JPS6242452B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、電力系統の保護に用いられる地絡
方向リレーに関する。

地絡方向リレーは、電力系統より検出した零相
分の電圧V₀及び電流I₀をデータとして入力し、次
に示す(1)式を地絡故障に応動するための判別条件
としたものである。この判別条件には演算処理が
伴う。

（｜V₀｜＞｜V₀一定｜）・（｜I₀｜＞｜V₀′一定｜）
（V₀・I₀cosθ＞０） ……(1) (1)式において、第１項、第２項はそれぞれ電圧
V₀及び電流I₀のストツパ条件を与え、第３項は電
圧V₀、電流I₀間の位相差θが正のとき、即ち−90
゜＜θ＜＋90゜であることの条件を与える。

第１図は、このような動作条件をもつ地絡方向
リレーのV₀−I₀位相特性を示す。図示のように、
最大感度角が＋45゜にあるので、斜線領域が地絡
方向リレーの動作域を表わす。

第２図は、この種の従来の地絡方向リレーのブ
ロツク図である。図中、１は電圧V₀（信号）、２
は電流I₀（信号）、３は電圧V₀のサンプリング・
ホールド回路、４は電流I₀のサンプリング・ホー
ルド回路、５はサンプリング・ホールド回路３，
４の出力信号を交互に選択するマルチプレクサ、
６はマルチプレクサ５の出力信号をデジタル信号
に変換する変換器、７は(1)式のアルゴリズムを実
行する演算回路、８は演算回路７より出力された
動作出力を増幅してトリツプ信号を得る出力回路
である。

動作を説明する。サンプリング・ホールド回路
３，４のサンプリング周期をsinωｔで変化する
電圧V₀及び電流I₀の電気角における90゜に相当す
ると、第３図に示すように、時刻t₁，t₂（＝t₁＋
90゜）でサンプリング・ホールドした２つのデー
タsinωt₁，sinωt₂間には、次の関係がある。

（sinωt₁）²＋（sinωt₂）² ＝（sinωt₁）²＋（sin（ωt₁＋90゜））^２ ＝（sinωt₁）²＋（cosωt₁）² ＝１ ……(2) また、電圧V₀をAsinωｔ、電流I₀をBsin（ωｔ
＋θ）とすると、第４図に示す時刻t₁，t₂でサン
プリングして得たデータAsinωｔ，Asinωt₂、
Bsin（ωt₁＋θ）、Bsin（ωt₂＋θ）間には次の
関係がある。

Asinωt₁・Bsin（ωt₁＋θ）＋Asinωt₂・Bsin（ωt₂＋θ） ＝AB｛sinωt₁・sin（ωt₁＋θ）＋sin（ωt₁＋90゜）sin（ωt₁＋θ＋90゜）｝ ＝AB｛sinωt₁・sin（ωt₁＋θ）＋cosωt₁・cos（ωt₁＋θ）｝ ＝AB〔sinωt₁｛sinωt₁cosθ＋sinθcosωt₁｝＋cosωt₁｛cosωt₁cosθ −sinωt₁sinθ｝〕 ＝AB〔（sinωt₁）²cosθ＋sinθsinωt₁cosωt₁＋cosθ（cosωt₁）² −sinθsinωt₁cosωt₁〕 ＝ABcosθ｛（sinωt₁）²＋（cosωt₁）²｝ ＝ABcosθ ……(3) (1)，(2)式から第１図の特性が得られる。

従来の地絡方向リレーは、以上説明したような
構成を有するので、ダイナミツク・レンジの広い
入力に対応するため、アナログ・デジタル変換器
として変換ビツトの多いものを必要とし、経済的
でない欠点があり、また構成が複雑なので信頼性
が低い欠点があつた。

この発明は、前記のような従来のものの欠点を
除去するためになされたもので、所定の精度を保
持し、かつ変換ビツト長を少なくすることがで
き、信頼性を高めることができる地絡方向リレー
を提供することを目的とする。

以下、この発明の一実施例を図について説明す
る。第５図は、この発明の地絡リレーのブロツク
図である。図中、９は電圧V₀、電流I₀間で排他的
論理和をとるゲート、１０はゲート９が出力され
るパルスの幅、即ち電圧V₀、電流I₀間の位相差θ
が−90゜＜θ＜＋90゜のものであるか否かについ
て判別する判別回路、１１はマルチプレクサ５の
出力信号をデジタル信号に変換する変換器であ
る。

第６図乃至第８図は第５図の動作を説明する波
形図である。第６図乃至第８図において、ａは電
圧V₀、電流I₀、ｂはゲート９の出力信号、ｃは判
別回路１０の出力信号である。ただし、電圧
V₀、電流I₀間の位相差θが第６図の場合は45゜、
第７図の場合は90゜、第８図の場合は135゜であ
る。

次に、第６図乃至第８図を参照して動作を説明
する。演算回路７は、(1)式の第１項及び第２項の
演算処理を行うためのデータを変換器１１から読
み込む。構成を経済的にするため、変換器１１は
変換ビツト長の小さいものを用いる。また、(1)式
の第３項の判別は判別回路１０で行なわれる。ゲ
ート９は、第６図乃至第８図ｂのような位相差θ
に対応したパルス幅をもつパルスを出力する。こ
のパルスを判別回路１０は時間計数をし、その結
果を予め設定された値である位相差θ＝90゜のも
のと比較する。第６図の場合はθ＜90゜と判定さ
れ、判別回路１０は、第６図ｃの出力信号を得
る。同様に第７図の場合はθ90゜と判定され、
第８図の場合はθ＞90゜と判定され、判別回路１
０は出力信号をそれぞれ第７図の限界のもの、及
び第８図の出力なしのものとして演算回路７に供
給する。

演算回路７は、(1)式の示すところに従い、判別
回路１０及び変換器１１の出力信号から所定の演
算を実行し、動作出力を得たときはこれを出力回
路８に供給し、これよりトリツプ信号を出力させ
る。

なお、前記実施例では判別回路１０及び変換器
１１を演算回路７と別の素子で構成したが、これ
らは同一の基板上に構成した半導体素子であつて
もよい。

以上のようにこの発明によれば、入力される電
力系統の電圧、電流間の位相差の判定を論理回路
で行なうようにしたので、アナログ・デジタル変
換器としてビツト長の短いものが使用でき、装置
を経済的な構成のものにすることができる効果が
ある。

【図面の簡単な説明】

第１図は地絡方向リレーの位相特性図、第２図
は従来の地絡方向リレーのブロツク図、第３図及
び第４図は電力系統から検出された電圧及び電流
の波形図、第５図はこの発明の一実施例による地
絡方向リレーを示すブロツク図、第６図乃至第８
図は第５図の動作を説明する波形図である。 ３，４……サンプリング・ホールド回路、６，
１１……変換器、７……演算回路、９……ゲー
ト、１０……判別回路。なお、図中、同一符号は
同一部分を示す。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 電力系統より検出された零相分の電圧及び電
   流を入力し、所定の条件から動作出力を得る地絡
   方向リレーにおいて、前記電圧、電流間の位相差
   を検出するゲート回路と、前記ゲート回路から出
   力されるパルスの幅を時間計数して所定値と比較
   する判別回路と、前記判別回路の判別結果と前記
   電圧及び電流をデジタル変換した信号とを入力し
   て地絡検出のための演算処理をする演算回路とを
   備えたことを特徴とする地絡方向リレー。