JPS6246748Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は床版張設具、特にコンクリートスラ
ブ上に浮床式に床版を張設するための床版張設具
に関する。

従来より、コンクリート建造物に浮床式床版を
張設するには、第７図に看られるように、コンク
リートスラブ１上に当て物材２を介して長寸法木
材である大引３を複数本配設し、該大引３上に同
様に長寸法木材である根太４を交差方向に配設
し、該根太４上の床基礎版５の配設をもつて任意
の床材６の張設を行なつていたが、コンクリート
建造物中の浮床張設面積が広範囲となるような場
合では、上記大引３、根太４の必要量は相当であ
つて、該大引３、根太４がともに大寸法、大径で
あることから工事着手に至るまでの期間これらの
材木を保管しておくための場所の獲保は問題であ
つた。また、この従来型の構法では、床版の高さ
調節は適宜当て物材２によつて行ない、大引３と
根太４の固定は釘打ちによるもので、施工が複雑
となり不都合なものであつた。従来よりの床版張
設具として、コンクリートスラブ上に適当なボル
ト材を固着し、該ボルト材の床版への係合をもつ
て床版の張設を行う型式のものもあつたが、この
従来型張設具では、コンクリートスラブ表面のわ
ん曲に応じてボルト材自体が傾斜してしまい、そ
のため、床版にわん曲歪みを招来し、床の水平性
を害し実用性に乏しくこの従来型張設具の利用は
行なわれていなかつた。

したがつて、この考案は、床基礎版側には底部
に衝接球面を有する自在取付部を固着し、コンク
リートスラブ側には、頭部に上記衝接球面と適合
する衝接凹曲面を有する支承部を固着し、該衝接
凹曲面上の上記衝接球面がいずれの水平方向に対
しても摺動可能となるように上記自在取付部を上
記支承部に連結して成る床版張設具を提供して上
述した従来型床版張設構法の欠点を解消すること
を目的とする。

第２図、第３図、第４図を参照するに、この考
案の床版張設具１０は、概略、自在取付部である
自在取付座１１と、支承部である皿ボルト１２及
び基台部１３とより成るもので、該自在取付座１
１は、合成樹脂製で、第５図に示すように円筒状
の頭部１４と半球状の底部１５、及び該頭部１
４、底部１５間のひさし状の鍔部１６とより成
り、頭部１４の中心には上下方向の大径丸孔１７
が設けられ、該頭部１４の周面１８は下方にいく
にしたがつて径が大きくなるように若干のテーパ
をつけて成形されている。底部１５の表面は、概
略、球体の下半分のような衝接球面１９に成形さ
れ、該底部１５の中心には、下方にいくにしたが
い径が大きくなるように成形されたテーパ面より
なる円錐孔２０が上下方向に設けられ、該円錐孔
２０と上記大径丸孔１７とは、該大径丸孔１７よ
り径の小さな小径丸孔２１により連絡し、上記鍔
部１６には透孔２３が設けられる。皿ボルト１２
は、第６図に看られるように、幅広頭部２４と螺
条部２５とより成り、該広頭部２４の上端面２６
には、上記自在取付座１１の衝接球面１９とほぼ
同様の曲率の衝接凹曲面２７が成形され、該衝接
凹曲面２７の略中心位置には、上下方向の螺条孔
２８及び該螺条孔２８周囲の十字形切欠き２９が
設けられる。上記基台部１３は、小孔３０を多数
穿設した金属製板材である基板３１と該基板３１
上に一端を溶接固定した長尺ナツトである高ナツ
ト３２とより成り、該基台部１３により自在取付
座１１、皿ボルト１２等の支持が行なわれる。な
お、皿ボルト１２の螺条部２５に螺合する六角ナ
ツトである固定ナツト３３は、適当な高さにおい
て張設具１０を固定するためのものであり、ま
た、わん曲形状で中心に小孔３４を有する弾性材
質製パツキング部材３５は、床版張設後に何らか
の原因によつて生ずる床上の衝激振動の伝達を該
パツキング部材３５の箇所において緩和吸収し、
下方の階への伝達を阻止する。

上記構成のこの考案の床版張設具１０を用い
て、床版張設を行なうには、まず、皿ボルト１２
の螺条部２５に固定ナツト３３を螺合し、さらに
該螺条部２５を基台部１３の高ナツト３２の螺条
孔３６に螺合し、該皿ボルト１２付きの基台部１
３、すなわち支承部をコンクリートスラブ１上に
所定の配置、例えば第１図の態様をもつて配置
し、基板３１の小孔３０を介するコンクリート中
への釘打ちをもつて該基台部１３をコンクリート
スラブ１上に固定する。該基台部１３のコンクリ
ートスラブ１上での固定が完了したならば、十字
形切欠き２９へのドライバー（図示しない）の係
合をもつて該皿ボルト１２を回動し、該皿ボルト
１２の幅広頭部２４の高さを調節し、あらかじめ
定められた所定の高さにおいて固定ボルト３３の
高ナツト３２への締付けをもつて該皿ボルト１２
の固定を行なう。

床基礎版５には上記コンクリートスラブ１上の
基台部１３に対応する位置に、あらかじめ、上記
頭部１４の圧入に適した取付孔３７を穿設し、該
取付孔３７には上記床基礎版５裏面側より上記頭
部１４の嵌入をもつて上記自在取付座１１を装着
し、上記鍔部１６の透孔２３を挿通する木ネジ３
８の床基礎版５へのネジ込みをもつて該自在取付
座１１を固着しておき、上記各取付孔３７に該自
在取付座１１を固着してなる上記床基礎版５を上
記皿ボルト１２付き基台部１３固定済のコンクリ
ートスラブ１上に運搬し、上記各自在取付座１１
の衝接球面１９を上記各基台部１３の衝接凹曲面
２７上に整合配置し、該衝接球面１９と該衝接凹
曲面２７間にはパツキング部材３５を挿着し、上
記床基礎版５の取付孔３７、上記自在取付座１１
の大径丸孔１７、小径丸孔２１、円錐孔２０、上
記パツキング部材３５の孔３４に挿通するボルト
３９であつて、上記皿ボルト１２の螺条孔２８に
螺合し、頭部４０にて上記自在取付座１１の段部
２２に係合するボルト３９の上記床基礎版５上方
よりの締め付けをもつて床基礎版５の張設を完了
する。

この考案の床版張設具により床版を張設するな
らば、該張設具１０の皿ボルト１２の中心軸が、
コンクリートスラブ１表面上のわん曲、凹凸の影
響により多少傾斜し、該皿ボルト１２の中心軸が
上記床基礎版５に対して直交しない場合であつて
も、小径丸孔２１、孔３４に挿通し、螺条孔２８
に螺合するボルト３９のネジ込みをもつて該床基
礎版５を上記張設具１０上に締結するならば、上
記ボルト３９を挿通する小径丸孔２１は該ボルト
３９より若干大径であるとともに該丸径２１下方
にて上記円錐孔２０に連絡し、また、上記自在取
付座１１の衝接球面１９は上記皿ボルト１２上端
の衝接凹曲面２７に、同様にわん曲するパツキン
グ部材３５を介して支承されているため、該皿ボ
ルト１２上の該自在取付座１１は、該パツキング
部材３５上にて、概略、ボルト３９の頭部４０附
近を中心として第３図矢印Ｃに示すように水平方
向いずれの方向にても首振り摺動が可能であり、
したがつて締結せる上記皿ボルト１２の傾斜によ
り床基礎版５上に多少のわん曲歪みが生じたとし
ても、該わん曲により生ずる床基礎版５上の復元
剛性又は弾性によつて該床基礎版５上の各自在取
付座１１が適宜駆動されて漸次首振り摺動し、張
設された該床基礎版５は全体として自動的に水平
かつ平担な配置に移行し床版配置は自動的に水平
かつ平担に調節される。

この考案の床版張設具によるならば、コンクリ
ートスラブ面の多少のわん曲、凹凸に係りなく、
皿ボルト１２の上端面の位置が概略同一の水平面
内にありさえすれば、床版の水平かつ平担な張設
が容易に達成でき、床版の高さ調節も容易確実
で、保管のための占有場所も小さく、取扱いも簡
便で特殊な技術を要せず、構造堅牢、安価である
ことから優れた技術的効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は床版張設具の実施状況を示す斜視図、
第２図は第１図の部分Ａの拡大斜視図、第３図は
第２図のＢ−Ｂ線による断面図、第４図は第３図
の床版張設具の分解断面図、第５図ａ，ｂ，ｃ及
びｄは床版張設具の自在取付座の側面図、縦断面
図、上面図、及び底面図、第６ａ，ｂ，及びｃは
床版張設具の皿ボルトの側面図、縦断面図、及び
上面図、第７図は従来型床版張設構造の部分断面
図である。 符号の説明、１……コンクリートスラブ、５…
…床基礎版、１０……床版張設具、１１……自在
取付座、１２……皿ボルト、１３……基台部、１
４……頭部、１５……底部、１６……鍔部、１９
……衝接球面、２０……円錐孔、２７……衝接凹
曲面、２８……螺条孔、３０……小孔、３１……
基板、３２……高ナツト、３３……固定ナツト、
３５……パツキング部材、３６……螺条孔、３７
……取付孔、３８……木ネジ、３９……ボルト。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. コンクリートスラブ上に固定するに適した基台
   部１３と、該基台部１３に支持される皿ボルト１
   ２であつて、該皿ボルト１２上端面には衝接凹曲
   面２７を成形し、該衝接凹曲面２７略中心に螺条
   孔２８を設けて成る皿ボルト１２と、床基礎版の
   取付孔３７に嵌入固着するに適した自在取付座１
   １であつて、該自在取付座１１の底部１５は衝接
   球面１９に成形し、該自在取付座１１略中心には
   上記取付孔３７に連絡する小径丸孔２１及び該小
   径丸孔２１の下方において該小径丸孔に連絡し下
   方に向つて広がり上記衝接球面１９に開口する円
   錐孔２０を設けて成る自在取付座１１と、上記床
   基礎版に固着された上記自在取付座１１の衝接球
   面１９が、上記コンクリートスラブに固定された
   基台部１３に支持される上記皿ボルト１２上端の
   衝接凹曲面２７上に配設されたときに上記床基礎
   版上方より上記取付孔３７、上記小径丸孔２１及
   び上記円錐孔２０を挿通して上記皿ボルト１２の
   螺条孔２８に螺合し、上記床基礎版の締結を行な
   うボルト３９とより成ることを特徴とする床版張
   設具。