.6部の無水塩化リチ
ウムを徐々に加えた。以後撹拌しつつ室温下で終
夜放置すると、低粘度のセルロース溶液が得られ
た。溶液を光学顕微鏡で観察すると、ほとんど未
溶解セルロースを認めなかつた。この溶液を60部
のジメチルアセトアミドで稀釈して撹拌、均一溶
液として後、20部のジメチルアセトアミドで稀釈
した36.8部のピリジンを添加した。外部加温して
溶液を70℃に至らしめ39.8部の無水酢酸と20部の
ジメチルアセトアミドの混合物を約10分かけて添
加した。以後70℃で2時間保つて後、反応溶液を
約1000部のメタノールへ投じ、白色半透明析出物
を得た。生成物はメタノールでよく洗滌後乾燥し
た。
生成物の酸塩基滴定法による酢化度は44.5%で
あり、無水グルコース1単位当りのアセチル基置
換数は1.75個のセルロース・アセテートであつ
た。このセルロース・アセテートはメチレンクロ
ライド/メタノール混合溶媒やニトロメタン等に
は溶解したが、アセトン/水(60/40重量比)等
の含水アセトンには全く溶解しなかつた。本比較
例はピリヂンを触媒とする特願昭56―116202の実
施例の追試に相当するが、本発明の実施例―1に
よる酢化度44.5%のセルロース・アセテート並び
に市販の酢化度44.8%のセルロース・アセテート
がアセトン/水混合溶媒に溶解したにもかかわら
ず、含水アセトン可溶性の生成物を生成しなかつ
た。
なお、本比較例は低重合度の微結晶セルロース
を出発原料としたが、無水酢酸/ピリヂンによる
アセチル化は、セルロースの解重合をほとんど生
起せず、原料セルロースの重合度に近い重合度の
セルロース・アセテートが得られてしまい、重合
度が1000を越えるセルロース原料では700〜800の
重合度のセルロース・アセテートを生成してしま
う故である。
一般に、セルロース・アセテートのアセトン溶
解性は重合度にも依存し、高重合度ほど劣ること
が認められるので、本比較例は生成物アセテート
を充分低重合度としたことによりアセトンへの溶
解性を本発明の生成物と対比し、その特徴を明ら
かにしたものである。
別に、高重合度のサルフアイト法パルプを用い
重合度低下の処理を行なわず、本比較例と同様に
反応を行ない、酢化度44%前後のセルロース・ア
セテートが得られたが、この生成物はアセトン/
水(60/40重量比)に全く溶解しなかつた。
比較例 2 比較例―1と同様に微結晶セルロースを原料と
してセルロース溶液を作成した。同溶液100部に
60部のジメチルアセトアミドを加え稀釈混合し
た。均一溶液として後、20部のジメチルアセドア
ミドで稀釈した36.8部のピリジンを添加した。外
部加温して溶液を70℃に至らしめた。39.8部の無
水酢酸と20部のジメチルアセトアミドの混合物を
約10分かけて添加した。以後70℃で7時間保つて
後、反応溶液と約1000部のメタノールへ投じ、析
出物を得た。
メタノールでよく洗滌後、乾燥して生成物とし
た。生成物の酸塩基滴定法による酢化度は、54.0
%であり、無水グルコース1単位当り、2.34個の
アセチル基置換度のセルロース・アセテートであ
つた。このセルロース・アセテートはメチレンク
ロライド/メタノール混合溶媒やニトロメタンに
溶解したが、実施例−2によるアセテート並びに
市販の工業グレード・セルロース・アセテート
(酢化度55.0%)とは異なり、95%アセトン水溶
液に全く溶解しなかつた。
本例はいわば特願昭56―116202の追試である
が、得られた生成物の95%アセトン溶解性におい
て本発明による生成物との違いは明確であつた。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 1 ジメチルアセトアミド、1―メチル―2―ピ
    ロリドン及びその混合物からなる群から選ばれた
    アミドに、重量で3〜12%の塩化リチウムを共存
    させた系に、活性化されたセルロースを添加し、
    溶解させて得た、セルロース―塩化リチウム―前
    記アミドの均一溶液中で、硫酸を触媒とし無水酢
    酸をアセチル化剤としてセルロースのアセチル化
    を行い、鹸化熟成反応工程を経由することなく、
    含水アセトン可溶性の生成物を得ることを特徴と
    するセルロース・アセテートの新規な製造方法。
JP3545182A 1982-03-05 1982-03-05 アセトン可溶性セルロ−ス・アセテ−トの新規な製造方法 Granted JPS58152002A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3545182A JPS58152002A (ja) 1982-03-05 1982-03-05 アセトン可溶性セルロ−ス・アセテ−トの新規な製造方法

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