JPS625150Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は病人、特に重症患者、老衰者等、永く
病臥就床している者の失禁排尿に対応する通気防
水性シートに関するものであり、病人の衛生状態
を改善するとともに、看護人の苦労を軽減するた
めに、使用する失禁対策用の通気性とともに尿な
どの排泄物が敷ぶとん、マツト面に滲透しないよ
うな防水性を有するシートを提供することを目的
とするものである。

寝たきり老人、重症患者は失禁排尿時に、自ら
何等なすすべもなく、看護者の充分な注意と適切
な処置を受けない限り、不衛生状態を長時間にわ
たり甘受せざるを得なく、このために皮膚面の疾
患をも併発し、病状を悪化する場合が多く、一方
看護人もこの対応には相当の苦労を強いられるの
が現状である。

この失禁対策として一般には、敷ぶとん、マツ
トの上面に防水シートを敷き、おしめを当て、主
として寝具の汚損を防止することがおこなわれい
てるが、これは病人に対する衛生状態の改善とは
程遠く望ましいものではないにもかかわらず、看
護面の必要から行わざるを得ないものであつた。

本考案者はこの問題の解決のためには、従来用
いられた防水シートに充分な通気性を保有せしめ
ることが必要であるとの観点から、種々検討実験
を重ね、防水性と通気性との相反する条件を満足
する本考案をなすに至つたものである。

すなわち、病臥者の特に腰部付近の臥床面を常
時透気状態に維持するとともに、失禁排尿の流下
時にはその上面において非通水性となるとともに
比較的に平面方向に拡散性を与えるようなシート
を得るために、また同時に該シートの水洗清浄化
が簡単にできるようにするために実用新案登録請
求の範囲に記載した積層シートが極めて有効であ
ることを見出したものである。

すなわち、敷ぶとん、マツト等の臥床上面に太
径の合成樹脂モノフイラメントを粗目に編成また
は織成した厚布とその上面に細径の合成樹脂モノ
フイラメントを上記厚布より目をつめて細目に編
織した薄布を重合積層し、その周縁で結合した本
案のシートを敷き、通常その上に敷布を重ね、寝
衣、おしめを当てた病人が就床した状態とする
と、病人の身体下面は、常時寝衣、敷布を介し
て、本案シート面に支えられ、敷ぶとん、マツト
などの面との間に本案シートによる極めて通気性
良好な層が形成され、敷ぶとん、マツトなどの吸
湿が抑えられるとともに、皮膚面は適度の乾燥状
態が得られる。また失禁排尿が生じた場合におい
ては、おしめ、寝衣、敷布を透過した尿は、本案
シートの上面の細径合成樹脂モノフイラメントの
目をつめて細目編織された薄布面に到達するが、
排尿量が特に大量でない限り、疎水性の合成樹脂
モノフイラメントの薄布目を透過することなく、
該部に保水され、等に下面の疎水性の太径合成樹
脂モノフイラメントの粗目編織された厚布によ
り、敷ぶとん、マツト面が隔離されているため下
方への浸透が抑えられ敷布、寝衣面が接触する上
面の合成樹脂モノフイラメントの薄布面の面方向
に拡散し、したがつて身体皮膚面の湿潤状態は逓
減されるのである。そしてこの状態においても、
下面の粗目厚布によつて通気性状態は維持される
ので体温とも相俟つて比較的速やかに乾燥状態に
なるのである。

上記において、太径の合成樹脂モノフイラメン
トを粗目編織した厚布としては、ナイロン、ポリ
エステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ
塩化ビニルなどを原料とした直径0.5〜1.0mmの太
径モノフイラメントが用いられ、したがつて布厚
は１mm以上となる５〜12メツシユの粗目網状物が
尿の浸透防止空間を形成する上に効果的であり、
上面の細目の薄布は同様の合成樹脂よりなる直径
0.4〜0.05mmのモノフイラメントを用いた厚さ0.8
mm以下となる16〜120メツシユに編織された薄布
が防水保水性とともに通気性を得る上に必要であ
つた。

以下、図面によつて本考案の実施例を説明す
る。

第１図は本考案の病床用通気防水性シートの斜
視図であり、一部を剥離した状態を示す。第２図
は使用状態における要部を断面とした側面図であ
る。

図面においてＳは本案通気防水性シートであり
１は直径0.54mmのポリエチレンモノフイラメント
４により12メツシユに製織された見掛け厚さ約
1.1mmの厚布であり、２は直径0.3mmのナイロンモ
ノフイラメント５により20メツシユに製織された
見掛け厚さ約0.6mmの薄布であつて、使用条件に
適合するだけの巾、長さならびに形状にし重合積
層して、その周縁３を直接熱接着、超音波圧着ま
たは耳布により被覆して縫着あるいは熱圧着など
により接合固定して、本案通気防水性シートＳが
得られる。通常その寸法形状は図示のように30〜
60cm×60〜90cmの長方形とするが、ほぼこれと同
程度の面積の円形、楕円形などにすることもでき
る。

上記において、厚布１の織目空間間隙は約1.4
mm、薄布２の織目空間間隙は約0.9mmとなり、モ
ノフイラメントは表面平滑で疎水性であるので、
第２図に示すように敷ぶとん、マツトＦの包被布
６の上面に載せて、敷布Ｃさらには寝衣、おしめ
をつけた病人が臥床した状態において、本案の通
気防水性シートＳは良好な通気性中間層を形成し
て、人体Ｂの接触面において体重により圧迫が加
わつても常時全面的に通気性が維持され、長時間
の就床の場合にも、本案シートＳを通して湿気が
排出されて、皮膚面の湿潤が防止されるとともに
敷ぶとん、マツトＦ内に充填されているふとん綿
その他の弾褥材料７への湿気の吸収が可及的に減
少せしめられるのである。

また、病人の失禁排尿時には、おしめ、敷布Ｃ
を透過して流下した尿は、敷布Ｃと本案シートＳ
の上面の織目空間間隙１mm以下の薄布２間で保持
され、一部は薄布２の織目を充しつつ、その下面
の粗目厚布１の上面に到達するが、同時に薄布２
と敷布Ｃの接触面において面方向に浸透拡散し
て、粗目厚布１を透過するだけの水圧に達せず、
結果的に尿の下面への透過は防止され、この間に
も粗目厚布１部分の通気性が維持され、病人の皮
膚面は速やかに乾燥状態となり、衛生面の悪化が
防止される。

前述の通気性と防水性とを兼備するために本案
のシートを構成する上面の薄布２、下面の厚布１
の構成条件は実験的に確認決定したものである。

上記の条件を有する本案の通気性防水性シート
は病臥者の就床環境を向上するとともに失禁排尿
による過度の不衛生状態を防止し、良好な治療が
行えるとともに、失禁汚染が敷ぶとんやマツトに
及ぶことなくかつ本案のシートは疎水性の合成樹
脂モノフイラメントよりなるものであるから付着
汚染物は簡単に拭除でき、また単なる濯ぎ洗いと
乾燥布による吸水により容易に清浄乾燥すること
ができるので、看護者の労苦を著しく軽減できる
ものである。

なお、上案の通気防水性シートは前述の作用効
果を奏するので病臥者のみならず、就床時排尿す
る幼児や夜尿症者のための失禁対策用に極めて好
適なものであることは言うまでもない。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示すもので、第１図は
一部を剥離した斜視図、第２図は使用状態の要部
の側断面図である。 １……粗目厚布、２……細目薄布、３……周
縁、４……太径モノフイラメント、５……細径モ
ノフイラメント、６……包被布、７……弾褥材
料、Ｓ……通気防水性シート、Ｂ……人体、Ｃ…
…敷布、Ｆ……敷ぶとん、マツト。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 太径の合成樹脂モノフイラメントを粗目編織
   した厚布１の上面に、細径の合成樹脂モノフイ
   ラメントを上記厚布１より目をつめて細目編織
   した薄布２を重合積層し、その周縁３におい
   て、両布を融着、接着または縫着して接合固定
   してなることを特徴とする病床用通気防水性シ
   ート。 ２ 厚布１がナイロン、ポリエステル、ポリエチ
   レン、ポリプロピレンまたはポリ塩化ビニルな
   どの合成樹脂の直径0.5mm以上のモノフイラメ
   ントを編織した５〜12メツシユの網状物であ
   り、薄布２がナイロン、ポリエステル、ポリエ
   チレン、ポリプロピレンまたはポリ塩化ビニル
   などの合成樹脂の直径0.4〜0.05mmのモノフイ
   ラメントを編織した16〜120メツシユの網状物
   である実用新案登録請求の範囲第１項記載の病
   床用通気防水性シート。