JPS6242136Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の技術分野〕 本考案はいわゆるスコツチヨーク式圧縮機の構
造に係り、更に詳しくは、ピストンによるシリン
ダへの側圧を大きくすることなく、ピストンの振
動を低減するようになしたものに関する。

〔考案の技術的背景とその問題点〕

スコツチヨーク式圧縮機としては、第１図及び
第１Ａ図に示す如く、偏心して回転するクランク
ピン１でクロスヘツド２を動かし、クロスヘツド
２に連結されたピストン３をシリンダ４内で往復
直線運動させるようにした構造のものが従来より
知られている。この構造では、ピストン３の摺動
部分の長さａをピストン３のストロークよりも充
分に長くすることにより、回転運動を往復直線運
動に変換する際に生ずる偶力に起因するシリンダ
４へのピストン３からの側圧Ｐが小さくなるよう
にしてある。しかしながら、ピストン３の圧縮側
先端面がクランクピン２の回転中心Ｏから遠くな
ると、圧縮機では振動が大きくなるという問題が
ある。この振動を少なくし、かつ、シリンダ４の
側圧Ｐを減少させる圧縮機としては、第２図に示
す如く、クロスヘツド２を挾んで２つのシリンダ
４を水平に対向させ、２つのピストン３で交互に
圧縮作用を行なうようにしたものがあるが、軽量
小形化には適せず、小容量の圧縮機にあつては製
造コストや運転コストの面で問題があつた。

尚、密閉形圧縮機における電動機では、第３図
に示す如く、回転子５に凹部６を設けてフレーム
ボス７を入れると共に、その凹部６の底部中央に
貫通孔８を明けてシヤフト９を圧入しており、回
転子５の回転をシヤフト９を介して圧縮要素に伝
えるようになつている。しかるに、圧縮機の小形
化という要請により、第４図に示す如く、回転子
５の凹部６の深さl₁は貫通孔８の長さl₂よりも長
くされ（l₁＞l₂）、貫通孔８の短くなつた分だけ機
械的強度が減少することとなつて、圧入したシヤ
フト９が振動によりズレて偏心する等のおそれが
あつた。

〔考案の目的〕

本考案は以上の如き問題点に鑑みなされたもの
で、その目的とするところは、ピストンのシリン
ダに対する側圧を大きくすることなく、ピストン
の圧縮側先端面とクランクピンの回転中心との距
離が短くなるようになし、振動が小さく、軽量小
形で、、かつ、経済性に優れた圧縮機を提供する
にある。

〔考案の実施例〕

以下に本考案の好適一実施例を添付図面によつ
て詳述する。

第５図乃至第７図に示す如く、９はシヤフト
で、フレーム１０に回転自在に支持されている
が、そのシヤフト９の上端面にはシヤフトの回転
中心と偏心してクランクピン１が固設されてい
る。フレーム１０上にはクランクピン１を覆うよ
うにシリンダ４が設置され、その内部にピストン
３を摺動自在に保持している。ピストン３の中央
部にはピストン３の中心軸線に対して垂直に溝１
１が形成され、その溝１１にスライダー１２が摺
動自在に入れられている。このスライダー１２の
中央にはクランクピン１が回転自在にはまる大き
さの穴１３が明けられており、差し込んだクラン
クピン１によつてスライダー１２は支持されるよ
うになつている。

この構成によれば、シヤフト９が回転するとク
ランクピン１が偏心して回転し、スライダー１２
を回転中心を中心に回動させるが、スライダー１
２はピストン３の溝１１に摺動自在に保持されて
いるため、ピストン３を溝１１に対し直角方向へ
動かすよう作用する。従つて、ピストン３はシリ
ンダ４内で往復直線運動をすることになる。この
場合、ピストン３の圧縮側先端面とクランクピン
１の回転中心Ｏとの距離ｂが短いことから、圧縮
機の振動を小さくでき、また、バランスウエイト
も小さくすることができる。しかも、ピストン３
の摺動部の長さａについてはピストン３のストロ
ークよりも充分に長くしておくことができるの
で、回転運動を往復直線運動に変換する際に生ず
る偶力に起因するシリンダ４へのピストン３から
の側圧Ｐを小さくすることができる。更に、クラ
ンクピン１及びスライダー１２がシリンダ４内に
位置することから、圧縮機の小形化が可能とな
る。

尚、前記実施例の如き構造では、ピストン３の
上表面とシリンダ４の摺動面の潤滑性が必要にな
るが、そのためには、第８図及び第９図に示す如
く、ピストン３の溝１１の底部からピストン３表
面に向かつて斜めに潤滑油用の第１孔１４を明け
ると共に、スライダー１２にも潤滑油用の第２孔
１５を明けるとよい。すなわち、第１０図に示す
如く、クランクピン１の内部に設けた油孔１６を
通つてスライダー１２の穴１３内に供給される潤
滑油は、第２孔１５を抜けて溝１１の底部に入
り、第１孔１４を通つてシリンダ４とピストン３
の摺動面に送給されることになる。

また尚、密閉形圧縮機における電動機では、シ
ヤフトを圧入する回転子の貫通孔での機械的強度
を高めるために、第１１図に示す如き円環状の補
強部材１７を用い、第１２図に示す如く、貫通孔
８の出口側周縁部に補強部材１７を固設するとよ
い。これによつて、貫通孔８の実質上の長さl′₂が
回転子５の凹部６の深さl₁以上となり（l₁≦l′₂）、
機械的強度の低下を招くことなく圧縮機を小形化
することができる。補強部材１７としては、単な
るスリーブのほかに、回転子５製造時に生ずる不
要材料を用いることができる。すなわち、第１３
図に示す如く、円柱状の積層鉄心１８に貫通孔８
を明け、更に、その鉄心１８の一部に凹部６用に
大孔１９を明けて回転子５を製造するが、このと
きの加工をプレスで行なうと、補強部材１７に最
適な寸法の円環状の積層鉄心が不要材料として発
生する。従つて、不要材料の有効的な利用に資す
る。

〔考案の効果〕

以上の説明で明らかな如く本考案によれば次の
如き効果を発揮する。

(1) ピストンの圧縮側先端面とクランクピンの回
転中心との距離が短いことから、圧縮機の振動
を小さくすることができる。また、バランスウ
エイトも小さくすることができ、圧縮機の起動
性が向上する。

(2) クランクピン及びスライダーがシリンダの内
部に位置するため、小形化を推進できる。ま
た、シリンダは１つであるので、軽量なものと
なる。

(3) ピストンの溝の底部にピストン表面に向けて
斜めに潤滑油用の孔を明けることで、シリンダ
とピストンとの潤滑性が向上する。

(4) ピストンに溝を設け、スライダーを入れるだ
けでよいので、製造組立性が向上する。

(5) 構造が簡単で、容易かつ安価に実施でき、有
用性がある等の優れた効果を発揮する。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の圧縮機の一例を示す側断面図、
第１Ａ図はその部分拡大横断面図、第２図は従来
の圧縮機の他の例を示す横断面図、第３図は従来
の圧縮機における電動機の一例を示す縦断面図、
第４図は従来の圧縮機における電動機の他の例を
示す縦断面図、第５図は本考案の一実施例を示す
横断面図、第６図は第５図の圧縮機の部分縦断面
図、第７図は第５図の圧縮機の要部を示す分解斜
視図、第８図は本考案の他の実施例を示す縦断面
図、第９図は第８図の圧縮機の要部を示す分解斜
視図、第１０図は第８図の圧縮機における潤滑油
の流通状況を示す要部拡大縦断面図、第１１図は
本考案に係る圧縮機における電動機に用いる一部
品を示す側面図、第１２図は本考案に係る圧縮機
における電動機の一実施例を示す縦断面図、第１
３図は本考案に係る圧縮機における電動機に用い
る一部品の製造状況を示す平面図である。 図中、１はクランクピン、３はピストン、４は
シリンダ、１１は溝、１２はスライダー、１３は
穴、１４は孔である。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 偏心して回転するクランクピンによりピスト
   ンをシリンダ内で往復直線運動させる圧縮機に
   おいて、上記ピストンの中央部に設けられ、該
   ピストンの中心軸線に対して垂直な溝と、該溝
   に摺動自在に入れられ、上記クランクピンが回
   転自在に嵌合する穴を有するスライダーとから
   なることを特徴とする圧縮機。 ２ 上記溝がその底部にピストン表面に向けて斜
   めに潤滑油用の孔を有する前記実用新案登録請
   求の範囲第１項記載の圧縮機。