JPS6243316B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は高周波加熱装置の加熱室内に使用する
遮へい部材の取付構造に関するものである。

従来より高周波加熱装置は、食品の再加熱や調
理に使用されており食品自体を加熱する為極めて
ロスが少なく迅速な加熱が可能な為、非常に便利
な加熱器具である、高周波加熱装置は、被加熱物
を収納する加熱室と、マイクロ波を発振するマグ
ネトロンと高圧発生回路から成るもので、マグネ
トロンの発振したマイクロ波を加熱室内の被加熱
物に照射して加熱するものであるが、ごく一般的
には、マグネトロンの発振したマイクロ波を、導
波管により、加熱室内に導いている。この導波管
の設計により、高周波加熱装置の性能で最も重要
な、分布、給電性能の調整を行なう事が可能であ
る。又この時、前記加熱室、及び導波管は、金属
体で構成され、マイクロ波が器体内部に漏洩する
事を防いでおり、加熱室と導波管との結合部はマ
イクロ波的には完全に導通状態である。

また、被加熱物を加熱、調理する際に、その食
品かす等が導波管内に侵入して、マイクロ波によ
るスパーク及び高周波出力ロスを防ぐ為と、外観
上の見苦しさをなくす為、前記結合部の開口は、
遮へい部材により覆う事が必要である。この遮へ
い部材は、マイクロ波の電界の最も強い部分に取
付けられている為、特に耐熱性及び誘電率の小さ
い電気的特性の優れた材料を選定する事が必要で
あり、主にシリコンガラスクロス積層板やマイカ
板が使用されている。ところが前記材料自体は優
れた特性を持つているが、被加熱物を加熱する際
に、食品かすや油分が飛散して遮へい部材に付着
し、マイクロ波により食品かすや油分を加熱して
しまいやがて炭化状態となり、スパークを誘発す
る様になる。この様な状態となるといかに、遮へ
い部材自体が耐熱性の優れた材料であつても燃焼
してしまい、極端な場合には器体自体が燃焼して
しまい、火災につながる事も考えられる。

従来の具体的な構造について、以下詳述する。

第１図は、高周波加熱装置の正面図で、加熱室
１内に被加熱物を入れドア２を閉めた状態で、タ
イムスイツチ３により、被加熱物の種類及び量を
メニユー表４から、加熱時間を選択し、時限設定
を行なつた後、作動ボタン５を動作させる事によ
り、加熱が開始される。

第２図は、ごく一般的なマイクロ波給電方式で
マグネトロン６が発振したマイクロ波を加熱室１
に導く為、導波管７を設け、導波管７には、高周
波出力調整用にアイリス８が取付けられており、
マイクロ波は加熱室１を構成する上壁面９の開口
部１０より給電される。この開口部１０は、シリ
コンガラスクロス積層板やマイカ板等の遮へい部
材１１で覆われており、被加熱物１２より発生す
る油や食品かす１４等が、開口部１０より導波管
７内に侵入するのを防いでいる。

第３図は特に油の飛散の多い被加熱物の例で、
調理ソフト用に開発された、金属のスノコ網１３
の上に被加熱物を乗せて加熱している。特に第３
図の様な使用条件下では遮へい部材１１にも油や
食品かす１４が多量に付着するものであり、その
ままの状態でマイクロ波加熱を続けた場合は、第
４図の如く、飛散した油、食品かす１４はやがて
炭化し開口部１０の端面１５部分との間でスパー
クを誘発する様になる。この時反対側の端面１６
は導波管７のフランジ曲げＲ部分１７と密着して
いる為電界の集中がなく、容易にスパークを誘発
する事はない。スパークを容易に発生させる条件
は、軽負荷での運転を行なう時であるがこれは、
マイクロ波を吸収して熱に変換する負荷が小さく
非常に小さい負荷である油、食品かす１４でもマ
イクロ波を多量に吸収してしまい炭化後にはスパ
ークを誘発してしまうのである。又、基本的に、
開口部１０は、電界が強い為、遮へい部材１１
は、耐熱性が良く誘電率の小さい（電波を透過す
る）材料が用いられているので心配ないが、油、
食品かす１４等は誘電率が大きい（電波を良く吸
収する）為、過加熱され、炭化しスパークするの
は当然の結果である。

又、導波管７内に、遮へい部材１１を固定する
取付ビス２０が突出している為これも、マイクロ
波の性質から見ると電界の強い部分に突起物があ
るのと同じで、電界が集中しスパークの可能性が
高いと考えられる。

そこで本発明は、技術的に前記問題を解決し、
食品かすや油分が遮へい部材に付着しても、スパ
ークを誘発せずましてや部品及び器体の燃焼や火
災等の危険の全くない安全な構造を提供出来るも
のである。

以下、本発明の一実施例について図面に基づき
説明する。

第５図および第６図において、導波管７の開口
部１０を加熱室１の右端部に移動させ、開口部１
０の右端面を加熱室１を構成する右側壁１８のフ
ランジ部１９で構成する為加熱室１を構成する上
壁面９の開口部１０の端面１５がマイクロ波の加
熱室１内への給電口とならない為、電界の集中を
起こさず例え、油、食品かす１４が遮へい部材１
１に付着しても炭化後、スパークするような危険
はない。これは、開口部１０を構成する部分の中
でも一番電界の集中すると考えられる部分にエツ
ヂが全くないばかりでなく、面で構成されている
為マイクロ波的には全く問題がない。又マイクロ
波の進行方向に沿つて面で構成されるために、そ
の効果は絶大なものである。

又、第７図は第６図の上面図で、開口部１０の
遮へい部材１１の取付けは導波管７内に取付ビス
２０が突出しない構造にする事により、マイクロ
波的に導波管７内に電界の集中する箇所や抵抗が
ない為、マイクロ波は導波管７より無理なく加熱
室１内に導びかれ、高周波出力の損失を殆んど無
くす事が容易となり、高周波出力の給電設計が容
易でしかも、安定した品質を保つ事の出来、なお
かつ、開口部１０付近でのスパークによる遮へい
部材１１の燃焼等の不具合いの全くない安全な、
高周波加熱装置を提供出来るものである。

第８図および第９図に本発明の他の実施例を示
す。

図において加熱室１のコーナー部に設けた場合
にも同様な効果が得られる他、遮へい部材１１を
取付ける際の取付けビスを少なくし１点で締め付
ける事も可能であり、構造は簡素でありながらそ
の効果は更に増大されるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の高周波加熱装置の正面図、第２
図は同装置の要部正面断面図、第３図は同装置の
使用状態を示す要部正面断面図、第４図は同状態
を示す要部拡大断面図、第５図は本発明の一実施
例である高周波加熱装置の要部正面断面図、第６
図は同装置の要部拡大断面図、第７図は第６図の
要部拡大平面図、第８図は本発明の他の実施例で
ある高周波加熱装置の要部拡大平面図、第９図は
第８図のＸ−X′線における断面図である。 １……加熱室、２……ドア、６……マグネトロ
ン、７……導波管、１０……開口部、１１……遮
へい部材、１４……食品かす、１５，１６……開
口部の端面。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 高周波発振器と、被加熱物を収納する加熱室
   と、前記高周波発振器により発振した高周波を前
   記加熱室内に導く導波管とを備え、前記加熱室と
   前記導波管との接合部に設けた給電口は遮へい部
   材により覆われた構成とするとともに少なくとも
   前記給電口の高周波発振器に近い側の一端部を前
   記加熱室を構成する一壁面の屈曲部により構成し
   てなる高周波加熱装置。 ２ 加熱室の一壁面と導波管の給電口に設けた遮
   へい部材を少なくとも前記給電口の、高周波発振
   器に近い側の一端部に内接させて設けてなる特許
   請求の範囲第１項記載の高周波加熱装置。