JPS6248050B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は、渦流室式デイーゼルエンジンにおい
て、渦流室の室温を上昇すべく改良したものに関
する。

［従来の技術］ 渦流室式デイーゼルエンジンではシリンダヘツ
ドに渦流室が設けられており、ピストンにより圧
縮された高温、高圧の空気をこの渦流室に導入し
て旋回した強い渦流を生じさせ、これに燃料を噴
射して速やかに混合することで着火燃焼するよう
になつている。ところで、従来この渦流室はシリ
ンダヘツド内部の燃料の噴射ノズルを有する半球
状のくぼみの下に、同様の半球状のくぼみと切線
位置にある噴孔を有するホツトプラグが設けられ
て構成され、且つホツトプラグはシリンダヘツド
のくぼみから最も遠いシリンダブロツク側にフラ
ンジを有し、このフランジをシリンダブロツクと
シリンダヘツドの間で挾持して固定保持するよう
になつており、ホツトプラグのフランジを除く周
囲とシリンダヘツドの間に断熱用空気層の隙間が
設けられている。

なお先行技術として特開昭54−108108号公報、
実開昭54−112905号公報がある。

［発明が解決しようとする問題点］ 従つて、ホツトプラグのシリンダヘツド側くぼ
みに近い部分は空気層により断熱され、それから
遠い部分でのみシリンダヘツドに接している関係
で、実質的にはシリンダヘツド側くぼみの壁部と
ホツトプラグ相互の間には熱の伝達がほとんどな
く、渦流室全体の室温も上、下部でそれぞれ別個
に定められるようになつて、高温に保持すること
ができない。

そのため、例えば排気ガス中のNOxを浄化す
べく燃料噴射時期を遅くし、これにより燃焼が遅
くなつて渦流室の熱発生量が低下したり、低圧縮
比で圧縮することにより圧縮空気温度が低くなる
と着火性が悪化する。また、着火性の悪化により
着火前の燃料が多くなつて、次に爆発的に燃焼す
ることになり、デイーゼルノツクによる騒音が大
きい等の問題があつた。

本発明は、このような事情に鑑み、ホツトプラ
グで受熱した熱をを有効に利用して渦流室の室温
を均一に高温に上昇させ、燃料噴射時期を遅くし
たり、圧縮空気温度が低い場合にも遅れることな
く着火燃焼して、着火性を向上し、デイーゼルノ
ツクを低減するようにした渦流室式デイーゼルエ
ンジンを提供するものである。

［問題点を解決するための手段］ この目的を達成するため本発明による渦流室式
デイーゼルエンジンでは、ホツトプラグは、シリ
ンダヘツド側のくぼみの最も近い位置にフランジ
を突設すると共に、該フランジを、上記シリンダ
ヘツド側のくぼみの壁部に接触させ、さらに該フ
ランジとシリンダブロツクとの間にスペーサを挾
んで上記ホツトプラグを固定保持し、エンジン作
動時のホツトプラグ側の熱を、上記フランジを介
して上記シリンダヘツド側のくぼみの壁部に伝達
し、渦流室の室温を均一に高温化することを特徴
とする。

［実施例］ 以下、図面を参照して本発明の一実施例を具体
的に説明する。まず第１図の実施例において、符
号１はシリンダブロツクであり、このシリンダブ
ロツク１内のシリンダライナ２にピストン３が往
復動可能に挿入され、シリンダブロツク１上に載
置されるシリンダヘツド４の上記ピストン３のヘ
ツド３ａと対向する位置に吸、排気のバルブ５を
有するポート６が設けられると共に、渦流室７が
設けられている。

渦流室７はシリンダヘツド４の内部の上下に半
球状のくぼみ８と円柱状のくぼみ９が連設され、
この下部の円柱状のくぼみ９内にホツトプラグ１
０が収容設置されている。ホツトプラグ１０は上
部中心に半球状のくぼみ１１を有し、このくぼみ
１１を上記シリンダヘツド側くぼみ８に向い合つ
て接合することで球状の渦流室７を形成するよう
になつており、くぼみ１１の下部の切線位置に噴
孔１２が設けられてこれで渦流室７と燃焼室を連
通し、シリンダヘツド側くぼみ８の頂部に燃料の
噴射ノズル１３が噴孔１２と略同一方向に傾斜し
て取付けられている。また、ホツトプラグ１０は
上端のシリンダヘツド側くぼみ８に最も近い位置
にフランジ１４を有し、このフランジ１４をシリ
ンダヘツド側くぼみ８の壁部８ａ下端に当接して
フランジ１４とシリンダブロツク１との間にスペ
ーサ１５を挾むことにより、ホツトプラグ１０が
固定保持される。更に、ホツトプラグ１０のフラ
ンジ下部外形が略漏斗状に形成されて、この漏斗
状の外周面１０ａとスペーサ１５との間にく字形
の断熱用の空気層の隙間１６が下端の全周をピス
トン側に開口して設けられる。

本発明はこのように構成されているから、バル
ブ５によりシリンダライナ２内に供給される空気
がピストン３の上方移動で圧縮され、この高温高
圧縮された空気が噴孔１２を経て渦流室７に流入
することで、その渦流室７内の空気が強く旋回し
て渦流を生じるようになる。そこでこのような状
態で噴射ノズル１３により燃料が霧状に噴射され
るとその燃料は速やかに空気と混合して圧縮熱に
より自己着火し、且つ大部分がこの渦流室７内で
燃焼して温度、圧力が急上昇し、これによる膨張
でピストン３が押し下げられるのである。そし
て、このようなエンジン動作の際に、ホツトプラ
グ１０のフランジ１４がシリンダヘツド側くぼみ
８の壁部８ａに直接に接するため、ホツトプラグ
１０で受熱された熱がフランジ１４を経て壁部８
ａの方へ順次伝達され、こうしてホツトプラグ１
０及びくぼみ壁部８ａと共に渦流室７の室温が均
一に高温になる。

次いで第２図の他の実施例によると、ホツトプ
ラグ１０のフランジ下部外形が筒状に形成され
て、この外周面１０ａとスペーサ１５との間に直
線状に空気断熱の隙間１６が形成されている。

［発明の効果］ このように本発明によると、渦流室７の室温が
均一の高温に上昇して着火性が良くなり、燃料の
噴射時期の遅れや低圧縮等にも確実に適用し得る
ようになり、着火遅れ期間が長くならずにすんで
デイーゼルノツクの発生が低減する。また、ホツ
トプラグ１０の熱を利用しているので、他に熱源
を設けなくてすみ、構造が簡単である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明による渦流室式デイーゼルエン
ジンの第１の実施例を示す断面図、第２図は同第
２の実施例を示す要部の断面図である。 １……シリンダブロツク、３……ピストン、４
……シリンダヘツド、７……渦流室、８，１１…
…くぼみ、１０……ホツトプラグ、１２……噴
孔、１３……噴射ノズル、１４……フランジ、１
５……スペーサ。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ シリンダヘツドに設けられるくぼみとホツト
   プラグに設けられるくぼみとを突き合せることで
   球状の渦流室を形成し、上記ホツトプラグに上記
   渦流室をピストン側に連通する噴孔を有し、上記
   シリンダヘツド側くぼみに燃料の噴射ノズルが取
   付けられるものにおいて、上記ホツトプラグは、
   シリンダヘツド側のくぼみの最も近い位置にフラ
   ンジを突設すると共に、該フランジを、上記シリ
   ンダヘツド側のくぼみの壁部に接触させ、さらに
   該フランジとシリンダブロツクとの間にスペーサ
   を挾んで上記ホツトプラグを固定保持し、エンジ
   ン作動時のホツトプラグ側の熱を、上記フランジ
   を介して上記シリンダヘツド側のくぼみの壁部に
   伝達し、渦流室の室温を均一に高温化することを
   特徴とする渦流室式デイーゼルエンジン。