JPS6245873Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 技術分野 この考案は、超音波振動子に連結された加工用
ホーンの加工面とその加工面に対向配置された押
えローラとの間にシート状の加工材料を押圧挾持
し、その押えローラを一方向に回転駆動させると
ともにその加工面を超音波振動させることによ
り、そのシート状の加工材料に連続的な溶着加工
を施すようにされた超音波溶着機に関するもので
ある。

従来技術 従来、この種の超音波溶着機においては、押え
ローラの回転に基づくシート状加工材料の移送速
度を調節するための足踏みペダル等を設け、その
加工材料の材質、厚さ等に応じてその足踏みペダ
ル等の踏込み量を調節することにより押えローラ
の回転速度を調整し、その加工材料に最適な溶着
加工を施し得るように構成されていた。それ故
に、作業者がシート状加工材料の材質、厚さ等の
相違する場合にもその溶着加工を目視しながら最
適な速度となるように加工速度を調整し得るとい
う一応のメリツトを有するが、加工状態を目視し
ながら移送速度を調節するものであるため、加工
速度を十分高速度に上昇し得ず、又、均一な溶着
加工を施し得ないものであつた。しかも、第３図
に示されるようにシート状加工材料の途中にシー
ト材の重合部（Ｂの領域）からなる段部を有する
加工材料に溶着加工を施すような場合、その段部
以外（Ａ及びＣの各領域）に最適な移送速度から
その段部（Ｂ）に最適な速度に切換えたり、それ
らの各速度を一定に保持したりする作業は極めて
高度な熟練を要するもので、均一な溶着加工を施
し得ないものであつた。

又、上記以外にも超音波溶着機としては加工材
料の各溶着加工領域においてその溶着加工を均一
にする目的で、移送速度を一定として、足踏みペ
ダル等の操作に応答し、加工を自動的に開始する
ように構成され、加工材料の材質、厚さ等に応じ
てその移送速度を設定し得るようにされたものも
提供されているが、この種のものにおいては加工
材料等の異なる作業毎にその最適な移送速度とな
るように設定したり調節したりする作業、段部を
有する加工材料においては加工途中でその都度最
適な移送速度となるように設定値を切換え調節す
る作業等が極めて面倒であるのみならず不確実な
ものであり、作業性が悪く実用的ではなかつた。

目 的 本考案は、上述した問題点を解消するために為
されたもので、シート状加工材料の溶着加工に最
適な移送速度を複数種類予め設定しておくため
に、押えローラの回転に基づくシート状加工物の
第１、第２の移送速度を設定するための第１、第
２の速度設定装置と、それらの第１、第２の移送
速度装置のうちいづれかを選択的に有効化し、そ
の有効化された信号に基づき押えローラを回転駆
動する制御装置とを設けることにより、種々の異
なる加工材料の溶着加工にも簡単且つ確実にそれ
ぞれの加工材料に最適な移送速度でその溶着加工
に対応し得るとともに、段部を有する加工材料の
溶着加工に際しては、その段部に最適な移送速度
への切換作業等をも簡単且つ速やかに為し得、し
かも均一な溶着加工をシート状加工材料に施し得
る超音波溶着機を提供することを目的とするもの
である。

実施例 以下、本考案を超音波溶着機に具体化した一実
施例を示す図面に基づき、その詳細を説明する。

第１図において、１は作業テーブルであり、そ
の下面にはフレーム２が垂下状に固定されてお
り、また上面には図において左方へ延びたヘツド
部３を有するアーム４が立設状に固定されてい
る。フレーム２は一対の支持体５を有し、この支
持体５には、加工用ホーン６を上部に有した振動
子組体７が鉛直線のまわりに回動可能に支持され
ているとともに、この振動子組体７を回転駆動し
て被加工物に送りを付与するためのモータ８も支
持固定されている。上記加工用ホーン６は作業テ
ーブル１の一部をなすベツド９に形成された円孔
１０を通して作業テーブル１上面に露出されると
ともに、その上端面である円環状の加工面１１が
前記アーム４先端部のヘツド部３に回動自在で且
つ上下方向に進退可能に配置された押えローラ１
２に対向されている。その押えローラ１２はベル
ト１３，１４等を介して作業テーブル１の下面に
固定されたモータ１５により一方向に回転駆動さ
れ、前記加工面１１との間に挟持されたシート状
加工材料を一方向に移送し得るように構成されて
いる。作業テーブル１の右端下面にはこの超音波
溶着機の制御回路を内蔵する制御ボツクス１６が
固定されている。その制御ボツクス１６の前面に
は制御パネル１７が配置され、その制御パネル１
７上には前記各モータ８，１５に基づき押えロー
ラ１２及び加工面１１間に押圧挟持された加工材
料の第１の移送速度を設定するための第１の速度
設定装置としての送り速度調節ツマミ１８、その
送り速度調節ツマミ１８によつて設定された第１
の移送速度の1/2，1/3，1/4，…１／Ｎの速度を
設定するための第２の速度設定装置としての押ボ
タンスイツチ１９、前記振動子組体７の振動に基
づく前記加工面１１の振動量を調節するための振
動量調節ツマミ２０が配置されている。作業テー
ブル１の下方には、前記送り速度調節ツマミ１８
によつて設定された第１の速度で前記各モータ
８，１５を回転駆動させるための第１の操作ペダ
ル２１Ａ及び前記押ボタンスイツチ１９によつて
設定された第２の速度で前記各モータ８，１５を
回転駆動させるための第２の操作ペダル２１Ｂが
配置されている。

第２図は、本装置の電気制御回路のうち前記各
モータ８，１５を回転駆動させるための速度制御
回路を示すもので、送り速度調節ツマミ１８には
可変抵抗器２２の回転軸に連結されており、その
出力端子からは第１の速度指令電圧Vs1が出力さ
れる。その第１の速度指令電圧Vs1は分圧回路２
３に接続され、その分圧回路２３によつて予め定
められた分圧出力が前記押ボタンスイツチ１９の
選択操作により第２の速度指令電圧Vs2として択
一的に出力される。第１、第２の速度指令電圧
Vs1，Vs2はゲート回路２４に接続されており、
同じくそのゲート回路２４に接続された各操作ペ
ダル２１Ａ，２１Ｂの操作出力に基づきそれぞれ
の操作に対応する各出力がモータ駆動回路２５に
供給される。前記ゲート回路２４は前記各操作ペ
ダル２１Ａ，２１Ｂが共に操作された時操作ペダ
ル２１Ｂの操作に基づく第２の速度指令電圧Vs2
を優先させてモータ駆動回路２５に供給する優先
回路（図示せず）が内蔵されている。

次に、上記のように構成された本装置により第
３図に示されるような段部を有するシート状加工
材料に溶着加工を施す場合の作動について、以下
にその説明を行う。

まず、作業者によつて加工材料Ｗの溶着加工個
所（Ａ乃至Ｃの各領域）におけるシート状加工材
料の枚数の識別が為されると、この場合、Ａ及び
Ｃ領域においては重ね合わせ枚数が２枚で、Ｂの
領域においては４枚であるため、押ボタンスイツ
チ１９を操作することによりＢの領域における加
工速度がＡ，Ｂ領域における速度1/2となるよう
に設定が為される。次に、作業者によつてその加
工材料の材質、厚さ等に応じてＡ及びＣの領域を
加工する際に最適な速度となるように前記送り速
度設定ツマミ１８の操作が為された後、前記加工
面１１上に加工材料Ｗの加工個所が位置するよう
に載置され、図示しない押えローラ降下用レバー
が操作され、前記加工面１１と押えローラ１２と
の間に加工材料Ｗが押圧挟持されてから、前記操
作ペダル２１Ａの押圧操作が為されると、前記モ
ータ駆動回路２５にはゲート回路２４に基づき第
１の速度指令信号Vs1が供給されＡの領域におい
てはモータ８，１５が比較的高速度にて回転駆動
され均一な溶着加工を施し得る。

上記第１の移送速度による溶着加工が継続し、
Ａの領域の溶着加工が終了され、Ｂの領域にさし
かかる時、作業者によつて前記操作ペダル２１Ｂ
が押圧操作されると、ゲート回路２４に内蔵され
た前記優先回路の働きにより第２の速度指令電圧
Vs2がモータ駆動回路２５に供給され、前記各モ
ータ８，１５が第１の速度指令信号に基づく速度
の1/2に減速され４枚重ね部分のＢの領域におい
ても均一で強固な溶着加工をシート状加工材料Ｗ
に施される。

上記Ｂの領域部分の溶着加工が終了された時、
作業者によつて操作ペダル２１Ｂの押圧操作が解
除されると、上述したＡの領域におけると同様に
Ｃの領域においても前記第１の速度指令電圧Vs1
に基づく第１の移送速度により均一な溶着加工が
為される。

従つて、段部を有する加工材料の溶着加工にお
いてもその溶着加工を途中で停止させることな
く、単なる足踏みペダルの操作によりその移送速
度を最適なものに確実に切換えられるため、操作
性が良くしかも均一な溶着加工を確実に施し得、
しかも重ね合わせ部分の枚数比に応じた割合に分
圧回路２３が構成されているため第２の速度指令
電圧Vs2の設定が容易に為し得るものである。

尚、上記実施例においては、段部を有する加工
材料に溶着加工を施す場合についてのみその説明
を行つたが、段部を有しない加工材料において
も、そのシート状加工材料の重ね合わせ枚数が異
なる加工個所を有するものとか、全く異なる加工
材料のものとからなる複数種類の溶着加工を交互
に若しくは異なるロツト毎に施すような場合に
も、それらの各加工に最適な溶着加工速度となる
各移送速度を予め設定しておくことにより、簡単
にしかも確実にそれらの最適移送速度に切換えら
れ、種類の異なる溶着加工開始時における移送速
度の調整、調節作業を容易に為し得るもので、そ
れらの各溶着加工にも十分な効果を発揮し得るこ
とは云うまでもない。

又、上記実施例においては第２の速度指令装置
として、第１速度指令装置からの速度指令電圧を
分圧する分圧回路を含むものと示したが第２の速
度指令装置を第１の速度指令装置とは関連なく独
立の指令電圧を発生させるようにしても良く、又
切換スイツチとして第１、第２の操作ペダルによ
るものを示したがその切換スイツチとしては例え
ば制御パネル上に第１、第２の速度指令信号を択
一的に出力し得る通常の切換用スイツチを設け、
溶着加工作業毎に最適な速度指令信号によりモー
タを回転駆動させるようにしたり、第２の操作ペ
ダルに代えて工業用ミシン等において実用化され
ている膝レバースイツチ等を用いたり第１の操作
ペダルを２段階に操作可能となるように構成する
ようにしても良い。

又、上記実施例において加工用ホーン６がモー
タ８によつて回転駆動されるものを示したが、そ
の加工用ホーンは回転駆動されなくとも超音波振
動される加工面を備えるものであれば本考案の効
果を発揮し得るものである。

効 果 この考案は、以上詳述したように、第１、第２
の移送速度を設定する第１、第２の速度設定装置
を設けその第１、第２の移送速度設定装置からの
第１、第２の移送速度信号のうちいづれか一方を
選択的に有効化して押えローラを回転駆動するこ
とにより各溶着加工に最適な移送速度を選択し得
るようにしたもので、種類の異なる溶着加工、段
部を有する加工材料の溶着加工等にも極めて簡単
且つ確実にそれぞれの溶着加工に最適な移送速度
に切換えることによつて溶着加工を施し得しかも
均一な溶着強度を有する溶着加工を確実に且つ効
率的に実現し得る等の優れた効果を有するもので
ある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案を具体化した超音波溶着機の一
部を破断して示す正面図、第２図は同超音波溶着
機のモータ速度制御回路を示すブロツク図、第３
図は段部を有するシート状の加工材料を示すため
の説明図である。 図中、６は加工用ホーン、８はモータ、１１は
加工面、１２は押えローラ、１５はモータ、１８
は送り速度調節ツマミ、１９は押ボタンスイツ
チ、２０は振動量調節ツマミ、２３は分圧回路、
２５はモータ駆動回路である。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 超音波振動子に連結された加工用ホーンと、
   その加工用ホーンに形成された加工面と略平行
   な一軸線の周りに回転可能に支承され且つその
   加工面と当接離反可能に配置された押えローラ
   と、 その押えローラを一方向に回転駆動するため
   の回転駆動手段と を備え、超音波振動される加工面と回転駆動さ
   れる押えローラとの間に重合されたシート状加
   工物を押圧挾持し、そのシート状加工物を一方
   向に移送しつつその加工面上においてそのシー
   ト状加工物に超音波振動を付与することによ
   り、重合されたシート状加工物に連続的な溶着
   加工を施すようにされた超音波溶着機におい
   て、 前記押えローラの回転に基づくシート状加工
   物の第１の移送速度を設定するための第１の速
   度設定装置と、 その第１の速度設定装置に基づき設定される
   第１の移送速度と異なる第２の移送速度を設定
   するための第２の速度設定装置と、 前記第１、第２速度設定装置からの第１、第
   ２の移送速度信号のうちいづれか一方を選択的
   に有効化するための選択スイツチを含み、その
   選択スイツチによつて有効化された移送速度信
   号を前記回転駆動手段に供給する制御装置と を設けたことを特徴とする超音波溶着機。 ２ 前記第１の速度設定装置は第１の移送速度に
   比例する速度指令電圧を発生する回路を含み、
   前記第２の速度設定装置は前記第１の移送速度
   に対応する速度指令電圧を分圧する分圧回路を
   含むことを特徴とする実用新案登録請求の範囲
   第１項記載の超音波溶着機。 ３ 前記選択スイツチは第１、第２の操作スイツ
   チよりなり、それらの操作スイツチのうち少な
   くとも一方は足踏みペダルに内蔵され、他方は
   その足踏みペダルに近接配置されていることを
   特徴とする実用新案登録請求の範囲第１項若し
   くは第２項記載の超音波溶着機。