JPS6247665B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、貫通孔を加工するための組合せ型の
仕上穿孔−及び研磨ローラ工具に関するものであ
る。

孔の内壁の表面精度を高くすべきような孔を加
工するには概ね次の三段階のステツプによつて出
来るものである。

１ 下孔加工 ２ 仕上穿孔 ３ ホーニング加工 第三番目のステツプ、即ちホーニングの場合に
は非常に時間がかかるので、この加工を短縮する
ことが望まれていた。

ホーニングを行う方法は研磨ローラによつて代
えられていた。こうすることによつて高精度の孔
を仕上げること、例えばニユーマチツクあるいは
ハイドロリツクシリンダー用のシリンダー孔を仕
上げることは非常に安価になされるようになつ
た。このような孔を製造するための加工ステツプ
は基本的には削り屑の生ずる加工と削り屑の生じ
ない加工とに分けられる。

唯一の加工行程で削り屑の生ずる加工と削り屑
の生じない両ステツプとを行なうような組合せ型
の工具は西ドイツ特許第958896号明細書において
公知となされている。この場合、このような組合
せ型の工具を用いて加工すべき工作物に既に孔が
あいていること、即ち下孔加工のステツプが既に
行われていることが前提となるのは当然である。

この種の更に進歩した工具は西ドイツ公開公報
第2209234号明細書で公知と成されている。

これら公知工具の場合仕上穿孔用ヘツドがその
後に続く研磨ローラヘツドとしつかりと結合され
ている。この組合せ型工具は、例えば市販されて
いる深孔穿孔機に使用する場合中ぐり棒の端部と
結合される。例えば加工すべきシリンダーパイプ
は市販されている深孔穿孔機で二つの円錐体間に
収容され、回し金を介して回転される。仕上穿孔
用ヘツドはガイドを有し、これらのガイドは加工
されるべき下孔の中で支えられる。組合せ型の工
具が中ぐり棒によつて送られると、次の研磨ロー
ラ加工、即ち、押付加工に必要な直径まで穿孔ヘ
ツドの刃がシリンダー孔の穿孔を行う。中ぐり棒
によつて組合せ型の工具が更に送られると研磨ロ
ーラが工作物のシリンダー壁と接触するようにな
り、これを押付加工する。このような組合せ型の
加工で起る削り屑の排出に関する問題は西ドイツ
公開公報第2209234号明細書記載の技術的手段で
解決されている。

仕上穿孔工程と押付加工工程とを唯一の工程に
まとめるような上述の如き組合せ型の工具を実際
に使用する場合には、仕上穿孔作業によつて生ず
る削り屑を排出することには何らの困難は生じな
いけれども、加工すべき孔の中にある組合せ型の
工具に、静力学的に大きな力が加わり、従つてガ
イド部材が激しく摩耗することになる。更にこれ
によつて加工された工作物の表面にマーキングを
残すような振動が起り、このマーキングは次の押
付加工でも完壁には除去されえないものである。

組合せ型の仕上穿孔及び研磨ローラ工具−その
両方の主となる構成グループ、即ち仕上穿孔用ヘ
ツドと研磨ローラヘツドとは互にしつかりと結合
されている−は加工すべき孔の中で一方において
は仕上穿孔用ヘツドのガイド部によつてまた他方
においては研磨ローラによつて支持され案内され
る。この組合せ型の工具は同様に中ぐり棒としつ
かり結合されているが、この中ぐり棒は一方にお
いては工具とは反対の側で穿孔用オイル供給装置
（以後単にオイルフイーダーと称する）のスタツ
フイングボツクス内に、そして他方においては組
合せ型工具との連結部を介して工作物内の研磨ロ
ーラによつて支持、案内されている。一方では工
作物の軸線と工具の軸線のずれのために、他方で
は中ぐり棒の自重のために、二点間で上述の如く
支持された中ぐり棒は任意の平面内で撓むことが
ある。組合せ型の工具と中ぐり棒との間の連結個
所は、組合せ型の工具が完全に被加工孔の中に入
り込んでいる時には、曲げ及び剪断応力を受け
る。これは次の様な結果をまねく。即ち、被加工
孔の中にある組合せ型の工具が撓み、しかも中ぐ
り棒の撓みとは反対方向に撓むという結果にな
る。これによつて仕上穿孔用ヘツドの切削刃が斜
めになり、更に研磨ローラ工具には、研磨ローラ
が工作物表面に残すような滴形の圧痕に望ましく
ない変化が生ずることになる。工作物内での組合
せ型の工具の撓みのために発生し、工作物によつ
て工具に加えられる半径方向の力は更に、既に述
べたようなガイド部及び研磨ローラを早く摩耗し
てしまうことになる。撓んだ中ぐり棒及び工作物
によつて工具に加わる前述したような強制的な力
は最早コントロール出来ない捩れ−及び振動現象
の原因となる。

更に、西ドイツ実用新案第7344800号明細書に
は貫通孔を平削りおよび押付加工するための組合
せ型の工具が開示され公知となつているが、この
工具は往路の作業でまず被加工孔を削り、次の復
路の作業で−これは平削り刃をその保持部から外
した後で行われる−被加工孔を押付加工するもの
である。往路の作業の間研磨ローラは工作物と接
触せず、復路の作業の間は平削りヘツドの刃は−
これは取外されているので−工作物と接触しな
い。前にも述べた様に唯一の作業工程にて、即
ち、往路の作業だけで仕上穿孔も押付加工も行う
ような、固定連結された組合せ型の工具の場合に
は、上述した様な変形や締付け作用が生じるが、
前記実用新案による工具の場合には静力学的な影
響は受けない。往路の作業の間中ぐり棒は一方で
は送りを生ずるクランプ個所で、そして他方では
刃物ヘツドガイド部による支持部の間で撓むこと
になる。復路の作業の間刃物ヘツドガイド部によ
る支持は、中ぐり棒による支持によつて取つて替
わられ、即ち、研磨ローラヘツドの研磨ローラに
よつて取つて替わられる。この場合の状況はまた
静力学的に左右される。従つて、斜めになるが、
これが不利な二次作用を起すことはない。

これらの工具の場合には勿論今迄述べた工具に
較べて工作物を加工するのにより長い時間を要す
るという欠点があつた。往路の作業で仕上穿孔も
押付加工も行われるような最初に述べた種の工具
にあつてはそれ故復路は非常に迅速に行われる
が、前記実用新案に従う工具の場合、往路の作業
で平削りをそして復路の作業で前送りと等しい速
度で押付加工が行われる。復路は従つて作業を迅
速に行うことは出来ない。

工作物の加工に対して前記実用新案に従う組合
せ型の工具において余りにも時間がかかり過ぎる
ためそこで提案された解決手段は受け入れられな
いものである。

実公昭50−17118号公報記載の工具の場合に
は、ロールを回転可能に支承するロール腕が一端
においてボルトを中心に揺動できるように支持さ
れ、かつ他端においてリングばねで支持されてい
るので、大きな半径方向の力がロールに作用する
と、ロールがリングばねを変形させて半径方向内
側に移動する。その際、ロールの半径方向の間
隔、すなわちロール直径が短くなるので、加工時
にロールが半径方向にふらつき、工作物表面に傷
が残るという欠点がある。更に、ロールが配置さ
れている面に対して90度ずれた面内で、半径方向
の力が工具に作用する場合には、ロールが半径方
向に移動しない。従つて、半径方向の力が工具に
加わると、工具が傾斜し、工作物内面に傷が残
る。更に、ロールの半径方向移動時にロール直径
が変化すると、工作物の穴を正確に押付け加工す
ることができないという重大な欠点がある。

本発明の課題は、傷となるマーキングを残さ
ず、また大きな摩耗も受けず、且つ短時間で加工
することができる仕上穿孔−及び研磨ローラ工具
を提供することである。

本発明によれば、この課題は、仕上穿孔用ヘツ
ドと中ぐり棒との間に設けられた研磨ローラヘツ
ドが、仕上穿孔用ヘツドと中ぐり棒を固定連結す
る工具シヤフト上に、半径方向のすべての方向に
移動可能に且つ中央に戻り得るように支承され、
研磨ローラヘツドが、複数の研磨ローラを半径方
向に相対移動できないように担持していることに
よつて解決される。

研磨ローラヘツドが仕上穿孔用ヘツドと相対的
に半径方向のすべての方向に移動できるようにか
つ中心に戻り得るように支承されているので、い
かなる作業状態でも、研磨ローラヘツドと仕上穿
孔用ヘツドの間に相互の拘束力が発生しない。従
つて、仕上穿孔用ヘツドと研磨ローラヘツドに半
径方向の力が作用しないので、摩耗が発生せず、
そして工具がふらつくことがなく、工作物内面に
傷が残ることがない。

更に、研磨ローラヘツドが複数の研磨ローラを
半径方向に相対移動できないように担持している
ので、研磨ローラの半径方向の間隔、すなわち研
磨ローラヘツドの直径が常に一定である。従つ
て、工作物の穴を正確に押付け加工することがで
きる。

更に、唯一の加工工程で切削加工と押付け加工
をすることができるので、短時間で穴を加工する
ことができる。

次に本発明を図面に基づいて説明する。

図は工作物１の中に完全に入り込んでいる組合
せ型の工具を示している。工作物は図示していな
い穿孔機の回し金によつて駆動される。組合せ型
の工具は中ぐり棒２によつて担持され、この穿孔
パイプは図示していない送りスライダによつて前
方へ送られる。

組合せ型の工具の仕上穿孔用ヘツド３は工具シ
ヤフト４を介して中ぐり棒２と連結されている。
組合せ型の工具の研磨ローラヘツド５は弾性部
材、例えばゴム６によつて工具シヤフト４と心合
せされている。この装置の場合、中ぐり棒２と仕
上穿孔用ヘツド３を一つのユニツトとして形成す
るのが特に有利である。これによつて、ガイド部
７が摩耗した場合でも、仕上穿孔用ヘツド３には
決して許容出来ないようなふらつきが生ずること
がない。研磨ローラヘツド５が半径方向に可動に
支承されていることによつて、いかなる作動状態
でも、組合せ型の工具の両ヘツド間に拘束力が発
生しない。

【図面の簡単な説明】

図は本発明に係る組合せ型工具の工作物加工状
態を示す部分縦断面図である。 ２……中ぐり棒、３……仕上穿孔用ヘツド、４
……工具シヤフト、５……研磨ローラヘツド。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 仕上穿孔用ヘツドと、その後方に配設された
   研磨ローラヘツドとを有する組み合わせ型の仕上
   穿孔−及び研磨ローラ工具において、仕上穿孔用
   ヘツド３と中ぐり棒２との間に設けられた研磨ロ
   ーラヘツド５が、仕上穿孔用ヘツド３と中ぐり棒
   ２を固定連結する工具シヤフト４上に、半径方向
   のすべての方向に移動可能に且つ中央に戻り得る
   ように支承され、研磨ローラヘツド５が、複数の
   研磨ローラを半径方向に相対移動できないように
   担持していることを特徴とする組み合わせ型の仕
   上穿孔−及び研磨ローラ工具。