JPS6242204Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は自動変速機の油圧装置、詳しくは固定
壁とオイルポンプのポンプハウジングとの間に、
吸入ポートと吐出ポートとをもつポンププレート
を介装すると共に、前記固定壁に油圧通路を形成
して、自動変速機の油圧作動装置を制御するごと
くした油圧装置に関する。

（従来技術） 一般にこの種の自動変速機の油圧装置にあつて
は、トルクコンバータを構成するステータシヤフ
トの一端に鍔状の固定壁を設け、該固定壁にオイ
ルポンプのポンプハウジングを、吸入ポート及び
吐出ポートを備えたポンププレートを介して固定
すると共に、前記固定壁に油圧通路を形成し、前
記オイルポンプから吐出される作動油を、前記吸
入ポート乃至前記油圧通路を介してミツシヨンケ
ースに内装している自動変速機の油圧作動装置に
供給するごとく成している。

所で、前記固定壁に油圧通路を形成する方法と
しては、該固定壁に径方向と軸方向に延びる切り
孔を穿設して、これら切り孔を前記油圧通路と成
しているのであるが、以上のごとくして前記油圧
通路を形成した場合には、前記切り孔の開口を閉
鎖する必要があり、そのため従来では前記切り孔
の開口部にボールもしくはプラグを封入してい
る。

（本考案が解決しようとする問題点） ところが以上のごとく前記切り孔をボールやプ
ラグで閉鎖すると、これらボールもしくはプラグ
の圧入に要する寸法だけ前記切り孔の軸方向長さ
を長くしなければならず、そのため、前記固定壁
の厚さ及び外径がそれだけ大きくなつて、全体と
して自動変速機が大型になるという問題があつた
のである。

しかして本考案は、前記固定壁に形成した油圧
通路を構成する切り孔の開口を、前記固定壁と前
記ポンプハウジングとの間に介装するポンププレ
ートを利用して閉鎖することで、自動変速機の軸
方向寸法の短縮化を図らんとしたのである。

（問題点を解決するための手段） 本考案は、前記固定壁と前記ポンプハウジング
との間に介装されるポンププレートが、オイルポ
ンプ駆動による作動油の圧力で前記固定壁に押圧
されていることに着目し、該ポンププレートに、
前記固定壁を貫通して形成され、前記ポンププレ
ートの吸入ポートもしくは吐出ポートの少なくと
も一方に開口する油圧通路の開口端を閉鎖する閉
鎖面を設けたのである。

（作 用） 本考案によれば、ボールやプラグを用いずと
も、前記ポンププレートに形成した前記閉鎖面に
より、前記ポンププレートの吸入ポートもしくは
吐出ポートの少なくとも一方に開口する油圧通路
の開口端を確実に閉鎖することが出来る。

（実施例） 以下本考案にかかる自動変速機の油圧装置の実
施例を図面に基づいて説明する。

まずミツシヨンケース１に内装した自動変速機
を説明すると、図においてOPはオイルポンプ、
２はトルクコンバータであつて、該トルクコンバ
ータ２のポンプ２１をポンプハウジング２２を介
してエンジンからのクランク軸２０に係合すると
ともに、前記トルクコンバータ２のタービン２３
を、前記クランク軸２０の延長線上に配置してな
る中空状の第１駆動軸３ａにスプライン係合し、
かつ前記トルクコンバータ２のステータ２４を前
記第１駆動軸３ａの外周に配置したステータシヤ
フト２５にワンウエイクラツチ２５ａを介して一
方向にのみ回転可能に支持している。

３ｂは、ロツクアツプクラツチＣ３を介して前
記クランク軸２０に直結されて後記の遊星歯車群
５をダイレクトに駆動する第２駆動軸であつて、
この第２駆動軸３ｂを、前記第１駆動軸３ａの中
空部内に遊挿して、該第１駆動軸３ａと同軸上に
配置している。

又４は、前進変速時に作動する第１クラツチＣ
１及び後進変速時に作動する第２クラツチＣ２を
備えたクラツチ群、５は複数のギヤを備えた遊星
歯車群であつて、この遊星歯車群５は、前記第２
駆動軸３ｂの軸端部近くに回転自由に支持した大
小一対のサンギヤ５１，５２と、同じく前記第２
駆動軸３ｂの軸端部にスプライン係合したプラネ
タリキヤリヤ５３と、このプラネタリキヤリヤ５
３に軸体を介して回転自由に支持した第１、第２
プラネタリギヤ５４，５５及びリングギヤ５６を
備えている。

そして前記小サンギヤ５２は、前記クラツチ群
４を構成する第１クラツチＣ１の動作で前記第１
駆動軸３ａと連動連結するようになつており、前
記大サンギヤ５１はクラツチ群４を構成する第２
クラツチＣ２の動作で前記第１駆動軸３ａと連動
連結し、かつ該第２クラツチＣ２の外周面に配置
した第１ブレーキＢ１の動作により以上の自動変
速機を内装する前記ミツシヨンケース１に固定さ
れるようになつている。

又前記プラネタリキヤリヤ５３は、多板式の第
２ブレーキＢ２の動作により前記ミツシヨンケー
ス１に固定され、且つワンウエイクラツチＦの動
作により一方向の回転が阻止されるようになつて
いる。

又前記第１〜第３クラツチＣ１，Ｃ２，Ｃ３と
第１、第２ブレーキＢ１，Ｂ２の動作、並びにト
ルクコンバータ２の作動油の内圧は、それぞれオ
イルポンプOPで加圧された油より制御するごと
く成している。

前記オイルポンプOPは、ポンプハウジング６
と、該ポンプハウジング６に内装して前記トルク
コンバータ２のポンプ２１と連動するドライブギ
ヤ６１と、該ドライブギヤ６１に噛合したドリブ
ンギヤ６２と、吸入ポート６３ａ及び吐出ポート
６３ｂを備えた前記ポンプハウジング６の一側を
覆うポンププレート６３とを有し、トルクコンバ
ータ２のポンプ２１の駆動に伴う前記ドライブギ
ヤ６１の回転により、該ドライブギヤ６１と前記
ドリブンギヤ６２とで、前記吸入ポート６３ａか
ら吸入した油を加圧して、前記吐出ポート６３ｂ
より外部に送り出すごとくした既知構造のもので
あつて、前記ドライブギヤ６１と前記ドリブンギ
ヤ６２とを組込んだ前記ポンプハウジング６は、
前記ミツシヨンケース１に設けた内壁１１ないし
前記ステータシヤフト２５の軸端部に一体形成し
た鍔状の固定壁２６に、前記ポンププレート６３
を介してボルトで固定している。

一方前記ステータシヤフト２５の固定壁２６に
は、前記オイルポンプにより加圧された油を前記
第１、第２クラツチＣ１，Ｃ２やロツクアツプク
ラツチＣ３等に供給するための複数の油圧通路２
７を設けているのであつて、該油圧通路２７は、
前記固定壁２６の外周面からステータシヤフト２
５の軸芯に向つて穿設した切り孔２７ａや、前記
固定壁２６の前記ポンプハウジング６を固定する
側面から前記切り孔２７ａに連通するように穿設
した切り孔２７ｂ，２７ｂ等によつて形成されて
いる。

しかして以上のごとく構成した自動変速機の油
圧装置において、前記オイルポンプOPのポンプ
ハウジング６１と前記ミツシヨンケース１の内壁
１１ないし前記ステータシヤフト２５の固定壁２
６との間に介装されている前記ポンププレート６
３に、前記固定壁２６を貫通して前記ポンププレ
ート２７の前記吸入ポート６３ａ及び前記吐出ポ
ート６３ｂの少なくとも一方に開口する前記油圧
通路２７の開口端、即ち図に示す実施例では、前
記油圧通路２７を形成する前記切り孔２７ｂ，２
７ｂのうち、前記ポンププレート６３の吸入ポー
ト６３ａに開口している開口端を閉鎖する閉鎖面
６４，６４を設けたのである。

具体的には、前記ポンププレート６３における
前記吸入ポート６３ａの内周縁を、該吸入ポート
６３ａ側に膨出させて、該膨出部位を前記閉鎖面
６４，６４と成したのである。

尚図中７は減速機構、８は差動歯車装置を示
す。

次に以上の構成から成る自動変速機の油圧装置
の作用を説明する。

前記トルクコンバータ２のポンプ２１の駆動に
伴い、前記オイルポンプOPで加圧された油は、
前記吐出ポート６３ｂより前記油圧通路２７を介
して前記第１、第２クラツチＣ１，Ｃ２やロツク
アツプクラツチＣ３等に供給されるのであつて、
前記ポンププレート６３は、前記ポンプハウジン
グ６内で加圧された油により前記固定壁２６の側
面に強く押圧されるので、該固定壁２６の側面に
開口する前記油圧通路２７の開口端は、前記ポン
ププレート６３に一体形成した前記閉鎖面６４，
６４によつて確実に密封され、従つて前記開口よ
り油が漏出するようなことはないのである。

（考案の効果） 以上のごとく本考案は、固定壁とポンプハウジ
ングとの間に介装されたポンププレートを利用
し、該ポンププレートに、前記固定壁を貫通して
形成され、前記ポンププレートに設けた吸入ポー
トと吐出ポートの少なくとも一方に開口する油圧
通路の開口端を閉鎖する閉鎖面を設けたので、従
来のごとく前記油圧通路の開口端をボールやプラ
グで閉鎖する場合に比較し、該ボールやプラグの
圧入作業を省略することが出来るのは勿論、前記
ボールもしくはプラグの圧入に要する寸法だけ前
記切り孔の軸方向長さを短くすることが出来、従
つて、前記固定壁の厚さをそれだけ薄くし、全体
として自動変速機の小型化が図れるに至つたので
ある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案にかかる自動変速機の油圧装置
の一実施例を示す断面図、第２図はポンププレー
トの側面図、第３図は本考案にかかる油圧装置を
適用する自動変速機の一実施例を示すスケルトン
図である。 ２６……固定壁、２７……油圧通路、６……ポ
ンプハウジング、６３……ポンププレート、６３
ａ……吸入ポート、６３ｂ……吐出ポート、６４
……閉鎖面。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 固定壁２６にポンプハウジング６を固定し、該
   ポンプハウジング６と前記固定壁２６との間に、
   吸入ポート６３ａ及び吐出ポート６３ｂをもつポ
   ンププレート６３を介装し、前記固定壁２６に油
   圧通路２７を形成して、自動変速機の油圧作動装
   置を制御するごとくした油圧装置であつて、前記
   ポンププレート６３に、前記固定壁２６を貫通し
   て形成され、前記各ポート６３ａ，６３ｂの少な
   くとも一方に開口する油圧通路２７の開口端を閉
   鎖する閉鎖面６４を設けたことを特徴とする自動
   変速機の油圧装置。