JPS6244254Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、空気調和機等に使用されるプレート
フインチユーブ型熱交換器の改良に関するもの
で、水滴飛散防止および熱交換効率の向上をはか
ることを目的とするものである。

近年、空気調和機の薄形化が進み、空気調和機
の構造が大巾に改善されているが、プレートフイ
ンチユーブ型熱交換器の奥行と、クロスフローフ
アンの直径によつて、ほとんど空気調和機の奥行
が決定されてしまう。そしてさらに奥行の薄形化
をはかるためにプレートフインチユーブ型熱交換
器のフインの気流下流側下部を一部切り欠く構造
が採用されている。

従来の空気調和機の構造について第１図により
説明する。

同図において、１は空気調和機本体で、内部に
はプレートフインチユーブ型熱交換器（以下熱交
換器と称す）２，クロスフローフアン３、上部水
受皿４、下部水受皿５、がそれぞれ設置されてい
る。そして室内空気は吸込グリル６より吸い込ま
れ、エアフイルター７を通り、熱交換器２で冷却
され、クロスフローフアン３によつて、吹出グリ
ル８より吹きだされる構造である。また第２図に
示すように熱交換器２は、熱交換器２とクロスフ
ローフアン３とで占める奥行寸法を小さくするた
めに気流下流側プレートフイン下部に切欠き部９
が形成され、プレートフイン１０、冷媒チユーブ
１１で構成されている。

しかし、上記従来の構造は、熱交換器２の最上
部から流下する水滴が下方に向うにつれて成長す
ることと、クロスフローフアン３の風圧により第
３図に示すように、凝縮水１２がプレートフイン
１０の切欠き部９にそつて上部水受皿４にたまら
ず、クロスフローフアン３側へ飛散し、室内に凝
縮水１２が飛びだして室内をぬらす欠点を有して
いた。

また、上記従来の構造は、実質熱交換を促進す
る部分が、プレートフイン１０の最風上側部（前
縁部）に限られ、その他の部分に温度境界層が生
じて熱伝導性が低下してしまい、結果的に熱交換
能力が十分に引出されない欠点を有していた。

本考案は、上記従来のプレートフインチユーブ
型熱交換器にみられる欠点を除去するものであ
る。

以下、本考案をその一実施例を示す添付図面の
第４図、第５図を参考に説明する。ここで、空気
調和機の構造については第１図と同様であるた
め、説明を省略する。また、第２図、第３図と同
じ部分については、同じ符号を付す。

第４図において、熱交換器２は第２図、第３図
と同様多数のプレートフイン１０と冷媒チユーブ
１１によつて構成されている。１３は前記プレー
トフイン１０の切欠き部９の上部後縁（クロスフ
ローフアン３側）に設けられた切欠きで、後縁は
開口し、前縁へ延びるにつれて下方へ傾斜してい
る。この切欠き１３は、後部の冷媒チユーブ下方
まで延びている。１４は前記切欠き部９と切欠き
１３の間に形成された切欠き穴で、前記切欠き１
３と略平行に傾斜かつ延びている。この切欠き穴
１４の延出寸法は、前記切欠き１３よりも大き
く、前部の冷媒チユーブ下方まで延びている。

上記構成において、クロスフローフアン３の運
転により気流は、同図の気流上流側ａより気流下
流側ｂへと流れる。

そして、時間の経過とともにプレートフイン１
０の全体には、室内の水分が付着し、成長する。
これらの水滴のうち、プレートフイン１０の上部
に付着した水滴は、成長するにつれて徐々に流下
し、この時に相互に吸収し合つてさらに成長を続
ける。そして水滴は、表面張力で支えきれなくな
つたときに加速され、流下する。この流下方向
は、重力が作用する方向と、クロスフローフアン
３による風圧が作用する方向の合成方向となる。
すなわち、プレートフイン１０の後縁寄り流下し
ようとする。

このように流下してきた比較的大粒でかつ微小
の流下速度を有する水滴は、切欠き１３に到達す
ると、その流下方向が矢印で示すように切欠き１
３の傾斜方向に変えられ、プレートフイン１０の
中央側へ流れる。そしてさらに流下を続ける。ま
た、一部切欠き１３を乗り越え、その際に流下速
度を抑えられて流下を続ける水滴も生じることが
ある。

しかし、これらの水滴はやがて下方の切欠き穴
１４に到達し、ここでも同様にさらにプレートフ
イン１０の前縁寄りにその方向が変えられ、水受
皿４内へ案内される。

またプレートフイン１０の下部、すなわち切欠
き穴１４よりも下方に付着した水滴は、その量も
少ないことから流下速度も非常に遅く、風圧の影
響を受けて後縁へ移動しつつ流下するが、切欠き
部９に沿つて流下し、水受皿４内へ導かれる。

このように、プレートフイン１０の上部に付着
した多量の水滴は、切欠き１３、切欠き穴１４に
よてその流下方向がプレートフイン１０の前縁側
へ規制されるため、クロスフローフアン３による
風圧によつて飛散することが防止され、円滑に水
受皿４へ導かれる。

また、前記切欠き穴１４の下部に付着した比較
的少量の水滴は、その表面張力が大きいことから
切欠き部９は沿つて水受皿４へ導かれる。

一方、矢印ａからｂの方向へ流れる気流は、一
部が切欠き１３、切欠き穴１４を横切る。このと
き、切欠き１３、切欠き穴１４の周縁により「温
度境界層による前縁効果」と称される周知の現象
によつてその縁部で熱交換作用が促進される。し
たがつて、熱交換器２の熱交換能力も向上する。

上記実施例より明らかなように、本考案におけ
るプレートフインチユーブ型熱交換器は、プレー
トフインに傾斜した切欠きおよび切欠き穴を設け
ることによつて凝縮水の流下方向を規制するた
め、凝縮水がクロスフローフアンに飛散して室内
をぬらすといつたことが防止でき、構成が簡単で
安価に作成できるとともに、空気調和機の奥行寸
法の薄形化に何ら支障が生じない。

またプレートフインを通過する空気は、切欠き
あるいは切欠き穴を通過する際に、「温度境界層
による前縁効果」によつて熱交換作用が促進され
るため、熱交換能力が一層向上する。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の空気調和機の側面断面図、第２
図は従来のプレートフインチユーブ型熱交換器の
斜視図、第３図は従来の空気調和機の熱交換器と
クロスフローフアンの一部側面図拡大図、第４図
は本考案の一実施例におけるプレートフインチユ
ーブ型熱交換器とクロスフローフアンの一部側面
拡大図である。 ２……プレートフインチユーブ型熱交換器、３
……クロスフローフアン、１３……切り欠き、１
４……切り欠き穴。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 所定間隔を置いてほぼ鉛直にかつ平行に配置さ
   れた多数のプレートフインと、この各プレートフ
   インを貫いてほぼ水平にかつ鉛直方向に２列以上
   になるように配列された複数の冷媒チユーブとを
   有し、前記プレートフインの気流下流側の下部を
   一部切り欠いて切欠き部を設け、この切欠き部の
   上部に、気流下流側が高く気流上流側が低くなる
   ように傾斜した第１の切欠きと、前記切欠き部と
   切欠きの間に位置しかつ前記第１の切欠きと同方
   向に傾斜した第２の切欠きを設け、この第２の切
   欠きの延出度合を前記第１の切欠きの延出度合よ
   りも大きくしたプレートフインチユーブ型熱交換
   器。