JPS6242617Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はコンバイン等の移動農機のサイドクラ
ツチ装置に関するものである。一般にコンバイン
のサイドクラツチ装置は、サイドクラツチギア部
にカムを設け、該カムを直接ソレノイドで押圧し
てサイドクラツチを切るように構成されたものが
多く採用されている。

しかしかかるサイドクラツチ装置は構造上必然
的に大容量のソレノイドを必要とするばかりでな
く、カム面が軸線方向に傾斜して設けてあるため
サイドクラツチはインチングでしか切れず、連続
して切ることができないうえ、インチングの作動
がサイドクラツチギアの回転数により制約される
ことになる関係上、任意の断続タイミングを得る
ためにはカムを複雑な形状にして対処せざるを得
ない不都合があつた。一方、油圧を用いてサイド
クラツチを切るようにしたものも提供されてお
り、かかる油圧式のものはサイドクラツチを連続
して作動させることは可能であるが、油圧ポン
プ，ソレノイドコントロールバルブ等の油圧装置
及び複雑な電気回路が必要で装置自体が複雑・高
価となる不都合があつた。

本考案は上記の如き不都合を解消するためなさ
れたものであつて、その目的とするところは、油
圧装置や複雑な電気回路を不要とし得るものであ
りながら、カムの力によつて左右のサイドクラツ
チ又はブレーキをインチング作動と連続作動の両
作動を自由に制御し得て高い精度の方向制御を可
能とするばかりでなく、カム軸の回転数をサイド
クラツチギアの回転数によつて制約されることな
く任意に設定し得てカム形状を極力単純化するこ
とができるうえ、ソレノイドの容量を従来のもの
より大巾に小型化し得てコストの削減をも達成す
ることができる移動農機のサイドクラツチ装置を
提供しようとするものである。

本考案の構成を図面に示された一実施例につい
て説明すれば、第１図はコンバイン１の全体図で
右デバイダ２の後方にセンサRSが、また左デバ
イダ３の後方にセンサLSが配設されていて、こ
れらセンサRS，LS内には右インチング用ソレノ
イドスイツチ４、右連続切り用ソレノイドスイツ
チ５、左インチング用ソレノイドスイツチ６及び
左連続切り用ソレノイドスイツチ７が内蔵されて
おり（第２図ｃ参照）、これらセンサRS，LSの
作用で後述のサイドクラツチを断続作動せしめ機
体の進行方向を自動的に制御するようになつてい
る。

第２図以下において８はミツシヨンケースＭ内
に回転自在に支承されたカム軸で、９は該カム軸
８に固定された駆動ギアである。この駆動ギア９
はミツシヨンケースＭ内における車軸への伝動経
路中の適宜のギア（図示せず）に螺合してカム軸
８を常時回転駆動せしめるようになつている。そ
してカム軸８には駆動ギア９を挾んで一側には右
サイドクラツチのインチング用カム１０、連続切
り用カム１１が、他軸には左サイドクラツチのイ
ンチング用カム１３、連続切り用カム１４が対称
的に並設されている。上記インチング用カム１
０，１３は図示の如く夫々山部１０ａ，１３ａを
有する変形楕円形状を呈しており、また連続切り
用カム１１，１４はカム軸８の軸芯を中心と円板
状に形成されると共にその外周面はインチング用
カム１０，１３の山部１０ａ，１３ａ突出端面と
一致するようになつている。１２，１２はカム軸
８の軸受である。１５，１６，１８，１９は上記
各カム１０，１１，１３，１４に対応してミツシ
ヨンケースＭ内の隔壁M′に夫々上下摺動自在に
貫装されたロツドで、これらのロツド１５，１
６，１８，１９の一端はバネ１７により常時夫々
のカム面に圧接されている。そしてロツド１５，
１６の他端側は右サイドクラツチ２０のシフター
アーム２０′に設けた穴２０′ａ，２０′ｂに、ま
たロツド１８，１９の他端側は左サイドクラツチ
２１のシフターアーム２１′に設けた穴２１′ａ，
２１′ｂに夫々遊嵌せしめられている。そしてシ
フターアーム２０′には穴２０′ａ，２０′ｂに直
交するように右サイドクラツチインチング用ソレ
ノイド２２、右サイドクラツチ連続切り用ソレノ
イド２３が一体的に固定され、またシフターアー
ム２１′にも左サイドクラツチインチング用ソレ
ノイド２４，左サイドクラツチ連続切り用ソレノ
イド２５が同様に固定されており、これら各ソレ
ノイド２２，２３，２４，２５の作動杆２２′，
２３′，２４′，２５′の出没通路２２′ａ，２３′
ａ，２４′ａ，２５′ａと上記シフターアーム２
０′，２１′に夫々設けた穴２０′ａ，２４′ｂ，２
１′ａ，２１′ｂに夫々直交状態に連通していて、
これらソレノイドに通電されると該ソレノイドの
作動杆が突出してそれに対応するシフターアーム
の穴を塞ぐようになつている。

２６は右サイドクラツチギア、２７は左サイド
クラツチギア、２８はメインスイツチ、２９はバ
ツテリーである。

上記したものはセンサーRS，LSの作動でサイ
ドクラツチ２０，２１を自動的に断続して方向制
御する方式のものであるが、本考案は自動方向制
御方式に限らず、手動制御方式とすることも可能
である。即ち例えば第６図に示すものは、運転パ
ネル３０に右サイドクラツチレバー３１及び左サ
イドクラツチレバー３２とソレノイド２２，２
３，２４，２５の各作動用のスイツチ４，５，
６，７を設け、右サイドクラツチレバー３１を引
くと右インチング用ソレノイドスイツチ４が入
り、更にレバー３１を一杯に引くと右インチング
用ソレノイドスイツチ４と右連続切り用ソレノイ
ドスイツチ５が共に入り、左サイドクラツチレバ
ー３２も上記同様のスイツチング作用を行なうよ
うに構成したものである。

また上記実施例は左右のサイドクラツチ２０，
２１のみをインチングで切つたり連続して切つた
りするように構成したものであるが、左右のブレ
ーキも同様にインチング又は連続作動するように
構成することも可能である。即ち例えば第７図に
示すものは、駆動ギア９を挾んでサイドクラツチ
インチング作動用の小カム３３，３３′、ブレー
キインチング作動用の大カム３４，３４′及びブ
レーキ、連続作動用のカム３５，３５′を左右に
夫々対設し、これら各カムに対応してロツド３３
ａ，３３′ａ・３４ａ，３４′ａ・３５ａ，３５′
ａ及びソレノイド３３ｂ，３３′ｂ・３４ｂ，３
４′ｂ・３５ｂ，３５′ｂを夫々設けると共に、上
記各ソレノイドの作動用スイツチ３６，３７，３
８・３６′，３７′，３８′を設けたものである。
そして上記各カム相互間の関係は図示の如くイン
チング作動用の小カム３３，３３′と大カム３
４，３４′は位相が180゜異なり且つ小カム３３，
３３′の山部イは大カム３４，３４′の谷部ロに一
致し、また大カム３４，３４′の山部ハは連続用
カム３５，３５′の外周面ニに一致している。図
中３９はドツグギア、４０，４０はドツグギア３
９の爪、４１，４１′は爪ブレーキである。また
第８図は上記の運転パネル部４２の構造を示すも
のであつて、ハンドル４３のセンター軸４４には
カム４５が固定されていて、ハンドル４３を時計
方向に回動させるとスイツチ３６，３７，３８
が、また反時計方向に回動させるとスイツチ３
６′，３７′，３８′が夫々回動量に応じて作動す
るようになつている。

次に本考案の作用について説明する。いま機体
進行方向右側のセンサーRSを使用して方向自動
制御を行なつた場合、刈取条に対し機体が正常に
進行しておれば、センサーRSの先端部が立毛穀
稈に対して軽く接触してセンサーRSの作動量
（後退角）が小の状態にあり、この状態ではイン
チング用ソレノイド及び連続切り用ソレノイドの
各スイツチ４，５，６，７が全てOFFであるた
め左右のサイドクラツチ２０，２１は作動せず、
機体はそのまま直進する（第２図の状態）。

次にセンサーRSに対する穀稈の接触がやや深
い場合即ち刈取条に対し機体がやや左側に片寄り
ぎみになれば、センサーRSの作動量が中の状態
となり、この場合には第３図に示す如くスイツチ
４が投入される結果右サイドクラツチ２０のイン
チング用ソレノイド２２の作動杆２２′が突出し
てシフターアーム２０′の穴２０′ａを塞ぐため、
カム１０が第４図に示す如く山部１０ａのところ
にくるとロツド１５が上記作動杆２２′を押しシ
フターアーム２０′をクラツチ切り側に回動せし
め、これにより右サイドクラツチ２０が動き、右
サイドクラツチギア２６がドツグギア３９から抜
ける。更に上記カム１０が回転して山部１０ａが
ロツド１５から外れると第３図図示の状態のよう
にロツド１５がバネ１７により元位置に上動復帰
すると共にシフターアーム２０′も元位置に追従
復帰し、右サイドクラツチ２０が再度入る。この
ようにしてカム１０の回転に伴つて右サイドクラ
ツチ２０が繰返し間欠的に作動する（インチング
作動を行なう）。このため機体は緩かに右側に向
きを変え正常方向に修正された時点でセンサー
RSの作動で自動的にスイツチ４が切れる。

次にセンサーRSに対し穀稈が接触過剰（機体
が左側へ片寄り過ぎ）となつた場合にはセンサー
RSの作動量が大となり、この場合にはスイツチ
４，５が共に投入されるため、右サイドクラツチ
２０のインチング用及び連続切り用ソレノイド２
２，２３が作動する（第５図参照）。この結果カ
ム１０及びロツド１５により右サイドクラツチ２
０が一旦切られた後、カム１１及びロツド１６に
よりその切り状態が保持されるため右サイドクラ
ツチ２０は連続切りとなる。そのため機体は刈取
条から離れる方向（右側）に大きく向きを変え、
正常位置に素早く復帰するものである。

またセンサーRSが穀稈に接触しない場合（離
れ過ぎの場合）はセンサーRSのスイツチング作
用でスイツチ６，７が共に投入され、これにより
左サイドクラツチ２１のインチング用及び連続切
り用ソレノイド２４，２５が作動するため、左サ
イドクラツチ２１が連続して切状態に保持され、
機体は穀稈接触方向に素早く向きを変える。

センサーRS，LSによる自動方向制御の代りに
サイドクラツチレバー３１，３２の操作による手
動方向制御の場合（第６図参照）もその作用は同
様である。

一方、第７図及び第８図に示す構造のものにお
いては、ハンドル４３を時計方向に軽く回動させ
るとスイツチ３６がONとなり、小カム３３が谷
部イ′の時、ソレノイド３３ｂの作動杆ａがロツ
ド３３ａの通る穴a′を塞ぐ、次に上記小カム３３
が山部イに来るとロツド３３ａがソレノイド３３
ｂの作動杆ａを押して右サイドクラツチ２０が動
き、右サイドクラツチギア２６がドツグギア３９
から抜ける。上記スイツチ３６がONになつてい
る間右サイドクラツチ２０がインチング作動し機
械は右へ緩やかに旋回する。

更にハンドル４３を回動させることによりスイ
ツチ３６，３７がONとなつた時にはソレノイド
３３ｂ，３４ｂが共に作動する（第７図参照）。
そして大カム３４が山部ハの時、ソレノイド３４
ｂの作動杆ｂをロツド３４ａが押すため右サイド
クラツチ２０が更に大きく切り側に移動し右爪ブ
レーキ４１にドツグギア３９の爪４０がかかる。
スイツチ３６，３７がONとなつている間爪ブレ
ーキ４１が抜けたりかかつたりしてブレーキがイ
ンチング作動するため機体は右にやや急に旋回す
る。

またハンドル４３を時計方向に一杯回動させる
とスイツチ３６，３７，３８がONとなりソレノ
イド３３ｂ，３４ｂ，３５ｂが作動し、そのため
カム３５がロツド３５ａを介してソレノイド３５
ｂの作動杆ｃを押し続けることにより爪ブレーキ
４１が連続的にかかるため機体は右に急旋回す
る。

従つてハンドル４３の回動量の変化に伴つて機
体を緩急自在に旋回させることができるので極め
て好都合である。

上記したように本考案は、ミツシヨンケース内
に設けた適宜ギアに噛合して回転駆動せしめられ
る軸に左右のサイドクラツチ又はブレーキに対す
るインチング作動用及び連続作動用カムを並設
し、該各カムに対応してサイドクラツチのシフタ
ーアームに対して一体的に固定されたソレノイド
を夫々対設し、上記各カムと夫々対応するソレノ
イドとを、一端がカム面に圧接され他端がソレノ
イドの作動杆の出没通路に直交状に臨ませたロツ
ドを介して夫々個別的に連繋し、上記各ソレノイ
ドに夫々連続されたインチング作動用及び連続作
動用スイツチがONとした際、カムによりサイド
クラツチ又はブレーキが間欠的又は連続的に作動
すべく構成したから、高価な油圧装置や複雑な電
気回路を不要とし得るものでありながら、機械式
のカムの力で左右のサイドクラツチ又はブレーキ
をインチング作動と連続作動の両作動を自由に制
御し得て高精度の方向制御が可能となるうえ、操
作性を極めて良好にすることができ、しかもカム
軸の回転数を従来のものの如くサイドクラツチギ
アの回転数によつて制約されることなく任意に設
定し得てカム形状を極力単純化することができる
ばかりでなくソレノイドは単に作動杆を突出させ
るに充分な容量でよく従つてソレノイド容量を従
来のものより大巾に小型化し得ることと相俟つて
コストを著しく削減することが可能となり加えて
電気的なトラブルの起る余地を少しく得て故障が
少なく信頼性を一層高めることができる等極めて
有用な実用的効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案を装備したコンバインの全体斜
視図、第２図Ａは要部の縦断背面図、Ｂは要部の
縦断側面図、Ｃは電気回路図、第３図Ａ，Ｂ，Ｃ
は右サイドクラツチインチング用ソレノイドが作
動した場合の状態を示す要部の縦断背面図Ａ，縦
断側面図Ｂ，電気回路図Ｃ，第４図Ａ，Ｂは右サ
イドクラツチインチング用ソレノイドが作動して
サイドクラツチギアが抜けた状態を示す要部の縦
断背面図Ａ、縦断側面図Ｂ、第５図Ａ，Ｂ，Ｃは
右サイドクラツチインチング用ソレノイドと連続
切り用ソレノイドが作動した状態を示す要部の縦
断背面図Ａ、縦断側面図Ｂ、電気回路図Ｃ、第６
図は手動により各ソレノイドを作動させるものに
おける運転パネル部の構造を示す斜視図、第７図
Ａ，Ｂ，Ｃは左右のサイドクラツチ又はブレーキ
をインチング作動又は連続作動させるものにおけ
る要部を作用と共に示す縦断背面図Ａ、縦断側面
図Ｂ、電気回路図Ｃ、第８図は同上の手動操作部
の構造を示す正面図である。 図中、４は右サイドクラツチインチング用ソレ
ノイドのスイツチ、５は右サイドクラツチ連続切
り用ソレノイドのスイツチ、６は左サイドクラツ
チインチング用ソレノイドのスイツチ、７は左サ
イドクラツチ連続切り用ソレノイドのスイツチ、
８は軸、１０，１３はインチング作動用カム、１
１，１４は連続作動用カム、１５，１６，１８，
１９はロツド、２０，２１はサイドクラツチ、２
１′，２１′はシフターアーム、２２〜２５はソレ
ノイド、２２′，２３′，２４′，２５′は作動杆、
４１は爪ブレーキ、Ｍはミツシヨンケース。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ミツシヨンケース内に設けた適宜ギアに噛合し
   て回転駆動せしめられる軸に左右のサイドクラツ
   チ又はブレーキに対するインチング作動用及び連
   続作動用カムを並設し、該各カムに対応してサイ
   ドクラツチのシフターアームに対して一体的に固
   定されたソレノイドを夫々対設し、上記各カムと
   夫々対応するソレノイドとを、一端がカム面に圧
   接され他端がソレノイドの作動杆の出没通路に直
   交状に臨ませたロツドを介して夫々個別的に連繋
   し、上記各ソレノイドに夫々連続されたインチン
   グ作動用及び連続作動用スイツチがONした際、
   カムによりサイドクラツチ又はブレーキが間欠的
   又は連続的に作動すべく構成したことを特徴とす
   る移動農機のサイドクラツチ装置。